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66 空

 猫宮は小さな振動で眼を覚ます。するとトシノバに背に乗っている事に気が付いた。


「……な、なにをしてるんっすか……っ」


「……」


「まさかウチを助けにっ? なんで……っすか……」


「ふん。俺はただ奇妙な狼を駆除しようと追いかけてたらッ。そしたら偶然バカ猫を発見しただけっ。ほんとに偶然な!!」


「は……誰がバカっすか。そっちのッ……っィッ……」


「はっ。無理をするな。死んだら決着がつけられないだろ……」


 病院に着くと玄関で倒れた。


「……馬鹿っすね……でも今回だけはお礼を言っとくっす。ありがとうっす」


 トシノバは疲労のあまりそれを聞いていなかった。気が付いた者がすぐに運び、治療する。


 治療の中、命に別状はないことを聞くと帰ろうとするトシノバ。背を向ける彼に慌てて部屋から飛び出した猫宮が言った。


「ちょっと待つっすよ!! 大事な話があるっす!!」


「な、なんだよ……」


 猫宮は真剣な表情でいった。


「お金貸してくれないっすか?」


「……ふざけろ」


 トシノバの財布は空になった。




 依頼をこなし疲れ切ったトシノバが、喫茶店に入った瞬間に倒れ込む。


「動き過ぎて死ぬぅ……」


「おいおい、大丈夫か? なんかあったのか?」


 ハンターの男が近寄ってきた。彼は遠くを見ながら微笑む。


「ふふ。いや、なにも……ただの疲労だ」


「んだよー。その含みある笑いはよー」


 肩を借りてテーブル席に着く。喫茶店にはモニターがあった。夜は雰囲気に合わないので片付けている。モニターに映っているのはヨモヨモという局のニュースだ。


『……深夜に第二区の……でモンスターに襲われるという事態が発生しました…………その中には人気配信者が…………アカウントが複数あり、その全て動物の救出動画だったとのことです……ファンは複雑な心境を語っています……』



 トシノバに耳にふとそれが入ってきた。


「なんて事だ……」


 動揺する彼に周囲の男が言う。


「強欲、承認欲求のモンスター。どこにだっている悲しい魔物。まっ、安全に暮らしたいなら……」


「馬鹿を言うな。俺はハンターだ。モンスターを狩りにきた」


「そうだったな。悪かった」


「トシノバ。言っておくが、あれはレアなケースだ」


 また別の男が誤解しないようにと付け加えた。


「分かってる」


「ああいう少数の輩のせいでそうでない人が被害を受ける。悲しいね~」


 そこで猫宮が入ってきた。二人は顔を合わせない。美雨が聞いた。


「どうしたの、その怪我?」


「ちょっとやらかして。でも二日も休めば大丈夫っす」


「それまで大変でしょ。家にくる?」


「いいんすか!! 行くっす!!」



 こうして猫宮はこの店に少しずつ馴染んでいった。







ご一読いただき、感謝いたします。投稿は21時になります。

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