63 気まぐれ
トシノバがフラフラと夜道を歩いていた。
「ったく!! あいつさえいなければもっと……ん?」
地面が不自然に湿っている場所を発見する。近寄ると黒い毛が落ちていた。
「弾痕っ……それに獣人の……まさかッ」
トシノバは近くの自販機で水を買うとそれを飲み干し、どこかに走り出した。
「馬鹿野郎がっ」
◇
しばらくしてテクテクと歩いてくる男の姿があった。ある場所でピタリと止まった。スンスンと匂いを嗅ぐ。
「やはり血か……」
夜空の影が膨れ上がり、立体になっていく。やがて影の狼、梟が無数に形作られた。狼が匂いを嗅ぐと走り出す。そして、梟は上空に飛び立ち、それぞれ街中へと散っていく。
夜空はその場から消えると一瞬で高層ビルの屋上に移動していた。
「クク、愚かな。我が陰影に痕跡を残し過ぎたな……」
◇
ひと気のない建物。そこに両手を縛られて吊るされている猫宮がいた。
「オラァ!!」
腹部に容赦のなく拳を叩きこむ。
「がはっ……ぅぐっ……」
「あの時はよくもやってくれたな薄汚ねェ獣風情が!!」
「あがっ……ッ」
「キャハハハ。今の声聞いたぁ? だっさー」
女の方もいた。
「ねぇ分かった? 私たちを舐めるとそうなるんだよッ」
女が猫宮の顔を殴った。
「ィッ……」
「キャハハハ。痛い? ねぇ痛い? キャハハ♪」
猫宮が血の唾を吐いた。それを見て嬉しそうに追撃する。
「安心しなよ、これが終わったら外に売るから。獣人好きの変態共にねェ!!」
「おい、やめとけよ。顔は撮影しながらの方が良い」
「ごめん。ごめん。この顔見てるとイラついてさー」
そう言いながら女は足で、猫宮が撃たれた部位をグイグイと攻める。
「ぁあがぁああああ!!」
激痛で猫宮は気を失った。
「チっ。このくらいで気絶すんなっつの!! 起きたら始めるよ!! 準備しておいて!!」
手下に対してそう言った。
「了解でーす!!」
主犯の男が言う。
「あの男もボコりてェな。海では途中で邪魔が入ったし」
「こいつに居場所吐かせる?」
「お前がくる前にやったけどダメだった。こいつ口かてーわ。良い方法ないか?」
「あー。少し顔が映ってたから配信で呼びかける?」
「いいねそれ~!!」
その時、下の階で叫び声が聞こえた。
「ん? 今なんか聞こえたか?」
「さあ?」
ご一読いただき、感謝いたします。投稿は21時になります。




