54 微笑
公園の広範囲に薄い氷が張られていた。まるで雪国の真冬のような冷気が辺りを包んでいる。周辺には凄まじい戦いの痕跡が残っていた。
その氷の中心に仰向けで倒れている少女が一人。異変に気が付いた誰かが声を出して近づいてくる。
今まで倒れた少女をジッと凝視していた男。その周辺からどこからともなく現れた異様な数の蝙蝠が飛び立つ。蝙蝠が空へと消えていく。そして、まるでマジシャンのように男も忽然と消えていた。
「ここに誰か倒れてますっ。リリンさん!!」
その言葉を聞いてリリンが駆け寄る。
「犠牲者か!!?」
「……いえ、これは……リリンさんの情報通りの……」
「これは……死んでる……のか……」
数人が警戒しつつも近づいた。リリンはその比較的綺麗な遺体を見て驚愕する。
「なにをそんなに……お前はなにを見たってんだ……ッ」
リリンには理解出来なかった。周辺の破壊状況を見て、リリンはゾッとする。
瑠琉は途轍もない強敵と遭遇したのだろう。しかし、彼女の表情に怯えはない。まるで子供のような無邪気な笑顔で、ただそこに横たわっていたからだ。
「不気味ですね……」
「笑う殺人鬼、か……あれだけ人の命を奪っておいて。ムカつく野郎だぜ」
リリンは目を細めて短く同意した。
「……嗚呼……」
その後、警察の調査により、遺体の歯形、唾液や体液などから瑠琉が殺人鬼であると確定した。
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