46 悪意
【ある学園】
本州にとある男がいた。名前はゲスマル。彼はどこか退屈した様子で学園に通っていた。廊下で集まって会話している女子たちに言う。
「この前、輪流さんが君たちの事顔も性格も不細工って言ってたよ」
「はぁ? あの子がそんなこというはずないでしょ。バッカじゃないの!!」
「信じないならどうぞご勝手に。陰口をたたかれながら友達ごっこでも続けてろよ」
「は? なにこいつキモっ。いこっ」
「うん」
男は自分の教室に向かう。その途中で他クラスに絡まれた。
「お前デマを流してるらしいな?」
「火のない所に煙は立たないんだよ。怪しい行動をしてるお前等が悪いんじゃ?」
「てめっ」
「おい止めろって!!」
殴りかかろうとする男を友達が止めた。
「とにかくこれ以上なにかしたら許さんからな」
「へいへい」
男は苛つきながら去って行く。
「存在しない。ただの嘘に踊らされるなんて馬鹿な奴等だ」
こんなことを繰り返すうちに彼は次第に避けられ、虐められることになった。無視や嘲笑をされることとなった。
ある日、教室の席に座っていると、数人の男が入ってきた。
「もう我慢できん!!」
男は嘘を言うゲスマルに殴りかかった。床に倒れたゲスマルは泣きべそをかきながら言う。
「ひぃ。ごめんなさい!! もう二度と逆らいません!!」
「ふざけんな!!」
「そうじゃねぇだろ!!」
「もう止めてください!! 許してください!! どうして!! 僕はなにもやってないのに!! 僕は家が貧乏で。弱い人間なんです!! 仕方なくやっただけで!!」
「ああ? なにいってんだこいつ!!」
「なにもって!! こいつ反省してねぇぞ!!」
「まあいいや!! サンドバッグにしてやるぜ!!」
教室の人間は誰も彼の事を庇わない。それどころかデマを流す奴を笑っていた。彼はどこか脈絡のない被害者の言葉を大声で叫び続ける。
クラスメイトはこれまでの怒りを全てぶつけるのであった。
放課後、誰もいなくなった教室でゲスマルはカメラを回収していた。そして、家に帰る。
「ハハハ。良い感じで編集できたな!!」
クラスメイトにはモザイクをかけるも、一瞬外したりしていた。特定したがる人に餌をまいていた。
前から作っていた裏アカウントで、都合の良い動画を加害者のフリをして煽り文とともに流す。後日、この問題は騒ぎになる。
ゲスマルを殴った男たちは心を病み、転校した。クラスメイトのSNSも荒らされている。
「フヒハハハ、正義の味方が沢山いるぞぉ。そうだッもっと叩け!! アハハハハ!! 被害者を叩き潰せェ!!」
騒動が大きくなるのをゲスマルは楽しんでいた。
「クヒヒ。真実を求めず、自分を正義だと言い聞かせる奴は総じて空っぽの人間なんだよ」
パソコンの窓を切り替えるとゲスマルは喜びの声をあげる。今月の儲けが出ていた。
「うはぁっ。適当言ってりゃ金が貯まる。良い時代になったもんだッ。駄目だよ~。ちゃんと法律作んなきゃ~」
その時、ダイレクトメッセージが送られてきた。この騒動を疑う者たちがいた。
「おっと。編集がバレてら。ようやく本物が動き出したか。さて、小さい箱庭に興味はねぇ。逃げるとするか」
ゲスマルはその日のうちに迷わずに家を出た。そして、その途中でフードの男に会う。道のど真ん中で怪しく立っていた。
(なんだァ邪魔だな……)
「すみません、通してくれませんか?」
「面白い男だな。俺と一緒にこないか?」
(面白い? 真相を知っている? 集めた金目的の詐欺か? いや、このタイミングでこられるものなのか?)
「……」
「その警戒は正しい。俺はお前を利用する。お前は俺を利用する。そういう関係を築きたい」
「俺のデメリットは?」
「運が悪ければ死ぬ。メリットは世界をもっと滅茶苦茶にできる」
「フフ。ハハハッ。人間いつ死ぬかわかんねェんだ。面白いっ、協力しよう!!」
「それでは一時的にヨモツクニに身を隠すとしようか」
「ヒヒ。俺と同じ。ゲスの匂いがするぜ」
この日、ゲスマルは行方不明となった。
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