33 犠牲者
しばらくして、浩二は女性陣が戻ってこないことに気が付いた。
「なあ、遅くないか? あの四人……」
その声に誰かが反応した。
「そういう時もあるのさ」
「おいおい。もし変なのが出たらどうすんだよっ」
酔っ払いたちが言う。
「こんな森に変質者かぁ?」
「いや、モンスターじゃね?」
「うひーこえー」
「そんな事件稀にしか起こってぇだろっ。面白半分で恐怖心を煽るなって」
「そ、そんなのがピンポイントで~……な、なぁ?」
静かな暗い森がまるで自分たちを誘っているように感じた。その独特な雰囲気に恐ろしくなり、なん人かが生唾を飲む。
その時、森の奥から悲鳴が聞こえた。浩二が一瞬怯んだが全力で森の方へ走り出す。すると森から谷野がフラフラと歩いて来た。ボロボロの服で体中に傷があった。
「谷野さん!! 大丈夫か……!!」
浩二が彼女を支えた。
「奥にモンスターがっ。まだ三人が!! 助けて!!」
皆が怯む中、夜空が言う。
「俺が……皆は森から少し離れて集まっていてくれ。なにかあればバスで逃げる準備を……」
彼は一人森の奥へ入って行った。震えていた者たちは言う。
「マジかよ……怖くないのかあいつ……ッ」
「助けないとって思ってるのに……くっ、駄目だ……体が動いてくれない」
それを見てボロボロの谷野が言う。
「山井君。相変わらずかっこいいね……」
浩二が悔しそうに言った。
「……あれが日常だって……慣れてるんだろう……俺も能力さえあれば……」
十数分が経過した。その間、誰かがバスで助けを呼ぼうと言った。しかし、山井を置いてきけないと谷野が止めた。
ある時、奥から男が歩いて来た。女性を一人地面に優しく置いた。そして、奥に入りまた一人連れて来ては置く。
バスから見ていた者たちが慌てて駆け寄る。
「良かった!! 無事だったのか!!」
夜空は静かに言う。それは残酷な事実であった。
「三人とももう死んでいる……凄まじい力で押しつぶされたようだ」
「そ、そんな……うそ……うそよッ。いやぁぁああ!!」
谷野が叫ぶとそれに釣られ、女性が泣き始めた。誰かが警察に電話したらしいが、モンスターの対応はギルドのほうにかけ直したらしい。
「ギルドの人がもう少しで来る……今の状況を伝えたら下手に動くと襲われるかもって」
「ここには山井もいるし。待ってた方が安全か?」
「ってあれ? 谷野さんは?」
「え?」
いつの間にか彼女がいなくなっていた。多くの者はバスで待機する。勇気ある数名が谷野を探す。その中には夜空もいた。しかし、どこを探しても見当たらなかった。
彼等は怯えると同時に焦っていた。悪い予感が頭を過る。心臓音が次第に大きくなり、不安が加速する。
◇
ご一読いただき、感謝いたします。投稿は21時になります。




