8《練習!》
4月7日朝5時過ぎ。健は着信音に叩き起こされた。
「もー秋、何?」
「健っ!俺大事な話お前に言い忘れてたからー、今日の夜健んち行っていい!?」
(朝から元気だ…)「うんいいよー」
「そうか?んじゃ夜7時半に行くから!じゃーな」
プツ
(切れた…また寝よう)
でも起きる時間が気になって結局寝れなかった健。
(あーあ話ってなんだよもう)
※でも怒らない優しい健
夜7時半。
ピンポーン
「いいよ入ってー」
「お邪魔しまーす、健、今日の残りな。天ぷらだ」
「えっ、うわ、ありがと」
台所に置いてきて、リビングで居ずまいを正す。
「で、何大事な話って」
「あのな、ハートの事なんだけどー、あれやる上で大っ事なことなんだわ」
「へー何?」
「あのな?
あの歌は一見ただの恋愛の歌のようだが実は俺達の路上にかける想いを乙女の恋心に仮託した歌だからな?」
「え?そうなの?」
「だから精一杯可愛くやって欲しいんだ」
(え?可愛く?)「あ、うん分かった」
とりあえず返事した。
「それでだ、今日は本当に可愛く出来るまで納得いくまで練習して貰おうと思って来た訳だ」
「…え?」
「健アコギ貸してよ、俺手本見せるから!」
「マジか~っ」
ガックリ。
「俺今日もバイトあっからあと2時間しかねーからよ、しまっていこうな?」
「…ハイ…」
脱力しちゃった健。
かくして手本。
「じゃあやるぜ!1、2…♪…
♪お願いダーリン♥
ねえマイダーリン♥」
「さすが本人、やっぱりすげーな秋は。ある意味尊敬するわ」「だろ!健もこんな感じでやって欲しいんだ」
「ハイハイ分かりましたあ(半ヤケ)」
歌い終わって。
「なんかさ、まだどっかはじけ切れないんだよな。
もっと振り切れよ、恥ずかしがらずに」
「完璧に出来過ぎてても逆に恥ずかしくない!?路上で浮くよ!?浮いて目立つのはやだから!」
「んーなんつーの?必死にやるんじゃなくてー、ただ可愛く?
じゃあ次俺と一緒にやろうぜ、俺と合わせろよ?」
「うーん…」
・・・・・
結局健も慣れた。が健らしさは失われずに済んだ。(※死守)
「あ、9時半なるな…まあこんくらい出来てればいっか。
よく頑張ったな健」
肩を叩く秋。
「俺なんか秋のおかげで変なスイッチ開発された気がするよ」
「そうか?まあ可愛くすんのはこのハートだけでいいからさー、あと他は今まで通りカッコよく頼むぜ!健らしくな!
んじゃ帰るわ」
そして秋帰宅後。
「はぁ…」
健はガスが抜けたようにため息。そしてアコギを見て。
(いなくなったらいなくなったで寂しいかも)
健はアコギを抱えてテレビをつけた。
――結局その後もハートのモールス信号の練習は続き、3回も練習した。
優しい健は
(秋、この曲に力入れてるからなー、その想いはくまなきゃ)
健は器用なので恥ずかしがりつつも秋の納得するレベルで出来るようになった。
秋が満足げにウインクし
「よし、じゃあ路上デビューは次の水曜日の夕方4時な!今から楽しみだな!」
※その日は健のバイトが休み
テンションに飲まれつつ健も笑顔で頷く。
秋も健も、やる気になっている!
登場曲 ハートのモールス信号 は作詞作曲してみたよ☆の方に投稿済みなので見てくりっ!
健さん、練習に付き合ってる(笑)。健ってO型なのかな?秋はOっぽいよね♪
もし相方に「可愛く!」と頼まれたら…スピカ今なら出来る…かな?十代じゃ無理だったなー
今日のBGMはBUMP OF CHICKENの オーロラアーク でした★