325.日浦、猟師として闘いを決意す__
椋鳩十とシートン動物記が好きでした☆
それはうだるような暑さの日だった。
外に出るとムアッとした質量のある空気に包まれ、肌が汗ばむ気温。
保育園ライブが終わった正午、
「じゃあ先生達ありがとうっしたー!」
「チビッ子達もじゃあなー?」
「「まーたーきーてーねー!」」
「おうっ!☆」
その時日浦のスマホが鳴る。
「直井さんだ!はいっ!」
名前を聞いて秋にも緊張が走る!
(猟師仲間の人だ!)
日浦は緊迫した顔に変わり、
「はい…はい…行きます行かして下さい!」
通話オフし、
「すまん皆、俺今日の反省会抜けていいか!?」
秋は目を輝かせて
「いいぜ!で何だって!?」
「うむ!モロコシ畑がクマに襲われて箱罠仕掛けてたんだがそれに掛かったって!
行政命令でこれから奥山に放しに行かなきゃならんがそれに付いて行くんだ!」
ドクン、秋も武者震いして
「そうか!じゃあ頑張れよ!」
「ああ!」
日浦は緊張した面持ちで走っていった。
健が
「日浦の奴“近頃問題になり始めたアーバンベアと俺も猟師の端くれとして闘えるようになりたい”って言ってたよね、ほんとに熊を獲れるようになれたらいいよね✾」
七郎も
「うん、僕も熊また食べたいな〜」
秋は興奮気味に目玉親父で
「オイッ!簡単に言うな!熊との闘いは死闘なんじゃぞ!」
日浦が駆けつけると役場の人らしき人と源さんが言い合っていた。
熊はガシャン!オリをぶっ叩いて牙を剥きます!
「見ろ、これを放せってか!」
「ですが決まりなんです」
ガシャン!ガオォ!
「放した奴にゃあ知恵がつく…次は同じ手じゃあ捕まえれねえぞう!?」
「っっ俺だって!分かってるんだよ!!」
役人の叫びに日浦はハッ、役人は無念そうに
「分かって頼んでるんだ…俺だってほんとはしたくないんだ、…っだがこれが仕事なんだよ!
…っお願いします…!」
深く頭を下げる役人も辛そうだった。
「仕方ないよ源爺、行政に従っとこう」
「んだ、この人も辛いんだよ」
「すみませんありがとうございます!」
40代の直井さん升さんに諭されていぶし銀の源さんも折れました。
麻酔銃で熊を撃ちます。
◇
奥山____カゴオリを置いて蓋を開け、熊が目覚めて山に帰っていくのを見届ける。はず、だった。
起きた熊は山ではなく陰で見ていた此方に突進してきた!物凄い速さだ!
「うわっ」
直井に飛びかかる熊!
「馬鹿野郎!」
源さんが銃を鉄パイプみたいに熊を強打して、熊が向きを変え源さんに襲いかかり、ガゥン!源さんの銃口が火をふいた。
「ガゥッ!」
眉間を撃ち抜かれた熊をすぐガゥン!心臓を撃ち抜き、熊はドウと倒れ絶命する。
それら全て一瞬の出来事だった____
結局熊を持ち帰り、直井と升が役場にてんまつを報告に行き、日浦は源さんと熊を解体処理した。
源さんは手を動かしながら無口に、
「直井の野郎ォ油断しやがって…」
日浦は先輩の事なので安易に頷けず黙って聞き、
「でも、たまたま熊が先輩に向かったけどもし俺に来てたら俺もヤバかったと思います」
源さんは暗く笑った
「ククク、反応出来ねえなら死ぬのさ…熊ァ怪物だからなァ…」
日浦は改めて今日見た生の熊を思い出し、ブルッとした。
「だがなァ…」
次に源さんが言った言葉に日浦はまた胸を打たれる。
「奥山の開発とやらも進んでっからよ…熊だけ悪いっても言えねえよ…
真よォ、俺達猟師がしてえのは熊を根絶やしにするこっちゃねぇよ…
あくまで適正管理ってやつだぜ…」
ドクン!
(やはりこの人達はかっこいい!自らも自然界の1つになって健全な均衡を保つ事を考えてる!
命の恩恵に触れる厳しさを知る者だからこそだ…!)
「…っ覚えておきます!」
源さんは暗い目をチカリと光らすとニヤ、とした。
だが新しい息子の契りを結んだ日浦には分かった、“理念を受け継がれて嬉しいのだ”と。




