第22章 ⑤
第22章⑤ トマト鍋
私は鍋へ水を入れる。
干し肉も入れる。
しばらく煮る。
良い匂いだった。
干し肉を取り出す。
小さく切る。
鍋に戻す。
私はトマト缶を見る。
そのまま汁ごと鍋へ入れる。
ごろん。
ごろん。
トマトも大きかった。
木の匙で潰す。
ぐしゃ。
ぐしゃ。
少しだけ。
水も赤くなる。
私は混ぜる。
ぐるぐる。
棚を見る。
丸ネギを取る。
大きく切る。
芋も切る。
どちらも大きい。
食べ応え重視。
塩を少し入れる。
また混ぜる。
後は煮るだけだった。
サラが鍋を覗く。
「赤い!」
ニコも覗く。
「赤!」
イナも覗く。
近い。
私は言う。
「熱いよ」
イナは一歩下がった。
良い子だった。
多分。
ぐつぐつ。
鍋が鳴る。
丸ネギが柔らかくなる。
芋も柔らかくなる。
干し肉も少しずつ戻っていく。
私は味を見る。
……足りないな。
塩を少し足した。
もう一度味を見る。
うん。
大丈夫。
私は頷く。
「出来た」
器へよそう。
赤かった。
ルークが止まる。
「赤い」
カイルも頷く。
「初めて見る」
ミラも器を見つめていた。
サラは嬉しそうだった。
「赤!」
ニコも笑う。
「赤!」
私は言う。
「食べよう」
みんなで手を合わせる。
食べる。
しばらく誰も喋らなかった。
ルークがもう一口食べる。
カイルも食べる。
ミラも少し笑った。
「美味しいです」
私は少し安心した。
サラは芋を食べている。
ニコは丸ネギを頬張っていた。
イナは干し肉を見ている。
私は見る。
イナも見る。
私は干し肉を少しだけ分けた。
イナは嬉しそうだった。
今日は許す。
鍋はまだ残っている。
冬だった。
明日も食べられる。
少し得した気分だった。




