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第20章 ⑧
第20章⑧ 昼
湯気が立つ。
良い匂いだった。
私は鍋を見る。
出来た。
ありゃ。
器が。
足りない。
フォークもだった。
商人も止まる。
「……足りんな」
私は頷く。
「うん」
商人が振り向く。
「おい!」
「椀とフォーク借りて来い!」
冒険者が走る。
まただった。
速かった。
職人は笑う。
「その間に休憩だ」
パンを齧る。
水を飲む。
しばらくして。
冒険者が戻って来た。
木椀だった。
木のフォークもあった。
「借りて来たぞ!」
良かった。
私はうどんを入れる。
順番だった。
職人。
冒険者。
木こり。
商人。
おばちゃん。
兄。
妹。
最後に私。
「いただきます」
静かだった。
やがて。
一人が言う。
「……うまい」
もう一人も頷く。
「温まるな」
商人も笑う。
「腹一杯になるな」
妹も笑う。
「おいしい!」
兄も頷いた。
私は思う。
良かった。




