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次の大戦へ

「なんだと!?第一帝国軍は敗北を決しただと!?」


「は、はい・・・バルテズの竜騎士隊も半数がやられ、騎士も7割りが損失、戦力として保つのは不可能かと・・・」


「うぬ・・・これが公国の同盟国とやらか・・。どうやらそう簡単には勝てないか」


ライガは冷静だった。敗戦を決すると分かり、取り乱すミゲルとは大違いだ。これが歴戦を潜り抜けてきた名将の所以なのかもしれない。


「どうなさます?」


「ゴーレムを使う。あの岩の怪物ならあの軍もひとたまりもないだろう」


「御意!」


そう言うと部下は一礼してライガの元から去る。あとに残ったのは静かに椅子に座り憂鬱としているライガだけだった。


「あのお方の計画を邪魔される訳にはいかん。例えこの命尽きようと、任務を実行する」


その目は決意に満ち溢れた目だった。




/※/




帝国軍が撤退してから数時間。フリーデン本部のテントては武蔵とカオルが二人して話していた。カオルは武蔵が淹れてくれた紅茶を飲みながら会話する。


「こちらの被害は?」


「榴弾砲や戦車のおかげで死傷者は少ないですね。」


「そうか、ならよかった。」


腕時計をチラッと見てみるとすでに12時をまわっていた。

そろそろ休眠するか


「今日はこれで終いとしよう。じゃあ、おやすみ」


「・・・ええ、お休みなさい」


なんだろう。武蔵の顔が黒い笑みをしていたような気が・・・





「ふぁ~。さすがに眠いな」


自室のテントに戻るなり、ベッドに横になる。辺りはすっかり静まりかえってるのでギシギシとベッドが軋む音がする。


おや?外に人影が


「カオル様、入室してもよろしいでしょうか?」


「武蔵か?どうした、こんな時間に」


「ちょっと所用がありまして」


「ならいいぞ。入ってくれ」


テントの垂れ幕を潜り武蔵が入室してくる。なにやら急用だろうか?


「一体どうしたんだ?」


「いえ、カオル様、体の調子はどうですか?」


「体?いや、別におかしい・・・うぅ・・なんだこれは?」


「ようやく効きましたか。」


「な、なにを!?・・・」


「大丈夫です。ただの媚薬ですから」


媚薬!?いや、ただのってつけるような代物じゃないから

もしかしてさっきの紅茶か!?


「な、なぜこんな真似を・・・」


「ふふふ。そのことは夜が明けてからにしましょう。それよりもカオル様の子息は我慢ならないようですよ。」


「よ、よせ・・・」


「無駄ですよ。あの媚薬はかなり強力なものです。一役処方すれば獣のように交尾します。」


「うぅ・・・ハァハァ」


「まだ堪えますか?この私の身体で解消してもよろしいのですよ?」


「す、すまん・・・武蔵!!」


「あぁん♪」


その晩、カオルは武蔵の身体をたっぷりと堪能した。




/※/



「なんてこった・・・」


朝日が昇り始めているなか、カオルは自室のベッドに腰掛けて項垂れる。それもそのはず。そのベッドにはシーツでその華奢な身体を覆い、すやすやと息をたてて寝ている武蔵がいたからだ。


「やってしまった・・・」


カオルには後悔と動揺がみられる。武蔵の身体を貪った後悔と、これからのことをどうするかという動揺が。


「ふふふ、なかなかの勇ましさでした」


いつ目を覚ましたのか、武蔵は卑猥な体液を全身に纏いながらも今の現状を憂い、歓喜していた。


「武蔵・・・すまなかった」


「なぜ謝るのです?あれは私が盛ったこと。責は私が乞うものです」


「だが・・なぜあんなことを」


「ふふふ、まったく鈍感な方ですね。好いてる女の気持ちがわからないとは。」


「・・・そういうことか」


これは俺に責があるのかもしれない。武蔵の気持ちに気づけなかった俺に。


「別に責任をとれと言ってるわけではありません。私も一人の女。男に好意を持つのは当たり前です。貴方はただ私を抱いてくれるだけで私は嬉しいのです。」


その言葉に何も言えないまま、朝日が昇るのをただ眺めていた。




/※/



「うふふ、いい天気ですね」


「そうだね・・・」


たしかに雲一つない青天白日だが俺の心はどしゃ降りだった。


「武蔵・・・俺は」


「そのことはもういいです。だけど抱いたことは責任を受けます。」


「責任?」


「はい、これからカオル様が発情したら何時でも私の身体をお使いになられれば・・・」


「待って!それじゃ俺が報われない!」


責任を受けるとか言ってるけどそれってただ自分が抱かれるための大義名分だ。もう少しで引っ掛かるところだった。


「まあ、夜伽のことは置いといて。今日の戦闘のことです。」


「上手いように話をそらしたな・・・たく、それで?」


「偵察隊の報告だとゴーレムを投入するかと。どうなさいます?」


「迎え撃つ。相手が誰であろうとな。」


「やはり、そうですか。あと昨日の戦闘で捕虜となった騎士は?」


「獄門島へ移そう。そういえばカガリは?」


「あの女はあそこでの労働を熱心に取り組んでおります。帝国を裏切ったことは吹っ切れて。」


「元々帝国に忠誠心はなかったのだろう。ある程度したら、解放してやるか」


「いいのですか?」


「ああ。もう無害だからな」


「それにいつまであんなところにいれておくわけにはいかないしな。」


「わかりました。それでは失礼します」


もう夜来んなよ

そう言いたいが何故か言えなかったカオルであった。



/※/




「さて、今回の作戦は昨日より派手だ。」


テントに集められたのは各部隊の隊長らだ。それぞれ重々しい表情で俺の話に耳を傾けてくれる。


「それで作戦とは?」


「相手はゴーレムを投入するようだ。つまり、全軍での総攻撃を仕掛ける気だろう。」


「ゴーレムですか・・・」


「そうだ。以前、防衛戦でゴーレムを倒したがあの時は一体だったからそれほど苦ではなかったが、今回は30体。しかも、魔法でより強化されてる」


「魔法!?」


「ああ、そうだ。帝国には魔術師がいるらしく、そいつがゴーレムに強化魔法を補助したのだろうな。正直、砲弾が効くかはわからない。」


「ふむ、厄介ですね」


「まったくです。どうしますか?」


「本部に連絡だ。PALADIN(パラディン)を寄越そう。」


「了解しました!」


「これで効いてくれるといいんだがな」


そう祈るように心のなかで呟く。そして準備のためにテントを退室した。



/※/





「はいはい!そこ、ボサッとしてないで仕事しなさい!じゃないと仕事増やすわよ?」


「はい~!」


カオルの作戦を通達され、こちらではその迎え撃つ準備に取りかかってる。この辺りは元々、民家があった地帯なので古く取り残されたレンガ造りの建物がいくつかある。今回はその土嚢や建物を利用して敵を仕留める。


各所にM2重機関銃や迫撃砲 M224などを配置させて攻撃を重点した要塞と化してる。


その傍らで大型のライフルケースを運ぶ銀髪の少女がいた。


「ヘイヘ少尉、なにやってるのですか?」


シモの相方のミルフィが声をかける。小柄な彼女に似合わない大型のライフルケース。そんなものをどうしようというのだろう。


「・・・今回はこれでいく。」


「あれ?モシン・ナガンは?」


「・・・あれでは太刀打ち出来ないかもしれない。なんせ相手はゴーレム。」


「たしかにそうですね」


「・・・これなら安心。」


ライフルケースを大事そうに抱えるシモはいつもように狙撃ポイントへと向かっていった。




/※/



「ふぅ~。まだ来ないのか」


土嚢に腰を掛けてあるものを待ち続ける一人の女性。彼女は側にいる部下に指摘される。


「仕方ないでしょ。基地からここまで距離がありますし、なによりここは砂嵐で視界が不良となる場合もあります。」


「そうは言うがな、エルン。一人の軍人として敵を倒すのが兵士の務め。それをしたいだけだ。早く戦ってみたいのだ。」


「そう言って総督に誉められたいだけですしょう?顔が緩んでますよ?」


「な、ななななななななんだと!?断じて違う!オレはあんな奴が好きだなんて・・・」


「誰も好きとはいってませんよ。まさしく墓穴掘ってますね」


「うぅ・・・」


赤く染め上げる頬を隠しながら恥ずかしがる女性、ミハエルは部下に弄られてばっかりだった。




/※/



前衛部隊中央のテントではケリーの元へ複数の部下と荷車に乗せた木箱を持ってきた。


「伍長、本部から品物が届いています」


「おお!やっとか」


ケリーは待ちわびていた木箱を大事そうに抱えて頬擦りする。それにはさすがの部下も引く。


「それにはなにが?」


ここで一人の部下が木箱の中身が気になるのかケリーに疑問をぶつける。

するとケリーは自慢するかのように答える。


「これにはな、あたしが使ってみたかった武器があるんだ。そのため、わざわざ本部から取り寄せたんだぞ」


「へぇ~。それって・・・」


「まっ、戦場でのお楽しみってわけだ」


勿体ぶらすケリーはそのまま木箱を眺めていた。



/※/



「伝令!『クロウ』が敵勢を確認!あと30分でここへ来るかと。」


「よし、全部隊に通信しろ。30分後に攻撃を開始する。それまで待機だ!」


「はい!」


これですべての準備は整った。あとは迎え撃つだけだ。



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