第22話Original magician(オリジナルの魔術師)
「孫じゃったかのぉ~。いやいやひ孫?ひぃひぃ孫?なんじゃったかのぉ~」
土属性の破壊神といわれているトラウィスカルパンテクートリを光の粒子に変えた男の老人が顎から生えている白い髭をなでながら言った。
「お前、なにもんだよ」
「わしを忘れたのか!?悲しいのぉ~、寂しいのぉ~」
男の老人はわざとらしく腕で目をこする。
「助けてくれたのは感謝するけどよ、寒くねぇのかよ」
「最初に服装をつっこんでくるなんてのぉ~、頭のネジはどこに行ったかのぉ~」
「その喋り方止めねぇとぶっ飛ばすぞ」
「それはめんどくさいんじゃぁ~、お前の名前は陰だろぉ?」
「なんで、俺の名前を知ってんだよ」
「だから、言ったではないかぁ~。お前はわしの子供じゃと」
「しらねぇつってんだろ、記憶にぜんぜんねぇよ」
「それもそうかのぉ~お前が赤ちゃんのときに一回しか会ってないのに、覚えてるほうがおかしいかのぉ~。わしの自己紹介でもしとくかのぉ~」
「悪い、ボケたおじさん。俺はこんなところで油を売ってるわけにはいかないんだ、他の人に相手をしてもらってくれ」
俺はそのまま静香先輩が走っていった道を走り始めた。
「わしはの、如月 陽といってなこれでもわしはオリジナルの魔術師なんじゃ。そしてのお前は家系の中で唯一、わしの血を………どこいったんじゃ?…まぁいいかのぉ~ゆっくりとのんびりといこうかのぉ~」
なんだったんだあいつは?まぁいい、そんなことより静香先輩はどこにいったんだっけ?どこに行くまでは決めてなかったな、そんじゃあまずは俺の寮にでも戻るか。
十五分後寮に戻ってこれた。俺の寮のドアノブに手をかけたとき、視界が暗くなっていき、体が重くなっていくのを感じた。
▽▲▽▲▽
「おい、目を覚ませ」
誰かに声で起こされた。ぼやける視界で周りを見てみると、見覚えのある黒い空間だった。俺に声をかけたのはこの空間を支配してる俺の姿をしているイフリートだ。
「急になんだよ」
俺はおぼつかない足取りで立ち上がる。この空間に来るときは毎回、気絶したりしてるのでこんな風に呼ばれるのは初めてだ。
「さっきのじじぃは誰だ?」
「そんな事知るかよ。そんなの聞くためにわざわざ呼んだのかよ」
「そうだ、あのじじぃは見覚えがあるんでな。もしかしたらと思ってな」
「あぁ、そうだ。俺を自分の子供って勘違いしてたな。まぁどうせ半袖半ズボンのじぃさんだったし、ボケてると思うぜ」
俺がいいおわると、イフリートがぶつぶつ独り言を言い始めた。「こいつが子供…半袖半ズボン……」独り言が終わったかと思うといきなり口の両端を大きくつりあげた。恐い笑顔だった。
うわぁー俺ってこんな顔もできるんだ~と思いながら、イフリートの顔を見ていた。
▽▲▽▲▽
目を開けると俺の寮の前にいて、ドアノブを握っていた。少しイフリートが笑ったのを気にしながら寮のドアノブを回し、部屋に入ると静香先輩と龍刃先輩がいた。
「龍神…あの…さっき言ったことなんだけど……本気だからねっ」
「俺も静香のことが好きと言ったのも本気だよ」
二人は自分たちの世界に入りきってる様子だった。俺が部屋に入ったのに気づかないんだよ。相当硬い世界でしょ、まぁ見てますか。面白そうだし。
「龍刃手つないでもいい?」
静香先輩は顔を赤くしながらもじもじして言った。
「いつもしてるだろ」
少し笑いながら龍刃先輩が言った。
「ち、違うの……あの…恋人同士がする…つなぎかた…」
「こうか?」
「………うん」
龍刃先輩は静香先輩の指と指の間に自分の指を一本づつ通した。
「とっても、幸せだよ。龍刃」
「俺もだ、静香」
そして、二人はお互いを見つめ、キスを………
「させるかぁぁぁ!!!!」と言いたいとこなんだが、どうにも俺の体が続きを見たいといっている。
「キスをするのはやっぱり恥ずかしいな、しかも龍刃とだから」
「俺は静香とのキスは嬉しいよ」
静香先輩は顔を真っ赤にしてつないでた手を離し、両手で顔を覆った。すると龍刃先輩は笑った。
「むぅー、また意地悪した」
静香先輩が顔を赤らめながら頬を膨らませて言った。俺の知らない静香先輩がここにいる。いつもは綺麗か美しいと思っていたが、今はホントに可愛く見えた。
「静香の反応が面白いからな、でも言ってる事は全部本当だよ」
また静香先輩は顔を赤くした。きっといままで言われてきた事を思い出しているんだろうと自己解釈をしていると、ぼーっとなっている静香先輩に龍刃先輩は唇にキスをした。
静香先輩が飛び上がりあとずさり、口をパクパク開けたり閉めたりしていた。龍刃先輩が静香先輩に近づき、抱いた。
「良かった…本当に良かった…」
少し声を震わせながら龍刃先輩が言うと、静香先輩は目を見開き、そして微笑んだ。
「龍神…ありがとう」
静香先輩も龍神先輩に抱きつき、そして頬にキスをした。そして、二人が離れると二人とも微笑んだ。その静香先輩の笑顔が、前に森の中で見せた望美の会心の笑みと重なった。




