第20話Betrayal(裏切り)
「お父様…今……なんて言ったのですか?」
静香先輩が驚愕した顔で源三郎に言った。
「馬鹿と言ったんだよ。静香」
源三郎は静香先輩の腹に拳を入れようとするが、龍刃先輩が割り込み、静香先輩の代わりに龍刃先輩が吹き飛んだ。
「お……おい…ちゃんと…望美を助けてくれるんだろう…な?」
俺が源三郎のはかまの裾をにぎって揺らしながら言うと、源三郎は舌打ちをして俺の首を掴んできた。そのままゆっくりと上空に上げられていき、足が地面から離れてしまう。
「如月陰といったな、俺は魔術が大嫌いなんだ。俺は昔、魔術ができない出来損ないだった。そのせいでいじめられ、親にも見捨てられた。魔術ができるくらいで偉そうにしやがる奴がうざかった」
源三郎は手に力を入れる。
源三郎の言葉で秀と出会ったときを思い出した。
「魔術は才能か努力で決まると言ってるが、俺は病気をわずらっててな努力すらできなかったんだよ。分かるか?この気持ち。でもな、まだ俺は他のやつと比べて頭が良かった。これだけで十分だった。そんなあるとき、一人の俺に一週間前から話しかけてくれた友人と昼飯を食ってたんだ。すると上級生が喧嘩を売ってきたんだよ。そのときは友人が先に逃げて、俺がボコボコにされたんだよ、片腕、片足の骨折。病院で入院してると友人が見舞いに来てくれてよ。母がいるときは必死で謝ってたくせに、母がいなくなった瞬間笑い始めて俺に言ってきたんだ………」
少しだが源三郎は涙をうかべてるような気がした。
「友人は言ったんだ、「実はよ、あいつらって俺が喧嘩売った奴なんだよ。不意打ちをして最初は勝ったんだけどそれが気に障ったらしく俺を探してまわってて、でも顔は見られなかったけどもよ、俺も恐くなってつい、お前がやったことにしたんだ。いる場所つきでな。わりぃな」その時は絶望したよ。どうせ俺は使い捨ての駒だ」
源三郎は俺の首から手を離し、落ちてくる俺の腹に蹴りを入れた。
「だから、俺はこの世界の人間をすべて殺し、魔術の無い世界に作り変える」
「お父様!止めてください!そんなことのために何人もの人を殺してきたんですか!?」
静香先輩が涙を流しながら、源三郎に抱きつきながら言った。
「そんなこと…だと。お前は俺の苦しみが分からないくせに、ふざけるなっ!」
源三郎は静香先輩の襟を掴み、投げる。
「魔黒石の力がみなぎってくる」
『オイ、オマエガオレヲツカウノカ?』
黒板を爪で引っかく音のような気持ち悪い声がする。
「これはこれは、魔黒石さん。そうです、俺があなたを使います」
『ワカッタ、ハラウゾウキガイノチニジュウヨウナホド、ツヨイマジュツヲツカワセテヤロウ』
「まず手始めに、腎臓でおねがいします」
『ワカッタ』
直後、源三郎が手で口をおさえながら血を吐く。
「はぁ…はぁ……これで…魔術が使えるんですね」
『ソウダ、タダオモウダケデハツドウスル』
源三郎が何も言わずに自分の右手を見ると、闇極刀ができていた。
「なるほど…これはいい」
そういって源三郎は右手を開き、倒れている龍刃先輩に向けると、一瞬にして特上位魔術の精霊召喚が発動された。水を司る精霊ウンディーネを召喚した。全長5mはあり透き通った水色の体をしており羽衣を着ている女性がでてきた。
「龍刃、お前から殺してやろう」
すると、ウンディーネは片手を空にあげる。手のひらにビー玉ぐらいの水の玉があると思った瞬間、水の玉は十階建てのビルに相当する大きさになった。
「押しつぶせ」
源三郎が言い終わると、ウンディーネは片手を下げる。それと同時に水の巨大な玉も落ちてくる。
「龍刃!」
静香先輩が水の巨大な玉の前に立ち塞がる。
「ふぅー…好きだったよ龍刃」




