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第19話Reason(理由)

龍刃先輩は下は黒で上は白のはかまを着ており、二本の刀が左右の腰にある。


「お前を殺してでも、群青さんの邪魔はさせない…」


龍刃先輩が俺のことを揺ぎ無い瞳でみてきた。そして、手を交差して刀を抜く。


「「何でこんなことしてんだよ、龍刃先輩」」

「分かった、群青さんの計画を話してやろう。納得してくれれば、帰ってくれ。静香の父にあたる群青源三郎ぐんじょうげんざぶろうさんは若いときから魔石の研究をしていた。魔石が生成される時に、どうにかして魔力が弱い人でも魔力を強化できる魔石は作れないかと、群青さんは思っていたのだ」


龍刃先輩が刀を鞘にしまい始める。


「そして、ある実験で魔石は進化を遂げた。その時にできた魔石を群青さんは魔黒石と名づけたのだ。魔黒石は使い手の魔力を数十倍にしてくれるが、使い手の臓器を魔黒石に喰わせなければ本来の力は発揮されない」

「「それじゃあ、なんで望美を殺したんだよっ!」」

「それは、魔黒石の成長のためなんだ。魔黒石は一つの生き物として生きており、成長の糧は人間の心なんだ。そして人間の心は本来、脳の中にあるといわれている」

「だから…望美の頭を斬ったって言うのか」

「そうだ」


俺は我慢の限界を超して、竜神先輩に斬りかかる。真紅の日本刀を上から振り下ろすが龍刃先輩の二本の刀を交差させた中心で受け止められる。つばせりあいをしながら龍刃先輩は話しはじめる。


「落ち着け、如月」

「「ふざけんなよっ!ただの石のために望美を殺しやがって!」」

「俺だってこんな事はしたくなかった。でも…」

「「でも…ってなんなんだよっ!」」

「群青さんから、魔黒石が完成したら死人でも蘇らせることができると聞いている」

「「っな………本当なのか?」」

「あぁ、群青さんが言っていた」


俺は力を緩めて後ろに下がる。


「「その、源三郎とかいう奴に会わせてくれ」」


龍刃先輩は「聞いてみる」といって、魔術修行場から出て行く。


数十分後、源三郎と静香先輩と龍刃先輩が入ってきた。源三郎は龍刃先輩より少し豪華なはかまを着ており、静香先輩は制服のままだった。


「君が如月陰君だな」


俺は紅を元の状態に戻し、源三郎の方を見る。源三郎は千羽高校の校長だった。静香先輩の生徒会長の特権がなぜあんなに凄いのかが今分かった。


「本当に魔黒石とやらで望美を生き返らせられるのか?」

「………もちろんだ、魔黒石が完成したら助けてやろう」

「あとどのくらいで完成すんだ?」

「あと少しだ…」



▽▲▽▲▽



「おいおい、これで終いか?」

「まだまだだよ、忍者君」


秀は遠距離魔術を使い、忍者の男と距離をとりながら戦っている。どちらかというと忍者の男の方が優勢に見える。


秀が足を滑らせてしまい、転びそうになっている所に忍者の男はすぐさま反応し秀に近づく。


「これで終わり……っな!」


秀と忍者の男の間に俺が割り込み、真紅の日本刀で忍者の男の首元を切り捨てる。


「ありがとな、イン」


秀が笑いながら手をこっちに伸ばす。俺は秀の手を握り引っ張る。


「なんでだよ…」

「「生き返らせるから安心しな…」」


引っ張った反動で秀の首を斬り捨てる。


「君は強いな、頼りがいがありそうだよ」


源三郎が高らかに笑って拍手をしながらこっちに向かってきた。後ろには龍刃先輩と静香先輩がおり、無表情で源三郎の後ろをついていってた。龍刃先輩の手にはチャイナドレスの女の首があった。静香先輩の手にも首があり、それは唯の首だった。


「そんな事はどうでもいい。早くしてくれ」

「分かってる。こんなに魔術の強い人間の心を喰らえば魔黒石も完成するだろう」


源三郎は手の裾から立方体の箱を取り出し、開けると丸く包帯が巻かれていた。包帯もはずすと普通の魔石は透き通った青紫なのだがこの魔黒石は真っ黒で中心が少し青紫色に光っているだけのゴルフボールぐらいの大きさの石だった。


秀と唯と男と女の首が集められ、源三郎が魔黒石を手のひらに置きながら手を前に出す。魔黒石が少しずつ大きくなっていき、サッカーボールほどの大きさに変わる。源三郎が地面に置く。


何かがパキパキと割れていく音が聞こえる。その音の発信源は魔黒石だった。魔黒石はギザギザの口をあけ、四人の首を食べていった。食べ終わると元のゴルフボールの大きさに戻り、黒く光だす。


「ついに、ついにきたか…」


源三郎が魔黒石を拾い上げる。少しずつ光が収まっていくと、魔黒石の中心の青紫色が赤色に変わっていた。


「お父様、皆を生き返らせましょう」


静香先輩が微笑みながら、源三郎に話しかけた。すると源三郎が静香先輩の頭に手をおいてなでた。


「ありがとな、静香」

「お父様の研究の成功を見たかっただけです」

「本当に素直によくここまで生きてくれたな。素直すぎて馬鹿だな」

「……え」





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