第3話:謎めいた転校生と不穏な影
夕暮れ時、学院の広大な庭園に薄紅色の光が差し込んでいた。
ユリア・セレスタインはベンチに腰掛け、考え事をしていた。
アルベリク・グレイム。
彼はただの新任教師ではなかった。彼の言葉の端々に含まれる「シナリオ調整者」という存在の意味。
そして、「君の存在が物語の均衡を崩している」という警告が、頭から離れない。
「ユリア、またそんな顔をして……」
声をかけたのは親友のアメリア。
彼女は心配そうに近づいてきた。
「アルベリクのこと、まだ気になる?」
ユリアはうなずきながらも、意識的に平静を装った。
「彼の存在は確かに不穏だけど、私には確かな手がかりがない」
その日の夜、ユリアは学院の旧図書室を訪れた。
埃にまみれた古文書や記録の中に、ひときわ異彩を放つ一冊の書物があった。
表紙には、「シナリオ:Y.C.」と書かれている。
ユリアは静かにページをめくりながら、過去の出来事が綴られていることに気づいた。
「これは……私が書いた物語?」
一方、アルベリクは自室で静かに書き物をしていた。
彼の目的は明確だった。
「物語の均衡を守るために、ユリアの行動を制限する」
だが、彼の心の奥には複雑な感情が渦巻いていた。
「彼女は単なる破壊者ではない……何か、新しい未来を切り開こうとしている」
翌日、ユリアは学院で新たな事件の兆候を感じ取っていた。
誰かが密かに彼女を監視しているような、不気味な視線。
そんな中、ハルが軽やかに近づいてきた。
「ユリア、大丈夫? 何かあったらすぐ言って」
彼の優しい言葉に、ユリアは少しだけ心が和らぐ。
しかし、アルベリクの影はますます濃くなっていく。
彼の動きが、学園内に不協和音を生み出し始めていた。
ユリアは決意を新たにした。
「論理と真実で、この物語の未来を自分の手で紡ぐ――」




