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共鳴者としての再出発

クルスは一度深呼吸をし、セルスに語りかけた。「セルス、一緒に戦うために、いくつか確認しておきたいことがあるんだ」


セルスは不思議そうな表情を浮かべて頷くと、クルスは少し考えながら切り出した。「さっき、君は三詠唱までの炎の魔法が使えるって言ってたけど、他に使える属性はある?」


セルスは首を横に振り、戸惑いがちに答えた。「後は聖属性が使える。でもその二属性が私には限界。でも複数の属性が使えるって結構自分で言うのもなんだけどすごい事なのよ。そもそも詠唱数が増えたら実戦では魔法はあんまり使えないの」


クルスは少し驚いたが、興味深く話を聞く。「詠唱数が多い魔法って、普通は使わないのか?」


「そうよ。長い詠唱をしている間に攻撃される危険があるから。通常の戦闘で使われるのは、すぐに唱えられる短詠唱の魔法ばかりよ。戦術魔法師でも、戦争のような大規模な戦闘があるときにしか、長詠唱の魔法を使うことはないわ」


その説明を聞いて、クルスはふとリアのことを思い出した。どんな詠唱の長い魔法でも、リアはクルスを信じて使ってくれたのだ。


「リアは、僕がどんな指示を出しても文句を言わず、すぐに魔法を試してくれてたんだな……」


クルスは改めてリアの存在の大きさを実感し、胸が温かくなった。しかし、目の前のセルスに対しても今はできる限りのサポートをしたい。そんな思いを胸に、次の確認に進んだ。


「さて、アプリの確認をしてみよう」


「アプリって何?」聞き慣れない言葉にセルスは聞き返す。


「俺の世界の魔法みたいなもんだよ」


まずはマップアプリを開き、セルスの位置を確認する。やっぱりリアの青い点は表情されない。それに胸を締め付けられるような想いを抱きつつも、画面上には、セルスの位置が緑色の点で表示されていた。


「セルス、君はマップ上で緑色の点で表示されているよ。リアとは違う色で表示されるみたいだ」


セルスは不思議そうに眉をひそめた。「それって便利ね。私の位置が分かるなら、何かあったときにも助かるわ」


「そうだね。これで離れていても君の居場所を確認できる。俺からは君の敵の位置も正確に把握してできる。もし危険が近づいてもすぐにそれがわかる」


次に、クルスはメッセージ機能を確認することにした。思い出させられるのはリアのとメッセージを交換していた楽しい時間だ。「今からメッセージを送るから、それがどう見えるか教えてほしい」


セルスが集中して待機していると、空中に窓のようなものが現れた。「あら、これは……手紙みたいね」セルスは指でその窓に触れると、クルスからのメッセージがはっきりと表示された。「これはどういう事?ちゃんと読めるわ」


クルスは満足そうにうなずき、次のテストに進んだ。「今度は君が僕にメッセージを送ってみて。手紙の内容を思い浮かべて、それを僕に届けたいと念じてみてくれないか?」


セルスは少し緊張しながら、心の中で手紙の内容を思い浮かべ、強く念じた。その瞬間、クルスのスマホにメッセージ通知が届き、画面を確認した。


「成功だ。メッセージは普段の連絡に使おう」


セルスは少し驚きと安堵の表情を浮かべ、「こんな風に簡単に連絡が取れるなんて……あなたはすごいのね、クルス」


「最後に試したいのが、視覚共有機能だ。これができれば、君の見ている世界を僕も共有できるはずだ」

この機能を使うのを実はクルスは少し躊躇した。リアと心も身体も繋がったあの感覚がまだ心の中に残っていた。


しかし、視覚共有はできなかった。画面にはセルスの映像が現れなかった。少し考え込んだ後、結論を出した。「どうやら、共鳴が足りてないみたいだ」


セルスは不安そうにしながらも頷き、クルスに真剣な眼差しを向けた。「共鳴って、一体どうすればいいの?」


「俺とセルスがもっと深く連携ができるようになれば、きっと視覚共有もできるようになるはずだ。通常は君が僕と話したいと思ったら、頭の中で僕を呼び出してくれ。そしたら連絡がつながるから」


セルスはその言葉にうなずき、再び深く感謝の表情を浮かべた。「わかったわ、クルス。あなたが頼りになる人だって分かって、なんだか安心できた」


クルスも微笑み返し、力強く答えた。「俺たちは目的を一緒にしている。俺は全力で君をサポートする。もう絶対に失敗はしない」


セルスは小さく頷きながら、「ありがとう、クルス。これからもよろしく頼むわ」と静かに答えた。二人はこれからの共闘の約束を胸に刻み、電話を切った。

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