第9話 乙女と王女と孤児院
戦勝会の後、ライに対する評判は二分していた。
不遜だ、無礼だと処罰を与えるべきだと声を上げるのは貴族達である。反対に騎士達は、半ば感心をしていた。戦場に身をおく騎士だからこそ、ライの言葉に感じるものがあったのである。
どちらの態度も取らなかったのは、バーネット伯爵家の人達だった。筆頭公爵ともいえるナガール公爵家との縁組は、あまり乗り気ではなく、銀月の乙女であるフイアンナの立場を思ってからである。
ナガール公爵家との縁談が破談になった事で、バーネット伯爵家の立場は微妙な位置に立たされ、離れて行く貴族や上級騎士が出始めた。それでも変わらずに接してくる貴族や上級騎士も少ないながらにいる。
一方、当のライはケイオスに呼び出され、王宮の王子の私室を訪れていた。
「わたしに用とは何でしょう」
「まあ、掛けろ。おまえには、話しておく事にした」
「『銀月の乙女』の事ですか」
「その通りだ……」
やはりと思うライだった。
王子の私室に足を踏み入れた時、従者や小姓が誰一人としていなかった事は、内密にしたい話があるのだとわかってしまう。考えられるのは『銀月の乙女』に関しての事しか思い浮かばなかった。
「うかがいましょう」
ケイオスの向かいに腰を降ろしたライは言葉を待つ。
『星と闇
夜を象る
畏怖と慈愛の光よ
銀月の女神よ
眷属たるは
女神に祝福されし乙女
畏怖と慈愛をもたらす乙女
滅するを前にすれば畏怖をもたらし
慈しみを前にすれば慈愛をもたらす
乙女は印を額に現す 』
「そう昔の文献に記されている。フィーの額の文様は、間違いなく銀月の女神の祝印だ。このクナーセルの地で、女神の祝印を持つ者はフィー唯一人だけだろう」
ライの首が、何を聞いたか理解できないように傾いていた。
「理解できないか?」
「それだけで理解しろとは、いささか虫が良くないですか」
「まあ、確かにな。重要なのはそれではない。『銀月の乙女』がクナーセルの地に現れたと言う事だ。他国に知れると、どうなるかは簡単に想像がつく」
「どうなるのです?」
少々呆れ気味にライが尋ねると、ケイオスは肩を竦めている。
「フィーの争奪戦が始まる」
「理解できませんね。フィーが奇跡の力でも使ったと言うのならわかりますが、そんな事はないのでしょう」
迷信と言えばそれまでだが、信仰と言うものはそうではない事を知っていた。例え奇跡の力が無くても、女神の祝印があるだけで、国にとっては利用価値がある事も想像は簡単に出来る。
それこそ計り知れない利用価値があるはずだった。
他国へ侵攻するにしても『銀月の乙女』の神託と告げ、侵攻の前面に『銀月の乙女』を押し出せば、侵攻される側は自国の正義を疑ってしまうだろう。自国の正当性のために、いくらでも利用でき、得する事はあっても損をする事はない。
だからフィアンナの争奪戦になるとケイオス言った。
『銀月の乙女』を擁する事は、そう言う事なのである。
「この地に戦乱が起こる事は望んでいないが『銀月の乙女』の事が知れ渡れば、そうなってしまうのは目に見えているからな」
ただな、とケイオスは続けていた。
「隠しておくだけでは何もならない事は、俺や『銀月の乙女』の事を知っている者達もわかっている。だから、フィーに身を護る術を教えた。騎士として生きていけるように、万が一の時には自分自身で護れるようにな」
「フィー……いえ、違いますね。『銀月の乙女』は、それほど大事なのですか?」
言い替えたライの変化に気がつかずにケイオスは頷く。
「もちろんだ。本来なら国を挙げて歓迎し、国が警護をつけて護るべきなのだが、ナセルはあまりにも小さい。情けない事だが、北や西の大国に対抗できるほどの強さもない。隠しておくのも苦肉の策のようなものだ」
「フィーは納得しているのですか?」
「納得してもらった」
違うとライは思った。納得している訳ではない。
フィアンナは自分の存在が戦乱の火種になる事を理解しているから、今の状況を受け入れた。
だから、何も知らないライに祝印を見せたのである。納得していれば、ライに祝印など見せはしなかったはずだ。
そして、もう一つ気が付いた事がある。
フイアンナの婚約者が公爵の息子だった事に。ナセル王国として出来る事は、国内で一番力のある貴族にフィアンナを娶らせて、護らせようとしたのだった。
幻想や迷信に、振り回されているとしか言いようが無い。信仰心の薄いライには、滑稽にしか思えなかった。
気がつけば、ライは吐息を吐いている。
「王子、一つだけ尋ねたいのですが……」
「なんだ?」
「『銀月の乙女』以外にも、祝印を現す神がいるのですか?」
苦笑がケイオスの顔に浮かんだ。
「文献には、炎の王、水の女神、風の王、大地の女神、いろいろだな。およそ神と名付くもの全てにある」
呆れたような顔でライは、ケイオスを見てしまう。
「文献に記されているのは、何もこのクナーセルだけではない。北と西の山脈を越えた先の地帯にもある。国を興した『大地の乙女』の話や、国を滅ぼした『炎の乙女』の話などな」
「だから『乙女』には特別な力があると?」
「文献を調べる限りでは、そうなる」
苦笑しそうなケイオスにライは気がつく。
「王子は、信じていないのですね」
まあな、とケイオスは頷いて認めた。
「俺はその場にいたわけではないからな。それに、フィーがそんな力を示した事が無い事も知っている。ただ、昔の文献を頭から嘘だと決めつけられないからな」
困ったものだとケイオスの顔が言っている。
「迷信と言っても、そうは思わない者もいる。そう言う事ですね」
「その通りだ。隠して置けるものなら、隠しておきたいのさ」
長く続く事ではない事はケイオス自身もわかっていた。綻びが必ずどこか出てくるはずで、出てこない方がおかしい。それを少しでも遅くしたいのだった。
見計らったように扉が叩かれて、クリスティが部屋に入ってくる。
「お話は終わりましたか、お兄さま」
明るい笑顔でクリスティは尋ねていた。
「ああ、今終った所だ」
「では、ライ。今度は私に付き合って」
「はい?」
クリスティは、戸惑うライを急かせて王子の私室から連れ出す。外にはフィアンナが立っていた。
「フィー?」
何も言わずにフイアンナは笑っている。
「おっ、王女。どこへ?」
「来ればわかるわ」
ライは、歩き出したクリスティの背を見てから、フィアンナに視線を移した。笑ったまま軽く頷いて、クリスティの後を追って行く。
クリスティを先頭にライとフイアンナが後ろに付いて歩いていた。クリスティは王宮を出ると、近くにある広い敷地の屋敷に足を運ぶ。
敷地で遊んでいた子供達が、クリスティを見つけて駆け寄ってきた。
「姫さま!」
飛びついてくる少女を、クリスティは膝をついて抱き止める。
わらわらと集まってくる子供たちに、ライは目を丸くしてしまった。
その中の一人が、ライに気が付いてぽかんと見上げた。その事に気が付いた他の子供達も、ライを見てやはりぽかんとしてしまう。
が、年長の少年は違っていた。
ぽかんとしたのは一瞬だけで、次の瞬間には小さな子供達の前に出ている。それは小さい子を護る行動でもあった。
睨みつけてくる少年に、ライは苦笑しながら膝をついて視線を合わせる。
「わたしはライ・シドウ。君は?」
「ケイル」
短く答えるケイルに、ライは再び苦笑していた。
「君の行動は正しい。わたしはどこから見ても不審者にしか見えないでしょう。ですが、クリスティ王女が不審な者と一緒にいると思いますか?」
少しだけケイルの首が傾く。
考えている様子にライは、答えが出るまで何も言わずに少年を見ていた。
やがてケイルはゆっくりと首を振る。
「外見で判断する事は、あまり良くはありません。しかし、用心はしておいた方が良い事も確かです」
「はい」
真っ直ぐにライを見てケイルは返事をしていた。頷いてライは立ち上がると、クリスティを振り返る。
「王女。説明もなしに連れて来られても、わたしや彼らが困るだけです。それなりの説明はしておいてください」
「必要がありますか。ライの事は見ればすぐに分かるわ。それに、この子達がライをどう見るか興味もあったから」
「わたしは見世物ではありませんが」
「容姿だけなら十分見世物になるわよ。ただし、一度見れば覚えられるけどね」
「否定はしません」
肩を竦めるしかないライだった。
「で、王女。ここはどういう所ですか」
「わからないの」
目を丸くして聞き返すクリスティに、ライは尋ね方を間違えたと悟る。
「孤児院。と言うのは判断できますが、王女がどう関わってくるのかがわかりません」
「今の私に出来る事がこのくらいだった。お兄さまや騎士達のように戦う事は出来ないから、子供達のために出来る事を考えた結果よ」
「それで、わたしを連れてきたのは?」
「特定の人ばかりでは良くないと思ったからよ。変わった人にも合わせておかないといけないでしょう」
「わたしの変わった所は外見ぐらいですよ」
吐息とともにライが言うと、クリスティの眼が再び丸くなった。
「自覚が無い?」
「何のですか?」
首を傾げるライに、クリスティはため息を付き、フイアンナはくすりと笑っている。
「まあいいけど。それよりも時間が取れるようだったら、ライもここに来てくれないかな」
「それはかまいませんが……」
「頭の固い騎士が来てもね。この子達には取っ付きにくいでしょう。ライなら、そんな事はないでしょう」
わかりました、とため息とともに答えたライは、ケイルが見上げてきている事に気が付いた。
「何かな?」
「あなたは、強いのですか?」
「どうでしょうねぇ……」
自分の強さを考えた事の無いライは、曖昧に答えるしか出来ない。
「お願いがあります」
真剣な瞳で見上げてくるケイルに、ライは腰を落として視線を合わせた。
「ぼくに剣を教えてください」
「君はいくつになりますか?」
「十二です」
「剣を学んで、どうするつもりです?」
「強くなりたいんです」
「強くなって何をするつもりです?」
「護りたいんです。姫さまや弟達や妹達を護れる騎士になりたいんです」
少年の真っ直ぐな思いをまぶしく思う。自分には持つ事の出来なかった思いだった。純粋な分だけ心からそう思えてならない。
「君に剣を教える事は出来ると思いますが、わたしの剣は騎士の剣とは違いますよ。この国の騎士を目指すのなら、わたしではなく他の騎士の方に学んだ方がいいでしよう」
「あなたは騎士ではないのですか?」
「ええ。わたしは騎士ではありません」
「でも、剣を使える人なのでしょう」
「そうです。騎士の剣を学びたいのであれば、わたしではない方が良いはずです。フィーの教えを受けた方が良いですね。フィーはこの国の飛龍騎士ですから」
ケイルはライとフィアンナを交互に見て、少し考えてしまった。一生懸命に考えている事がよく分かる姿である。
やがてケイルは顔を上げる。
「ぼくはあなたから、剣を学びたいと思います」
そして、思いっきり頭を下げていた。
「ケイル……」
呼びかけるライに、ケイルは顔を上げる。
「聞かせてくれますか。騎士の剣ではなく、わたしの剣を学びたいと思ったかを」
「騎士を目指すのなら、騎士の剣を学ぶ方が一番良い事だと思います。でも、ぼくは……上手く言えません。ぼくはあなたから剣を学びたいと思います」
「ケイル。どのような剣を学ぶにしても、それは君が思っているよりも辛い事や苦しい事が多くあります。同時に剣を学ぶと言う事は、力を手にする事にもなります。その覚悟は出来ていますか?」
ライの言葉を真摯に聞いて、ケイルは視線さえ逸らさずにいた。大切な事を言っているのだとケイルは思っていたのである。
「ケイル、だめよ。あなたはそんな事を考えなくても良いのよ」
クリスティが止めるように言うが、ケイルは首を降っている。
「姫さま。ぼくは恩返しをしたいのです。姫さまや多くの人達が、ぼく達を護ってくれています。ぼくももう十二です。だから、今度はぼくが護る側になります」
「ケイル……」
「王女。ケイルの進む道を閉ざすつもりですか?」
「ライ、私は……」
「ケイルが自分で考えて決めた事です。簡単な事ではありません。わたしはケイルの意志を尊重したいと思います」
「じゃあ、教えてくれるんですね」
喜ぶケイルにライは釘をさした。
「わたしの剣を教えます。ですが、これだけは心に留めておいてください」
ライは、カタナを鞘ごと抜いてケイルの前に差し出す。
「持って見なさい」
ライに言われてケイルはカタナを手に取った。カタナの重さに取り落としそうになり、慌てて抱え込んでしまう。
「重いでしょう」
ケイル顔が真剣になっていた。
「これは人の命を奪う物です。誰かを護るために剣を抜く、それは誰かの命を奪う事です。剣を振るう事は、護ると同時に奪う事になります」
ライの黒い瞳に飲み込まれそうになり一歩退きかけた。それでもケイルが踏ん張っていたのは、剣を学ぶ上で大事な事を言っているのだと感じていたからである。
が、心に芽生えた怖さは消えなかった。
「怖いですか?」
見透かしたように言うライに、ケイルは何も答えられなかった。
「怖くて当たり前です。何とも思わないようであれば、わたしは君に剣を教える事はないでしょう。そして、簡単に剣を振り回し、すぐに命を落とす事になります」
ふっとライは優しい顔になる。
「今は理解できなくても構いません。ただ、今手にある重さと、心に芽生えた怖さを忘れないで下さい。剣を覚えていけば、おのずと理解できるでしょう」
「はい」
返すケイルの声は硬い。
「では、ケイル。今日から日課としてやってもらう事があります。まず一つ目は……」
そう言うとライは、広い敷地を見渡して門を差し示した。
「ここからあの門まで全力で走り、こちらに戻ってくる時は駆け足で持ってくる。これを五回繰り返します。そして、二つ目は腕立て伏せ十回。三つ目、上体起こしと上体反らしを十回。朝昼晩に行う事」
「はい」
「行動する前は、必ず体を解してからしてください。君はまだ身体が作れていません。急激な運動は身体に良くないからです」
「わかりました」
「空いた時間は、好きに使って構いませんよ。君もここでやらなくていけない事があるのでしょう。そちらを放り出す事は許しません」
ライとケイルのやり取りを聞いていたフイアンナが口を挟んだ。
「剣の型は教えないのですか?」
「騎士団ではどうなのです?」
立ち上がりながらライは尋ね返している。
「入団と同時に剣の型を教えます。体力作りも平行して行いますが……」
「ケイルは、剣を振るうための身体が出来てはいません。型を教えるよりも先に身体を作らないと剣に振り回されます」
少し苦笑が浮かんだ。
「わたしは三年間、身体作りに費やしました。基礎訓練としてね。ケイルも基礎訓練は必要です。剣の型に進むのは、それからでも遅くはないです」
この日からケイルは、黙々とライの指示した日課をこなす日々になった。不平も不満も言わずに体力作りに勤しんでいたのである。
そんなケイルに追従する者が現れた。
大柄な少年バルクと小柄な少年ルークの二人である。二人とも何か思う事があったのか、ケイルとともに黙々と日課を始めた。
そうなると、今度は少女達までもが日課を始める。いつの間にか孤児院の子供達全員が、ライの与えた日課を始めていた。小さい子や少女は数を少なくして、身体の負担が多くならないようにと指示したのは、他ならないケイルである。
そうした日々の中で、ライは孤児院へと足を運ぶ機会が増えた。飛龍騎士でもあるフイアンナや王女であるクリスティは、それぞれ執務しなければならない事があり、頻繁に訪れる事も出来ずに、ライが一人で訪れるようになっていたのである。
孤児院に訪れるライは、ケイル達三人に身体を作る事と同時に、他の子供達に遊びも教えていた。ライが教えた遊びは、大道芸としか言えないようなものばかりである。
クリスティとフイアンナは、久しぶりに訪れた孤児院で、大道芸に勤しむ子供達に目を丸くしたものだった。
「あなたは何を教えているの」
呆れ顔でライに尋ねたのは言うまでも無い。
「身体を作るのなら、色々な事を覚えた方が良いですし、身体が出来ても的確に身体を動かせなければ意味はないですから」
まあ、とライは苦笑していた。
「芸の一つでも身に付ければ、それだけでも生きてはいけるでしょう。いつかはここを出て行く事になるのですから」
ケイル達がライの与えた日課を続けて一月が経った頃、最初の剣の型をライは教える。
三人を前に、ライは左足を前に出して両手で木刀を構えて見せた。
「基本の姿勢です。全てはここから始まり、ここで終わります」
渡された木刀を、見様見真似でケイル達は構える。
「これから教えるのは、三つの動き。一度しか見せませんから、しっかりと見ていなさい」
ライは右足を踏み込むと、木刀を振り下ろした。そして、再び右足を踏み込んで前に突き出す。さらに左足を踏み込んで振り上げたあとでと元の姿勢に戻った。
振るう木刀が風を切っていた。
「速く振るう必要はありません。大事なのは、正確に力を伝える事です」
三人は互いに目配せをして頷き合うと、ライが見せた動きを思い出しながら木刀を振るい始める。
「これも日課です。漠然と長くやっても身に付きませんよ。一振り一振りに力と思いを乗せる事。この型は剣を振るう上で一番大事な基本です。基本をしっかりと身に付けなければ、先に進んでも上手く剣を振るう事はできません」
ライの言葉に答える余裕も無く、ケイル達は懸命に木刀を振るっていた。
師の振るう木刀は風を切った。だが、自分達の振るう木刀は風が切れない。どこが違うのか、動きは簡単で一度見れば覚えられた。鍛錬の年数で同じ動きでも差が出るのであれば、いまでたっても風を切る事はできない。
そう思う心が、知らず知らずに焦りを生んでいた。
「腕で振るっても何もなりませんよ」
びくりと三人の動きが止まる。
「君達は何のために剣を学ぶ。何のために剣を振るう」
護るためと答えるのは簡単な事だった。しかし、ケイル達は答えられなかった。問われた意味は違うと感じ取る事ができたからである。
「初めから無敵の強さを誇る者はいません。日々の積み重ねが、強さを身に付けます。一歩ずつ確実に進んで行けばいいのです」
一度息を吐いてから、木刀を振り始めた三人を見て、ライは少し苦笑してしまった。
昔、自分が剣を習い始めた頃を思い出してしまう。今のケイル達のように、型だけを一生懸命に真似た。そのたびに師から罵声を浴びせかけられ、木刀で幾度と無く打ち据えられたていた。
師の教えは単純明快。
死にたくなければ強くなれ、それだけだった。
剣技が上達しても、強固な力を得ても死んで逝く者もいた。先人達が幾人も命を落として行くのを見てきたのである。
教えられて身に付くのは強さではなく、技でしかない事を知っていた。強さは自分自身で学び、身に付けなければならない。
そして、それは他人が教えられるものでもなかった。
クリスティの創立した孤児院は、のちにナセルを代表する騎士を多く排出する事になる。その始まりの者達が、ケイル、バルク、ルークと言った。三者三様の剣の使い手であり、カタナをナセル騎士の剣技の一つにしたのだった。




