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世界の理 その2

「天野君、あまり驚いてない、って顔ね」


「いや、驚いているよ。

 子供の頃から教わってきた常識が『半分間違いよ』

 なんて言われて平気な奴なんていないさ」


昨日もニュースで宇宙から映した地球の映像が流れていた。

昔も今も、あの世界地図のはずなのだ。


「でも、この数日で俺は常識を超えた世界を見てきた。

 その常識外れの張本人から説明されたら納得もするさ」


異世界から来たという三条の能力も体験した。

信じたくなくても、信じざるを得ないだろう。



「それもそうね。じゃ、続けるわ」


三条は地図を指さして、話をつづけた。


「この中心が天野くん、きみたちの世界よ」

「そして、その外にあるのが私がいた世界、アールブヘイム。

 一番外にある世界は、ミア様の故郷、アトランティスよ」


「アトランティスって、昔沈んだ大陸のことじゃ?」


「沈んではいません。

 アトランティスは大陸ではなく、神の世界そのものを指すのです」


そう言うと三条は一番外に書いた円をチョークで軽く叩いた。



「かつて、アトランティスと、この世界はつながっていました。

 しかし、こともあろうか、ヒト族が神の世界、アトランティスを

 侵略しようとしたのです。」


「どうなったんだ?」


「神々の怒りに触れ、

 ヒトの世界は5度焼き尽くし、8度氷漬けにされした」


「えげつないな。」


神話では神々が、人の悪行をいましめるために

理不尽な罰を与えたという。


しかし、三条の話はスケールが桁違いに違う。



「神にさからったのだから、当然の報いです。

 とにかくヒトとは下劣で我儘な生き物なのです。」


三条の髪が興奮のため赤く光り始めた。

刺激したら今度こそ狩られる。

この場は大人しくしておこう。


俺は小学生が授業を受ける時の従順な姿勢をとった。

足をそろえて、手は膝の上だ。



「そんな下劣な生き物にも、神々は慈悲を下され、

 消滅させた後に、再びヒトを作り直しました」


「え?ヒトはサルから進化したのでは…」


「それは、君たちの科学者が勝手にいってる話です。

 こちらの世界でも、最初は神がヒトを作り出したという

 教えだったはずです」


「それは宗教が作った話だろ」


「説明するのが難しいですね。

 回り道をして、分かりやすい話をしますね」



三条は黒板の方を向くと2つ目の輪の中にある

エリアをチョークで叩いた。


「ここからは眷属の世界、アールブヘイムの話をします」


「確か、三条の故郷と言っていたな」


「はい。アールブヘイムは、

 神々が最後に作り出した世界です」


「神は、ヒトだけでなく、世界も作ったのか?」


「全知全能ですので」


三条がニコリと笑う。

いつの間にか怒りのオーラが消えている。


「三条が言うのなら、確かに可能だろうな」


よし!機嫌が戻っている。

いきなりの話で信じられないが素直な姿勢を貫こう。


それに、もう俺は何を聞いても驚かない。


いや、

ちょ、

まてよ。

たしか、江良も女神だ。

あいつも、そんな力を持っているのか?


焼きそばパンを幸せそうにかじっているだけの

あの小さな体のどこに神の力が宿っているというのだ?



「かつてヒトは、神の怒りを招いて滅ぼされました。

 彼らは何度、再生しても繰り返し間違いを犯しました。


 そのため神は、ヒトの監視役、インスペクターと

 ヒトが正しい成長を遂げるサポート役として

 我々、ガーディアンを作り出しました。


 そして、外の世界からヒトを管理させたのです」


「確か三条は、ガーディアンだったな」


「はい。私たちはヒトに知恵を授けて、正しい道へ導く眷属です」


「眷属というからには、特定の神に仕えているのか?」


「はい。私たちは知恵の神、イデア様の眷属です」


三条の紅い眼が輝いている。

その表情から”イデア様LOVE”が伝わってきた。



「一方、インスペクターはエマ様の眷属です。

 彼らは、ヒトが再び神の領域を犯さないように監視し、

 時には神に代わりヒトの始末をおこないます」


「始末って・・・」


「想像主である神に逆らうのですから当然です」


三条はきっぱりと言い切った。

そこまで明快に回答されると、何も言い返せない。


「そして、、、」


と、話を区切ると、三条は憂鬱そうな顔をしながら説明を再開した。



「そして、眷属にはもう一つ種族がいます。

 天野くんが見たソウルイーターです」


「確かに天使というよりも、魂を拾い食いしそうな感じだったな」


「彼らは別に死者の魂を食べる訳ではありません。

 死神様の指示のもと、世界の調和を保つため、

 定期的に死者を、あの世へ送り込んでいるのです」


「死神って、本当にいるんだ」


「はい。いらっしゃいます。

 ミア様と同じく、神の国のご出身の方です」


「ヒトを殺して調和するのが神か。。。」


「ガーディアンには、こんな言い伝えがあります。

 世界の人口には限りがあり、それを超えた時、

 ヒトは自ら災いを起こし、神の国をも巻き込むだろう。」


「ヒトが増えすぎると具体的にどうなるんだよ?」


「詳しくは、わかりません。

 ヒトが増えてくると大地を汚し、

 その穢れがアールブヘイムや神界アトランティスまでも

 及ぶのだという噂です」


「公害か、それは思い当たるな」


三条は黙ってうなづいた。



「死神様とその眷属はヒトの精神を操ることが得意です。

 争いや憎しみを陰で作り出し、ヒト同士で殺し合いをさせ、

 効率的に人口を減らすことも行います」


「俺は目の前で虐殺を見たからな。

 調和のためと言われても、殺戮を簡単に認められない」


俺の脳裏には、あの時に襲われた生徒たちの声が、

今も鮮明に記憶に残っている。


「ところで、あの襲撃のことで1つ疑問がある。」


「なんでしょうか?」


「あの後、襲われた奴らを含めて、

 みんなが平然としていたんだ。

 あれってまさか、その精神が操られたってことか?」


「そのようですね。

 おそらく記憶を書き換えたのでしょう」


「現場で記憶の書き換えをおこなっても、

 家族や友人たちは覚えているんじゃないのか?」


「記憶の書き換えは距離に関係なく、一瞬で広がります」


「じゃあ、なぜ俺は覚えているんだ?」


「それはミア様の加護を受けたからかと」


「もしかして三条が俺にバトルを仕掛けた時も、

 江良の加護が影響したので、俺は無事だったのか?」


「天野くんとのバトルですか。

 確かにあの速さは尋常ではありませんでしたね。

 言われてみると確かに、あんな攻め方をしてくるとは・・・」


三条は唇を抑えながら下を向いて

悔しそうな、恥ずかしそうな顔をした。



「あっ、」


俺も三条とのバトルを振り返り、唇の感触を思い出した。

二人の間に気まずい沈黙の時が流れる。



<<< バーン! >>>


突然、化学室の扉が開いた。


「そのとおーり!

 君は私の加護を受けているから、ソウルイーターみたいな

 下っ端では、記憶操作が通じないのだよ」


黄色いリボンを誇らしく揺らしながら、江良が入ってきた。

相変わらず得意気に胸を張っている。


得意満面な右の頬には、

青のりがいくつかついたままだった。

゜*。,。*゜*。,。*゜*。,。*゜*。,


今回もお読み頂きありがとうございます。


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