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生まれ変わったのですよね?  作者: セリカ
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83 掲示板の依頼


 戻ってから、早速アルカードにアイリ先生の教育をお願いしましたら、どの程度まで鍛えれば良いのか聞かれました。

 この国のダンジョン攻略後に隣の国に行くので、それなりに戦える冒険者レベルにして欲しいとお願いしたのですが……。


「シノア様、人間のアイリ殿には、今からシノア様のお仲間と同じレベルは期間的に無理かと思います」


「そこまでは無理なのがわかっていますので、あくまでも一般的な冒険者レベルにして欲しいのですよ」


「ふむ、それはこの国の平均的な冒険者レベルで宜しいのですね? ですが、失礼ながら、アイリ殿は精神的にも戦いには向かないと思いますので、普通の方法では難しいかと思われます」


「なので、方法はアルカードに任せますので、本人が望む範囲でアルカードの力で強くして上げて下さい。アイリ先生を連れて行く時は、アルカードも一緒に連れて行くつもりなので、アイリ先生の保護者になって欲しいのです」


「なんと! 私をお供にしてもらえるのですか? これは本気でアイリ殿を強化しなくてはいけませんね」


 私のお供が出来ると言ったら、やる気になってくれましたね。

 しかし、アルカードも育成に難色を示していたのに、どうやって強化するんでしょうね?

 まあ、アイリ先生は、2人で特訓出来る事に喜んでいますので、手取り足取り教えてもらうのに不満は無いはずです。


「アイリ先生は、私のお気に入りなので、人格は最優先に尊重して上げて下さいね? それを守っていれば多少の事は目を瞑ります」


「畏まりました。必ずやこの国の冒険者の平均以上に育成して見せます」


「それでは、頼みました。今頃は着替えて用意でもしているはずなので、行ってあげて下さい」


「ふむ、まだ着替え中らしいので、終わった頃を見計らって、伺うとします」


 どうやら、アルカードには、アイリ先生が着替えている様子が見えているみたいです。この屋敷に居たら、プライベートがアルカードに全て筒抜けとか、他の人には言えませんね。

 たかが着替えるだけにどれだけ時間を使っているのか知りませんが、どうせ汚れるのですから、適当な動きやすい服にすれば良いのにね。

 アルカードと別れた後は、自分の工房に向かいました。次の問題も片付けておきましょうね。


 お風呂の件で、シズクとカチュアさんを念話で私の調理部屋に呼び出したのですが、どうも試食会と思って来たみたいです。これから始まるのは、査問会ですよ!

 それに呼び鈴のアイテムを使ったら、アルちゃんも来ますからね。

 食べ物の仕込みをしていると、2人が来ましたので、早速楽しいお仕置きを考えなくてはね!


「今日は、2人に聞きたい事があって呼んだのですが。何か私に隠し事をしていませんか?」


 私が食材の仕込みをしているのにそんな質問をするから、何かの試食と思っていたらしいので、2人とも焦っていますね。


「私がお姉様に隠し事などするわけがありません! 何を疑っているのか分りませんが、私の心はいつでもオープンなので、好きなだけ見て下さい!」


「主に対して隠し事など、私は決して致しませんので、何かの間違いではないのでしょうか? 私もシズク様同様に心を覗いてもらえば、この身の潔白は証明されると思います」


 あっそ。

 では、聞いても問題有りませんね。


「では、シズクに聞きますが、どうしてカチュアさんとアイリ先生は、秘密のお風呂のマスターキーを持っているのですか? あれは、シズクが私と2人だけの秘密にしましょうと言い出した事でしたよね? まさかですが、その言い出しっぺが破るなんてしませんよね?」


「そっ、それは……カチュアが私の髪とか肌について食い下がるから……熱意に負けてしまったのです……お姉様がダンジョンにいる時だけしか使わないと約束したのです。アイリ先生はカチュアがばらしたので、仕方なく作りました。そっちはカチュアのせいです!」


「シズク様!? 確かに見つかったのは私ですが、アイリ先生の熱意に負けて許可したのはシズク様ですよ!」


「ふーん。私が居ない時なら、秘密は無効になるんですね? 随分と都合の良い秘密ですね? 私は、シズクの熱意に負けて要望通りのお風呂を頑張って共同で作ったけど、シズクの厳しいダメ出しは作る側としては大変だったなー」


「お姉様には、私の要望を黙々とこなしてくれた事にはとても感謝していますので……済みません! 私から言い出した事なのに約束を破ってしまって、ごめんなさい!」


 最近では、みんなの必殺技になってしまった土下座をしています。カチュアさんもシズクに続いてしていますが、この風習のせいで、私も土下座する羽目になっているのです。されている時は気分が良いのですが、する側になると屈辱以外何でもないのですよね。

 そして、先ほどから、2人の心は私にダダ漏れなのですが、カチュアさんはずっとどうしょうしか考えていません。

 元々密偵だったのに、この程度で動揺して打開策が浮かばないとか、密偵失格ですね。

 シズクから、全ての自由を私に握られていると聞かされているので、私がどんな罰ゲームを言い出すのか不安で仕方ないのでしょうね。

 アイリ先生と結構仲が良いので、たまに飲みながら私にされた仕打ちの数々を聞いているようで、今それが自分に置き変えられて頭の中を駆け巡っています。

 シズクは……私にいつものお尻を叩かれる想像しかしていません。叩いても喜ぶだけの残念な子だから、当然ですが、別の罰に決まっています。


「まあ、大した事ではないので、特に怒ってはいません。嘘を吐いた罰だけはしなければいけませんね」


「わかっています、お姉様。どうぞ気の済むまで、この悪い子のお尻を叩いて下さい!」


 早くもシズクは、パンツを脱いで壁に手を当てて、お尻を出していますが、表情が反省ではなく期待に満ちていますよ。


「それは、シズクが喜ぶだけなのでしません。シズクの罰は10日間のお菓子類の禁止にしますので、決して口にしてはいけません。食べると体が拒否反応を起こして、吐き出すだけですからね。カチュアさんは、同じく10日間は毎晩の日課のアイドルのコスプレ姿で、日中も過ごして下さい」


「待って下さい、お姉様! お菓子類が10日間も口に出来ないなんて、折檻の方がましです! 取り消して下さい!」


「はい、シズク。口を開けてね」


「は、はい?」


 口の中に小さなチョコを投げてあげると……。


「うっぷ! ……甘くて美味しいのに気持ち悪いです……吐きそうです……」


 小粒だったので、吐くまでには至りませんでしたが、うずくまってげーげー言ってます。


「シノア様……私にも立場というものがあるので、あの恰好でお屋敷を歩くのは少々恥ずかしいのですが……他の罰に変えてもらえないでしょうか……それになぜ私の毎晩の秘密を知っていらしたのですか……」


「カチュアさんって、シズクにどこまで聞いたのか知りませんが、私の前だけ考えないようにしても意味は無いですよ? 私が知りたいと思った事は深層領域まで読む事が今は可能になったし、配下の視界を見る事が出来るので、鏡の前で着替えてポーズとか決めている所はばっちり見てしまいました。言葉遣いも……」


「それ以上は、言わないで下さい! あ、あああ……私が秘密にしていた密やかな趣味が知られていたなんて……」


「カチュアさんには悪いんだけど、あの様子を見たら何を考えているのか知りたくて、ほとんどの記憶を覗いてしまいました。やっている事と違って完全な少女趣味ですが、良いではありませんかー」


「あの服を着る為にも私も少女の頃の肌の感触が欲しかったのです……ですがあの姿を他の者に見られたら示しが付かないので、許して下さい……」


「まあ、カチュアさんのお願いに負けたシズクが原因なので、代わりに10日間は下着禁止で許してあげます。アイリ先生も同じような理由でしたからね」


「下着禁止なのですか!? 私はシノア様のメイドに分類されておりますので、その……す、スカートが短めなので激しい運動などをしたら、見えてしまいます……」


「これも修行だと思って、捲れないようにすればいいのですよ。シズクみたいに風魔術でスカートの動きを安定させれば問題有りませんが、カチュアさんは水魔術の使い手ですから、無理でしたね。これ以上は妥協しませんので頑張って下さい」


「……わかりました。アイリさんも何かされてるのかしら……」


 アイリ先生には、特に何もしていませんが、気が向いたら、ちょっと失敗させればいつでもお仕置きが出来ますので問題有りませんね。


「うぅ……気持ち悪い……お姉様、私も違うのにして下さい……これでは食後のデザートも食べれないし、料理の中にお菓子に分類されるような物があったら、いつかの甘い物と同じ条件になってしまうので、みんなの前でテーブルに吐いてしまいます……」


「それは、ちょっとまずいので、仕方ないですから変更します。これからは、私が関わっている物に関しては、私に相談をして下さい。もうめんどいので、シズクも10日間の下着禁止にします。風魔術を身に纏うのは当然ですが、禁止ですからね?」


「強制力が消えたみたいなので、やっと吐き気が無くなりました。それだと、私はみんなよりも超ミニなので、少しでも早く歩いただけで、お尻が見えてしまいます……」


「罰なのですから、仕方ないですよね? そうだ! 2人とも着ぐるみで過ごせば問題無いのでは? ちなみに着ぐるみ以外はスカートしかダメですからね?」


「着ぐるみでも良いのですが……あの手では裁縫仕事が出来ないので困ります……」


「私も着ぐるみは、先ほどの衣装と同じなので、示しが付かないので着れません……」


「脱ぐ行為を体に強制していませんので、自主的に早速行動に移して、自由にして下さい。これ以上の妥協はありませんので、お仕置きの期間中に下着を着用したり、この件に関して何か言ったら、日数を延長します。今度は強制的になりますので、気を付けて下さい。こっそり身に付けても私に隠し事が出来ない事は分かっているので、守ってくれると信じていますよ?」


「……わかりました……」


 シズクは既に穿いてないし、カチュアさんも脱いでいますが、仕草がエロいですね。

 確か任務でシュタイナー家にいる時は、男性を篭絡させて情報を聞き出していたらしいので、絵になりますね。

 私には、それほど関心がないのですが、なぜか半端に知識だけはあるのが不思議なのですよね?

 ノアは教えてくれませんが、何となく私には元々知識があって、それを少しづつ思い出している感じがすると、最近になって思うようになってきたのです。

 一番わかり易いのは、魔術で威力を高める為に詠唱を足す時なのですが、あれは自分で考えたというよりも、気が付けばあの言葉を口にしているのです?

 第一、私ではなく、我などと自分を表す言葉遣いをする時点で、私の普段の言葉遣いとは違うのですよね?

 カミラなら何か知っているかもしれません。今の私なら強制的に聞き出せるかも知れませんが、出来ればしたくないのですよね。

 全てを理解するには、ノアと融合すれば良いらしいのですが、今の私の人格が消し飛んで、別の人格になってしまうらしいので、いくら全ての力が手に入るとはいえ融合はしたくありませんね。

 そんな事を考えている内にカチュアさんはスカートを押さえながら仕事に戻って行きました。あれでは、穿いてないと宣伝しているようなものです。屈んだりしたら、お尻が丸見えになるので、大変でしょうね。

 シズクは、自分が汚した床を掃除しています。あのお尻を見ているとちょっと叩きたくなるのは何故なんでしょうね?

 それにしても、明日からどうしましょうね?

 ダンジョンに行くと、新入生の入学式をすっぽかしてしまうことになります。エルナがまた叱られるだけなのですが、流石に続けて行事をサボらせるのはサラさんにも申し訳ないですからね。

 別に転移して戻れば良いのですが、途中で帰るのはキリが付かないので、私が嫌なのですよね。

 それに81階層からは、普通のダンジョンになるそうです。ちょっと狭い通路で、罠が満載らしいし、私の苦手なスライム系が多くて、他の魔物に混じって擬態しているらしいのです。

 そう考えると、力押しで進んで来た私達には探索系の職業のメンバーがいないので、罠の解除とか出来るのでしょうか?

 シズクが罠の存在だけは気付けるのですが、解除が出来ないのです。これまでは発動しても大掛かりな物でなければ何とかなりましたからね。

 私が毒とかの類が無効なので、もらっても平気だったから、平気で宝箱とか開けていました。通路が狭いのが気になりますので、解除できる人が欲しい所ですね。


「お姉様、掃除が終わりましたが、何を考えているのですか? まさか、私に追加のお仕置きでも考えているのでは……」


「お尻丸出しで、床掃除なんてしているから、ちょっと叩きたいと思ったぐらいですが、地味に時間が出来てしまったので、どうしょうか考えていたのです。ダンジョンには早くても学園の入学式が終わってからにしないといけませんね」


「私のお尻を不意打ちで叩いても良かったのに……それでしたら、たまにはギルドの掲示板に貼り出してある依頼でもこなしてはどうでしょうか? いつもダンジョンに行ってしまうので、スルーしていましたが、護衛とか討伐などの依頼も結構ありましたよ?」


「そんなのが有ったのですか? 初めて知りましたよ」


「あの……ギルドのメインはそれが本業なので、冒険者が居ると思うのですが……」


「暇ですから、受付のうざいお姉さんの所にでも行ってみますか」


「受付のお姉さんの名前は、ミュールさんですよ? ミーちゃんの愛称で結構人気のある受付さんですから、うざいお姉さんはちょっと可哀想かと思いますが……」


「最近は見ませんが、最初の頃は、私に取ってはうざいお姉さんの印象しかないですからね。あんな苦労人がミーちゃんとか呼ばれて人気者なのですか……では、暇なのでミーちゃんのとこに行きますが、一緒に行きますか?」


「私もお姉様と一緒に行きたいのですが……このままですと私はノーパンで、大通りを歩く事になってしまうのですが……」


「前に着ていたエルナのお古を改造した服に着替えれば、スカートが長いから問題無いのでは?」


「確かにそうなのですが……穿かないで出かけるなんて……」


「面白そうなので、早く着替えて用意して下さい。着替えたら出掛けますから、これは命令です」


「羞恥プレイですか……わかりました。すぐに着替えてきます」


 久しぶりに、大人しいシズクが見られそうですね。

 最初に出会った時は、大人しい子だと思っていたのに、今では趣味全開の手が付けられない暴走娘ですからね。

 しばらくすると、貴族のお嬢さんの姿をしたシズクが来ました。恥ずかしがってスカートをモジモジしている姿は可愛いですね。

 私は、学園の制服のままでしたが、問題はありませんよね?

 門を出た時にコクマーさんがシズクを見て驚いていましたが、それは一瞬で、すぐに笑顔で送り出してくれました。流石は元暗殺者だけあって、切り替えが早いですね


 ちょっと買い食いしながら、ギルドにやって来ました。時間が半端なのでそれほど人がいません。

 まあ、この時間なら、依頼を受けてどこかに行っているか、少しでもダンジョンに潜った方が収入になりますからね。

 久しぶりにギルドの受付の方に来ると、確かに掲示板に何か一杯張ってあります。ちょっと見てみると、意外と報酬の良い仕事もありますね。

 腕に自信のある人なら、道中の護衛なんて、ダンジョンの下層の魔物と戦うより楽そうな気がします。

 生産系の依頼もありますが、私は、サラさんとカシムさんに色々と流しているので、これを受けるのはまずいでしょうね。


「学生と子供が受けれる依頼は無いから、悪い事は言わないからやめときな。もしそんなに受けたいのなら、俺らのパーティーにいれてやってもいいぜ?」


 私とシズクが物色していたら、20歳ぐらいの若い兄ちゃんが声を掛けてきましたね。


「別にその手の勧誘は間に合っていますので、遠慮します」


 適当に断ったのですが……。


「いやいや、君達みたいな子が冒険したいのはわかるが、危険な事なんだよ? それよりも君は中々可愛いから、妹さんと一緒に俺らの武勇伝を聞かせてあげるから、食事でもどうかな?」


 同じ仲間と思われる美形担当の人がナンパしてくるのです。私を可愛いと言ってくれた事は評価しても良いのですが、雑魚の武勇伝など聞いてもね……ちょっと鑑定したのですが、平均レベル20台しかないのです。アイリ先生よりショボいんだけど?


「本当に結構ですので、私達に構わないでくれると助かるのですが?」


「おい、お前振られてるぞ! この手の子達には強い所をアピールした方がいいだんよ!」


「まいったな、これでも学園に居た時はそれなりにモテていたのに、俺の魅力に気付かないなんて、可哀想な子だな」


 ……こっちが参りましたよ。

 まさかハインツ2号見たいな自信過剰な人と会えるなんて。あの時はノアが殺してしまったので、私は結果を聞いただけなのですが、可能なら私が殺してやりたいと思っていたのですよね。

 このまま強引に私の手とか取ったら、即座に切断してあげるので、もっとちょっかいを掛けて来ないかな?

 (お姉様、こいつら殺してしまいましょうか?)

 (ダメです。まだ手を出された訳ではないので、あちらから何かしてこないと正当防衛が成立しません。その場合は私が始末したいので、手を出さないで下さいよ?)

 (わかりました。袖に麻痺毒の塗ってある暗器が仕込んでありますので、こいつらでしたら、気付かない様に無力化できます。いつでも言って下さい)

 あの少ししか余裕の無い袖にそんな物を仕込んでいるのですか……ふむふむ、針ですか。

 目の前には6人いますが、シズクに頼んだら、2秒で倒れ込んでしまう想定がされてますね。


「とにかく私達に関わらない方が正解なので、道を間違えないで下さい。関わったら、人生が終了しますよ?」


「こいつは参ったな! すると何か? 君達は俺らよりも強いと言いたいのかな? 笑えない冗談だな! 面白いから取り敢えずこっちに来な!」


 よし!

 連れて行かれて、手を出して来たら切り刻んであげます!

 手加減はしてあげるので、手か足の1本で勘弁してあげますからね!


「何をしているのですか! 貴方達も早く彼女に謝って下さい!」


「どうしたんだよ、ミーちゃん。俺らがこんな小娘に謝るなんてありえないでしょ?」


「その人は、黒の暴風のリーダーなんですよ! 現在、たった6人で、ダンジョンを最短で80階層まで突破した強者なのですから、見た目に騙されると殺されてしまいますよ!」


 ちっ!

 うざいお姉さんが気付いて止めに来ましたよ。

 せっかく正当防衛で、痛い目に遭わせられると思っていたのに……。 


「嘘だろ!? こんな小娘が!?」


「周りを見て気付かなかったのですか? 他の方達は、関わり合いたくないから、見て見ぬふりをしているだけなのです! 私が止めなかったら、シノアさんの言った通りに人生が終了している所ですよ!」


「ちょっと、うざい受付のお姉さんのミーちゃん。私をそんな危険人物扱いをするのは止めて下さい。せっかく連れて行かれたら、手足を叩き切ってあげようと思っていたのに、邪魔をするなんて、酷いですよ」


「やっぱり、そんな事を考えていたのですね……建物を破壊されるよりはましですが、まだ若い彼らの未来を奪おうとするなんて、相変わらず悪魔のような考えをしていますね」


 そんな面識があるわけでもないのに、酷い言われようです。

 

「仕方ないですね……でもこのまま言われたままで終わらせるのは面白くないので、私の魔法に耐えたら許してあげますよ?」


「シノアさんの魔法を受けたら、即死してしまいます! まだ冒険者になって日が浅いのに、もう廃人にするつもりですか? シノアさんはランクBの冒険者なのですから、もう少し広い心を持って下さい。あと、いい加減にうざいお姉さん扱いは止めて下さい!」


「この小娘がランクBなんですか!?」


「確かにそんなランクになりましたが。まだこの態度なのですから、わからせる為にもちょっとゲームでもしましょうか?」


「お願いですから、シノアさんの魔法だけは止めて下さい」


「もっと簡単な方法にしますよ。この子に触れる事が出来たら、食事ぐらいは付き合ってあげますので武勇伝とやらを聞かせて下さい。シズクは一歩も動かないのできっと簡単ですよ?」


「そんな事なら、やらせてもらおうか!」


 若いって、良いですね。

 と、言っても実際の年齢だと私よりも年上なんですけど、経験の差が大きすぎるので、私から見たら苦労知らずの坊ちゃんですよ。

 ここまで、うざいお姉さんが止めてくれてるのに、相手の実力がわからないとかアホな人達ですね。


「貴方達も受けてはいけません! シズクちゃんは黒の暴風の最強の剣士との噂なので、貴方達が敵う相手ではありません!」


「ミュールお姉さん、大丈夫ですよ。私はお姉様と違って、半端に痛め付けませんから、殺すか無力化しかしないので安心して下さい。さあ、どうぞ同時に来て下さい」


「全く安心出来ません!」


「黒の暴風だがなんだか知らんが、教えてもらおうか!」


 最初に声を掛けた兄ちゃん以外が動いたと思ったら、みんな倒れてしまいましたね?

 魔術の気配はなかったのですがどうやったのでしょうね?


「おい、どうしたんだお前達……これは何かの魔法なのか?」


「魔法は使っていません。私はちょっと殺気を飛ばしただけなので、目が合った5人は私に殺されたイメージでも体験しただけですから、気絶しているだけです」


 殺気だけで、こんな事が出来るなんて、すごいですね。

 マナを消費しないのは、素晴らしい技ですが、私にも出来ないかな?


「そんな馬鹿な……」


 言い終る前に倒れてしまいましたね。

 あっさり過ぎて、すごく詰まらないのですが?


「本気ではありませんから、しばらくすれば目が覚めると思いますので、転がしておけば良いと思います」


「だから言ったのに……今回は死んでいませんので安心しましたが、いつ見ても恐ろしいですね……」


 倒れた奴らの脈を確かめていますが、以前にも有ったのかな?


「私は初めて見ましたが、誰か死人でも出たのですか?」


「シズクさんは、ギルドに売られた素材を買いに来てくれるのです。最初の頃は子供と思ってちょっかいを掛ける人がいたのですが、その度に倒れる人が続出しました。衣装を馬鹿にしたりすると、必ず首が落とされるので、黒衣の死神と呼ばれて有名なのです。今日は服装が違うので、私も気付くのが送れました」


 なにその黒衣の死神って?

 名前から言って、いつもダンジョンに潜る時の忍者服と思います。あれは漫画の操ちゃんのバトルスーツなので、ケチなど付けたら本気で怒ってしまうので、やばいですよ。

 それにしても、私にも何か付いてるとかないでしょうね?


「シズク、あまりおいたはしないようにして下さいよ? それにしても、私にも変な名前とか付いていないでしょうね?」


「お姉様は、黒の暴風のリーダーとしか認識されていません。以前にこの建物を破壊しょうとしたので、その現場に居合わせた人達が爆弾娘と噂している程度です」


 私だけ問題児みたいな噂になっているのは何故?

 シズクの黒衣の死神とかなりの差があるような気がするのですが……ちょっと納得がいかないのですが……。


「それで、爆弾娘のシノアさんは、今日はどのようなご用件なのですか?」


「ライトニング・パラライズ!」


「あばばば――――――――――」


 威力を最小で電撃を喰らわせてあげました。爆弾娘呼ばわりとは失礼な人ですね。


「ちょっと! いきなり何をするんですか! すごく痺れました。酷いではないですか!」


「失礼な事を言うから、ちょっと軽く電撃をお見舞いしただけです。威力は最小にしたので、ちょっと痺れただけですんだでしょ?」


「私をいつもうざいお姉さんと言っているシノアさんに言われたくありません! 威力を最小とか言ってますが、私の髪がボサボサになって制服もちょっと焦げているじゃありませんか!」


「この魔法は殺傷能力はありません。電撃で相手を麻痺させる程度なので、たまにお仕置きに使うのに丁度いいのですよね」


 ちょっと煙が出ています。繊維などは少しだけ被害に遭うので、ミュールさんの姿がちょっと面白い事になってます。


「丁度いいではありません! せっかく買ったばかりの新しい下着といま噂の髪を洗う洗髪剤で気分が良かったのに最悪です! 結構高かったので、痛い出費だったのに……」


「いま着ている制服は良いのですか?」


「これは、支給品なので、シノアさんの迷惑料を次の買い取りの時に差し引けば問題有りません! 私が頑張ってお給金をやりくりしているのに!」


「仕方ないですね。面白い物が見れたので、これをあげますから機嫌を直して下さい」


「えっ!? これって、すごく高い方の髪の洗髪剤ですよね? もう一つの瓶は何なのでしょうか?」


 一番効果の高いシャンプーとリンスのセットですからね。

 

「もう一つは、まだ販売してないお風呂に入れる入浴剤です。少量入れるとお湯が白くなるのですが、お肌がスベスベになりますよ?」


「こんな高い物をもらっても良いのでしたら、喜んでもらいますが……このまだ発売してないとは、どういう事なのでしょうか?」


「だって、それ作ってカシムさんに卸しているのは、私なのですから。その入浴剤はその内に販売する予定の新商品ですよ。まあ、下着に関しては私は専門外なので、次にセリスが素材を売りに来た時に差し引いて良いので、好きな物でも買って下さい」


「畏まりました! 今の事は綺麗さっぱり忘れますので、気にしないで下さい! これすごく欲しかったのですが、私のお給金では買うのが厳しかったのですよね……このお風呂の入浴剤も今晩が楽しみです」


「その入浴剤は、大体20回分なので、それを目安で使うと良いですよ。けちると効果が薄れますので注意して下さい。それで、和解した所で、何か手頃な依頼とかないでしょうか? 学園の入学式までには戻りたいので、15日程度が望ましいですね」


「それでしたら、護衛の依頼などは如何でしょうか? グラント王国と神聖国家ヴァリスに向かう商人の依頼でしたら、どちらも10日もあれば着きますよ?」


「それだと、帰りの日程が足りないのでは?」


「シノアさんは、転移魔術が使えますよね?」


「……なんで知っているのですか?」


「いくらなんでも一つしか無い入り口をまったく通らないのですから、そのぐらいは想像できますよ? それなのにクリスタルには名前が載るし、セリスさんが大量の素材を売りに来るのですから、気付かない方がおかしいですよ?」


 流石に、滅多にこないから、バレバレですか。


「他にも転移魔術が使える人がいるのですか?」


「一応いますが、儀式魔術なので、魔法陣を書くのが大変なのです。シノアさん達のような使い方は出来る人はいないと思います。下層に潜っている方達が突然シノアさん達がゲート以外から現れるので、見て驚いていましたよ」


「見られていたのですか……一応は、ちょっと入った所に転移陣のマーキングをしていたのですが」


「シノアさんは、儀式で移動しているのではなかったのですね……その魔術を販売したら、かなり便利になりそうなのですが……」


「その気はないし、どっちにしてもスクロールに転写出来ませんよ? 試した事があるのですが、どうもスクロールの規格に適合しないのか分りませんが、念写するとスクロールが消えてしまうのです」


「そうですか、流通したら便利になると思ったのですが、よく考えたら、悪用される方が高そうですね」


 伊達に受付嬢をしていないようです。色々な人の相手をしているのですから、用途を考えたら悪用されそうなのがわかるのですよね。


「お姉様、森の古城の探索依頼があります。行ってみませんか?」


 昔、私が断念したお城ですか。今の私達なら余裕で探索可能ですし、マーキングがしてある泉から向かえば最短で着きますね。


「それは、ギルドの方から調査依頼を出しているものなのです。内容が曖昧だし、報酬がいまいちなので受ける人がいないのです。私も気になって、どうしてこんな依頼があるのか聞いた事があるのですが、必ず貼り出しておくようにと上からの指示らしいのです」


「まあ、好きな時に戻れば良いので、取り敢えず受けておきます。たまにはシズクと2人でこっそり冒険にでも行きましょうか? 私がサポートに徹すれば問題はないと思うので」


「お姉様とペアで探索とか面白そうですね! ぜひ行きましょう!」


「戻ったら、調書を提出して頂くだけの依頼ですから、お願いしますね」


「では、明日の朝食の後に出かけますので、用意しておいて下さいね」


 これで、入学式までの時間潰しで古城の探索とか面白そうですね。


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