78 夢の中で3
あれから、幸せに酔っているアイリ先生に仕事に戻るように命じて、今回の素材などの整理をしていたら、エルナがやって来て、散々抗議されました。
自分に味方してくれなかったのは、私への愛が足りなかったのとか、もう飽きたのかとかうざ……じゃなくて、重い事ばっかし言ってきます。
何とか宥めて、知らなかったから、世間で聞いていた一般論を言っただけと言っておきましたが、納得はせずに、誰がそんな事を私に言ったのか聞いて来ました。カミラが居なかったら、カミラに擦りつけようと思ったのですが、隣で無言の圧力をかけて来るから、流石に無理でした。
仕方ないから、学園で誰かから、それらしい話を聞いたとだけ言っても不服そうです。
ご機嫌を取る為に、エルナの為に作ったとか言って、試作品のチョコレートを上げました。喜んで沢山食べるから、せっかく作った在庫がみんなにお披露目する前にまた減った……。
その晩は、久しぶりにしっかりと抱き着かれてしまったので、何も出来ません。
片手はカミラが掴んでるから、身動きが出来ないので、たまには諦めて眠る事にしました。
私って、眠っても身体的に意味が無いので、時間の浪費なんですよね。
昔は、疲れが取れて、楽しい夢でも見れた時が唯一の幸せな時間でしたが、疲労とか無いし、睡眠も不要になってしまったこの体は、便利なのか不便なのか悩ましい所です。
意識して、眠ると久しぶりに扉の前にいます。
滅多に会ってくれないノアと会えるみたいなので、早速扉を開けると以前の庭園のような所で、ノアが手招きしていますよ。
「やあやあ、今日は君にお願いがあったので、眠ってくれて嬉しいよー」
「エルナが私をしっかりと拘束するから、作業が出来なかったのです。私も話がしたかったので、丁度良いですね。ところで、ノアが私にお願いとは珍しいのですが、何なのですか?」
「それにしても君はマメだねー。僕だったら、そんなめんどくさい事をするのでしたら、夜のお店に行くか、馬鹿な奴らでも遊んであげるんだけどねー。それよりもアルフィンから、余剰レベルを貰ったでしょ? あれを使う許可が欲しいんだよ」
そのマメな事をやっているから、色々と作り出せるんだし、今では、私の趣味なんですよ。
「私の許可がないと使えないのですか? 収納の中身は好き勝手しているのに……」
「んー、あの力は、いま存在している君だけの物だから、僕には権限がないのですよねー」
「そうなのですか? どうせ使えないのですから問題有りませんが、何に使うのですか?」
「以前にも君に言ったけど僕の意識の一部をあの大鎌に移したいんだよ。これは君にとってもかなりお得な事なんだよ」
いつか言っていた、インテリジェンス・ウェポンに出来る事ですか?
そう言えば、すっかりと忘れていましたよ。
「んー、最初にお得なメリットを言っておくと、対価無しで入れ替わって、僕の力が使えます。ただし、死んだ時に入れ替わる時と違って、現在の君の能力の範囲内に限定されてしまうけどねー」
「それだと、強くなれるのですか?」
「んー、少なくとも君よりは強いよ? 君も気付いていると思うけど、技能がある割には生かし切れてないよね? あれは、僕が入れ替わった時の為に開放してあるだけで、いまの君では完全に使いこなせないから、半端な事になっているんだよ。一番わかり易いのは、魔力操作とか不思議に思ったでしょ? アルフィンと同じ魔法を使っているのに応用が出来ないとか?」
「もしかして……」
「そうです。君は一般的な使い方しか出来ないのに、あちらは自分達の使い勝手が良い形に変化させれるのは、実はこれが有るか無いかなのです。そして、君の魔力操作は生産系に傾いているので、戦闘の方はいまいち発揮されないのです。他にも魔術並列起動なんてものがあるけど、君は複数の魔法をせいぜい2つぐらいしか同時使用できないよね? これが例えば、アルフィンだったら、常に発動させている3重の障壁と複数の攻撃魔法を同時に行使出来るはずです。無詠唱が出来ない欠点を除けばいくらでも連続で魔法を常駐出来るのです。他にもあるんだけど、今解放されている技能だけでも完全に使いこなせば、カミラ程度に負けませんよ?」
あの技能は錬金魔術には影響するのに、おかしいと思っていたのですよね。
建物なんかがあれだけ完成度の高い物が作れるのは、一応は生産系と認識されているからなのでしょうか?
一応、『ストーン・ウォール』や『クリエイト・ウォール』は防壁の魔法なんだけど、何となく壁が作れるなら応用できないかと思ってイメージしたら、出来ただけなのですけどね。
そうなるとノアは戦闘系にでも特化しているから、攻撃の魔術は、私よりも効率的に使えるのでしょうね
「では、戦闘は全てノアに任せますので、これで私は楽が出来ますねー」
「んー、君ならきっとそう言うと思っていたけど、残念ながら、対価無しで入れ替われる時間が限られているので、君がどうしても勝てない時だけ替わってあげます。僕としては、普段の時も入れ替わって遊びたいんですけどねー。なので、普段は気が向いたら、助言してあげますよ? 念話なら会話が出来ますので、いつでも話が出来るようになりますから、もう少し色々と教えてあげられると思うよ?」
「会話が出来て、時間制限とかどのくらいか知りませんが、強くなれるのでしたら、良しとしますか。そうなると、それでも死んでしまった場合は、どうなるのですか?」
「んー、制限無しの僕になるだけですので、問題はありません。対価が必要になるだけですね」
はい、また対価とか、いい加減に知りたいのですよね。
「ねぇ、そろそろ対価とは何なのか教えてくれてもいいですよね? 私の何が減っているのか知りませんが、ずっと気になっていたのですよ?」
「んー、最近は滅多に死なないし、もう教えても良いかなー。だけど、聞いて後悔はしないでね? 僕をこの世界に顕現させるには魂が必要なのですよ」
魂?
まさか……誰かの命を使って入れ替わっていたのですか!?
「この世界にある魂の容量は決まっているのです。この魂とは、命ある者全てに適用されるので、人間を始め魔物なども含まれます。普段は、君やカミラとセリスが殺した者の魂を僕が一時的に持っていますが、本来ならば、一定期間を経て生ある者に転生するのです。僕と入れ替わると持っておいた魂を僕が入れ替わっている時間に比例して消費するのです。当然ですが、消費されれば二度と復活しませんので、本当の意味で消滅します」
「じゃ……最初の頃にすごく死んだと思うけど……あれは……」
「んー、足りない部分は、この世界自体の力を奪っていただけです。言い方を変えるとこの世界を構成する何かを使っているので、環境破壊になるかも? だから、死に過ぎないように警告していたのですよ?」
不死身と思っていましたが、それでは、私が死ぬ事はこの世界自体を削っている事になるの!?
しかも、使っていくのは魂が優先なのですから、行き付く先は、誰も存在しない世界になってしまいます!
私は、誰かの命を使って生きる存在とか……これでは、私は悪魔どころか、完全に世界を滅ぼす為の存在と言っても過言ではありません……。
「君は、僕と違って割り切れないみたいだから、教えたくなかったのですよねー。不死身なんて都合の良い話があるわけがありませんよ? 唯一の例外は、君の眷属になった者だけです。君が存在する限りは本当の意味で不老不死なのです。しかし、あの2人も完全な眷属ではないので、ちょっと欠点があるのですよねー」
「……欠点って、なに?」
「んー、君とパスの繋がりが完全じゃないから、融合した力が浸食を始める為に人格がおかしくなってくるんだよ。だから、本来は君が制御しないと完全な眷属とは言えないんだよねー」
「その融合した力とは、何ですか? カミラが言ってましたが、セリスとは別の状態になるらしいのですが、どうしてなのですか?」
「んー、それは君が自分の力で眷属を作れるようになれば、わかるよ。いまはそれ以上は教える事は出来ません」
ノアではなく、私が自らが作り出せば、今聞いた欠点が無くなるのでしょうか?
それにしても融合する力とか、私に中にそんな力があるのですか?
「んー、いずれ知る時が来るので、その時に考えればいいよ。それで、余剰レベルを使ってもいいのかな?」
「構いません。それどころか、私が死なないように最善を尽くす必要が出てきましたので、可能な限りの手札が欲しくなりましたよ」
「本人の了承の意思を得られたので、使わせてもらいました。今後は、僕を出している時なら会話が可能になりましたが、常に会話が出来るとは限りません。それは覚えておいて下さいね」
「いつでも会話が出来るのではないのですか?」
「んー、あくまでも僕の意識の一部なので、僕が他事をしている時は、対応が出来ません」
他事って、いつも私を通して見ていたのではないのですか?
てっきり私のプライベートなんて、存在しないと思っていたのにねー。
「君の思っている事はもっともなんだけど、色々と力を振り分けているから、残念ですが、ずっと見ている訳にはいかなくなったのです。例えば、エレーンが僕らの事を常に監視出来なくなったとか言っていたでしょ? あれは、僕が関渉を遮っているから、目と加護が使えなくなったんだよ」
「そういえば言ってましたね。別に最強の保護者が付いていると思えば良いのですから、問題は無いのでは?」
「んー、僕としては、見られているのが面白くないんですよね。最初の頃は、かなりうざかったのですが、最近はアルフィンが君に懐いているから、まあいいかと思って、監視を頼んでるみたいですね」
全てを見られている私は良いのですか?
「最初は、どうなるかと思いましたが、アルちゃんは素直で良い子ですから、私も気に入っているのですよね」
「んー、あのガーディアンは、マナが有る限りは、ほぼ最強のユニットですからね。倒そうと思ったら、エレーンが消滅している時ぐらいですね」
「倒すつもりは無いのですが、もしかして、マナの供給はエレーンさんからだけとかなのですか? 自然回復とかしないとか?」
「その通りですが、エレーンのマナは無尽蔵にあるので、現時点では倒す事は不可能です。可能でしたら、こちらのガーディアンにしたいのですが、今の君のマナがまったく足りないのです。逆にマイナスですからねー」
アルちゃんをこちらに?
まるで、ガーディアンの譲渡が出来るみたいな事を言っていますが……まさかね。
「んー、不可能ではありませんよ? 君がエレーンと同格の存在になれば、強制的に奪う事も可能とだけ言っておきます。ちょっと無理だよねー」
「エレーンさんに追い付くとか、遥か先ですよ……それに強制的とか、私にそんな力があるとは思えないのですが?」
「んー、そんな君の能力を1つ昇華させたので、命ある者に対する絶対の力を行使できるようになりましたよ。 意思が有る者にも有効なので、人為的に作られたものでも、支配が可能です。ちょっと今の君が使うと内容によっては莫大なマナが必要なので、使うかどうかはお任せします。僕としては、詠唱が不要になるので、使い勝手が良くなったかな?」
「内容的に昇華させたのは、誓約魔術ですか? どうせなら、もっと使い道がありそうな技能が良かったような……今のままでも、かなりの束縛が出来るし……」
「まったく、君は贅沢ですよねー。君のレベルが高ければ、どんな強者だろうが強制的に支配出来るなんて最高の力だよ? 尤も、それが原因で失敗したんだけどねー」
「私はそこまで、誰かを支配したいとか思っていませんが、失敗とは何ですか?」
「んー、僕にも失敗があるだけですので、気にしないで下さい。アイリ先生にあれだけの事をしておいて、支配したくないとか、何を言っているんでしょうね?」
「だって……あんなに面白い人はいないから、つい何かしたくなるのですよね」
「まあ、僕の思考が君に漏れているからなんだけどね。ある程度の感情をカットしているけど、本能には逆らえないんだよね」
感情のカットって、私のですか?
もしかして、私が一部の事に関心が持てない事に関係しているのかな……。
「そうなんだけど、君の考えている事は、僕にはダダ漏れなんだ。僕としては、会話がしたいので、喋って欲しいなー。僕、寂しいよ!」
「わかりましたが……なにその口調?」
「んー、暇な時は、いつも漫画を読んで勉強しているので、最近読んだキャラの口調です。構ってあげないと何をするか分からない危ない子だったかな? 主人公を精神的に追い詰めていくのが楽しいんですよねー」
「それ、楽しいの?」
「君だって、色々と難癖を付けたりして、お仕置きという名の嫌がらせをしているんだから、読めば理解が出来ますよ。今だけ自分を正当化しても本性は変わらないんだから、良い子ぶるのは良くないなー」
「違うと言いたいのですが、否定できないのが悲しいですね……最近は、カミラに何も出来なくて、詰まらないんですよ。そうです! 私がお馬鹿になるのを何とかして下さい! あれのせいで私は、悪戯が出来なくて困っているのですよ!」
「あー、あれね。あれは、僕が気が向いた時に認可していただけで、カミラ自身には、そんな権限はありません。最近は、調子に乗っていますので、好きなだけお仕置きしても良いですよ?」
では、私は騙されていたのですか?
おのれ……。
「では、取り敢えず、明日から仕返しをします。そう言えば、カミラが居ませんが、どうしたのですか? 私の手を握っていたので、来ているはずですよね?」
「んー、カミラでしたら、こないだのボイコットの罰として、水牢に閉じ込めてあります。後で、優しく温めてあげないとねー」
「水牢って……最近は、お気に入りでは、無かったのですか?」
「んー、例えお気に入りでも罰はしっかりと与えないとね。ここにいる時は昔の肉体の感覚になりますから、今頃は寒さで震えているでしょうね。しっかりとつま先で立たないと溺れてしまうから、地味にきつい拷問だけど、感覚はそのままで死ねないから、大変だよ?」
「ちょっと! 何もそこまでしなくてもいいじゃないですか! 今すぐにカミラを解放して上げて下さい!」
「そんなに怒らなくても、後で優しく体を温めてあげると言っているじゃん?」
「ノアが優しいとか考えられないのですが、ちなみにどうやって温めてあげるの?」
「んー、方法は色々とありますが、痛みで麻痺するまで鞭で叩くとか火炙りとか焼き鏝でも当ててあげれば、直ぐに温まるよ?」
「そんな温め方がありますか! 世間では、それを拷問と言うのですよ! もっと普通に温めてあげて下さいよ!」
「えー、贅沢だな……仕方がないから、普通に抱き締めて温めてあげようかなー。余剰レベルも貰ったし機嫌が良いから、今回だけは特別だからね?」
……今回だけって、だとするといつもはそんな事をしていたのですか……。
「ノアって、本当に悪魔ですね……絶対にもう1人の私の人格とは思えませんよ?」
「んー、まあ何とでも言って下さい。でも気を付けないと行き着く先の思考は僕と同じになるのですから、君の心が壊れたりしたら、どうなるのか楽しみですよ」
「……まるで、見て来たような言い方ですね……」
「んー、何の事か分かりませんが、大切な物を増やさない方が良いですよ? これは警告ですからね?」
「そんな事を言われても私の大切な物とか……お酒と試作中のお菓子とか?」
「……それもとても重要ですが、親しくしている人が死んだら、また取り乱すよ? カミラの時でさえあの落ち込みようなのに、シズクやエルナが殺されてしまったら、君はもっと別の感情に支配されてしまうよ?」
「……もう絶対に友達を殺させはしませんよ……」
「あんなにうざいと思っていたオリビアが殺されても、君はカミラの時と同じ状態にきっとなります。君があの2人を特にとても大事にしている事は、僕には分っているので忠告しているのですからね? 君の思考がセリスには漏れているから、セリスがあの2人を常に守る行動を取っているのです」
「私の思っている事が筒抜けとか、たまには隠せないのかな?」
「んー、それは無理ですね。別に僕から知りたいと思っているわけじゃないのですが、君が少しでも意識すると全て僕に流れてしまうのです。セリスは特に君の思いに応える傾向があるので、自然にその手の行動を取っているのです。今回の件だって、ダンジョンは別として、あと1年は、エルナをこの国に保護しておけると思ったでしょ? そして、カミラを護衛に付けておけば、守り切れると考えたから、あんな事を言ったんだしね。僕としては、他の国に行ったら、カミラで遊べなくなるから、詰まらないんだけど?」
確かに私は、エルナに危険な事をしてもらいたくないと考えています。
ギムさんから聞いた話だと、他所の国は余り安全とは思えないし、オリビアから聞いた情勢を考えると、他の国の方が強者が多くいるようなので、そんなのに目を付けられたりしたら、どうなるかわかりませんからね。
戦闘になると必ず前に出るので、セリスに最優先で見ているように頼んでいますが、私はいつも心配で仕方ありません。
ノアの言う通りに、もしもエルナを死なせてしまったら……最悪の場合は眷属にするようにお願いしますが、カミラの時と同じ事になってしまいます。本人が望まなかったらと思うと……。
本人には絶対に言いませんが、私はエルナの事を歳の近いお姉ちゃんと思っています。
ちょっと我が儘で、腹黒の可愛い子が大好きな困った子ですが、私はそんなエルナが大好きだし、私の最初の大切な友達なのですから、絶対に失いたくありません。
もしも……失ってしまったら、私はノアの言った通りに壊れてしまうかも知れませんね。
「また、考え込んでいるみたいだけど、1つだけ全てを解決する方法があるよ?」
「えっ!? 全てを解決出来るとはなんですか?」
「んー、簡単です。僕と融合して本来の力を全て得る事です。簡単に言えば初期のエレーンと同じ状態になりますので、レベル以外は能力が最大になります。レベルの方は、残っている余剰レベルを加算する事が可能になりますので、この世界で上位の存在になれますよ?」
「だったら、ノアと融合した方が初めから楽ではないですか?」
「んー、その代わりに僕と融合すると確実に君の心が壊れてしまいます。いまの君のお人好しの人格なんて、吹っ飛びますから、全く別人になってしまうでしょうね」
「私が私で無くなってしまうのですか!?」
「んー、僕の人格も君に統合されてしまうので、完全に1つになった別の人格になります。はっきり言うと別人になります」
「それはちょっと遠慮したいですね……すぐ目の前に確実に強くなれる手札があるのに使えないとか、切り札にもなりませんよ」
「僕としてもいまの楽しい生活とおさらばしてしまうので、お勧めはしません。君が望むのでしたら、拒否はしませんので、いつでも融合しますよ?」
「仮に融合したら、どんな人格になると思いますか?」
「んー、そうですね……君の甘い人格は確実に消えるので、割合から考えると僕の人格が凶悪になって、もっと質が悪くなるかなー。下手するとその辺の魔王もどきの方がましかも知れません」
全然ダメじゃん!
今の私がその力に手を出したら、ろくでもない存在になってしまうとか、最悪です。
ノアですらとんでもない考えをしていると思っているのに、それ以上とか、私の本質ってどうなっているのですか?
「取り敢えず、そんな事になるのでしたら、絶対に遠慮します。その調子で力を吸収しまくったら、完全にこの世界の敵になる未来しか見えません」
「んー、まあそうなると思うよ? それはそれで、この世界の1つの結末になるだけですから、仕方ないでしょうね」
「いつも思うけど、ノアって、楽観的ですよね? この世界がどうなっても構わないのですか?」
「んー、もう大してこの世界に興味がないですからねー。希望としては、シズクの世界に行って、世界征服とかしたいぐらいですね。あちらの世界の化学兵器と私の魔術のどちらが強いか試してみたいのです。私が勝利したら、全ての者達に誓約魔術を掛けて、奴隷にでもしょうかなー」
どこの魔王ですか!
むしろシズクのゲームに出てくる魔王の方がましなような気がします。
「ノアと話していると私の些細な悪戯の方が断然ましですね」
「へぇー、色んな人達を賄賂漬けにして、中には中毒状態にしている人もいるのに、それが些細な事なのですか?」
「別に本人が望んでいるのですから、問題無いのでは?」
「その考え方自体がおかしいと思わない所がおかしいんですよ。大体、色んなポーションを作っていますが、君が配給を止めたら、その人達はどうなるかわかっているのですか?」
「それは自己責任ですから、知りませんよ? 意思が強ければ全く問題無いかと思いますが?」
「んー、まあ、そうなんだけど無責任だよね? さて、そろそろカミラを見に行きますので、この辺りにしましょうか」
無責任とか言われても私は知りませんよ?
それでしたら、初めから手を出さなければ良いのですよ。
「ちゃんと拷問無しで、温めてあげて下さいよ?」
「んー、わかっていますよ。僕の熱い抱擁で蕩けさせてあげますので、安心して下さい」
「なんか、違う方向で危険な予感が……」
「んー、こう見えても僕は人体に関しての知識は完璧なので、危険な事はありません」
「なら、いいんだけど……そうだ、もう1つだけ教えて欲しいのです。名前がノアになった大鎌で攻撃すると、相手の力を奪っているみたいなんだけど、本当なのですか?」
「あー、正解ですよ。ある程度のダメージで、相手から力を奪う事が出来ますので、中々いい能力でしょ? 使徒と戦う時は、核に近い所を攻撃すれば距離に応じて、奪える量も変わって来ます。核に触れる事が出来れば一瞬で全て奪えますので、余裕ぶっているアホが居たら、即奪ってしまうと良いよ。他の使徒同士だと、奪うのに時間がいるし、確実に全て奪うには貫かないといけないので、僕らはかなり有利に奪えます」
「なるほど、アルカードの推測通りですね」
「まあ、あのゴーレムの依代は加算の方に変換されていましたから、君のレベルに入りましたが、それ以外は余剰レベルになってしまうからねー」
しかし、どうやったら、そんな能力が付けれたのでしょうね?
「僕は、別に話しているのは構わないんだけど、話が長引くとそれだけカミラが寒い思いをしながら苦しんでいる事を思い出してね? 実は水牢の中に氷の塊もぶち込んであるから、普通なら、凍死レベルの状態で意識ありで生きながらえているから、苦しいとか超えているだろうね」
「すぐに助けてあげて下さい! 本当にノアは悪魔以上ですね……」
「はいはい、では、行きますので。残りの時間はこのままここに居ても良いけど、時間が経ったら目覚めますが、扉から出れば休眠状態に戻れますので、好きにして下さい。でわねー」
それだけ言うと消えてしまいました。ここはノアの空間でしたよね。
来た時の扉とは別にもう1つ扉がありますが、あっちはなに?
ちょっと気になったので、開けてみると……どうも部屋らしいのですが……散らかってますね。
この部屋は、シズクの世界の建築物の作りになっています。リビングと呼ばれる部屋の感じかな?
大きなモニターと呼ばれる物とテーブルにはお菓子やジュースが散乱しています。
大きなソファーには、何故か着ぐるみやコスプレの衣装が散らかっていますが、普段はこれでも着ているのでしょうか?
色々な漫画本もあるみたいです。あの恐ろしい隠密少女操ちゃんもあります。この漫画の作者は、きっと頭がおかしいと思います。
テーブルの上にあったリモコンと呼ばれる物を押して見るとモニターに映像が映りましたが、どこかで見た事があるようなアニメが映りました……実は、私を通して外の世界を見ずに、こちらの娯楽に浸りきっているのではないでしょうか?
まあ、時間も残っているみたいなので、ここで私も寛ぎながら、お菓子を摘んで、その辺にあった漫画を読んでました。実に快適ですね。
お菓子に関しても、シズクの記憶通りの味なので、私の作り出した物より美味しいです。
特に炭酸のジュースなんて、スナック系のお菓子にすごく合うので、何とか調合して、再現してみせると決意しました!
このポテチとか美味すぎです!
作り方は……結構簡単ですね。
材料の芋は、確か同じような作物が市場に出回っていたので、起きたら買い出しに行きましょう。
漫画本も改めて、本にして読むと中々面白いですね。
シズクから、流れてくる記憶だけだと、ただ知っただけの感覚でしたからね。
謎の機械があったのです。確か私が作成に失敗したゲーム機とかですよね?
何となく使い方は分かったので、電源を入れてちょっとゲームをやりました。かなり面白いです。
こんなゲームがこちらの世界に普及したら、引きこもりが大量に発生しそうですね
ちょっと……この部屋はやばいです!
こんな空間にいたら、むこうで言うニート生活とか素晴らしいと感じてきました。
もう、このままここで暮らしたいと思ってしまうとは、あちらの世界の娯楽は最高過ぎます!
シューティングゲームをやっていたら、ボスのゲージがあと少しで倒せるところで、意識が消えていくのですが。もう朝ですか!
あと、1分あれば倒せるのに、ちょっと待って!




