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生まれ変わったのですよね?  作者: セリカ
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76 試食会


 入り口の帰還の魔法陣に戻ってから、クロード先輩とはお別れしました。軽く礼を言うと全力で行ってしまいましたが、お世話になっている伯爵さんと何の話をするのでしょうね?

 エルナからは、転移魔術でお屋敷に急いで戻りたいと言われました。こんな目立つ場所では使いたくないので、諦めて歩いて帰ろうと言ったら、「私は、先に行きますからね?」と言って行ってしまいました。今更慌てても結果は同じと思うのですが?

 もう一度ダンジョンに入ってから使えば良いと思いましたが、一緒に帰ると私にも被害が及ぶ可能性があるので、丁度いいと思いました。

 お肉と私が使いたい素材以外の物はセリスに渡してあるので、ギルドのうざい……じゃなくて、受付の方に行くように指示して、私達はまったりと帰る事にしました。


「しかし、久しぶりに戻って来た感じがしますね」


「普通は、20階層も籠る人達はいませんから、また話題になっているかも知れませんね」


 私はめったに立ち寄りませんから、好きなだけ話題にして下さい。

 それに今回の私は、まともに戦闘をしたのは最後だけで、しかも助けてもらって、とどめだけ刺しただけの状況でしたから、みんなの寝床と料理を提供した専属家政婦さんですよ!

 一応は、エルナ達が眠っている間だけ寝ずの番をしていましたが……仕込みと仕分けをしていたとも言いますね……。

 大体、カミラだってその話題の1人なのに、まったく気にした様子は見られませんけどね。


「カミラは、エルナと一緒に行かなくて良かったのですか?」


「私は特にサラ様とお約束はしていませんので……それに明日にでも学園に行ったら、卒業資格をもらうつもりです」


「えっ! カミラは、ちゃんとした貴族なのですから、普通に卒業した方が良いのでは? 私は社交界とか政治絡みの事は関係ありませんからねー」


「今さら、貴族とかもう関係無いですよ……私は、貴女の為だけの存在なのですから、そのような事は関わる気はありません」


「そんな堅苦しく思わずに、もっと自由に考えれば良いと思いますよ? カミラが望むのでしたら、私は可能な限り協力は惜しみませんからね」


「ありがとうね……でも、私にはもう決めた事があります。それに既に私の自由は貴女が用意してくれましたからね」


「いつ調べたのか知りませんが、知っていたのですか?」


「口止めはされていましたが、良い機会ですから改めて感謝いたします。私の貴女に対する最初の印象は最低だったの思うのに、どうしてそこまで気にかけてくれるのか不思議に思いました」


「ノアも意外とお喋りですね。私は特に気にしていなかったし、友達になったのですから、何とかしたいと思っただけです。もしかしたら、カミラを私の自由にしたかっただけかも知れませんよ? 私は、何故か誰かを束縛したいと思っている所がありますからねー」


「いまの貴女は、前者の気持ちの方が強いので、私を思ってしてくれた事に間違いはありません。このまま、その考え方を忘れないで下さいね」


「ステラさんが言うには、どうもサテラに似て来たらしいので、その内に、私は暴君にでもなるかも知れませんよ?」


「それは困りますね……サテラさんは、弁えている所はありますが、基本的には我が儘ですからね……おまけに戦闘能力も強力ですから、貴女が何とかするしかありませんからね……」


「だって……シノアちゃんがうちを火炙りの刑にするとか言うから……昔、サテラちゃんにお仕置きとか言われて縛り付けられて足元から炙られましたが……もの凄く熱いし苦しかったよ……」


「シノア……貴女はそんな事をするつもりだったのですか? ステラさん、安心して下さい。私が見ている内はそんな事は絶対に許しません」


「ありがとう! カミラちゃんは優しいです!」


「ちょっとした、冗談なのですから、本気にしないで下さいよ。本当にするわけがありませんよ?」


「そうだったのですか? それなら、うちも安心しましたよ!」


「本当ですか? 貴女はたまに本当に実行しょうとしますからね……私は以前に酷い目に遭いましたので、信用が出来ないのですよね」


 以前とは、壁に封印した件かな?

 ちょっとした、悪戯なのにまだ根に待っていたのですか……でも、ノアが色々な耐性を付けてしまうから、もうカミラに何かしても反応が薄いから楽しめないのですよね。

 下手な事をすると、冷めた目で見られて理不尽な説教が待っているので、もう何も出来ません。

 それに、変な権限までノアに貰っているので、逆らうと私の頭が馬鹿になってしまいますから、とんでもないのですよ!

 ステラさんが余計な事を言わなければ、お仕置きと称して遊べたのに……仕方ないので、帰ったらアイリ先生にでも言い掛かりを付けて踊ってもらいましょう。


「そう言えば、いつの間にかシズクがいません。どこに行ったのでしょうか?」


「シズクちゃんでしたら、2人が話している時に、うちの知らない方ですが、カシムさんの所に行くと、うちは聞いています。お友達なのでしょうか?」


 そう言えば、カシムさんと何かやっているみたいです。カジノに新しい遊戯でも教えているのでしょうか?

 シズクの世界の娯楽は楽しそうな事が多いのですが、こちらで再現するにはかなり問題があると思います。

 それに……シズクは結構な凝り性なので、妥協をする事を知りませんから、相手にしていると大変ですよ。

 それでは、残ったメンバーで、カフェテラスにでも寄って、お茶でもしてから帰る事にしましょう。

 ついでにステラさんに注文制限でも付ければ、泣きながら私に追加をお願いをしてくるので、ここで仕返しをしてしまいましょう!



 軽く寛いでから、お屋敷に戻って来ましたので、私の食品関係の工房に戻るとまずは消耗品の補充ですね。

 セリス達の収納と違って、私の収納はほぼ無限なので色々と入れてあるのですが、流石に食材などは作り置きをしておかないと減るだけです。

 シズクのお蔭で美味しい物が再現できる反面、エルナの味覚が贅沢になってきたので、下手な物が出せません。

 本来の冒険者などが携帯している食料など出したりしたら、文句を言わずに食べはしますが、あからさまに不満のオーラを発しています。

 シズクは、確実に文句を言って、私がおかしくなったとか言い出す始末です……味音痴のカミラはともかく、後の人は文句は言いませんが、逆に遠慮しまくるキャロに食べさせる方が大変ですね。

 今回のダンジョンで、アイスクリームを食べさしたら……「このようの物を平民の私が食べてしまうなんて……足りないかも知れませんが、私のお給金から、お引きください……」とか言い出すので、困っています。

 先ほどのカフェでも、座ろうとせずに私の背後に控えようとするし、好きな物を頼んでも良いと言っても水しか頼まないし、毎回強制してますが、ちょっと貧乏癖が沁み付き過ぎです。

 身の回りの物や服装に関しても、最低限しか持たないので、どこかの浪費癖が治らない教師とは大違いなのです。もう少し自分の為に何かしてもいいと思うのですが、本人が望まないので、こればっかしは仕方ありませんね。

 せっせとアイスクリームの仕込みをしていると、いつの間にかアルちゃんが物陰から見つめているのです。もしかして、もう食べ尽してしまったのかな?


「そんなに見つめても、まだ出来てませんよ?」


「気付かれないように見ていたのに。不思議です」


 いや……そんな物欲しそうな目でじっと見てたら、流石に私も気付きますよ?

 普段でしたら、まったく気配も感じないで突然現れるのですが、あれだけ熱い視線を感じたら気付かない方がおかしいですよ。


「あげた物は全部食べてしまったのですか? あと、エレーンさんに持たせたお土産があったはずですが、試食しましたか?」


「大事に少しづつ食べているから、まだあります。駄肉マスターが違う味の物を持っていたので、もしかしたら他にもあるのかと思って来ました。お土産のケーキもとても美味しかったのですが、アホのリアにも試食させると言うので、少ししか食べれませんでした」


 隣の国のギルドマスターは、アホなのですか?

 アルちゃんの評価は辛辣ですが、間違ってはいないので、きっと馬鹿なのでしょうね。

 しかし、ケーキは1ホール丸ごとあげたのに少しとか意味がわかりません?

 もしかしたら……小分けして切ってから、持っていってアルちゃんには少しだけあげて残りは全部自分の物にしてしまったのかも知れませんね。


「エレーンさんにはこのぐらいの大きさのを丸ごとあげたのですがどのくらい貰ったのですか?」


 ちょっと在庫で持っていたミスリルを錬成して形だけ作って見ましたが自分で言うのもなんですが中々精巧な出来です。

 この錬金魔術は、色んな分野において非常に使える魔術なのです。私が中級錬金魔術の時に、お屋敷に居た錬金術師の方よりも私の方が精密な物が作る事が出来たので、驚いていました。これに関しては、私には金属や鉱石のみならず薬品関係に至るまで、何故か知識があって何をどうすれば良いかを理解していたのです?

 金属や鉱石なども武器に関しては融合出来たりしているので、多分ですが応用が出来ていると思います。

 確かに色々な書物は調べたりしましたが、そんな細かい事は書いて無かったと思うのですが……。

 ちょっとした物を作り出す精巧さは、シズクの知識のお蔭でこの世界に無い精度の物を作り出せるのです。私って、案外戦闘よりも職人とかの方が向いているのかも知れませんね。


「元の大きさはこんなにあったのですか……貰ったのは、切り分けた小さな物で、一口サイズでした」


 ……どの辺が約束を守っているのか知りませんが、食べ物に関してはせこいですね。


「では、残りはエレーンさんが全部食べてしまったのかも知れませんね。皆さんで分けるように言っておいたのに、意外と食い意地が張ってますね」


「そうだったのですか……後で死なない程度に攻撃します」


 あんな規格外を死なない程度に攻撃とかどうやって?

 もしかしたら、私の使えない強力な魔法でもぶち込むのでしょうか?

 そんなのをあの店でやったら、壊滅どころではないのでは?


「アルちゃんが攻撃なんてしたら、この街が廃墟になってしまうのでは……」


「大丈夫です。私には無限結界と呼ばれる特殊空間に相手を引き込む事が出来るのです。あそこなら何をやっても表の世界には何も影響はありません」


 いつかの謎の空間ですね。

 あそこに閉じ込められたら、脱出不可能ですからね……しかし、それがエレーンさんにも適用されるとは、恐ろしいですね。


「でも、エレーンさんは、アルちゃんの主なのですよね? 普通は攻撃とか出来ないのではないのですか?」


「創造主の意思に反している行動をした時だけは、命令を無視できるようになっています。いまは全てにおいて権限が解放されているから、命令に従う義務がありません。一時的に強制支配を受ける事がありますが、時間制限があるので、切れたら暫くは使えなくなります。もし使ったら、その後に必ず殺します」


「でも、強制支配されている時にアルちゃんが攻撃されたら、どうするのですか?」


「それは無理。私には常に3重の防御結界があるので、決して破れません。それに1つ破壊しても直ぐに駄肉マスターのマナを使って再構築されるから、私を攻撃する事は自らのマナを消耗するだけなので、無駄です。攻撃魔法を使っても同じ事なので、駄肉マスターが私に勝つ事は不可能です」


 なるほど……私の英霊と同じかもっと消耗率が高いのですね。

 エレーンさんもマナが無くなれば私と同じなので、アルちゃんに攻撃するのは、自分を攻撃するのと変わらない事になります。

 これって、不利どころか完全にダメじゃん?

 しかも、常に防御結界があると言ってます。あの時も別に防御する必要が無かった事になります。

 それに例え防御が貫けても、あの理不尽な防御力のあるドレスがあるから、攻撃なんて通らないですよね?

 そう言えば……シズクのくれたこの魔法少女の服って、アルちゃんのドレスに近い感じです。もしかしたら、参考にしたのかも知れませんね。

 一応、助けてもらったので、ケーキで殺されかけるのは忍びないので、新たに賄賂でも渡しておきましょう。


「同じ試作品ですが、食べても良いので、大人げないエレーンさんは、勘弁して上げて下さい。私も食に関しては、気持ちがわからないでもありませんからね」


「これは? 私には膨らんだパンに見えるのですが?」


「まだ完成品とは言えませんが、そこそこ美味しいですよ」


 両手で掴んでかぶりついています。無表情なのですが、仕草が可愛いので、思わずお持ち帰りしたくなってしまいますね。


「美味しい……中身が一口食べたケーキのクリームに似ています」


 お試し中のシュークリームを3つほど出したのですが、あっという間に食べてしまいましたね。


「どうでしたか?」


「3つとも中身が違ったのです。残りの2つも初めての味でしたが、すごく美味しいです。もっと欲しいのですが……」


 試作品とはいえ、作った物は私の収納にしまっておかないと保存が効かないので、まだ持っていると思って、私の手元をじっと見ています。

 

「残念ながらありませんが、代わりにこれならあります」


「? 黒い塊の様ですが先ほどの中身の一つと同じ匂いがします」


「沢山はありませんが、差し上げますので食べてみて下さいね」


 色が黒っぽいので不思議そうに見ていますが、匂いは先ほど食べたシュークリームもどきと中身は同じなので、迷いながらも口にすると続けて食べだしましたね。


「これは、何なのですか? 見た目は美味しいとは思えませんでしたが、とても甘くて美味しいです」


「一応、チョコレートという食べ物です」


 以前、海に行った時に探索して見つけた木の実などを色々と採集しておいたのですが、チョコの原料になった実に関しては、シズクがカカオ? に似ていると言うので、取り敢えず大量に取って来ました。

 一応は、地元の人に許可は取りましたからね?

 誰も見向きもしないで、大量になっている実なので、誰も文句を言わなかったけど。

 幸いなのは、シズクのお姉さんがお菓子作りが趣味だったことです。食べる専門だったシズクに趣味の薀蓄を聞かせながら試食させていたので、本人が説明出来なくても、知識としては残っていたので、私にも理解が出来たのです。

 ここまで加工する手間が面倒なのですが、私の場合は錬金魔術があるので、錬成の配分量だけ調整すればいいので問題はありません。普通に作ろうと思ったら、手間でしょうね。

 エレーンさんが食に関しては色々と広めたお蔭で、古いですが基本的な事は知れ渡っていますから、後は応用だけで良いので、ある程度のまとまったレシピを渡せば作れると思います。その道の職人なら、食べただけで、時間は掛かっても再現するでしょうね。


「試作品なのでしたら、他にもまだあるのですか? あと、このチョコレートは、もっとありますか?」


「他の試作品はまだありますが、それなりに完成している物はいまの所はこのぐらいです。チョコに関してはまともに完成しているのはそれだけなので、作らないとありません。甘みの足りない失敗品なら一応ありますが……持っていきますか?」

  

「もらえるのなら欲しいです」


「じゃ、どうぞー」


 渡すと早速食べてますね。


「最初の物より確かに甘くないけど、最初にこっちを食べていたら十分に美味しいと思う」


 まあ、ちょっと砂糖が足りないだけですからね。


「満足してくれたのなら、エレーンさんの事は許してあげてね」


「とても満足した。でもシノアは不思議です。サテラの時もそうでしたが、どうして他人を助けるのですか?」


「他人ではなく友達ですからね。私は、親しくしている人には何かしてあげたいと思っているだけです」


「私には理解出来ませんが、シノアと友達になれて良かった。お礼にこれをあげます」


 アルちゃんが何か取り出しました。手の平に乗るぐらいの大きさの宝玉のようですが、何か魔術でも籠められているのでしょうか?

 差し出されたので受け取ると、私に吸い込まれていきましたが……えっ!?

 何かすごく力を感じました。今のなに?


「消えてしまって、何か力が流れ込んで来ました。今のは何だったのですか?」


「私が集めておいた力です。いまのシノアに使えないのかも知れませんが、いずれ使えれば大きな力になります。自分を見て」


 力という事はもしかして……。




 名称:シノア


 種族:多分人間


 年齢:不要


 職業:放蕩娘


 レベル:182(+8769)


 技能:初級槍術 初級体術 初級精霊魔術 上級火魔術 中級水魔術 中級風魔術 中級土魔術 中級雷魔術 初級聖魔術 初級闇魔術 重力魔術 転移魔術 上級錬金魔術 最上級誓約魔術 初級武器創製 中級料理人 鑑定 気配感知 危険感知 並列思考 魔術並列起動 魔力索敵 魔力操作 魔力感知 魔力管理 鑑定偽装


 固有能力:精霊の加護 紅玉の魔眼 反転 吸収 英霊召喚 次元収納 ?の加護 ?の使徒 眷属召喚




 まじですか!

 私の余剰レベルがめっちゃ増えてます!

 このレベルが適用されたら、アルちゃんより上になるけど、あれが鑑定偽装なのだとしたら、レベルの上限って、いくつなのでしょう?

 試作品のお菓子やアイスクリームとは釣り合わないと思うんですけど。真面目に職人を目指した方が最強への道が早いのでは?


「アルちゃん、これ、私には返す事も出来ないんだけど良いのですか?」


「まだあるし、たまに増えるから問題はない」


「たまに増える?」


「私は期限内は、この国を監視していますので、私の結界に近付いた他国の使徒は全て捕らえています。ついでに力を没収して尋問しています」


 ……まじですか。

 この国に近付いただけで、捕まって力を取られて尋問とか言ってます。絶対に拷問の類に違いありません。


「他国の使徒が来たりするのですか?」


「最近は、滅多にいません。たまに冒険者や商人になりすまして潜入しょうとしてますが、どんなに隠蔽しても私にはわかります。そして、見つかると私を見くびって戦いを挑んで来ますが、適当に相手をしてから、無限結界に幽閉していますので、私が解放しない限りは出れません」


 気の毒にとしか言えませんが、アルちゃんには強者特有のオーラみたいなものや雰囲気が全く感じられないのですよね。

 見た目だけなら幼い子供ですから、舐めてかかるのは仕方ありませんが、あの結界に閉じ込められた時にどれだけ強力な術者か気付けば、目の前の存在の力に気付けるかも知れませんが、無理でしょうね。


「もしかして……いまも幽閉されてる人もいるのですか?」


 居たら怖いんですが!


「人数は忘れましたが居ます。食料などに関しては、あの結界の中にいれば不要なので、捕まえたままの状態で時間だけが過ぎる体験をしています」


 それって、意識だけあるようなものだけど。いつから居るか知りませんが、普通だったら発狂してしまうのではないでしょうか?

 あの結界の空間って、恐ろしいですね……あの時に友達にならなかったら、私も幽閉されたままだったかも知れませんね。

 聞くのが怖いのですが、現在の中の人ってどうなっているのでしょう?


「あの空間に1人残されているとか、狂ってしまいそうですね……」


「たまに相手をしてあげていますので、古い者は私が来ると喜んでいます。中には未だに挑んで来る者もいますので、適当に相手をしています」


「古い者って、いつから居るのですか?」


「私の自我が目覚めた時から、気に入った者は殺さずに幽閉していましたが、忘れました」


 そうなると、かなり古い時代の者も居ると思うのですが、よくそんな孤独に耐えていられますね……。

 もしかして……以前にアルちゃんが言っていた友達とは、この幽閉されている人達なのでしょうか?


「もしかして、鞭で叩いて友達になるとか教えたのは、その人の中にいるのでしょうか?」


「私のお気に入りのカリンです。その者にはあの後に3日ほど鞭打ちにしたのですがとても喜んでいたので、どちらが正しいのか迷いました」


 3日も叩かれ続けて喜ぶとは、もう変態を通り越しておかしい人ですよ!

 そんな人が友達とか、変な知識がありそうですね……。


「取り敢えず、その人は頭がおかしいので、遊ぶだけにしておきましょうね」


「わかった」


 しかし、そんな人達がいるのでしたら、ちょっと会ってみたいですね。

 もしかしたら、私の知らない古い時代の事を知る事が出来るかも知れませんので、その内にまともそうな人と会わせてもらえるか、頼んでみましょう。

 他の国は知りませんが、この国の歴史書は改ざんされていて、まともな資料が残っていないのですよね。

 もう少しで、ダンジョンも突破出来そうなので、東方のグラント王国か西方のヴァリスに行ってみようかと思っています。

 アルちゃんと話しながら仕込みをしているとシズクが何か持ってきました。良い匂いがしますね。


「お帰りなさい、シズク。何か持っていますが、それは何ですか? 中々良い匂いがしますね」


「ただいま戻りました、お姉様! 相変わらず匂いに関しては敏感ですね。アルちゃんもこんにちは!」


「うん、こんにちは。シズクが持っている物は食べ物なのですか?」


「ダンジョンに行く前にカシムさんの知り合いに頼んでおいた物が完成していたので、買って来ました! 久しぶりにたこ焼きが食べれます!」


「たこ焼きって、そんな匂いだったのですか中々食欲がそそる香りですね」


「お姉様には、スィーツ系を頼んでいましたので。これはこの世界の人でも作れると思ってカシムさんの知り合いに依頼していたのです。以前にお姉様に作ってもらった丸い窪みが複数あるプレートをまた作って欲しいので、お願いしますね!」


 あの変な板ですか。

 言われた通りに錬成したのですが、使い道を知らなかったので分りませんでしたが、調理道具でしたか。


「冷めないうちに3人で食べましょう!」


 2人とも美味しそうに食べてますがこれは中々美味しいですね。

 真ん中に入っている物には身に覚えがあるのですが、もしかして、ポイズン・クラーケンの足ですか?

 確かに見た目はシズクの世界の蛸と同じ姿ですが、麻痺毒を持っているので、気を付けないと足の吸盤に毒が残っている場合があります。食べたら麻痺しますよ。

 それに私の在庫の物は、みんな焼いて食べてしまったと思いましたが。海まで行って取って来たのでしょうか?


「この中に入っているのは、ポイズン・クラーケンの足ですが、こちらに流通とかしていたのですか?」


「あの蛸は、薬品の材料として、頭部だけ需要があったみたいなのです。それ以外は普通は廃棄の対象でした。ちょっと手間ですが、吸盤の面だけ切り落とせば毒は排除できますので、問題ありません。簡単に手に入りました」


「私も麻痺毒だけ抽出して、持っていますが、何の薬品にするのでしょうね? それにしても、てっきりカシムさんのカジノに何か新しい遊戯でのアイデアでも提供していると思っていましたよ」


「本当は、最新のゲーム機などを導入したいのですが流石に不可能ですから、私の目標は元の世界の食べたい物をより多く再現する事です! 幸いな事にある程度の基礎的な事は多く知れ渡っていたので、少し妥協すれば近い味になります」


 機械とか、私はシズクの知識で知っていますが、この世界には科学より魔術が主流なのですから、ちょっと無理でしょうね。

 私もやってみたいのでチャレンジしましたが、さっぱりわかりません!

 雷撃を何とか電気に変換しょうとした時点で、金属から感電するだけなので、酷い目に遭いました。仮に作れたとしても、私にはプログラムなる工程がわからないので諦めました。

 それにしても、シズクの考え方が段々エレーンさんに似てきましたね……私に職業が命名出来るのでしたら、食道楽にしてあげますよ。


「シズク、先ほど買って来たと言ってましたが、もしかして、もう販売しているのですか?」


「先ほど、合格点を出して来ましたので、販売していると思います。私がお客さん1号として、買ってから食べていたので、今頃は興味ある人が買っていると思いますよ。ひと箱8個入りにしていますが、低価格なので、売れれば結構な利益になると思います。食べ終わってから、お土産に5箱買って帰りましたので、ちょっとは宣伝になったと思います」


 しっかりとサクラも兼ねて来たのですね。


「これは、どこで売っているのですか?」


「カシムさんのカジノの横にお店を作りましたので、売れ行きが良ければ商業区にも出店予定です」


「シノア、私はちょっと買占めに行きますので、そろそろ行きます」


 美味しかったのは分るのですが、買占めとか発想がエレーンさんと変わりませんね。


「アルちゃん、初日から買占めとかすると他の人が買えなくなってしまうので、ほどほどにして下さいね。蛸が生物なのでそれほど在庫があるわけではないし、1人で作っていますから、もし売れていたら、とても間に合わないと思いますから」


「わかった。シズクと同じ5箱までにします。今日は美味しい物が沢山食べれてとても嬉しかったです。また美味しい物を食べさせてください」


「では、これを持っていて下さい」


「このペンダントは、何ですか?」


「この部屋に置いてあるこの呼び鈴を振るとそのペンダントを持つ者にだけ鈴の音が聞こえる付与がしてあります。今の所は、シズクとカチュアさんにだけ渡してあるのですが、試食会をする時の合図にしてあるのです」


「これが鳴ったら、新しい物が食べれるの? 私も参加しても良いのですか?」


「本当は、エレーンさんにも渡すつもりでしたが、ズルをしたので、アルちゃんにだけ渡しておきます。内緒ですよ?」


「わかった。ずっと身に付けておきますので、必ず来ます。それでは、買いに行きますので。また来ます」


 そう言うと転移して行きました。単独で転移だと、どのくらい便利なのか体験してみたいです。私の場合は行った場所にマーキングをしておかないと転移出来ないのですが、複数の人数を運べる利点があるので、どちらが良いのでしょうね?

 その後は、仕込みをした後はシズク先生による厳しい新しい味のダメ出し会になってしまいました。

 何か作りながらちょこちょこ味見して、厳しい採点をされるのです。少しは手伝ってくれればいいのに、自分は食べる専門だから、料理は私に全てお任せしますとか言ってます。

 シズクの主なのになんか理不尽な気がしますが……美味しい物が食べれるので仕方ありませんが、私にあんまりダメ出しすると、寝ている内にお漏らしをするように体に命令しておくのです。本人はどうしてなのか分かっていませんけどね!

 最近は、お漏らし対策でオムツなんて穿いて寝ていますが甘いですよ……寝ながら脱ぐように体に指示してあるので、絶対に回避不可能です。

 セリスからは、寝る前に水分を控えなさいとか小言を言われていますが、まあ、無駄です。

 一度、カチュアさんにも実行してみたのですが、本人の狼狽振りは見物でしたね。

 残念ながら、洗浄魔法が使えるので、何も無かったように振舞っていましたが、シズクがセリスに怒られている所を見ていた時の動揺している感情はそれは素晴らしい物でしたよ!

 ひと段落するとアイリ先生がやって来ました。何となくうざい事でも言ってきそうです。


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