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生まれ変わったのですよね?  作者: セリカ
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64 夢の中で2


 サラさん達やお屋敷の人にステラさん達を紹介してから、眠る前にギムさんの工房に来ています。

 最初はアルカードがずっと付いて来たのですが、お屋敷の執事の仕事とメイドとしての仕事を手伝うように命じて、追い払っておきました。

 流石にずっと付いてこられるのはうっとうしいですからね……必要な時だけ呼ぶので、それまではこの屋敷を守って欲しいと頼んだら、「主のお屋敷を守る大任を謹んで拝領致します」などと言って喜んで、どこかに行ってしまいましたから、ちょっと不安になって来ました。

 

「こんばんは、ギムさん。ちょっと聞きたい事があるのですが良いですか?」


「そろそろ、嬢ちゃんの枕になる時間じゃないのか?」


「そうなのですが……そんな風に言われると私の存在って……」


「しかし、屋敷のメイド達はみんな知っていると思うぞ? もう2人の関係はそれだけでは無いと、わしにだって聞こえて来るぐらいの噂になっているから、お前さんが何を言っても信じる者はまず居ないだろうな」


「そんな腐った噂が広まっているのですか……誰がそんな嘘を広めているのですか?」


「そんなものはエルナ嬢ちゃんが全く否定せずに、好きに解釈しても構わないと宣言しているし、シズクが2号宣言して、御庭番の奴らに最近お仕置きがしてもらえないと呟いていたから、奴らも信じているぐらいだな」


 エルナはともかくとして、シズクまでそんな事を言っているのですか!

 最近は反省するまで正座させて放置しかしていなかったのですが、そんなにあのお仕置きがされたいのですか!

 明日にでも問いただして噂を撤回するように教育し直す必要がありますね。


「私のイメージがどんどん変な子になっていきます……普通の可愛い美少女のはずなのに……」


「確かにお前さんは可愛いが、自分で美少女とか言っている時点で、もう手遅れだと思うんだがな……それで、そんな事を聞きに来たのか?」


 さりげなくギムさんが私の心にダメージを与えてきます。私の理解者だったのに、最近はカミラに味方して、毒舌になって来ましたよ。


「本題の前に私の心がすごく傷ついてしまったのですが……今晩、夢の中でノアに会う事が出来るのですが、ギムさんはノアの事を何だと考えますか?」


「何とは、またわからん事を考えてるようだが、お前さんの願望を再現した人格じゃなかったのか? それにこんな事を話していても、今もノアが聞いているから意味は無いと思うが?」


「いくらなんでも、私があそこまで人を殺すのはちょっと異常だと思いませんか? 確かに、私は自分を痛めつけたりしてた人達を同じ目に遭わせてやりたいとは思った事はありましたが、敵対した者以外は人を殺したいと思った事は無いと思います。ノアは掃除でもする感じで全て殺して排除していきます」


「そう言われれば、あの子爵の事件もやり過ぎとは思ってはいたが……まさかあの屋敷に居た者を全て殺してしまうとは想像もしなかったな」


「それにカミラの事なのですが、本人は何も言いませんし、私の為と言っていますが……確かに仲間が強くなる事は嬉しい事ですが、何かしら義務感のような物を感じるのです。ノアだって反対していたのにおかしいとは思いませんか?」


「確かにカミラ嬢ちゃんの熱意というか覚悟みたいなものには驚かされたが……まあ、今だから教えるが、最初の頃は見ているのが辛くて流石に何度も止めたんだ……」


 そう言って奥の部屋に案内してくれたのですが、何ここ!?


「キャロの嬢ちゃんに頼んで、転移部屋と同じ要領で外部に音が漏れないように作った個室なんだが、こんなのただの拷問部屋だな」


 辺り一面が血だらけなうえに、怪しげな物まで置いてあります。


「最近は使わなくなったが、時折聞こえる声を聞いていたら、わしがカミラ嬢ちゃんに肩入れする気持ちがわかるだろ? 何を聞いてもお前さんの為としか言わないんだからな」


 私の大事な友達になんて事をさせているのですか!

 カミラの事も聞くつもりでしたが一体何を吹き込んでいるのか、確実に聞く必要があります!


「教えてくれて、ありがうございます……聞きたい事が増えたので、時間が惜しいので行きます」


「可能なら、嬢ちゃんを解放するように頼んでやってくれ」


 ギムさんから感じる感情は、私にもとてもよく理解出来ます。

 ノアは一体何を考えているのですか?



 部屋に戻るとエルナに抱き着かれてはいますが、カミラが起きて待っていたようです。


「どこに行っていたのですか? ノアさんに会う時間が減ってしまうので、質問しきれなくても知りませんよ?」


「ちょっと、ギムさんに相談をしに行っていたのです。カミラにも聞きたい事があるのですが、あの部屋は何なのですか?」


「貴女……まさかあの部屋を見たのですか!? うっかりしていましたわ……早くあの部屋を消しておくべきでしたね……」


「いまは時間が惜しいので、後で聞かせてもらいますからね? それでは、おやすみなさい………………」




 いつぞやのように何も無い空間のようですが、向こうに扉とカミラがいますね。


「カミラも居たのですか?」


 扉の前には見た事が無い服が掛けられているのですが、これどうやって着るの?


「この扉を開けないとノアさんの空間には行けませんからね。それとここでなら、唯一ノアさんに知られずに貴女と話す事が出来るので、待っていました」


「ここって、ノアの作り出した空間では無いのですか? 以前にそんな事を言っていたのですが?」


「ここだけは、貴女の領域なのです。取り敢えず着替えないと扉を開ける事が出来ないので、着替えながら話しますが、ノアさんの話を全て真に受けてはいけません」


「えっ!?」


 カミラが手慣れた様子で着替えると、私の着替えを手伝ってくれますが、意味がわからないのですが?


「ノアさんは、貴女の思考を自分に近付けるように仕向けています」


「ノアって、私と同じ存在なのですよね? それを近づけるとか増々意味がわからないのですが?」


「私はノアさんと一つの賭けをしています。それ以上は言えませんが、いまの自分を見失わないで欲しいのです」


「賭けとは、何をですか?」


「着替えが終わりましたので行きます。私はいまの貴女が大好きです。それだけは忘れないで下さい」


 扉を開くと、まるでお屋敷のテラスのような場所になっていますが、どうなっているのですか?


「んー、中々似合っていますねー。シズクのお姉ちゃんの女子高生というやつの制服ですよ」


「これがですか?」


「シズクは、一応は中々の由緒正しい家柄のお嬢様なのですが、幼い頃に剣の才能があることを見出されて、父親の道場で厳しく育てられたのです。でも、その姉は母親の経営する学校の生徒会長なるものをしているみたいですが、かなり両親を欺いて優等生を演じている自由人みたいですねー」


「それより話があるのですが、まずは……」


「まあ、立っているのも何ですから、椅子に座ってお茶でも飲みながら聞きましょうか。カミラ、私達に紅茶とお菓子でも用意して下さいねー」


「わかりました、ノア様」


「ちょっと! カミラに何をさせているのですか!」


「んー? 何って、この間の罰ゲームの続きで、メイドさんになってもらっているのですよ?」


「それも聞きたかったのですが、一体、カミラに何をしているのですか! 他にも色々と聞きたいのですが、まずはカミラの事を正直に全て教えて下さい!」


「んー、そんなに怒らなくてもちゃんと答えます。取り敢えず紅茶でも飲むと良いよ。ここでは君も普通の感覚に戻っているから、純粋に味わえると思いますよ?」


 カミラが淹れてくれた紅茶を飲んでみましたら、とても美味しいです!

 いつもの私だったら、物足りなくて、とにかく甘くしないと満足が出来ないのです。

 出してくれたお菓子も程よい甘さですごく美味しく感じます……これが普通の人の味覚なのですか?


「どうですか? ここなら、本体と違うのであんな異常な衝動にならないでしょ? あの体を維持するにはとにかくマナが必要なのです。何を摂取しても良いのですが、その場合は高純度になる物を欲しいと感じてしまうのですよねー。全く詰まらない欠点を付けてくれましたよ」


「欠点を付けたのですか?」


「んー、カミラの事が最初に聞きたいのでは無かったのですか? 時間は朝までありますが、僕と話すのには対価がいるので、続けては会えませんから質問は絞った方が良いですよ?」


「気になる事が増えましたが、まずはカミラの事を教えて下さい。正直、私よりも強くなりましたが、その事も教えて下さい」


「んー、最初に言っておきますが、あの子は凡人です。眷属になって、不老不死になりましたが、その能力はどんなに頑張っても君の護衛にすらなれません。その事は本人にも伝えてあるので、僕は特に何かを強要したりはしていませんからね?」


「では、あの強さは、どうなっているのですか?」


「んー、それはあの子が自分から、強くなりたいと僕にお願いして来たので、鍛えてあげたのですよ? 彼女は魂のみの存在ですから、ここで鍛えれば強くする事が可能です。勿論ですが、僕に対価を払ってもらいますけどねー」


「カミラに一体、何を払わせているのですか? 内容によっては見過ごせませんよ!」


「もうー、そんなに怒らなくても。能力や知識に関しては、本人とゲームをして、勝ったら無償で、負けた時は罰ゲームをして、与えているだけですよ? むしろその程度の対価で得られるのですから大サービスですよ?」


「そんな事をしなくてもあげれるのではないですか? 私の時も仕方なく能力を解放していたみたいですが?」


「んー、それだと僕が貯めている物が減るだけで詰まらないではないですかー。言っておくけど、能力を解放したり、カミラに力を与えるのには必要な物があるから、それが減っていますので無償ではないのですからね?」


「その減っている物が気になります。何が減っているのですか?」


「んー、それはいまの君は知らない方が良いと思うよ。まあ、そんな事で、戦闘技術に関しては、僕と特訓しているから、しっかりと魂に刻んであげれてますので中々強くなったでしょ? 最初の頃は泣き叫んでばかりだったから、これでも苦労したんだよ?」


 泣き叫んでいた!?

 一体、どんな訓練をしていたのですか!


「泣き叫ぶとか、私の大事な友達に何をしているのですか!」


「んー、戦闘訓練なんだから、とにかく叩きのめしただけだよ? ちょっと体のあちこちが吹き飛んだ程度だけど、ついでに痛みに関しても強くなったから結果オーライでしょ? 外でも頑張って痛みに耐える訓練もしていたみたいだし、中々出来る事じゃないし、こういう時に不死の体というのは便利だよねー」


「本当にそんな事をカミラが望んだのですか!」


「一応は、僕も止めたんだからね? はっきり言って、魂に直接刻み込むんだから、現実の比じゃないんだよ? 普通だったら、魂が壊れちゃうんだけど、まあそこは僕と同化しているから問題無いとして、君の為に頑張る姿は褒めてあげても良いと思うよ?」


「私の為とか……そんなの私は望んでいないのに……」


「んー、まあ、それだけ彼女が君に恩を感じているという事だよ。確かにあのままだと、いくら能力をあげたとはいえ正直、戦力不足だったからね。これなら僕も認める事が出来ます」


「カミラの事をマイナスとか色々と言っていた癖に……」


「んー、僕と唯一話せる相手だったので、何となく気に入ってきたのです。反応も楽しかったから、ちょっと目を掛けたくなったのですよー。結構色々と強化したので、君に開放する能力も削ってしまったけど、どうせ使う予定の能力じゃなかったから与えてしまいましたー」


「大体、わかりました。能力の事は構いませんが、ノアは一体何が目的なのですか? ガルドの屋敷の人達を全て殺してしまうとか、やり過ぎではないのですか? セリスに危害を加えた奴らだけで良いと思うのですが?」


「んー、僕に逆らったんだから、当然連帯責任でしょ? あいつはアホだし、なまじに鑑定なんか使えるから、馬鹿みたいに能力を偽装してやったら、あっさりと許しを請うとか、情けなさ過ぎますよー。まあ、偽装しなくても僕に遊ばれているのに気付いたから、本人が納得出来るくらいにしたんだけどねー」


「いくらなんでも無関係の人達まで殺してしまうなんて、やり過ぎです!」


「でも、レベルもかなり回収出来たし、あんな奴ら少しでも残して置くと問題になるから、全て消した方が良いよー。全く以前の君なら当たり前だったのにめんどいなー」


 以前の私?

 以前とは何ですか?

 

「私は以前にそんな事はした覚えなどありませんよ?」


「あー……ちょっと、僕の勘違いですから、忘れて下さい」


「明かに態度がおかしいではありませんか! ちょっとその辺りも教えて下さい!」


「僕が忘れたと言っているのですから、わかりませんねー? これ以上この話を聞いたら、勉強に関しては、知識ゼロにしますからね?」


 また馬鹿になるのは非常にまずいです……気になりますが仕方ないので諦めます……。


「そんな脅しをするなんて、ずるいですよ!」


「んー? 僕は何か脅したりしたのかな? ちょっと思い出せませんねー」


「まったく都合の良い性格をしていますね……」


「んー、勿論、君だしねー。そう思ったら、自分を変えて下さい。例えばせっかく使える魔法をばんばん使って破壊とかしまくるとか?」


「そうです! 魔法の事も聞きたかったのです! どうして私が使える魔術は半端な物しか無いのですか?」


「んー、半端とは酷いなー。なるべく殺傷能力が高くて、広範囲に使えるのを選んであげてるのに。しょぼい魔法とかサポート系なんて覚えるより、最初から圧倒的に処理した方が楽でしょ? 最初の頃は平均的に解放していたんだけど、いつも楽がしたいと思っているから、君が望んだ通りに戦闘が楽になる魔法を解放してるんだけどねー」


「確かに楽がしたいけど……すると私が使える魔法は、ノアが決めて使えるようにしているのですか?」


「んー、そうですよ。気が向いたら適当に解放してるんですけどねー」


 そんないい加減な解放の仕方をしていたのですか……。


「だったら、もっと使いやすい普通に使えそうな魔術を解放して下さいよ」


「嫌です。そんな事をしたら、僕が面白くないし。与えられた能力で何とかして下さい。普通の人に比べたら、すごく優遇されていると思いませんか?」


 面白くないから嫌とか言ってますよ!

 

「本当に私なのかいつも疑問に思っているのですが。一度で良いからその頭に中を覗いてみたいですよ」


「えっ!? 僕の思考が知りたいのですか!? どうしても知りたいのでしたら、少し同化してあげますので、覗いてみますか?」


「良いのですか? 私に知識などを教えるなとカミラに言っているのに……」


「言葉で教えるのは面白くないのでさせませんが、僕と直接交わるのは歓迎しますよ?」


「ダメです! ノアさんの思考を直接共有などしてはいけません!」


 今まで、黙ってノアの背後に控えて居たのにカミラが突然注意して来ましたがどうしたのでしょうか?

 私がノアの考えを知るのがそんなにまずい事なのでしょうか?


「ちょっと……いまの君は僕の専属メイドなんだから、主の許可無しに発言するとはお仕置きが必要ですねー。せっかく本人から、望んでいるのに邪魔するとは、明日はずっとお仕置きをするから覚悟しておいてねー」


「申し訳ありません……ですがそれだけはこの身に何をしても構いませんのでお止めになって下さい」


「んー、まあ明日の楽しみが増えたので今回は不問に致しますが次に余計な事を言ったら、すぐに首を刎ねますので、そんな事はさせないで下さいねー。僕はこれでも君を気に入っているので、簡単に殺すのは面白くないのですよー」


「ちょっと私を止めただけなのに、こんな事で罰とかカミラに何をするつもりなのですか?」


「んー、君と話している間は黙って、控えている約束だったから、同席させているんだよ? それを破ってしまったから、罰を受けるのは当然じゃないかな?」


「私からもお願いしますので、カミラに酷い事はしないで下さい。代わりに私がいう事を聞きますのでそれではダメですか?」


 カミラがノアの背後で、目でダメと訴えていますが、私が原因なのですから、私が全て引き受けたいぐらいですよ。


「んー、君に何かさせるといってもな……して欲しい事はあるのですが、それをさせてしまうとカミラとの賭けが僕に傾き過ぎるから面白くないのですよねー。君がもっと力を付けた状態なら、お互いにメリットのある事をさせれるのですが……」


「お互いに良い事なのですか?」


「まあ、最初のして欲しい事は却下として、君に宿題を与える事にします。可能なら、使徒を狩って余剰レベルを早く稼いで下さい」


「あの使えない力ですか?」


「そうです。あの悪魔に1000もあげてしまったけど、ステラから意外と回収出来たので、まあ良しとします。ゴーレムの件で使徒に力を貸す以外にも使い道があるのはわかったよね? あの馬鹿共は手駒の一時的な強化にしか使ってないけど、実はこの力は万能な力なんだよ」


「あのゴーレムを倒すだけでレベルが一つ上がるとか、確かに使徒の力の使い道とは違っていましたね」


「エレーンは、大量に持っているんだけど、自分が手を掛けている者が簡単に死なないように強化に使っています。本当は自分の使徒を作り出して、不老にしたかったみたいですが、その能力が無いので、せめて寿命をまっとうさせたいと思っているのですよ。だからあんな勿体ない使い方をしているんですよねー」


「勿体ないのですか? 早く強くなれるので良い事だと思うのですが?」


「あの方法で吸収させてしまうと、もう回収が出来ないので、あの万能な力がどんどん減っていくだけなんですよ? まあ、それよりもあれを君が回収すれば色々な使い道があるのですよ」


「すると自分に変換する事も可能なのですか? 今なら、レベルが2800も増えたら、私は最強ではないですか? 一部のおかしい人達を除けばですが」


「今は制限が掛かっているので、使えないのです。解放されても、君は自力でレベルが上げれるので、一時的に使うだけにした方が良いですね。あの力を私が強化した大鎌に使えば、私の一部を移す事が出来るので、俗にいうインテリジェンス・ウェポンになりますよ? そうすれば外の世界でも助言も出来るし、私も対価が減らないので助かります」


 もしかして、女神様の本当の罰がその制限なのでしょうか?

 それはいいとして、そのインテリジェンス・ウェポンと言うのは良いですね。

 そうなれば、ダメもとでいつでも聞く事が出来るではないですか!


「そんな事が出来るのですか!? いま強化したと言いましたが、私の収納の中に有ったのに知らない間に消えている物が沢山あるのですが、もしかして、ノアが何かしているのですか?」


「んー、それは同一人物なんだから、僕がいじれるのは当然です。暇な時に色々といじっているだけですよー。君がコツコツと貯めていた鉱石とサテラがくれた武器なんかは全てあの大鎌に融合させてしまいましたので、中々良い武器になったでしょ?」


 どおりでコツコツと貯めていたはずのオリハルコンが全然貯まらなかったのですか……あれを拳ぐらいの大きさにするのにどれだけマナポーションを飲んで作ったと思っているのですか!

 そうなるとサテラから、もらった武器や防具などが無いのは全て融合されてしまったからなのですね。

 武器が強くなるのは良い事なのですが……あれ?

 そうすると私のあの武器創製とかいう技能はどうなっているのですか?


「無くなった物の事はわかったので良いのですが、そうなると私が武器を作れるのは良いとして、後からどんどん強化出来るのはどうなっているのですか? 正直、あの技能の意味がよく解らなくなって来ました?」


「あー、あの技能ね。初級なんて付けているけど、あれは偽装しているので、元々の君の種族特性の技能です。ああでもしておけば、鑑定されても大した物は作れないと思わせられるのです。本当は君の能力次第で、初めから神剣とかも作る事が可能です」


「それは本当なのですか!?」


「本当です。それ以外にも最初に基本の物を作った後にあとは君のイメージでどんどん武器が強化出来てるでしょ? いまカミラが使っている弓だって、かなり破格の能力になったと思うけど、君にもっと作り出す力があれば最初から作り出せるんだ。その力が足りないから、君がコツコツ強化するしかないんだよねー」


「では、いつになったら最初から可能になるのですか?」


「んー、僕よりも君寄りの能力だから、それは知らないけど、多分レベル5000ぐらいあれば、サテラが持っている槍が量産出来るんじゃないかな? あれマナを吸いまくって持ち主に還元するから、すごく良いんだよねー。僕も大鎌に付けようと頑張ったんだけど生命からしか変換させる効果しか増えなかったんだよー」


「それは、随分と遠いですね……では、私とノアでは、作る物に違いでも出るのですか?」


「んー、いまの君と僕では、考え方が全然違うからなんだけど、僕が作ると大抵は生命が関わってくる物になると思うんだよねー」


「それは、ノアが人の命を何とも思ってないからでは……」


「今更、何を言っているのかな? 前にも言ったけど僕が気に入った者以外は等しく不要な存在です。そんな者をいくら始末しても問題無いですよ?」


 ダメです……命とか何とも思っていないので、いくら言っても説得不可能な気がしてきました。本当にこれが私が望んでいる事なのでしょうか?

 それにいまはとか言ってますが先ほども以前の私がとか言ってましたが……もしかして、私は初めからノアと同じ考えをしていたのでしょうか?

 しかし、以前と言われてもあの森に放置されてから、そんな事を考えた記憶も無いのですが……。

 カミラの表情を見る限りは、どうも知っているような感じがします。ノアと思考の同化をあんなに焦って止めるのですから、恐らくですが、私の性格がノアの方に偏ってしまうのかも知れません。

 そう言えば……私は、ガルドの事件の後に目覚めた時は大勢の人の命を奪った事よりも自分が強くなった事の方が良かったと思っていましたが、カミラの感情に触れているとそれが間違っていると思うようになったのですが……。


「んー、そんなに考え込む必要は無いと思うので、自分の思うように行動すれば良いと思います。まだ時間は沢山ありますので、君の行動次第で僕は人の命を大事にする存在にもなれるのですからねー」


「本当ですか? どう見ても以前と全く変わっていないように見えるのですが?」


「んー、それは仕方ありませんねー。この世界の生きている者達の感情が汚れ過ぎてるから、僕に流れて来る負の感情の方が多すぎるのです。純粋な思いは数より質が良いので、自己犠牲でも喜んでする人を周りに沢山集めておけば変化があるかもしれませんよ?」


 そんな人が沢山居るのでしょうか?

 考えてみると……自分の欲望に素直な人しか居ないような……エルナとオリビアは異常な愛で私を慕ってくれますが、これはどうなのでしょう?

 シズクなんかは、完全に自分の趣味に全てを注いでいるし、あの危険な漫画のせいで、むしろノアに近い考え方をしています。

 欲望の代名詞と言えばアイリ先生なんて、堕落しまくって、反省すらしません……面白いからいいんですけど……もしかしたら、私のおかしいところは、アイリ先生の影響が大きいのでは?

 セリスやキャロは私に対して、完全に「はい」しか言わないし……小言を言ってくるカミラとギムさんぐらいしかまともな人がいないではないですか?

 どこかに清らかな心を持った聖女のような存在が私の側に居れば良いのでしょうか?

 うん……私の知る限りそんな人は存在しません!

 むしろ、いまの私はそんな人が居たら、アイリ先生みたいに堕落させた方が楽しいと考えてしまうぐらいです。

 しかし、女神様もどうしてこんなめんどい設定で私を生き返らせたのでしょうか?

 

「ノアの話を聞いていると、私がダメになる未来しか想像が出来ないのですが……」


「ダメになるとか酷い事を言いますねー。今の所は僕に危害を加えなければ、無害なのですから、平和に暮らせば問題は起こりませんよ? でもそれだと詰まらないから、あの教師みたいな存在を増やしたいところですねー」


「あの教師って、アイリ先生の事ですか?」


「んー、そうですよ。彼女の行動を見ていると、僕に流れる感情は少ないのですが、見ていて飽きないので楽しいですねー。もし、次に体の主導権を貸してくれたら、あの先生をめちゃめちゃにしてみたいのですよねー」


 気の毒に……えらい存在に気に入られてしまいましたよ。

 しかも、めちゃくちゃにしたいとか言ってます。人としての尊厳も破壊されるかもしれませんね。

 まあ、いつも問題を勝手に作って自爆しているので、自業自得なので仕方ありませんね。


「さて、もう質問が終わりなら、そろそろお開きにしますよ? 残った時間はメイドさんの躾に使おうと思っていますからねー」


「躾? カミラに何をする気なのですか!」


「んー、勿論ですがさっきの罰の続きをしないといけません。カミラとの時間は限られていますので、無駄に使う時間はありませんよ?」


「そんな事はダメです! 仮に躾とか言っていますが、何をするつもりなのですか!」


「んー、どうせ君は見る事はないのですから、気にする必要はありません。本人だって、承諾しているのですから。これは合意の上で行っているので、君には何も言う権利はありません。見たいのでしたら、もう少しだけ時間がありますから、見学でもして行きますか? カミラが望むのであれば許可しますが、どうしますか?」


「シノア、私の事はノアさんと約束の上で承知していますので気にしないで下さい。もう質問が無いのでしたら、私が約束を違えた罰を受けるのは当然なのです。ノアさんは約束さえ守れば、必ず私の願いを聞いてくれます。もしその様子が見たいのであれば私は止めませんが、出来れば見て欲しくないのです……」


「一応、聞きますがどんな事をするつもりなのですか?」


「んー、メイドさんの躾ですから、定番の事をする予定です。まあ、それでも色々とあるから残り時間で可能な事かな?」


 それならば、直ぐに起きて、カミラと接触をしていなければ出来ないはずですから、すぐに離れてしまいましょう!


「言っておくけど、カミラの魂がここにある状態で、君が離れたら、外の体に魂が移せないから、目覚めなくなるからね? その場合はあっちの核に直接触れないと戻せないので、それまではずっと眠った状態になるよ。僕との時間が増えるから、それはそれで楽しいので止めないけどねー。いまの君に同化は出来ないから、カミラの体に傷を付ける事になるけど。胸に穴が空くとか痛いだろうねー」


 私の行動がお見通しですか……そう言えば、私の考えている事なんて筒抜けなのに敢えて質問させているのを忘れていましたよ……。


「そんな言い方をされたら、私は何も出来ないではないですか……」


「んー、ちょっとこれは卑怯でしたねー。仕方ありませんので、残りの時間で僕とゲームでもしましょう。それに勝ったら、今回のカミラの罰は無しにします」


「負けたら、どうなるのですか? いつもそれで、カミラに何かさせているんでしょ?」


「んー、余分な物は増やしませんので、そのままカミラのお仕置きが確定するだけにしますよ? 君にお仕置きをすると感覚的に僕にも共有されてしまうので、勝っても自分にお仕置きする事になってしまいますからねー」


 そうなると、私が外でエルナにお尻を叩かれていたりした感覚も共有していたのかな?


「声に出して、欲しかったのですがその通りです。なので、君にしても意味が無いのですよ。だからと言って、カミラには手加減をする必要が無いと言ってありますので、たまには叩かれても良いのですけどねー」


 ノアもきっとマゾなんですね……叩かれて喜ぶとかおかしい人ばっかりですよ。


「それ、自分の事なんだからね? それよりも今回は時間的に野球拳でもしましょうか?」

 

「それは何ですか?」


「シズクの世界の伝統のあるゲームらしいのですが、ジャンケンをして負けた方が一枚づづ脱いでいって、全裸になった方が負けのゲームです」


 向こうの世界って、下らないゲームが伝統とかしょうもない世界ですね……。

 でも、私の考えが読まれているのですから、これ絶対に勝てないですよね?


「んー、大丈夫ですよ。僕は賭け事に関しては絶対に不正はしませんので、決して君の考えを読んだりしません。疑うのでしたら、カミラにも聞いて下さい。ついでにカミラも一緒に参加して、どちらかが勝ったら、僕の負けで良いです」


「カミラ、本当に信じても大丈夫なのですか?」


「賭け事やゲームに関しては、絶対に不正をしないので、安心できると思います。普通に強いので、私もたまにしか勝てません」


「3人でやるのは、初めてだから楽しみですねー。最近のカミラはワンパターンだから、これだと飽きて来たところだったんですよねー」


「カミラに聞きたいのですがちなみに勝率はいかほどに?」


「……2勝88敗です……あちらの色んな踊りを覚えましたよ……」


 1割にも満たしていないとかどんだけ弱いの!

 それとも、ノアがそんなに強いのですか?

 これは、どこまで読むかが勝負になりますが、勝てるのか不安になってきました。


「んー、そんな事よりもいきますよー」


 結果は、何とか私がラスト1枚で勝ちましたが、カミラは弱すぎです。

 私とノアが上着しか脱いでいないのに真っ先に全裸とか。ここまで弱いとわかったので、現実でも勝負する時はジャンケンをすれば黙らせられる事がわかりました!

 賢いはずなのにノアの言う通りに決まったパターンでしか出しません。ノアと同じぐらいまで先読みも怪しいぐらいに同じ手を出せば、あっさりと勝てました。これでどうやって2勝したのかも疑問に感じますよね?

 逆に、ノアとは普通に同じ感じで勝負が出来ましたので、カミラはいくら勉強が出来てもこの手の事はアホだと認識しました。

 全裸で座り込んでいじけている姿は新鮮だったので、楽しかったですねー。


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