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生まれ変わったのですよね?  作者: セリカ
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48 氷の世界


 翌日からは、レイリアさん達と共闘で進める事にしました。

 実力の方は、昨日でしっかりとわかったそうです。

 アホ娘の方は、大人しくなったのですが、張り合って倒していました。段々とめんどくさくなってきたので、私は魔法で殲滅していたけどね!

 順調に53階層まで攻略した時に、レイリアさん達は私用があるので戻る事になりましたが、勧誘の件は考えておいて欲しいとだけ言われました。

 快適空間が作れる私を他の方も熱心に誘ってきますが、この国には土魔術を極めている人は居ないのかな?

 一応、似たような事が出来る魔術師もいるらしいのですが、これだけ精密で強度のある物を持続させる人はまず居ないとの事です。

 まあ、他にも技能とか併用しないと無理と思いますが、例外もいますからね。

 言いませんでしたが、キャロの作り出した『ストーン・ウォール』も強度はそこそこあるのですよ。

 流石に持続させる事は無理なのですが、前方に盾として1枚出すぐらいなら、私と同じぐらいの強度があるし、多少の魔法なら完全に防げます。

 なにか補強関連の魔法も習得しているのが条件とかなのかも知れませんが、キャロには中級までの土魔術で適性のある物はもう全て習得させています。

 そして私と違って、『クリエイト・ウォール』単体で建物までは無理ですが、四方の屋根付きの壁ぐらいは作れるのです!

 私は他の技能と併用しないと無理ですが、もしかしたら、これが才能というか適性の差なのかも知れませんね。

 物資なども収納持ちが4人もいるので、かなり魅力的みたいですね。

 レイリアさんのクランにも6人しか居ないので、収納持ちって、意外と少ないのですね。

 なんか当たり前のようにあるので、もっと居ると思っていましたよ。


 

 それと、この階層のボスを教えてもらいましたが、挑むメンバーで構成がランダムとの事です。

 それ以降もボスが固定されていないので、どんな状況でも対処出来るようにしないといけないみたいです。

 人数で対処すれば問題無いのではと聞いたら、ここからは3組までしか入る事が出来なくなっているそうです。

 80階層と90階層は2組までになって、100階層は1組の6人のみしか扉が開かないみたいです。

 60階層のボスからは、一度でも倒してしまうと遭遇しなくなるそうです。

 しかも、これまでは突破した階層から始めれたのに、最後に倒したボスの部屋から始まるそうなのです。

 なので、60階層以降は中間の5階層単位か、次のボスまで行くのに一気に行かないといけないので、挑むメンバー以外の護衛がいないと厳しいそうです。

 そう考えると、私達は転移ポイントが作れるので便利過ぎますから、知られたらまずい事になりそうですね。 

 レイリアさん達も現在は90階層からしか入れないので、現在2組で93階層までの道は見つけたそうですが、魔物の数がそこそこ多いし、個体がかなり強力なので、行き詰っているそうです。

 色々と教えてもらいましたので、情報提供のお礼に私からちょっとプレゼントをしました。


「レイリアさん、ちょっと待って下さい」


 収納から、習得スクロールを出して、一つの魔法を念じます。


「情報のお礼に。これを渡しても良いと思った方に習得させてあげて下さい。きっと役に立つと思います」


「聞いた事のない魔法ですね? 名前から連想すると火魔術と思いますが……」


「ジークさんと色々と話をしながら使える魔術を見ていました。これは私も1回しか撃てない魔法なのですが、使いこなせれば強力な魔法と思います」


 私が最近使えるようになった『クリムゾン・フレア』50階層の敵の群れに使ったら、大切なお肉を全て消し飛ばした恐ろしい魔法です。

 使った後は、久しぶりに倒れてしまって何も出来なかったけどね!

 新しい魔法が使えると思って、詠唱付きで全力でマナを籠めて使ったのがいけなかったのですが、普通に使えば消費はもっと抑えられるはずです。


「貴女が1発しか撃てない魔法ですか? 私から見ても貴女のマナは底無しかと思えるのですが……とても強力な魔法なのですね。情報程度でいただくわけには……」


「ただし条件があります。適性が有って習得が出来た場合は、誰にも教えないと約束して下さい。あくまでも本人だけの物にして下さい。まあ、ジークのおじいちゃんに使って欲しいのですけどね!」


「それは当然お約束致します。本当に宜しいのですか?」


「皆さんは信頼できると私は思っていますので、構いません。レイリアさんにも一つお渡しします」


 そう言って、もう一つスクロールに念じます。


「これは?」


「風魔術の範囲回復魔法です。アニスさん1人ではこの先大変かと思いますので、使って下さい。でも、どちらも適性が無かったら、諦めて下さいねー」


 私が使える風魔術の範囲魔法『ヒーリング・ウィンド』ですがいつもセリスが直ぐに治してくれるので、使った事がありません!

 シズクが自分の部下?の練習が終わった後に使っていたので効果だけは知っていますが、メンバー全員に掛かるのは便利らしいです。

 私は思うのですが、練習という名前のただのしごきにしか見えないし、皆さんはあんなボロボロになっているのに何故続けれるのでしょう?

 シズクの練習方法は、漫画の設定通りにやっていますから、あんなのただのいじめですよ。

 まったく、この世界にはマゾの人が多いですねー。


「回復魔法は助かります。あの子には結構な負担を掛けていましたので、私に適性があるように祈ります」


「成果がありましたら、またお話を聞かせて下さいね」


「その時は、またお招きしますが気軽に訪ねて来て下さいね」


 その後にレイリアさん達は戻って行きました。

 ここからはキャロの育成も兼ねて一気に60階層まで突破してしまいましょう。


 

 順調に56階層に着いたら、景色が氷の世界から雪の積もる森になりました。

 昔は、白い冷たいのが降っているとしか思っていませんでしたが、こうして見ると綺麗な景色ですね。

 しかし、こんなに積もっていたら、歩きにくいです。


「お姉様! 銀世界で綺麗ですよね!」


 シズクは、なんか喜んで踏み荒らしています

 うーん……綺麗な物を踏みつけるのが趣味なのでしょうか?

 

「お爺様の領地の森でしか見た事がありませんが、沢山積もっていますね」


 うん、エルナが見ていた時にその雪を冷たい水と思って食べていた頃が懐かしいです。


「済みません、シノア様。もしお持ちでしたら、何か穿くものを頂いても宜しいでしょうか? セリスさんの魔法で体は暖かいのですが直接触れている足がとても冷たいのです」


 確かに私も膝の辺りは冷たいのですね。

 しかし、私はそんな物は持ってきていないのでどうしましょうね?


「お姉様、ちょっと拠点を作って着替えましょうか? 実は、師匠に聞いていたので、代わりの服は作ってあるのです!」


「用意が良いですね。まともなのなんですよね?」


「自信作なので、きっと気に入ってもらえます!」


 シズクの自信作とか、一体なんの漫画のコスプレなのでしょうね?

 6人の戦隊物とかの予感が……。


「皆さん、とっても似合っていますよ!」


「これは……確かに完全防備ですが……少し動きにくいと思うのですが……」


「私は可愛くて良いと思いますよ?」


「私も可愛らしくて、暖かいと思います」


 エルナとキャロは喜んでいますがこれ、動物の着ぐるみですよね?

 私は、ペンギンとか言われている動物のようなのですが……なんかムカつくのです……。

 みんなは一応可愛いと言える部類なのですが、私のペンギンだけ足が短いし、これでどうやって武器を振り回せば良いのでしょうか?

 しかも、カミラだけは、なんかエロ可愛い格好をしています……すごくいじめたくなってきました。

 

「少し動きにくいかも知れませんが、意外と快適ですから悪く無いですね」


 まさかセリスが認めるとは思っていませんでした……熊という動物のイメージと思いますが、真面目な顔して着ているセリスがすごく笑えるので、耐えるのが大変です!

 私にはシズクの知識があるのでわかるのですが、こんな格好で歩いていたら目立つどころでは無いですよ?

 この世界では、この格好は受け入れられるのでしょうか?

 時々思うのですが、私の感性が実はおかしいのかと錯覚します……一応は、この世界の出身なのに異端者ではないのかと思えて来ます。

 それに……私は無駄にこの格好の真実を知っているので、楽しんだり出来ません……。


「シズクさん、とても暖かいのですが、これだと動きにくいので、別の物はないのでしょうか? それに……この手の格好には嫌な記憶が……」


 おや?

 兎のカミラはこの着ぐるみのコスプレを知っているみたいですが、どこでそんな知識を手に入れたのでしょうか?

 明らかに嫌そうな顔をしていますが、一応は着ているのね。

 この中で、一番まともそうな恰好をしているのに贅沢な事を言ってます。

 お屋敷の騎士団の人に見られたら、襲ってくれと言わんばかりですが。

 

「一応作ってありますが、まずはこれで行きましょう! ダメな時は次のを出します!」


「出来れば、私は次の物が……」


「次の階層に行くまで、絶対に出しません! せっかくのチャンスだから、着て欲しいのです!」


 この状況になるのを知っていて、色々と作っているに違いありません。

 普段だったら、こんなのは絶対に着ませんからね。

 他の冒険者に見られたら、違う意味で噂が流れそうです……。

 着ぐるみを着て戦う斬新な冒険者……うん、無理です。

 流石に私も耐えられません!

 これを選ぶぐらいなら、寒さに耐えた方がましですね。


「シズクに聞くけど、次の物は、どんな物なのですか?」


「お姉様が服装に興味を持つなんて珍しいですね! あとは……下着の上に着こむ薄いインナーなのですが保温の付与がしてあるので、暖かいですよ! それと組み合わせる為の衣装が……」


「では、そのインナーを出して下さい。組み合わせる物は要りません。着替えたら出発します」


「嫌です! まだこの着ぐるみを試して……」


「あっ、そうですかー。それでしたら、シズクのお願いが遠のくかも知れませんねー」


「私のお願い……もしかして! それは嫌です!」


「カミラも着ぐるみは嫌そうでしたから、私の意見に賛成ですよね?」


 めんどいので、ここでカミラに投げてしまいましょう。

 本人も嫌がっていたので、反対はしないでしょう。


「そうですね……申し訳ないのですが、私もシノアの意見に賛成です。それに私の恰好だけ暖かいというよりも……」


「これです! 師匠に聞いていたので、沢山作ってありますので、使って下さい! ただし、防御力の類は無いので、半分以上破れたりすると付与の効果が無くなってしまいますので、注意して下さい」


 カミラまで賛同したら、意見を変えましたね。

 セリスは、私に必ず従いますので、全員反対派になってしまいますからねー。

 余程眷属になりたいみたいです。


「これ可愛いのに着替えるのですか? 私は、このままでも良いのですよ?」


 しかし、エルナは気に入ってしまったようです。

 個人的には、こんなのを着て戦っている所を見たいのですが、世間の評価が恐ろしいです。

 (シズク、エルナをなんとか説得しないとダメですよ? 1人でも着ぐるみで外に出たら、眷属になれないと思って下さい)

 (やっぱりお願いの件はそれでしたのですね! 直ぐに説得します! ですから、必ず眷属にして下さいよ?)

 (さあ? それは、シズクがノアに会った時にお願いする事ですから、そこまでは、責任が持てませんねー)

 (なんか納得出来ないのですが……マイナス要因だけは、避けたいので仕方ありません……この着ぐるみには、衝撃を吸収する付与がしてあるので、多少のダメージなら、ほとんど無効に出来るのに残念です)

 はぁ……こんなネタみたいな物にそんな能力があるとか、世間の鎧に謝って下さい!

 この際はっきりと言いますが、こんなふざけた着ぐるみが騎士団の人の鎧より高性能とかおかしいでしょ?

 防具を作っている職人のおっちゃん達が知ったら、きっと泣くよ!


「エルナお姉ちゃん、よく考えたら、防御面の対策を忘れてしまったので、流石に戦闘は無理ですから、申し訳ないのですが着替えて下さい。ちょっと残念なのですが……」


「そうなのですか? 残念ですが諦めますね。それにしてもカミラも反対するなんて、こんなに可愛いのにどんな嫌な思い出があるのですか?」


「それは言えませんが一生語りたくない事が有ったのですよ……」


 シズクのお披露目は初めてなので、夢の中でノアに着せられて何かされたのでしょうね。

 そして、下に着こむと暖かいインナーも薄っぺらいのに快適ですね。

 もし王都にも雪とか降るのでしたら、これを販売したら儲かりますよー。



 準備完了してから、しばらく進むと魔物が動物系になりましたね。

 先ほどの階層までは氷の塊ばっかしだったので、目の前の白い狼がお肉に見えます!

 ホワイト・ファングとかいう狼の群れなのですが、数もそこそこで現れるし魔法も使ってきますので、地味に脅威です。

 シズクは苦も無く倒して行きますが、エルナは囲まれると魔法をもらって苦戦しています。

 よーく見ていると陣形を組んで、動きに慣れてないエルナを集中攻撃してきます。

 魔法も『アイス・ジャベリン』の氷の槍で、攻撃を仕掛けている仲間の援護で使ってくるので意外と賢いです。

 私のシールドを魔法防御に回しているのですが、3発も受けると消えてしまうので、まともに受けたらかなり威力がありそうです。

 セリスにも攻撃に回ってもらったら、シズクと同じように戦えていますので、私が3人の防御をしていますが、普通に戦いながら6枚の盾で魔法の槍を防御するのは結構きついです。

 魔力感知でマナの流れがわからなかったら盾を誘導できないし、自分の動きに偏るとカミラ達が守れないので、完全に独立した思考が更に欲しい所です。

 取り敢えずは、魔法だけを防ぐ事に専念しながら、カミラとキャロを守るのが私の限界のようです。

 なんとか殲滅出来ましたが、初見からこれではちょっとまずいですね。


「エルナ、大丈夫ですか? 結構攻撃を受けていたみたいですが……」


「シノアが魔法だけは受けてくれたので、多少噛まれたぐらいで済んでいます。それにセリスさんが直ぐに癒してくれるので、問題はありませんよ?」


「無理はしないで下さいね? それにしても数で連携して攻撃して来ると厄介ですね」


 不本意ですが範囲魔法で一掃しながら進んでしまいましょうか?

 私がそれをやってしまうとみんなが成長出来ないので、極力避けたいのです。

 キャロに撃たせても良いのですが、先ほどの狼にほとんど回避されてしまったのですよねー。


「シノア、数が多い場合だけ範囲魔法で数を減らしてはどうでしょうか? もしくは、雷撃の魔法で弱らせるなどをするのはどうでしょうか?」


 麻痺させてしまえばキャロにも当てるがも出来ますので、私は倒してしまうよりも足止めとか弱らせる事に専念しますか。


「そうですね。私が魔物の戦闘能力を落とせばキャロも確実に倒せますね」


「あの……シノア様。先ほどは、ほとんど避けられてしまって、動揺していましたが、次からは確実に倒す方法で戦いますので、私の事は気にせずに戦って下さい」


 キャロは、今まで言われた通りにしか行動しなかったのに、何か考えがあるみたいですね。

 渡した書物が何か参考になったのかも知れませんね。


「わかりました。私も前衛として戦いますので、セリスはキャロとカミラの護衛とみんなの支援をお願いします。数が多いと判断した時は、私も魔法で殲滅するつもりで動きます。安全面が優先ですからね」


「エルナお姉ちゃんを盾にして、私とお姉様で処理してしまえば問題有りませんよ!」


「私を盾にですか? まあ、2人みたいに素早い攻撃は出来ませんから間違ってはいませんが、私にも速度増加の魔法を掛けて欲しいですね」


 エルナが何か言ってますが、聞かなかった事にして、無視しましょう。

 普段から、エルナを強化すると調子に乗るから使ってないのです。

 この中で1人だけ痛覚遮断など持っているのですから、盾役に最適では?

 まあ、盾なんか持っていないけどね!

 私がコツコツと作り出しているオリハルコンを補修に少しですが混ぜているので、その辺の盾より強度があるし、大剣だから幅の広い長い盾と思えば良いのですよ。

 特殊攻撃がしたいとか贅沢な事を言っていますが、考えてみるとあの大剣が一番進化しているのですよね。

 極力素の力で倒せるに越した事はないですが、そろそろ相手が楽に倒せなくなってきました。



 その後は、特に苦労する事なく進めたので、防御とか全体のサポートはセリスに任せるのが楽だと感じました。

 キャロの方は、一体づつを『アース・バインド』で動きを阻害してから、『アース・スパイク』で串刺しにするとか、確実な方法で倒しています。

 これ、対人戦だったら、動けなくした所に足元から串刺しとか結構酷いですよね。

 私は、『グラビティ・マイン』という魔法を試しているのですが、これが中々使えます。

 使用すると私の周りに8つの黒い球体が現れるのですが、これに敵が触れると少しの間だけ相手を地面に押しつぶす効果があるので、とても攻撃がしやすいです。

 しかも速度は速くはないのですが、飛ばす事も可能なので、中々優秀です。

 以前に試した『グラビィティ・カノン』を使っても良いのですけど、あれは発生してから着弾するまでが遅いので動かない相手にしか使えません。

 あとは、イエティとかいう猿の魔物が混じって来るのですが、こいつがムカつくのです。

 単体なら、大した敵ではないのですが、集団になると雪の球を投げまくって来ます。石が入っている物や氷の塊にまで圧縮している物を混ぜて投げて来るので、ちょっと痛いのです。それで痛がると、なんか馬鹿にしたように笑っているのか喜んでいるのです。

 かと言って、接近されて殴られると、私は普通に吹っ飛ばされます!

 お腹を殴られた時は、血を吐くほどに滅茶苦茶に痛いです!

 何故か、顔だけは手加減してビンタをして来るので、さらにムカつきます!

 エルナは、ビンタされたら、キレてしまって、あいつらを見ると目つきが変わって容赦なく攻撃しています。

 しかも、次の階層に進む毎に雪が多く降ってくるのです。59階層に着くと吹雪ですよ……これ進むの最悪ですよ。

 特に強敵なのが、たまに現れるフロスト・サラマンダーとかいう上半身が大型のリザードマンで、下半身が氷の蛇です。

 攻撃も持っている三又の槍で突いて来るのですが、蜥蜴もどきの癖に技量が高いです。

 一度、シールドを突き破って、腹部を貫通した時はやばかったです。

 それに加えて『アイシクル・ニードル』なる範囲魔法を使ってくるので、それほどの威力は無いのですが、氷の矢が複数飛んでくるので処理しきれないと時があるのです。

 耐久力も高いので、結構攻撃しないと倒せなくて、こいつが複数で来たらやばい気がします。

 60階層になると洞窟になったので、吹雪はなくなったけどやたらとトラップが増えて、酷い目に遭いました。

 何とかボスの扉の前まで来たので、休憩してから挑みたいと思いますが、私達の相手はどんな相手になるのでしょうね?


 

 取り敢えず扉の前の一部にストーン・ウォールで拠点を作りましたが、ここは一応は安全地帯なので助かります。

 もし、他の冒険者が来てもただの壁に見えるので問題無いでしょう。

 洞窟の中なので、いつもみたいに建物を作るのは無理ですからね。

 狼は普通に焼き肉に適していましたが、意外だったのは、あのムカつく猿の肉が美味しかった事です。

 シズクが煮込む料理用の野菜を用意していたので、鍋で煮込むと柔らかくて美味しいのです。

 どうもギムさんに色々と聞いて、食材の方も準備していたみたいです。

 逆に、苦労した蜥蜴の方が固くて不味いので、素材としての価値しかありません。


 

 十分にみんなを休ませてから、翌朝に準備が出来たら、全員に強化を掛けて扉を開けると……。

 気のせいでしょうか?

 大きなドラゴンがいますよ!

 しかも、フロスト・サラマンダーを3体も従えています!


「我と遭遇するとはかなりの実力者と見たが、僅か6人でここに繋がったのは300年振りだな」


 ちょっと、このドラゴンは喋って来ますよ!

 能力とか見れるかな?



 名称:カリム


 種族:氷龍


 レベル:148


 技能:コールド・ブレス 中級水魔術 中級聖魔術 中級風耐性 最上級水耐性 初級魔術完全無効 威圧 硬化


 固有能力:

 


 このダンジョンで初めて、レベル100以上とか見ましたよ!

 フロスト・サラマンダーのレベルが70でも高いと思っていたのに、これで同時に来られたら普通に来た冒険者は全滅しますよ!

 いきなり襲ってこないので助かりますが、取り敢えず話でもしてみますか。


「貴方は会話が出来るみたいなのですが、ここのボスという事で宜しいのでしょうか?」


「うむ、一応任されておるので間違いないの」


 なんか話のわかる、おっちゃんの感じがしますよ。


「先ほど、300年振りに繋がったと言っていましたが、宜しければ教えてもらえますか?」


「普通なら、息巻いて攻撃を仕掛けて来るのに面白い娘だ。しかもよく見れば、同じような年齢の娘ばかりではないか。最近の人間の男達は軟弱にでもなったのか?」


「それで、質問には答えてくれるのでしょうか?」


「構わんがここはアストレイアのダンジョン創製の能力で作り出した時戻しの間なのだよ。扉を通過した者達と同等の実力者と遭遇する仕組みになっておるぞ」


「そうなると私達の実力は、貴方達の組み合わせと同じという事なのですか?」


「其方らの実力は、我より強そうなので同等とは言えんと思うが、この階層の最大なのが我らなだけなので、勘違いしない方が良いぞ?」


 ドラゴンのおっちゃんから、私の方が強いと言われましたよ!

 私の方がレベルが負けているのにね。


「呼び捨てにしていましたが、貴方はアストレイアに生み出された存在ではないのですか?」


「我は元々はこの地に居た龍種に過ぎんよ。安住の地を失った時にダンジョンの門番を引き受ける代わりにそれぞれが住みやすい空間を得ただけなので、我のように人語を解する者は他にも存在しておる」


 きっと安住の地とかいうのは、エレーンさんが食欲を満たす為に滅ぼしたに違いありません。

 この大陸は狩りつくしたとか言ってましたからねー。


「では、時戻しの間とは、何なのでしょう?」


「ここで、我がお前達に殺されてしまっても其方らがここを去ると戦う前に時間が戻る仕組みになっているのだ。戦った記憶はそのままなので、死んだ事だけが巻き戻る便利な空間なのだ。遠慮無く戦えるが、其方らには適用されないので、注意する事だ」


 記憶はそのままで、死んだ事だけ巻き戻すとか破格の能力ですよね。


「質問が終わったのなら、そろそろ戦闘を開始しょうと思うが。久しぶりに戦闘などするが簡単には勝たせぬぞ? そこの3体の者達も外に居た複製とは違うので、油断せぬ事だ」


 よく見れば、この3体だけは、理性的な目をしていますので、同じと思っていたら、負けそうですね。


「では、勝って通させてもらいますよ!」


 私の言葉と同時にシズクが仕掛けますがサラマンダーがシズクの攻撃を見切って受け止めています!

 私でも見えないのにちょっとまずい予感がします。

 

「私の初撃の太刀を防がれたのは、初めてです! 久しぶりに強敵なのでワクワクします!」


 私とシズクとエルナで1体づつ受け持つとして、キャロとカミラでドラゴンのおっちゃんに攻撃を仕掛けていますが、シールドの魔法で完全に防御しているし、カミラの魔弾が防がれるのは驚きです。

 セリスの方は、2人を防御魔法で範囲魔法から防ぐのとエルナの回復で手いっぱいのようです。

 シズクは優勢に戦っていますがエルナはちょっと押され気味なので、セリスが常に回復していないとまずそうです。

 私もちょっと優勢に戦えていますが『ヘキサグラム・シールド』を展開しながらじゃないとまともに戦えないぐらいに強いです。

 外にいた複製と違うと言っていたので、『グラビティ・マイン』を使うと『アイス・ジャベリン』でしっかりと相殺してくるので、速さに欠けるこの魔法は通用しません。

 サラマンダーをもう少しで倒せそうになると、ドラゴンのおっちゃんが回復魔法で癒してしまうので、厄介です。

 さらに厄介なのが連続では使えないようなのですが、コールド・ブレスが恐ろしい攻撃です。

 私の『ストーン・ウォール』で直撃は避けていますが、触れると完全に凍ってしまうのです。凍った腕をエルナにばれないように再生しましたが、シズク達がもらったら死亡してしまうのではないでしょうか?

 ドラゴンのおっちゃんのマナがわかるぐらいに減るので、マナで上乗せして使っているのでしょうね。

 シズクが最初にサラマンダーを1体倒したので、そのままドラゴンのおっちゃんに攻撃を仕掛けています。防御魔法を重ねがけしているみたいなので、刀の威力が半減されているみたいだし、直ぐに回復してしまうので、オートヒーリングのような魔法でも使っているのでしょうか?

 私も何とか倒したので、エルナの援護に回ろうとしたら。


「2人が倒したのだから、私も必ず倒しますので、シノアはドラゴンを攻撃して下さい」


 とか、言うので任せていますがセリスが見ているのでお任せしました。

 片腕を落とす事に成功しているので、このまま行けば押し切れるでしょう。

 でも、ドラゴンのおっちゃんの防御力が結構厚いので、有効な攻撃が無いのですよね。

 防御に徹しているので動かないから、当たるかわからないけど試してみようかな?


「ちょっと、使いたい魔法があるので、範囲魔法などで、ドラゴンの注意を引いていてくれますか? シズクも巻き込まれると大変なので、魔法に切り替えて欲しいのです」


「新しい魔法ですか? でしたら、私も魔法に切り替えますので、お任せください! 忍法真空槍撃刃!」


 また意味のわからない事を言っていますが、『エアリアル・ニードル』の魔法です。

 威力と数はそこそこですが、シズクの場合は連続で行使出来るので、下手すると私より手数が多いのですよね。

 カミラも頭部を集中して攻撃しているので、防御のシールドが頭部に集中しているみたいです。キャロの『アース・スパイク』が防御を越えて足元にダメージを与えているみたいです。

 では、動けないみたいなので、押しつぶしてみましょう!


「星の戒めよ かの地の縛りを解き地に返さん グラビティ・カノン!」


 別に新しい魔法とは言っていませんが、カミラ以外は初めて見せるので、一応新しい魔法かな?

 今回は、マナもしっかりと籠めたので、相手の頭上に大きな球体が発生しました。落ちるのが遅いのが欠点ですが、みんなが攻撃していて動けないので着弾しました。もの凄い勢いで潰されていきます!

 何とか体をずらしたみたいですが、半身をごっそりと潰されてしまってます。再生が無いので、流石にこれは回復出来ないと思います。


「まさか、重力魔術の使い手がまだ居たとはな……」


 このおっちゃんは、重力魔術を知っているみたいです。

 もう抵抗もしないので、どうも諦めたみたいです。

 エルナの方も勝負が付いたみたいで、倒した後に倒れ込んでいます。


「この魔法の使い手は私ともう1人しか居ないと聞いていますが、知っているのですか?」


「我の故郷を滅ぼした魔術だからな。よく見れば、其方と同じ銀色の髪の魔女だった記憶があるが、其方はその魔女の身内なのか?」


「私に身内は居ませんが、私と同じ髪の魔女ですか……」


「無表情で、我らを尽く狩りつくした魔女と記憶しておる。2000年以上も前の事なので、人間ならば生きてはいないが、使徒ならばまだ生きているやも知れんな」


 何となく、アルちゃんを連想するのですが、まさかね……。


「さて、我に止めを刺して、進むと良い。我らの遺体も持って行けるのなら持っていった方が素材として有効なはず」


 こんなフレンドリーに話している相手を殺すのは気が進まないですね。


「勝負が付いているのでしたら、あちらの扉は開けないのですか? それに遺体とか持っていったら蘇生出来るのですか?」


「我が死んだと認識されないと開く事は出来んし、魂以外は巻き戻るので、この体は無意味に消えるだけだ。其方らには価値があると聞いているので、勿体ないぞ?」


 やけに割り切っていますね。


「では、不本意ですが、止めを刺させていただきますね」


「久しぶりに楽しめたので、遠慮はいらんよ。それに我で作った物が其方らの力になるのなら、それも面白い」


「色々な情報をありがとうございました。それでは、おやすみなさい」


 そのまま首を斬らせてもらいましたら、マナがほとんど回復しました。

 まだブレスを最後に放つ事も出来たと思うのですが、おっちゃんの好意に甘えましょうか。

 転移の登録をしたら、一旦戻る事にしましょう。



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