45 彼女の受難(表)
「それで、そのお嬢ちゃんも眷属の仲間入りをした訳だ」
お屋敷に帰ってから、エルナに分身体を抱き枕にさせた後にいつもの工房に集まっています。
ギムさんとは、情報を共有しておいた方が何かと良いと思ったのです。
さっきまでシズクがうるさかったので、今はお薬で無理やり寝かせておきました。
ここに来るなり最初の台詞が……。
「私が次の眷属になる約束でしたのに、どうしてカミラお姉ちゃんなのですか? お姉様、約束が違います!」
そんな約束はしていません!
カミラには余計な事を言わないように言っていますが、困っていますね。
「あの時は、これしか方法が無かったですし、そんな約束はしていませんよ?」
「では、私もいま眷属にして下さい! カミラお姉ちゃんがなれたのですから、出来ますよね?」
「私には無理です。ノアにお願いしたのですから……」
「でしたら、ノアさんにお願いしますので、会わせて下さい!」
「いまは、無理です。ノアと入れ替わるには対価が必要なのですが、私にはその対価がわかりませんし……とにかくいまは無理なので、諦めてね?」
「その対価とは、何のでしょう……ノアさんと会っているカミラお姉ちゃんなら知っているのではないですか?」
「わ、私は……知りませんよ……」
ん?
何か知っているような口ぶりですね?
もしかして、ノアに聞いたか聞かされたのかな?
「カミラお姉ちゃんは知っていますね? カミラお姉ちゃんは嘘が吐けないので直ぐに顔にでますからね」
「シズク、もう遅いから、貴女は寝なさい!」
「嫌です! カミラお姉ちゃんから聞き出すまでは寝ません!」
「では、これを飲んで今の話は、忘れて寝て下さい」
「それ飲んだら、もう起きていられないのに! 体が勝手に飲ませようと……もう何も考えられない……私は絶対に諦めませんから……zzz」
初めから、こうしておけば良かったのですが、明日はどうやって誤魔化しましょうね。
静かになったので、話を戻すと。
「ノアの警告を守っていれば良かったのですが……それだとユリウス達を見殺しにしてしまう事になりますので、私だけ行くべきでした……夜に探索した時は魔物なんていなかったので連れ戻すだけで良いと思っていたから……」
「カミラの嬢ちゃんよ、後悔とかあるのか?」
「シノア……私は貴女に恩を感じているので、そのように自分を責めないで下さい。死んでしまった私を生き返らせただけでなく過剰な力までいただいているのですから、感謝しかありません」
「シノア様、カミラさんの言う通りあまりご自分を責める事はお止め下さい。シノア様は生きて人生をまっとうする事に拘っているようですが、私を救って下さったのは確かなのです」
「ごめんなさい……2人が心から思ってくれているのは、わかるのですが……」
2人から読み取れる感情で本心から言ってくれているのはわかっているのです。
ノアの話を聞いてから私は不安になってしまったのですよ……私の心が……染まり易いと言う事なら、負の感情に染まった時の私はどうなってしまうのでしょう?
「死んだ私が生き返ったのも貴女が死の淵から生まれ変わったのも状況は変わらないのですから、気にする必要はありません」
「どうして、カミラがその事を知っているのですか!?」
「あっ……の、ノアさんに聞いたから……」
「先ほどもノアに対する対価を知っている感じでしたね……何か私の知らない事も知っていますね?」
「ちょっと夢の中で、見たのではなく……何となくです……」
残念ながら、カミラの心は乱れまくって誤魔化そうとしています。
こういう時は便利なのですよね。
そう言えば、能力を見ていなかったので、ちょっと見て見ましょう……えっ……大幅に固有能力が増えています。
それにこれは……。
「カミラに翡翠眼がある! 他にも知らない能力が増えていますね……この記録というのがすごく怪しいですね……」
「鑑定偽装をしているのに何で見えるの!? いまの私は、海に行く前の能力にしてあるはずなのですが?」
「そんな技能も増えてますが、私には鑑定を妨害する技能は無効なのです。お姉ちゃんから教えてもらったのですが、私の魔眼は全てを見通すそうです」
「貴女は、そんな能力があるのですか!?」
「翡翠眼があるのなら、他の人の能力も見れるはずだよ? 私を見て見たら?」
「この目は鑑定の力もあるのですか? それじゃ……ちょっと見させてもらいますね」
そう言うとカミラの瞳が翡翠色に変わると私を見ていますが、こうして見ていると綺麗な目ですね。
昔の私の瞳も同じ色をしていたのですね。
「見れませんが……もっとマナを集中しないといけないのかしら?」
「あっ、もしかしたらこの指輪かも? これでどう?」
名称:シノア
種族:見た目は人
年齢:不要
職業:不要
レベル:65(+800)
技能:初級槍術 初級体術 初級精霊魔術 上級火魔術 中級水魔術 中級風魔術 中級級土魔術 中級雷魔術 初級聖魔術 初級闇魔術 初級重力魔術 転移魔術 中級錬金術 最上級誓約魔術 初級武器創製 中級料理人 鑑定 気配感知 危険感知 並列思考 魔術並列起動 魔力索敵 魔力操作 魔力感知 魔力管理
固有能力:精霊の加護 紅玉の魔眼 反転 吸収 英霊召喚 次元収納 ?の加護 ?の使徒 眷属召喚
「見えたけど……貴女の能力って、異常ですよ! 色々な魔術が使えるとは思っていたけど、私の知る限りほとんど使えますよね……」
「色々と使えるけど、あるだけで機能していない物もあるので半端なんですよねー。だから、魔術なんてマナを籠めて、詠唱付けないとあの威力が出せないのです。あとイメージも大事ですねー」
「レベルが(+800)とは、何なのですか?」
「あー、それはもらったんだけど使えない力ですねー。ドラゴンの使徒を倒したから100増えたけど、またしても使えないのですよ」
「ふむ。使徒の力を奪ったのに使えないとは、どうなっているんだろうな?」
ギムのおっちゃんが酔っ払いから、覚醒して、考え込んでいます。
そのまま、答えを出してくれると私は、明日から100階層まで、突破出来ると思うのですが。
「セリスの時もいくつか増えたけど、カミラは違う物が増えたんだね」
なんかカミラが難しい顔して、悩んでますがどうしたのでしょう?
「シノア……この増えた固有能力は、実は貴女の物なのです」
「えっ!?」
「貴女が保有しているか習得する物をノアさんが私に譲ったそうなのです。技能は複製できるけど固有能力は与えると貴女から無くなってしまうそうです」
「私にそんなに能力が眠っているのですか? でも翡翠眼は、無用だからと言って女神様が消してしまったと思っていたのですが持ってはいたのですね」
「本人に素質があるものは覚醒させる事が出来るのらしいですが、私は完全にシノアから移植された物になります」
「ふーん。じゃ、レベルが一気に私と同じなのはどうしてなのですか?」
「それは……知らない方が良いと思いますが……」
「私に内緒ですか……これはカミラにお仕置きをしなくてはいけないみたいですね……何がいいですか?」
「止めて下さい! レベルについては、教えられますが教えられない事もあるのです。これは本当なので信じて下さい!」
「ふーん。じゃ、どうして私の知らない事も知っているのですか? しかも、私の過去も知っているみたいなのですが、それは言えますか?」
「まずは、?の記録というのは、シノアと接触している状態で眠ると夢の中でノアさんに会う事が出来る能力だったのです。色々と試してみたのですが、どうしてもわからなくて諦めていたら……シノアが私に寝る時に色々とするから、そのまま触れ合った状態で眠った時にわかったのです」
「それで?」
「夢の中で、ノアさんに質問をすると答えてくれたり、貴女の過去も見せてくれたのです。知ってしまった事は、申し訳ないとは思っています」
私が夢の中で、いくら呼んでも現れてくれないのに、カミラの方にはいたのですね。
しかも、私が施設から脱走してから生まれ変わった事まで教えているみたいです。
「では、私とエルナの関係も理解しましたね? 私は貴族などではありません。平民どころか実験の為に生み出された存在です。学園の皆さんを騙しているとも言えますね」
「それでしたら、私など妾の娘で、卒業後は身売りが決定していたのですから、貴族とは名ばかりです。最初に迷惑を掛けた私をエルナ様の近くに居れるようにしてくれて、私に希望をくれた貴女は私の大切な友達です。いまは貴女に命まで救ってもらった大切な恩人です」
「私の事を思ってくれてありがとうね。ノアからどこまで聞いているかわかりませんが、私は他人の感情を読む……いえ、吸収しているので、嘘や本音が見分けられるのです」
「ええ、知っています。ノアさんから、とても大事な事と聞いています。詳しくは言えないのですが……」
「カミラは私の事をどこまで知っているのですか? ノアは私には最低限の事しか教えてくれないのですが、エレーンさんが言うには私にも役割があると予想しています」
「いまは、話す事が出来ないのですが、貴女には大事な役割があります。貴女がこの世界を知った時に貴女の役割が明確になるのです」
女神様がこの世界の行く末を見るが良いと言ったのは、そういう事だったのですね。
どうもカミラは、知っているみたいですが……なんとか聞き出したいです。お姉ちゃんと同じで制限が掛けられていると思うし、カミラは地味に頭が回るけど、上手く誘導すれば自爆するはずです。
私は、教えてくれないとか言われても黙って従いませんよー。
お姉ちゃんやノアは無理だけど、カミラなら私が主なんだし、何とか聞き出したいですね。
「しかし、ノアはカミラには色々と教えているのですか……私も知りたいなー」
「ええっと……貴女の眷属になった夜から、毎晩必ずお話を色々と聞いていますので……この国の本当の歴史なども知ってしまいました……」
「そんな事まで知っているのですか? では、私が読んだ書物以上の事も知っていそうですね。歴史については話す事は出来ますか?」
「まだこの国の少し前の事しか聞いていませんけど、残念ですが言えません。貴女の子守り……サポートする為に知っておいた方が良いとの事で教えてもらっていますが……私の今までの考えというか幻想はことごとく打ち砕かれました」
しっかりと子守りとか言っています!
これは、絶対にお仕置きをしなくてはいけませんね!
シズクと違って思考は読めないのですが、私は眷属の体に干渉する事が出来る事を忘れてますね。
「わかりました。私の子守りをするカミラには頑張ってもらう為に、私からささやかな命令を永続させてあげますからね!」
「何をさせる気なのですか! 子守りでは無くサポートですよ!」
「しっかりと子守りって、言ったよね? 大丈夫です! カミラはこれまで通りにお漏らしが可能になります! 私の役目とやらが確定するまでは、絶対に治りません!」
「取り消して下さい! 粗相をしなくなって、喜んでいたのに酷すぎます! 体調に関しては、貴女の言葉は絶対なのですよ!」
「私の質問に全て素直に答えてくれた解除しても良いよ?」
「無理です……私にはどうする事も出来ないので……いいです……今晩にでもノアさんに相談します……」
さっき、私の言葉は絶対と言っていたので、相談しても無駄ですよね!
お漏らしをしないカミラは楽しくないので、これは必須ですよねー。
もし、私にカミラの職業を付ける事が出来るのでしたら……お漏らし参謀と付けてあげますからね!
「で、いつになったら、元の話に戻るんじゃ? 嬢ちゃんの粗相の話が続くのなら、わしは飲んで寝るかな」
ギムさんは、この手の話には興味無いですからね。
酔っぱらうより、面白いと思うけどね!
「それでは、聞きますが私の状態で眷属を作る事は出来るのですか?」
「それは、出来ます。シノアが直接作り出した方が貴女の影響を受けやすくなります。私とセリスさんはノアさんの影響が大きいのです」
「影響ですか?」
「そうです。私とセリスさんは、貴女と接触していない期間が長くなるとノアさんに近い思考になって行くので、主たるシノアだけを優先する考えになります」
「なるほど……それなら、セリスの行動が納得出来ましたが私が作った場合の影響はどうなるのでしょうか?」
「貴女がその人に対して思っている状況が維持されますので、貴女の思考が変わらない限りは変化しません」
「では、どうやって作り出すのでしょう? カミラの推測した通りでしたら、私はあと6人作る事が出来ますが?」
「いまの貴女では、出来ません。私が認めた場合だけ可能になるそうですが、その時にならないと教える事が出来ません。そして、1枠だけは絶対に残さなければいけないので、可能なのは5人だけになります」
「そうなると5人は不老不死になれると言う訳だな」
ギムさんは、真面目な話には喰い付いて来ましたね。
「ギムさんも不老不死になりたいですか?」
「ん? わしは、いらんぞ。わしは、お前さんがいずれ作り出す最高の武器が見たいだけだからな。あとは、最高に美味い酒が手に入れば言う事はないな」
「私にそんなすごい物が作れるのかな? ノアの方が作れそうなんですけど!」
「ノアがお前さんなら、いずれ作れると言ったのだから、間違いはないだろう」
「ですが以前に作ってもらった物はすごいと思うのですが?」
色々と問題はあるけど、あんなすごいの作れるのかな?
いまの状態でも、私が使えばペナルティが無いから、無双出来そうなんですけどねー。
「あれな……試したのだがわしが使うには欠陥品なんだよな。確かにどんな強固な物でも破壊出来るのだが破壊する強度に比例して、わしの体力というか生命力が激しく失われるので、普段から使っていたら、先にわしが死ぬな」
「そんなに消耗するのですか?」
「集団戦などで、使っていたら確実に死ぬぞ。わし以外が持ったら魂が砕かれるとかいう呪い付きだしな……」
「でも、私とセリスとカミラなら、例外ですよね?」
「セリスには、試してもらったんだが持てるだけで、武器としては何の力も発揮しないので、意味が無いな」
「それは私の眷属である事が前提の武器ですね……」
「そうなんだが。恐らくそれでも体力やマナが激しく消耗していくと思う。確かお前さんはマナが無くなると動けなくなるんだったよな?」
「はい……完全に無くなると指一本動けなくなるので、森に居た時は、意識はあるのに魔物に食べられるという体験を何度もしました。即死しないと全身が痛いのに意識を失う事が出来ないとか拷問ですよ!」
「想像するだけで、恐ろしい状態だな……戦場だったら、死なない程度に切り刻まれていると思うと、わしには耐えられんな……お前さん達には悪いんだが絶対に眷属にはなりたくないな」
痛覚無効とか無かったら、とても耐えられないと思いますよ。
有っても視覚が潰されてなければ、自分の体を切り刻まれる所を痛みに耐えながら見てるだけとか最悪ですね。
でも、ギムさんには確か有ったから、無敵の壁が出来ると思うけど、眷属になったら消されそうな技能ですよね?
痛みに関しては、エレーンさんでさえ何ともならないらしいから、無理でしょうね。
「あの……前にも聞きましたが……シノアはどうやって克服したのですか……私には耐えられる自信が無いのですが……」
カミラが怯えています。
未来の自分を想像しているのでしょうね。
私が命令が実行されているので、ちょっと漏らしていますよ!
「克服などしていませんので、今でも最悪です。殺され過ぎというか……あの森で半年ぐらいだと思いますが、生きたまま食べられる経験をすれば、慣れますよ? 痛がっていたら、もっとひどい目に遇うので、耐えて倒すしかないのですよ」
「そんな事に慣れたくありません!」
「でも、カミラは聖魔術が使えないから、怪我すると最悪かも? 私は、直接マナを流せば再生出来るし、セリスは自分で治療が出来るからね。セリスで実証済みだけど、私と違って自然治癒しないから、怪我とかは魔法で治療しないと絶対に治らないよ?」
「そんな事までセリスさんで試しているのですか! シノアって、鬼畜ですね……」
鬼畜……まさかカミラにまで言われるとはと……これは罪が重いですよね?
絶対にカミラのお漏らし属性は撤回しません!
もう永遠にお漏らしすると良いのですよ!
「ちょっと、この針をカミラの爪の間に刺してもいいかな?」
「嫌です! どうしてそんな事をするのですか!」
「いや、ちょっと身をもって体験してもらおうと思ってね。自然治癒しないのを実感してもらった方が早いと思ったのです」
「止めて下さい! もう海で散々体験しました! それでは、私は……少しの怪我でもしたら治らないのですね? もしかしなくても私が一番ペナルティが大きいですね……」
「それは大変ですね。私と同じ体験が近い内に出来ますねー」
「そんな体験はしたくありません! 今晩にでも、ノアさんに頼んで私に聖魔術が使えるようにお願いして見ます……可能だとしても、どんなお願いをされるのか怖いのですが……」
「ノアにはそんな事が出来るのですか? お願いとは何ですか?」
「お願いの方は、絶対に言えません。技能の方は、シノアが持っている物を複製する事が可能らしいのですが……私に少しでも適性が無ければ無理です」
もしかして……ノアの事だから、知識を教えるのにも何か対価をカミラに請求しているのかも知れませんね。
一体、夢の中で何をさせられているのかすごく知りたいですね。
「なるほど……そう言えば、セリスは眷属になる前から増えた物はいくつかあるのですか?」
「私の場合は、固有能力が無かったのですが5つも増えた事です。カミラさんのお話し通りですとシノア様からは、加護と眷属とは別に固有能力を3つ戴いた事になります」
収納以外は、いまだにどういう能力なのかわからないのですよね?
元々は私に眠っていた能力という事になりますが、収納の方は私が次元収納を獲得しているから、下位の能力なのでセリスに与えたのかな?
そうなると私の魔眼の方がカミラに与えた翡翠眼よりも上位の能力になるのですね。
しかし、私にはいくつ能力が眠っているのでしょうか?
普通に考えても多すぎると思うのですが?
私の元になった種族の特性を全て持っているとしたら?
「カミラにお願いがあるんだけど、私とセリスには不明な能力があるんで、出来れば聞いておいて欲しいのです。それで、答えられるのでしたら後ほど教えて下さい」
「……適性が無かったら私は……」
「カミラ?」
「はい! 何ですか?」
先ほどの怪我の件で、かなり考え込んでますね。
自分で治せなかったら、誰かに治してもらうまでは、ずっと痛みが続くとか最悪ですからねー。
今まで、大きな怪我とかしてこなかったから、海でボロボロにされた時は、私が治すまでずっと泣いていましたからね。
「私とセリスの能力をノアに聞いておいて下さい。答えられる範囲でしたら、教えてくれれば良いですから」
「わかりましたが、知っていると思っていました。セリスさんの方は……少し見難いのですが加護を除けば不明なのは2つですね」
「忘れてましたがセリスの首に付けているチョーカーが鑑定阻害のアイテムなのにわかるのですか? そうなるとカミラと同等の見る目があれば、セリスの正体がわかるということですね?」
「かなりマナを籠めて見ないとわからなかったのはそういうことでしたか。セリスさんにも私と同じ鑑定偽装の技能をもらっておいた方が良いかもしれませんね。シノアもですが」
「セリスには付けてくれるかも知れないけど、私にはくれない予感がします……何となくですが今もこのやり取りを見ていると思いますが、私が困った方が楽しいと思っているはずです……」
「そうなのですか? 言い難いのですが……あの見た目というのは非常に怪しすぎるので……」
「カミラもそう思うよね! 不要もだけど見た目は人とか、怪しさ大爆発ですよ! でも……これを決めたのは女神様なので、会う事が出来れば何とかしてもらえるかも知れないけど……その時には私の職業が絶対に変なのにされてしまうと思うのですよ!」
「シノアの女神様に会えるのですか?」
「私は最初に会ったきりなのですが、エレーンさんはたまに会うそうなのです……エレーンさんのように道楽者とか付けられたら最悪なんですよね。いまの私に付けるとしたら……食道楽とか怠け者などの痛い職業にされそうな気がします」
「シノア……自分の事が良くわかっていますね。そう思うのでしたら、もう少し改善した方が良いと思いますよ?」
……カミラって、注意してるつもりで、自爆してるのに気づいていませんね?
「カミラも私をそう思っていた事が改めて良くわかりました! お漏らしとは別に何かお仕置きを近い内にしますので覚悟していて下さい!」
「そっ、そんなつもりで言ったのではないので、許して下さい!」
「ダメです! 私は傷つきましたよ! カミラにまで言われるなんてショックです……」
「本当にごめんなさい。貴女を傷付けるつもりなんて……」
別に傷ついていないけどね!
もう、私は面白ければいいんですよ!
「でも、本当はそう思っているよね? 正直に答えてくれたら、今回は不問にするけど……」
「本当にお仕置きは、無しにしてくれますか? それなら答えますけど少しは気にした方が良いとは思っていました……」
「はい、確定しました! 取り敢えず、これからベットの中で私に抵抗する事を禁じます!」
「そんな! 約束が違うではありませんか!」
「はい、もうこの件に関しては、私に質問や反論も禁止しますー」
私に何か言いたいみたいですが喋れないようです。
なんか怒っていますが、アイリ先生に続いて楽しい事が出来そうなので、これからもカミラの事は大事にしますよ!
大変な事をしてしまったと思っていましたが、ここは考え方を切り替えてしまいましょう。
ノアに頼まれたとはいえ、私の子守り役とかなんですから、私も楽しむ事にしました!
「この辺で、話を戻すけど、なぜ1枠だけは、残さなければいけないの?」
「うぅ……私はどうなってしまうのかしら……それは言えませんが、本来でしたら作らない方が良いのです」
カミラの考え方がノア寄りになってますね。
一応は作る気はないのですが、作った方が即戦力になるよね?
普通に分身体を作ると弱いからねー。
「他には何を聞いているのと質問をしたいけど、どうせ制限が掛けられているからダメでしょうね……改めて聞きますがカミラのレベルが私と同じになった理由は言えますか?」
「私も気になったので、それは聞きましたので知っていますし、一応答えられます。でも、シノアは知らない方が良いと思うのですが……」
「気になるので知りたいのですが……構いませんので、教えて下さい」
「それでは言いますがこの体はシノアの分身体の枠を使っていると言いましたよね? なので、体に関しては、貴女と私は同一人物という事になるのです。だから体に対する命令だけはシノアの意思が最優先されるのです……だから先ほどの私に対する体調に関する指示は絶対なのです……取り消して欲しい……」
「それだったら、私の成長度もコントロール出来そうと思うのですが?」
「それは、わかりませんが魂の情報が最優先されるそうです。はっきりと言ってしまうと私の体はもうありませんので、魂だけの存在なのです」
「えっ!?」
「この体は、シノアが本来一つだけ分身体を作った場合の状態に魂の情報だけ書き換えた物なので、同じレベルを維持しているのです。いまの貴女がレベルダウンした分身体しか作れないのは、泉に残している3体が維持されたままだからなのです」
「じゃ、セリスがもういるから、カミラの場合は少し下がるのでは?」
「貴女が眷属を作った時点で、枠の最大数が初期化されるそうなので、私とセリスさんは現状の貴女と同じ状態になるのです。なので、近い内にその泉に回収をしに行く事をお勧めします。そうすれば、1体でしたら自分と同レベルで作れるので、かなりの強みになります」
「それじゃ……カミラやセリスの本来の体はどうなってしまったの?」
「貴女に同化して取り込まれています……ですから、貴女が存在を維持出来なくなったりすると私とセリスさんは消滅する事になります」
いまのところは、私が消滅したりする事は無いと思いますが、要するに本体の私が消えてしまうと分身体を使っているセリスとカミラは同時に体が消滅してしまうので、魂だけになってしまうから、そこで初めて死亡してしまうという事なのでしょうね。
改めて私の行動次第では、2人は強制的に消滅してしまうので、無謀な事は出来ませんね……カミラとしては、私に余計な責任などを感じて欲しくなかったのですね。
「これは、私が脱落するとパーティーの戦力が一気に半分になってしまいますね」
「私は別として、半分どころか強力な魔術師のシノアと支援と回復を全て引き受けているセリスさんが居なくなったら、もうパーティーとしての機能しませんよ」
「その様子だと、セリスがパーティーの要だと理解出来たようですね? そうです。エルナ達があまり怪我とかしないのは本来攻撃を受けるギリギリの所で全力で治癒しているから、怪我が軽い程度で済んでいるのです。私とセリスは、致命傷をもらっても死なないので後回しにしていますからね」
「セリスさん、改めてありがとうございました」
「私は、現在は戦闘に参加していませんから、サポートに集中出来ますので問題はありません。今後は、エルナ様達3名を優先にしようと思っていましたが、これまで通りにした方が宜しそうですね」
「済みません……しかし、私の事よりエルナ様達を優先して下さい……怪我をしても頑張って耐えて見ます……」
「セリス、今まで通りでお願いします。カミラが痛みに耐えて行動する事は、まず不可能です。この間の海でズタボロにされた時なんて、もう嫌だとか言いながら、泣きじゃくっていましたからね」
「シノア! それは、言わないで欲しかったのに……普通でしたら、とっくに意識が無くなってるはずなのに、意識ははっきりしている状態で全身からの激痛が酷すぎて……とどめに電撃を受けたのは凄まじかったですよ……」
全身ボロボロの状態で、電撃なんてもらったら、ただでさえ傷口の激痛が激しいのにさらに雷撃で焼かれるのですから、もう痛いとかのレベルを越えますからね。
まあ、あんまり痛みに慣れてしまうと面白みが無くなってしまうので、カミラには悪いのですがこのままの方が良いかも。
「私やセリスと同じように扱うと、カミラのあだ名に泣き虫とお漏らしが定着してしまいますからねー」
「シノア……ちょっと私の扱いが段々酷くなっている気がするのですが……」
「そんな事はありませんよ? カミラとはこれまで以上に親密になれるのですから、私なりの愛情表現ですよ?」
「……歪んだ愛情表現ですね……出来れば、先ほどの命令を撤回してくれると嬉しいのですが……」
また自爆するような発言をするとは……もしかして、カミラはマゾなのですか?
私の性格を理解しているのでしたら、もっと何かするに決まっていますよ!
「どうせ歪んでますから、出来ませんねー」
「あっ……そんなつもりで言ったわけではないので、これ以上は許して下さい……もう、我慢しますから……」
「仕方ありませんね。本当は、おむつしか穿いてはいけませんと命令しょうと思っていたのに残念です……」
「あんな物を穿いていたら、学園に行けません! もしも見られたら私は耐えられませんよ!」
「まあ、今日はこの辺にしますので、ノアに聞き込みをして来てください。その前に色々としますけどねー」
「うぅ……ノアさんに何とかしてもらえないのかしら……」
無駄な事を考えてますねー。
今だって、ずっと見ているはずなのですから、きっと面白がっていますよ!
それにノアにお願いしても絶対に対価を求めて来るから、無償とかありえません。
夢の中の状況を見れないのが残念ですよ。




