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生まれ変わったのですよね?  作者: セリカ
43/378

41 夢の中で

 その日の夜に私は、この体になって初めて夢という物を見ました。

 目の前に雰囲気は違いますがスク水を着ている私が前にいるのですが……転がりながら腹を抱えて笑っています。

 何がそんなに可笑しいのかしりませんが自分にそっくりなので、もしかしてこの子って……。


「私にそっくりな人さん、どうして笑っているのですか?」


「んー? 君は、いじけていたのに商売なんて、始めるから、アホじゃなくて、逞しいと思ってね! 君は一体何をしに来たのですか?」


 正面に立つと瞳の色以外は、私とまったく変わりません。

 瞳の色が赤味の掛かった金色です、もし普段の私がこうでしたら、目立っていたでしょうね。

 水着姿の自分を改めて見るとお子様体型ですね。

 アホとか言われましたが泳げないので、仕方ないですよ。


「ねえねえ。目は良いとして、体型の事は自分で、思ってて切なく無い?」


「はい、切ないです……明日も水着姿になると思うと悲しくなりそうです」


「んー、あんなの余分な駄肉なので、無い方が戦い易いよ?」


 まあ、確かにそうなのですが……同い年の子と比較されると一応欲しくなるのですよ。

 いまは、それよりも質問してみましょう。

 

「確認がしたいのですが、貴女が私のもう一つの人格のノアで良いんですよね?」


「んー、その認識で正しいよ」


「私は眠ったと思うのですがこれは夢の中で、良いのでしょうか?」


「んー、ちょっと気が向いたので、夢の中で干渉する事にしました」


 気が向いたとか言ってますがそれでは、いつでも干渉出来たという事なのではないでしょうか?


「そうだよ? たまには話でもしようかと思ってねー」


「私が考えていた事が読めるのですか!」


「だって、一つの存在だから、君が考えている事は私に全て伝わっています」


「だったら、私が聞きたい事とかわかっていますよね?」


「んー、言葉にしてくれないとわかりません?」


 ……私の思考が向こうにダダ漏れなのにわからないとかいじわるな性格ですね……。


「いまさら何を当たり前の事を考えているのかな? いつも君がやっている事じゃないですか? ただちょっといつもと立場が逆転しただけなので、理解出来て良かったね!」


 ……なんかムカつくんですけど!


「なら、私が教えて欲しい事は分かっているのですから、率先して話してくれれば良いのでは無いですか?」


「んー、そんな自動解説みたいな事はしたくはないねー」


 意地の悪い性格ですね……。

 

「その意地の悪い性格は、君なんだから仕方ないね。あんまり自分を責めても仕方ないと思うけど?」


 これが私の本心なのですか……認めたくないですね。


「私には貴女の思考がまったく読めないのですが?」


「それは、君の権限が解放されていないから、ダメなだけですよ? もっと頑張ってくれないと弱っちいからね」


 こんなに頑張ったのにまたもや弱っちいとか言われています!

 いつぞやのトラウマが復活しそうです!

 

「んー、あの程度に苦労するんだから、間違っていないね」


「あの程度って……」


「エレーンは、仕方ないけど人間如きには、圧勝してくれないとお話になりませんー」


 この子、人間如きとか言っていますが神様目線なのでしょうか?


「んー、当然じゃん? 私が気に入った物以外は全て排除の対象だよ?」


 ……ちょっとかなり危険な考え方をしています。私の願望とか本能が優先されると聞いていましたが、こんなの違いますよね?


「君さ……自分を否定するのは、良くないと思うよ? 最近になって、感情が豊かになってきたけど、最初の頃なんか生き物を殺したりする事に躊躇いなんて無かったよ? あと、虐待とかされていた期間がほとんどだから、いつか仕返しがしたいとかいつも考えていたでしょ?」


「私は、そんな事は……それに人は殺したいなんて思っていませんよ……」


「んー、魔物も人間も生きている生物には変わりないね。私から見れば等しく同じ存在です。まあ、いまはそんな事はどうでも良いでしょ?」


 ショックですよ……。

 私の心の奥底では、そんな考えをしていたなんて……。


「そんなに落ち込まれても困るんだけど……そんな君に一つ良い事を教えてあげます!」


「……良い事?」


「そうそう、君の感情が豊かになってきたとさっき言ったよね? 君が楽しい事や悲しい事などの生き物に対する感情を得れば得るほど変化して行くので、当然ですが君が変化すれば、私も変化して行きます。思考は完全に独立していますが同一人物ですからね」


「感情を得ると言うのはどういう事なのでしょう?」


「んー、気付いている癖に言って欲しいのですね? 他の生物の感情がわかると思っていますが、あれは、無意識に吸収しているだけです。負の感情の方は私がもらっていますが、あまり強い負の感情に触れるといまの私の考え方に近くなりますので、注意した方が良いですよ?」


 私の心って……誰かの感情を得ないと維持出来ないの?


「わかっていると思うけど、君はもう生きているなんて定義はできないのだから、そろそろ納得しようね? わかり易く説明すると大きな感情に染まり易いだけなので、周りの友達を大切にすれば君の望む自分でいられますよ?」


「でしたら、私は全力で友達を……みんなを守ります」


「んー、いまはそれで良いと思うよ。私にはどう進むかの決定権は無いので、頑張って下さい。それよりも問題があるのでは無いですか?」


 そうです!

 大事な事がわかりましたがいまは、目先の問題を何とかしたいです。


「私のこの体は、どうして浮かばないのですか?」


「んー、この体は実は見た目と違って密度が非常に高いのです」


「密度?」


「そうです。私の体は、生物同士なら問題が無いんだけど、重力とかが関係するとそっちに優先的に引っ張られてしまうのです」


 重力?

 それ何?


「んー、地上に引っ張られていると思えば良いんだよ。物は離すと下に落ちるでしょ?」


 ふむふむ、それを重力というのですね?

 そして私は海などに入ってもそれが適用されてしまうと言う事ですよね?


「おや? 意外とすんなりと納得したし理解するんだね」


 意外とか誰かにも言われたような……シズクの知識が無ければ理解は出来なかったと思います。


「シズクの知識ですか……私も面白いので解析していますが、アニメと漫画を優先的に調べていますからね。あれは最高の娯楽ですね!」


 私より汚染されているよ!


「汚染とか、酷い言い方しますが、面白いし戦い方とか素晴らしいので、参考になります。何とか向こうの世界にアクセスして、特に操ちゃんの続きが見たいですねー」


 あんな事は出来ないので、参考にならないと思いますが……ノアは、シズクの同志のようです。


「私もデコピンで、首とか刎ねて見たいですねー。レベルがいくつあれば可能なんでしょうね?」


 レベルさえあれば、あんな事が可能なのですか?

 例えば、アルちゃんがデコピンとかしたら、首が飛んで行くのかも……怖いですね……。

 いまは、それは良いとして。


「だとすると、私は海では浅瀬しか行けないですよね? 沈んだら、やっぱり死にますか?」


「んー、基本設定は人間に近くしてあるので、死にますね」


 明日から、私は浜辺で氷菓子を販売して過ごすしかないのですか……明日は、コーヒーとか掛けてみようかな。


「ねえねえ? 君は、勉強じゃなくて、商売をしに来たのかな?」


「だって、浅瀬以外に行けないし、万が一に深い所に落ちたら、いくら風魔術で呼吸を確保しても、いずれ死んじゃうし……」


「んー、先生達には、どうやって説明するのかな?」


「今回は、教師全員を更に買収すれば良いのですよ! 昨日は、自分達が用意したテントの影で生徒の手前だから、アイリ先生以外は我慢していましたが、専用の建物を作れば絶対に納得してくれますので、賄賂は無敵です!」


「まったく、教師を買収する生徒とか良いのですか? 受け取る方もダメですが世も末ですね」


「良いんですよ、こんな終わっている世界なら、何でもありです! 明日は、水着を改造したメイド服で氷菓子を売れば絶対に売れます! 男子の視線を見ていましたが、胸ばっかしみていました! 滅びればいいのですよ!」


「なんか水着に恨みでもある言い方ですが、若い男の子なのですから、仕方ありませんよ? シズクの世界では、私達の体もかなりの需要がありますし、このスク水なんて動きやすいので素晴らしいと思いますが? まあ、そんな君に私からちょっと良い技能を開放しましょうか」


「!? 技能って何ですか! 最近はまったく変化が無くて、増えるのでしたら大歓迎です!」


「んー、死なれても困るので、仕方ありませんね。ちょっと自分の技能を見てみましょう」




 名称:シノア


 種族:見た目は人


 年齢:不要


 職業:不要


 レベル:61(+700)


 技能:初級槍術 初級体術 初級精霊魔術 上級火魔術 中級水魔術 中級風魔術 中級級土魔術 中級雷魔術 初級聖魔術 初級闇魔術 転移魔術 中級錬金魔術 最上級誓約魔術 重力魔術 初級武器創製 初級料理人 鑑定 気配感知 危険感知 並列思考 魔術並列起動 魔力索敵 魔力操作 魔力感知 魔力管理


 固有能力:精霊の加護 紅玉の魔眼 反転 吸収 英霊召喚 次元収納 ?の加護 ?の使徒 眷属召喚



 重力魔術とか増えています!

 先ほどの話から察するとこれで、浮く事が可能なのでしょうか?


「んー、その理解で正しいです。重力魔術を常に自分に掛けていれば浮かぶ事が出来るので、これで人並みに泳げるようになるよ」


 この魔術は、普段の戦闘に使ってもすごい使えますよね?

 新しい魔術が開放されたので知識が流れてきますが使い方次第では切り札にもなり得る魔法ですよ。


「んー、この世界で使える者は少ないから、なるべくパーティーの仲間以外には見せない方がいいよ」


 ふむふむ、エレーンさんも使えるのかな?


「エレーンは使えませんがガーディアンの片割れが使えるはずです。絶対に勝てませんので、あの子がこの世界で最高の使い手です」


「私は、どのくらいまで使えるようになるのですか?」


「教えたら面白くないので、それは教えません。君は最高にはなれませんが、使えるだけでも便利ですよ?」


「面白くないとか……私の悪い所は、似なくても良いのに……まあ、明日から隠れて色々と試してみます」


 これを使えば少しだけ胸の割り増しが可能なのでは?

 シズクの高速回復があれば、常時展開が出来るのにとても残念ですが学園にいる時は、戦闘などしないので、帰ってから実践してみようかな?


「下らない事を考えていますね……シズクのスカートの事を言えないレベルですね。あと、警告なのですが、余りこの地域に深入りはしてはいけません。探索する程度にしておかないと大変な事になるかも知れないよ?」


 私にとって革命的な事なのに下らないとか言われています。大変な事って?


「んー、この海域のどこかに天王と魔王がまだ生きているので、絶対に遭わないようしましょうね。いまの君では決して勝てませんし、私と代わっても状況次第では勝てないかもしれません」


「ノアでも勝てないのですか……そう言えば、あの変態達にどうやって勝ったの? どう考えてもレベルもそうですが数で無理があると思うのですが?」


「それは秘密です。まあ……もっと戦い方を工夫しなさいとだけ言っておきましょうか」


「それでも、あの数は厳しいと思うんだけど?」


「甘ちゃんのシノアに一つだけ言っておきます。あの状況で、甘い考えは捨てる事です。能力を見られたら誰であろうと始末しないと後悔しますよ? 大体、あんな奴に掛ける情けなんてありませんね」


「私は、余り人を殺したくは無かったから……」


「現在、私が助ける対象は自分とセリスとエルナとシズクだけです。後は知りませんので、邪魔と判断したら必ず始末します」


 私以外は、3人だけなのですか……。

 セリスは眷属だし、シズクは誓約魔術で支配しているから?

 それだと、キャロとアイリ先生も入るはずです。

 あと、エルナを指名した理由は?


「んー、深く考える必要はありません。そうならない為にもなるべく私を出さない方が良いのです。私は君が殺されてしまった時の為の保険みたいな物だけど使わない方が良い保険と思ってくれればいいよ」


「私がもっと変わればノアは、みんなを助けてくれますか?」


「そうですね。そうさせたいと思うのなら、強くなって下さい。いまは停滞していますが、この世界は弱者にはとても厳しいのですよ」


「わかりました。そうならない為にも強さは求めて行くようにします」


「んー、それで良いと思うよ。ちょっと悲しいけど、それがこの世界の現実なのです」


「あと、どうしても聞きたいのですがセリスの事です。私の眷属になっているのに本人は後悔はしていないと言っていますが、元に戻す事は出来るのですか?」


「もう戻す事は出来ません。あの子の存在はもう私と同化していますので、私達が滅びないと死ぬ事も出来ません。あの子の献身は本物なので、気にする必要はありません」


 そうなのですが……人としての幸せはもう無理と考えると……。


「んー、あの子の負の感情は殆ど私がもらいましたので、今の方が満たされているはずです。私はあの子の過去を全て知っていますが人間の欲望の方が魔物より恐ろしい存在だと思うよ?」


「セリスが酷い目に遇っていたのは知っていますが、どんな事をされていたのか知っているのですか?」


「知っていますが、それは流石に教えれません。本人が話してくれれば良いと思いますが、絶対に話さないと思いますので、無理に聞いてはいけませんよ?」


「わかりました。私も無理強いなどは、したくないので聞きません」


「んー、それが良いね。あの子は見どころがありますので大事に育てて下さい。それがあるから眷属にしたのですからね」


 取り敢えず今は明日から楽しくなる事を考えましょう。


「しかし、切り替えが早いですね。一応は、授業なのですよね? 臨海教室って、良くわかりませんが、楽しむ所なのでしょうか? 最後に私はこれからは自分の事を僕と言う事にします。お互いに同じ自称で話し合っているのは何となく違和感がありましたし、いま解析しているアニメのお気に入りの娘が僕っ子なんですよねー」


 ノアが僕っ子になってしまいました。

 雰囲気的にも違和感が無いので、合いそうですね。

 解析しているアニメとか言ってますがもしかして、私の頭の中で寝そべりながら向こうの娯楽を楽しんでいるだけでは……。


「異世界の知識を解析をしているだけだよ? あの子を支配したのは正解でしたね! 自分から進んで、記憶を見せているのですから、君も、もっと見て下さい! じゃないとアニメとか漫画の情報が途切れたり不足していて、中間が無い物もあるので、気になって仕方がないのですよ」


 確かに毎日のように念話で、みてみて攻撃されてますが、本人が良いと言っても気が引けるのですよね……。

 最近は、危ない妄想まで追加されているので、将来が危険です。


「いま気づいたのですがこの重力魔術には等級がありませんね? 転移魔術もそうですがあるものとないものの違いって何なのですか?」


「んー、まあ大した事じゃないから教えるけど特殊魔術だからです。技能にも付いてないのがあるでしょ?」


「確かに付いてないのもありますが、それはランクが上がらないという事なのですか?」


「んー、上がらない訳じゃないんだけど、区分けする必要が無いからなのですよ。君の知識にはもう重力魔術の魔法が全てわかっていると思いますが、使えないのは単純に君の実力が足りないだけなのです。まあ、使えない事はないんだけどねー」


「剣術などは、エルナやシズクを見ていれば訓練の成果だと思いますが、火とか水などの魔術はどうしてなのですか?」


「この世界に最初から存在する魔術に関しては、駄女神が最初に規制したからですよ。特殊魔術は駄女神が居なくなってから存在するようになったから規制の対象外なのです」


「では、特殊魔術に関しては規制されないので使える者なら最初から強力な魔法が行使できるという事なのですね?」


「んー、概ね正解です。やる事が半端だから部下にしてやられるのですよ」


「会ったわけではないので、何とも言えませんが日頃の行いが悪かったのですね」


「真の女神なのに天罰が下ったのですよ。残念ながら、僕はそろそろ時間です。また気が向いたら声を掛けますので、僕を楽しませてくださいね。君の行動は楽しいので見てて飽きません」


「ノア、ありがとうね」


 しかし、私の事をずっと見ているのなら、私がアイリ先生にしている事も知っているのですから、あの扱いは共感されているのですね。

 色々と教訓を教えられた気もしますが、少しすっきりした。

 ノアがシズクにすっかり感染している事には驚きましたが、気が向いたらアニメと漫画の話を聞いて補完すれば、また何か技能をくれるかも知れないので、知識の賄賂を……。

 そう言えば、死んだ時の事を聞くのを忘れていましたが、会話する事が可能とわかったので、次回にでも聞きましょう。




 目が覚めるとエルナが私を覗き込んでいます。


「シノア、おはようございます。いつも先に起きているのに今日は中々目覚めないし、何かうなされているとまでは言いませんが難しい表情をしていたので、何か怖い夢とか見たのですか?」


「おはよう、エルナ。夢ですか……ちょっと不思議な夢を見ていたようです」


「そうなのね、もし思い出せたら、良かったら私にも教えてね」


「大した事では無いので、早くご飯にしましょうー」


 しっかりと覚えていますよ。

 海で溺れたお蔭で色々と知る事が出来ましたので、ここに来て良かったです。

 この地方の噂は真実みたいなので、魔王とかに遭わないようにして、オタクになってしまったノアの警告は心に留めておきましょう。



 起きてから、朝食の後はまたも水着に着替えて、浜辺に集合しています。

 なんで、何着も買うか疑問に思っていたのですが、単なるエルナの趣味でした。

 ここでは、10日間は同じ事をしてるだけらしいのですが……これ何の勉強なんでしょう?

 各先生事に好きな場所に陣取って、適当にこの地域の歴史やらの詳細を説明をしていますが、私は学園の書物はほぼ読破していますので、知っている事ばかりです。

 大体、こんな事ならここで説明しなくても良いのではと普通に聞いてみたら……臨海教室とは、名ばかりの教師も含めた、ただのバカンスです。

 表向きは、現地の歴史と海上の危険といざという時に泳げるようにしておこうとなっているらしいのですが、現地に着いたら、暗黙の了解で、ただ好きな事をして良いとなってます。


 

 昔、学園の教師が自分が海に行きたいので、当時の学園長を賄賂でそそのかして、実地講習の名目で全教師を巻き込んで楽しんだそうです。

 物で釣るとか……私は、その教師に親近感を覚えますね。

 何でも、希少な宝石だったらしく、現物を目の前で見せて、聞いてくれないのなら、出資者の貴族に頼むけど、どうするかと揺さぶったらしいです。

 上手く休暇を作れたのに味を占めて、毎年の行事にしたと……当時の学園長はその度に何か貰っていたので羽振りが良かったとも言われています。

 何となく、アイリ先生やエレノアさんとその学園長が同じ状況としか思えなくなってきましたね。

 そんな事も有ったように、その女性の教師は出来る人だったのですが、基本は自分が楽しむ事を優先する問題児だったようです。

 本来なら、そんな教師は解雇なのですが、彼女が受け持った生徒はみんな学園のトップになっていくので、誰も文句が言えないし、卒業した何人かは女神様に認められて使徒にもなった人がいるそうです。

 なので、勉強ばかりでは無く自由な時間を楽しむ事が生徒のやる気を向上させるとして、この先生のいくつかの授業?が今でも採用されているそうです。

 何年かして、世間体に問題はあるけど、育成に関しては優秀なので、学園長になって欲しいとお話をしたら、「そういう事でしたら、そろそろ飽きたから、明日から退職します」と、言って居なくなってしまったそうです。

 いきなりいなくなってしまって、総動員で探したらしいのですが、見つけられなかったらしいです。

 居なくなってわかったのですが、実は、誰もその教師の自宅すら知らなかったそうです。

 学園の出資者の貴族も慌てるし、生徒からも大バッシングされて当時は大問題となって、その件に関わった学園長や教師はクビか減給をされたらしいです。

 まあ、そんな結果を出す人が突然居なくなったら、慌てますよね。

 もう一つ不思議な事に誰もその教師の名前を思い出せないのです?

 生徒には初めから名前は言わずに「先生は先生です! 名前はひみつです!」とか言っていたので、関わった生徒はかなり居たのですが誰も知らなかったそうです。

 すごく印象的な人だったのに居なくなってから、その教師の姿などの特徴も誰も思い出せなくなってしまったので見つける事は困難だったらしいのです。

 唯一の特徴がどんな時も遊び心を忘れない、食には拘る人だったらしいです。

 あれ?

 なんか引っかかるのですが……まあ、良いですか。

 そんな事で、ここへはただの旅行と思っておきましょう。

 絶対に沖には出ない事、小舟でも行ける距離に小さな島もあるのですが、絶対に行かないようにと念を押されました。

 何かは知りませんが封印されている物があるそうなので、立ち入り禁止になっているそうです。

 まあ、なので今日も自由気ままにくつろいでいますねー。


 

 今回は、『ストーン・ウォール』で網目の壁を作って、中には『アイス・ピラー』を風の通り道に立ててます。これで風が吹くとひんやりとした適度な風が吹いて快適です。

 椅子とかベットなども、砂と氷を適度に混ぜた物を作ったら、適度に冷たくて気持ちいいです。

 実は、『アイス・ウォール』だけで、作ると光は通るので眩しいので、ちょっと改良して見ました。

 出来た建物に主に先生達を招待したのですがほとんど居ますね。

 結構広範囲に作ったので、普通なら迷惑なのですが、交代でみんな休憩しています。

 まあ、これで、他の先生にも融通が利くようになるので、私は大歓迎ですね。

 他の先生もそうですが他の生徒達の私を見る目がちょっと怖いです。

 アイリ先生は、担任を替わらないかとか言い寄られてますし、生徒の方でも私のクラスの誰かと替わるか私に来て欲しいとか言ってます。私に関しては、エルナが所有権を激しく主張していますので無理ですが、私の扱いが一家に1人欲しいみたいな感じになっています。

 一応、やり方は教えてあげたのですが、私のように精度の高い物は難しく、また維持するのも大変で行使した人が消耗しまくって無理みたいなので、エレノアさん達に作ってあげた物を時間で交代して使っています。

 まあ、建物を作るにはもう一つの魔法が必要なのですが、流石にそれは教えれませんからね。

 私は、それらを維持したまま今はみんなと泳いでいますので、私のマナがどれだけ多いのかみんな唖然としてます。

 今回の私は、常に浮力を魔術で維持していますので、沈みませんからようやくみんなと同じように泳いだりして遊べますよ!

 泳ぎ方などの知識だけは、ばっちりなので、後はみんなを見ながら、ちょっと真似れば私も完璧に泳げます。

 これで、昨日の汚名はばっちり返上出来ましたよ。

 素潜りとかも調整すれば問題無く出来るので、ついでに魚とか貝類なんかも食べれるのを取ってます……いえ、今のうちにこっそりと乱獲してしまいましょう!

 普通は、収納には生きている生物などは入れる事が出来ないのですが、私の場合は、自分よりレベルが半分以上低い生物なら回収が可能なのです。

 ダンジョンの魔物で試したのですが、弱い奴なら触れて閉じ込めるなどの荒業も出来るのには驚きました!

 もう少しレベルが上がったら、アイリ先生に試したいと思っています……どんな事になるのか楽しみです!

 みんなと泳ぐついでに魚とか貝類を回収しまくっていますが、こんなに広い海なので、私が乱獲しまくっても大丈夫ですよね?

 調理方法などは、ある程度わかってますし調味料も尽きる事無くあるので、目の前にいっぱいあるうちに色々と食べてどんな料理が良いのか確認するのが最優先ですね。

 他のみんなも私が焼いてると寄ってきますが、全て調理していたら大変なので、調味料は出しておくので、食べたかったら自分で調理しましょうと言ってあります。



 泳ぎを楽しんでから戻ると、アイリ先生を筆頭にジュースや食べ物に氷菓子が欲しいとか言ってくるんですが……まあ、収納に毎日買いだめしてるので、食べ物なら沢山あるから良いのですが、こんな大人で良いのでしょうか?

 今日も地元の人が物珍しそうに来ますが、学園の人達がだらける為にここに来たと思われそうですね。

 ちょっとこれは社会的にダメと思ったので、今日も海の家を作って、ちょっと働いてもらいました。

 勿論、ちゃんと働いた人には、そのまま売り上げの1割だけ自己申告で私に払うだけで、その人の物になるという条件にしたら、みんなと一緒に先生達も交代で必死にバイトに励んでましたよ。

 接客は主に女子がしていますが、口とか容姿に自信のある男子もいますね。

 それ以外の人は裏方と目の前の海で、魚とか取って来てますよ。

 他の食材は私が全て出してますけどね。



 驚いたことにクロード先輩が接客してます

 王族なのに何でバイトするのか聞いてみたら、実は自分の自由になるお金はダンジョンの稼ぎだけらしくて、素晴らしい企画だからという事で励んでいます。

 ちょっとその辺の冒険者と変わらない口調ですが、そこそこ容姿は良く、第二皇子が接客してくれるのも宣伝になっているので、先輩の売り上げは凄そうですね。

 見ていると意外と女性の口説き方というか誘い方が上手いですね……王族なので、交渉力は高いと思いますが、女性に甘い言葉を掛けまくっています。私の先輩の認識は女たらしになりました。

 しかし……これでは、バカンスというより出張販売に来たような?

 まあ、面白いから良いんですけどね。

 地元の商人の方達には、これらのアイデアは、昨日の内に全て進呈しておいたので、揉め事も起きないので助かっています。



 夜はみんな眠ったら、ちょっと抜け出して沖の方を探索しています。

 真っ暗闇で海とか危険すぎるのですが、私は夜でもしっかりと物が見えるのですよね。

 これはセリスにも適用されていて、ダンジョンでも暗闇に隠れて襲ってくる魔物もいるのですが、最初から見えているので、楽に狩れてます。

 ちょっと沖に行くと魚の魔物がすぐに襲ってきます。

 ある一定の範囲に入ると襲ってきますが、陸地の方に移動すると戦闘中でも離れていきます

 これは、どうもある一定のラインで、境界もしくは結界のような物があるのではないでしょうか?

 そこそこの強さの魔物ですが、一番厄介なのは、電撃を放って来る針だらけの魔物です。

 特定の距離に近づくと電撃を放って来るのですが、海の中だと伝導率100%なので、確実にもらいます。

 威力は痺れる程度なのですが、その痺れている間に体当たりされると針が刺さりまくって、半端なく痛かったです。

 でっかいのに体当たりされた時なんて、お腹を針が貫通とかするんですから、普通の人間だったら、即死してもおかしくないです。

 ニードル・サンダー・フィッシュとかそのまんまの名前ですが、こいつが一番の脅威ですね。

 私も『ライトニング・ボルト』で、電撃をお見舞いしたら、アホな私は自分も感電して、死ぬかと思いましたよ。

 ただ、海の魔物には電撃系の魔法は効果的なので、単発魔術だったのに範囲魔術に近い効果があって、一旦海面に上昇して、海上に飛んで放つといった荒業で倒しまくりました。

 何せここの魔物はこちらを見つけると単純に真っすぐ向かってくるので、素直に正面に撃つだけで良いのですから楽です。

 あと気を付けないといけないのがポイズン・クラーケンとか言う蛸です……こいつの周りには黒い霧のような墨を常に展開しているので、気付かないで捕まると体を拘束されて、何か注入されているようなのです。多分麻痺毒ですが、私には効かないので問題無いのですが、全身を拘束されるとピンチです。

 昼間散々食べて、美味しかったのですが、大きくなるとえらい強敵ですし、レベル依存で大きさが違うので自分と同じサイズのには、酷い目に遭いましたよ……何か大事な物を失った気がしますが気のせいです……。


 

 立ち入り禁止の島にもこっそりと行ったのですが、ここには魔物がまったく居ないのですよね?

 そんなに大きな島ではないので探索は楽でしたが、3ヶ所だけ気になる所があります。

 一つは建物の跡で、周辺から凄く何か大きな力を感じますがまったく解りません

 ただ、魔術でちょっと攻撃とかしようとしたら、まったく発動しないのです。

 何も起きないのですが魔術を無効にする結界でもあるのでしょうか?

 色々と試してみましたが何も得られないので、ここは後日の宿題ですねー。



 もう一つは、洞窟が有ったのです。どうもダンジョンになっているようなのですが、魔物が居ません。

 わずかな気配がする方向を頼りに3階層までは、降りてみたのですが何もないのです。

 カミラをここに連れて来たら、絶対にお漏らしするに違いありません。

 正直、自分の足音以外はしないので、静か過ぎて怖いですよ。

 でも、確かに気配はしているので、もっと降りれば何かいるはずなのですが、時間が足りないので、いまは無理ですね。



 もう一つは祭壇が有って、古びた剣とか槍が台座の周りに6本も刺さっているのですが、これはちょっと触れるのも止めておきました。

 なんというか……悪い予感がします。

 私の心に関わるなとノアが警告している感じがします。

 多分、これが封印されているどちらかの神なのかも知れませんね。

 でも、そうだとしたら倒してしまった方が力が手に入るので良いのでは無いでしょうか?

 いまなら、封印とかされてるぐらいなので、弱っていそうなのですが……。

 どの道、私には倒す事は不可能とノアに警告されてますから、何もしませんがいつか来る事にしましょう。



 帰りに高台の方で、朝日とか見ようと思って行ってみたら、暗い時は気づかなかったのですがゲートの魔法陣があります!

 ちょっと、マナを流したら……壊れていません!

 これ使えますよ。

 早速使って見たら、岩だらけの浜辺らしい所なのです。出口が無いと思ったら、これ通り抜けれます。

 出てみたら、島が見える辺りの浜辺の岩の密集地帯です。

 微妙に通れる所が幻術で重なっているので、よく調べないとこれは判りませんね。

 次に行く時は楽が出来そうなので、良い物を発見しました。

 そんな調子で順調に楽しく過ごしていましたが、9日目になった時に事件が起きてしまいました。


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― 新着の感想 ―
[一言] ただ、魔術でちょっと攻撃とかしょうとしたら、まったく発動しないのです。 しょう→しよう
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