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生まれ変わったのですよね?  作者: セリカ
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22 育成は強制的?

 16階層に着いたので、ちょっと指示を出しますか。

 現在、エルナとカミラとシズクだけでパーティーを組ませていますので、私とセリスはサポートに徹しましょう。

 シズクは一番敵を倒すので、そこにエルナとカミラを入れておけば、レベルも早く上がるはずです。


「この階層の敵はオークしか居ませんので、基本的にはエルナとカミラのみで戦って下さいね」


「私達だけなのですか?」


「私達がサポートに回りますので、大丈夫ですよ。それと、シズクには頼まれていた苦無をあげますから、これしか使ってはいけません」


「作ってくれたのですね! ありがとうございます、お姉様!」


「沢山作ってあるので、取り敢えず100本ほど収納に移しておきますね。それと足に巻く苦無を入れておくサックなのですが、こんなのを付けたら邪魔なのでは?」


「大丈夫です! 懐と腿のベルトに刺していたので、これでコスプレ装備は完璧です!」


 ……コスプレね。

 まあ、本人が望むのでしたら良いけど、投げれるのかな?


「ところで、シズクって、その苦無を投げて当てれるの?」


「初めてですけど、多分大丈夫です! 昔、家で似たような物を投げて練習をしてたら、ものすごく怒られましたが、今の私ならいけるはずです!」


 それって……まともに投げれないのではないのですか?

 果たしてこれを渡しても良かったのでしょうか?

 すごく不吉な予感がするのですが……。


「お姉様! 他にも頼んであった物はどうなりましたか?」


「それを完璧に使えていたら、あげます」


「分かりました! もう作ってあるということですね? 今日中に全てもらって見せます!」


 はいはい、頑張って下さいね。

 何となく、ダメな予感がするのは、気のせいでしょうか?


「なので、前衛はエルナ1人ですから、頑張って倒してくださいね」


「私、1人で大丈夫かしら?」


「危なくなったら、私が何とかしますから、安心して下さい。それにカミラが頑張れば楽になるはずですよ」


「シノア、私はエルナ様の援護で、良いのかしら?」


「カミラには、ノルマとして、来る時に渡した矢を全て使い切って下さいねー」


「全部ですか!? 収納に沢山もらったので、あんなに矢を放つのは体力的にも無理だと思うのですが……」


「大丈夫です。セリスに二人の支援をお願いしてあって、疲れたりしてたら早めに回復をするようにも言ってありますから、そう簡単には疲れないはずですよ」


「カミラ、頑張って下さいねー。私も頑張るから、援護は任せましたよ!」


「分かりました。こんなに沢山の矢を全て使い切れるのかしら……」


 今までは、とにかく進んでいたので、ちょっと他の魔法も試してみたかったのですよね。

 初級でも使える魔法の中には、誰も使ってない魔法もあるので、取り敢えずテストして行きましょう。

 私の知識の中には、現在は教えられていない物もあるのです。昔は、神や魔王の数だけ使える物から無駄な物まで多くの魔法が考えられたのですが、どんどん滅ぼされてしまったので継承されていないらしいのです。

 この辺は、私の女神様の恩恵なのか分かりませんけど、全てを知っているというのはかなりの強味ですが、浮かぶリストが多すぎて、使えるようになった物を探すのが大変なのが欠点です。

 エルナ達の育成を理由にしばらくはまったりとすることに決めました!

 これで、噂も忘れ去られて、ギルドの人も何も言ってこなくなれば全てが解決しますので、私の望む目立たない生活に戻れるはずです。

 適当に魔法を試しながら3時間程経ちましたが、エルナは頑張ってますね。

 最初の内は、一体を倒すのにも結構苦労しながら立ち回っていましたが、慣れて来たのか、ちゃんと相手の動きを見て攻撃するようになってます。

 見ていてちょっと危ない所もありますが、大剣を上手く盾にして防ぐのも中々いい感じですね。

 エルナって、お嬢様なのに魔物に対して怯まずに向かって行く所はすごいと思います。

 あちこち怪我はしていますが致命傷だけはもらわないのは、きっとサラさんの訓練の賜物でしょうね。

 カミラの方は、必死に矢を放ってますが、かなり疲労困憊ですね。

 出掛ける前に千本も矢を渡したので、言い付け通りに律儀に消化しょうとしています。

 冗談で言ったのですが、どうも本気にしているようです。そこそこ良い感じに当たるようになってきましたね。

 カミラには、弓にマナを込めることは禁止してあるので、あの弓の特性が生かされてないので、ただの丈夫な弓ですからね。


「はぁはぁ……もう腕が……弓を引くのがきついです……」


『リジェネート・バイタリティー!』


 昨日セリスに教えておいた疲労回復力を速める魔法です。


「ちょっと、休みましょうか? 丁度小部屋ですから、入り口さえ警戒していればいいですからね」


「カミラさん、私の魔法が切れているのでしたら、早めに教えて下さいね。この魔法は体力の回復力を促進する魔法なので、掛け続けておけば疲れ難いのですが、継続時間に個人差がかなりあるので、自己申告して頂きたいのです」


「セリスさん、済みません。撃つのに必死でしたので……シノア、弓にマナを込めたらダメでしょうか? そしたら、頭とか確実に狙えるのでもう少し倒しやすいのですが……」


「近い内にもっと火力の上がる弓を進呈しますので、なるべく素の実力で狙えるようになって欲しいのですよ。その機能に頼っているのはあまりお勧めしません」


 エルナが簡単に当たるとか言って、結構使ってましたが実力とは言えませんからね。

 今度、単純に威力が上がる弓を作ってあげたいのですよね。

 いま作っても良いのですが、作る所をカミラに見せる訳には行きませんからね。


「わかりました、頑張って見ますね」


「シノア、ちょっと汚れたというか返り血とか付いているので、いつかの魔法で綺麗にしてもらっても良いかな?」


 まあ、確かにお嬢様にあるまじき姿ですね。

 私と違って肉薄して戦ってますから、怪我もそうですが返り血は浴びてしまいますよね。

 シズクは風魔法の鎧を常に展開しているので、そうゆうのは浴びたりしませんが、私も高速回復が欲しいな。

 貴族のお嬢様ですし、魔法で綺麗にするだけではちょっと可哀想なので、私のお風呂を出しますか。

 ついでにお昼の用意もしたいですからね。


「2人とも、お風呂を出すから疲れを癒しつつ綺麗にすると良いよ」


「ここで、ですか!?」


「私はお昼の用意をするから、セリスに入り口を見張っていてもらえば問題無いよ? 」


「すごく入りたいけど……ここは一応ダンジョンの中だし……他の冒険者の方が来たりしたら……」


「大丈夫ですよ? 『ストーン・ウォール』で入り口は塞ぐので、ただの行き止まりにしか見えませんよ」


「でも……オークの死体がまだ落ちているし……」


 そんなことを言っている内に、セリスが魔石の吸収とドロップを回収したら、例のビームで消し飛ばしてしまいました。


「これで綺麗になりましたが、宜しいでしょうか?」


 流石です!

 セリスは気が利きますね。


「では、お言葉に甘えて。お願いね!」


「こんな所で良いのかしら……」


「お風呂は既にお湯を張った状態でしまってあったので、後は……『リフレッシュ・ウォーター!』これで、綺麗になりましたから、後はゆっくりと寛いで下さいねー」


 エルナは喜んで入ってますが、カミラは不安そうですね。

 こういう時でも身綺麗にしたい所を見ると、一応はお嬢様ですね。

 言い訳さえ作ってあげれば、お風呂大好きなエルナは迷いません。

 まあ、ボスの部屋じゃないから、魔物が沸くかもしれないけどね!

 エルナはなんか楽しんでいますが、カミラはとっても解放されたような表情で何だかんだ言いながらも寛いでいます。

 テーブルを出して、簡単なご飯を用意します。露店で買っておいた物だけどね!

 それにしても、シズクはどこに行ったのでしょうね?

 私とシズクは繋がっているので、このフロアーにいることは分かっているのですが、先ほど、食事にするから戻って来るように念話しておいたのですが……。

 やっぱりミスして、私に投げてしまったのを気にしているのかな。


 私が魔法をいくつか試していた時に、投げる時に手が滑ったらしく私に飛んできたのですが、セリスが私を庇って怪我をしてしまいましたからね。

 泣きながら謝っていたのですが、セリスはそのまま刺さった苦無を抜いて、傷口を治療しながら渡す時に怒りましたからね。


「シズク! どこを狙って投げているのですか! 主たるシノア様に投げるなんて、許されませんよ!」


「ごめんなさい……放すタイミングが上手く掴めなくて……」


「先ほどから、たまにこちらの近くに飛んで来ているのは知っているのですよ? そもそも貴女はシノア様にお願いして作ってもらったのにまともに投げれないではないですか!」


「まあまあ、そんなに怒らなくても良いよ。私は良いので、セリスに謝ればそれでいいんじゃない?」


「シノア様は、シズクに甘過ぎます……この際ですので、シズクには主に対する心構えをしっかりと教え込んでおきます!」


 何を言い出すかと思えば、それは止めて下さい!

 セリス2号になったら、修正が不可能になってしまいますよ!


「セリスお姉ちゃん、本当にごめんなさい……いうことを聞きますのでどうすれば良いのですか……」


「セリス、そのぐらいにして下さい。それとシズクにそのようなことを教えることは、絶対に許しません。シズク、もう良いから、ほら泣き止んでね」


「シノア様がそう仰るのでしたら、今回は不問と致しますが……」


 それにしても、セリスがここまで怒るなんて珍しいですね。


「お姉様もごめんなさい……少し離れて練習をしてきます……」


 そのまま泣きながら走って行ってしまいました。反応はあるので死んでいるということだけはないし、このフロアーなら1人でも問題は無いはずなのですが、心配ですね。


「シノア様、ちょっと私が探して来ましょうか?」


 どうも私が気にしている事にセリスが気づいたようですが、探しに行くのでしたら私じゃないと見つけられないでしょうね。

 あまりしたくは無いのですが、シズクの見ている物を意識してみますか。

 意識してみると……私とセリスが見えるのですが?

 この方角は……わからないようにちらっと見ると、部屋の隅の天井に張り付いているではないですか。

 しかし、どうやって張り付いているのでしょうか?

 器用ですよね。

 忍者のクラスの特性なのでしょうか?

 相変わらず私の気配感知に反応しないですね。


「探す必要は無いみたいですよ。シズク、隠れていないでこちらに来なさい」


 声を掛けると、天井から降りて、とぼとぼ歩いて来ました。


「お姉様には、私が居ることはわかるのですね……見つからない自信は有ったのですが……」


 シズクの視点で見たからとは言えないけどね!


「何となく、シズクが近くに居ると思ったから、声を掛けたのですよ? 来てくれなかったら、私は誰も居ない所に話しかけたことになってましたよ」


「お姉様、セリスお姉ちゃん、本当に済みませんでした。後でどんな罰でも受けますので、ごめんなさい……」


 この娘がこんなにテンションが低いと調子が狂いますね。


「もう怒ってはいませんから、罰もありませんので、安心しなさい」


「まあ、帰ってからもしっかりと練習すれば良いのですよ。さあ、お腹も空いたと思うしご飯でも食べて元気をだしてね!」


 そう言って頭を撫でてあげると、ちょっと元気が出たようで、喜んでますね。


「シズクちゃん、戻って来たのね! お姉ちゃんは心配していたのですよ?」


「エルナお姉ちゃんにも心配を掛けてしまって、ごめんなさい」


「罰として、私が食べさせてあげますからね!」


 いつの間にか、さっぱりしてテーブルに着いてますね。

 食べさせる罰とか、要するに餌付けしたいのですね。

 まあ、それはそれで、楽しい罰なので面白いかな。


「しかし、シノア達はとても強いのですね。普通でしたら、ダンジョンの中でお風呂とか普通に食事をするなんて、考えられないのですが」


「まあ、ゆとりは大切ですよ? と、言いたいのですが、この階層は私達にとってはそれほど危険ではないだけですね」


「シノア、私は必死ですよ?」


「それは戦闘慣れをしていませんからねー。だから3人だけで、パーティーを組んで頑張って倒してもらっているのですよ?」


「私もシノアと同じパーティーに入りたいんだけど……」


「最低でも二人のレベルが30になるまでは、状況を見ながらレベル上げにします。そのぐらいは無いとマナとか体力的にも苦労しますからね」


「え――――! 当分はダメと言うことじゃない!」


「体力とマナを増やす必要がありますし、いざという時の為にレベルは上げておかないと絶対に後悔します。私はそれで一度痛い目に遭ってますからね」


「マナは毎日使えば許容量が増えるとお母様が言ってましたが?」


「よく知ってますねー。今日からは、寝る前に全てのマナを何か簡単な魔法で良いので、行使して使い切ってから寝ましょうねー」


「シノア、それやるとすごく疲れてしまうのですが。私は剣士なんだけど?」


「その大剣を使っているのですから、有った方がいいでしょう? 第一、エルナは魔法剣士なのだから、必要でしょう?」


 この子のクラスは魔法剣士だったはずなのに、まったく魔法を使わないのは何故?


「何で知っているのかしら? これは……適性を調べた時にちょっと良いかなーと思ったから選んだだけで、私は魔法は得意ではありませんよ? 初歩の魔法しか使えませんし、無害な魔法でしたら、『ライティング』という灯りの魔法しか使えません」


 単純にかっこいいと思って選んだのね。

 しかし、初歩とか……もしかしてだけど、魔術は使えるのに習ってないから余り使えないのかも知れませんね……素質があるのに勿体ないですね。


「カミラもですからね?」


「私は風魔術しか使えませんし、寝る前に使える魔法なんてありませんわよ?」


「シズクがいつも使っている『エア・アーマー』という魔法を使えば無害ですよ?」


「私は使えませんが……」


 ちなみに初歩の魔法なのですが、私が使うとすごくしょぼいのです。

 風を纏うだけの魔法だから使えそうなのですが……。


「でしたら、シズク。このスクロールに魔法を念じてマナを込めて下さい」


「わかりました!」


 こんなこともあろうかと思って、魔術習得用のスクロールを買い込んでおいて正解でしたね。

 任意の魔術を込めて適性のある者に使用させると覚えることが出来るなんて、素晴らしいのですが、こんな技術があるのに失われた魔法が多いのは不思議ですね。

 まあ、作っておいたのが奪われたりしたら、それも本人のオリジナル魔法とかだったら、大変なことになりますけどね。

 このスクロールは、私には不要ですし、セリスには直接伝えられるので、シズクの為に用意していた物だったけど、使い道が増えたのでもっと買い込んでおきましょう。

 出来たスクロールをカミラに使わせたら、ちゃんと覚えられましたね。

 適性が無かったら、代わりの魔法を考えなければならないので、めんどかったのですが!


『エア・アーマー!』


 うんうん、カミラの体に風のマナが感じられますね。


「確か、この魔法は、攻撃をほとんど防げないので、使い手が少なくなって廃れてしまったと思いましたが」


「カミラお姉さん、そんなことはありませんよ? この魔法があればスカートが捲れないという素晴らしい魔法ですよ!」


「……それだけなのですか?」


 私もそれは思いました!

 だって、この魔法は体を風で包んでいるだけで、攻撃とかはまったく防げません!

 名前から連想すると風の鎧で、何か防げても良いのに何も防げないとかネタ魔法かと思いましたよ!

 それなら、私にも使えるシールドの魔法の方が。数秒ですが魔法も防げますよ。


「他にも常に心地よい風を感じられるので気分が良いのです!」


「気分ですか……確かに落ち着きますね」


 気分とか……そう言えば、風を連想すると精霊のしーちゃんはどうしてるのかな?

 多分ですが、私の近くに居ると思うのですがまたお話しがしたいです。


「自分の間合いでしたら、相手の攻撃が察知しやすいので、敵の攻撃を躱し易くなりますよ!」


「それは、戦士系の人には有効そうですね」


 ふむふむ、それならば纏っている意味はありますね。

 私には分からないのですが、シズクにはきっと有効なのでしょうね。

 まあ、それは良いとして、手っ取り早く強くなってもらいましょう。


「まあ、しばらく続ければ、直ぐに強くなれますよ」


「そんな早く強くなれるのですか?」


「大丈夫ですよ、シズクで実証済みなので。これから死ぬ気で倒しまくればすぐに終わりますよ?」


「もしかして……シズクちゃんに単独で敵を倒させていたの?」


「そうですよ? 勿論、サポートはしていましたが、シズクは元々強いのですぐに追いつきましたよ」


 今では、一番敵を倒しているのはシズクなんだけどね!

 前衛は一人でこなしてしまうので、私は安全に魔法で攻撃するか背後とか側面だけに気を付ければ良いのですよ。

 セリスには優先的に支援を頼んでいるので、シズクが怪我とかしても直ぐに癒しているから、気を付けるのは即死とかしてしまうような攻撃だけなのですが、今の所はそんな危険な敵は居ませんからね。

 回収もセリスにお任せしていますが、ちゃんと売れる物だけ回収しているので優秀なメイドさんです。

 最近は聞いていないのですが、一体いくら貯まったのかな?

 私の手持ちだけでもかなりあるのですから、セリスって、お金持ちのはずです。

 シズクにもある程度のお金は渡してあるのにまったく使ってないと思っていましたが、最近は、カフェに入り浸っているみたいです。

 いつも一緒に行動しているから、私かセリスが支払いをしてしまいます。

 今日からは2人にも取り分は計算しないといけませんね。

 しかし……オークというか魔物が何でコインなんか持っているのでしょうね?

 見た目が良いのは金貨なんて持っているし、使い道が分からないのですが。

 昆虫系は、地味に宝石とか落とすので美味しいのですけど、硬いし数が多いからあんまり人気は無いんですよね。

 他の冒険者のペースは分かりませんが、最低でも11階層からここに籠っていれば、普通に稼げるから生活には困りませんね。

 問題は、このダンジョンの100階層を突破出来た時ですね。

 まだ先のことですが、この国の女神に謁見をするのは、私にはまずいですよね?

 ギムさんは辞退しているので、私もそれに習いますが、ダメな時は他の国に行くことも考えておく必要があります。

 聞いた話によると、最低でもエレーンさんと戦って死なずに済むレベルにならないとダメらしいのですが、エレーンさんってレベルとかいくつなんでしょうね?

 瀕死のギムさん達をついでに助けるぐらいなので……最低でも使徒の時のサテラさんぐらいの強さはあると思うのですが……あーすごく遠いです……。


「シノア様、どうかなされたのですか?」


「うん、ちょっと考え事をしてたのです。そろそろ再開しましょうか。あら?」


 知らない間に何体か沸いてますね。


『ホールド・パーソン!』


 認識した相手をマナの力のみで一定時間だけ拘束する魔法なのです。人型にしか使えませんがそこそこ良い魔法ですね。


「カミラとシズクの的が出来たから、しっかりと当ててねー」


「シノア、私は?」


「エルナは入り口の敵を早く倒して下さいねー。もう壁は解除しましたので、もう来てますよ? 私は手伝いませんからねー」


「嘘でしょ? 沢山入ってくるのだけど! 」


 ここの敵は侵入者しか目指してこないので、当然こんな所でくつろいでいたら、沸いた魔物が近くに集まってきます。

 おまけにボスの前の階層に近付くとアホみたいに数が多くなるので、安定した狩りをするのでしたら、中間ぐらいの階層が適度な強さで遭遇率もそこそこになります。

 通路とか封鎖しても通れると思って増えていくから面白いのですが、数が多い階層だと下手に休憩なんてしたら悪夢が待っています。

 だから、ボスの手前の部屋かボスを倒した後の部屋でしか休憩とか出来ません。

 強制帰還のアイテムが無かったら、確実に死にますね。

 このダンジョンを作った女神はきっと意地の悪いサディストに違いありません。

 弱い敵だって、数が集まれば対処出来なくなって、きついのですからね。


「試したい足止めの魔法を使いますので、頑張って下さい」


「こんなの無理よ!」


『ライトニング・パラライズ!』


 うん、ちゃんと効いているみたい。電撃で麻痺していますねー。

 この魔法は攻撃力は無いのですが、一定時間の間だけ相手を麻痺させるのです。対象が大型だったり複数に増えると麻痺している時間が減少しますが、1体で人型でしたら1時間は効果があるので、意外と使えますよ。

 以前、シズクがおいたをした時に試しに使ったら、その時の体勢で、痺れてましたから、ちょっと笑えましたが!


「動けない相手を斬るのって、なんか抵抗を感じるのですが……良いのかな……」


「早くしないと、動き出しても知りませんよー。この魔法は相手が多いほど拘束時間が減少するので、私はそれがどの程度か知りたくて使っただけですから」


 私だったら、さくさく首を刎ねてしまうのですが?

 大抵の生き物は首を刎ねてしまえば倒せるから、つい狙ってしまうのですよね。

 この辺が私の感覚のおかしい所なんでしょうかね。


「この数を同時は無理ですから、仕方ありませんね」


 申し訳なさそうに斬ってますが、相手は殺す気で来ているのですから、情けとか不要だと思うのですが?

 よく見ればハイ・オークも混じっています。そろそろ強い個体もいるから注意しておきましょう。

 その後も順調?に20階層のボスの部屋まで来ましたが、2人とも貴族の御令嬢とは思えない姿になっています。

 エルナは返り血で結構血だらけになってますので、ブラッディー・エルナとか命名したいのですが、そんなことを言ったら絶対に怒るよね!

 カミラは律儀にかなりの矢を消費していますが、私でしたら途中で手抜きとかするのに真面目ですね。

 一応、どうするか聞いて見ますか。


「この扉の向こうがボスの部屋で、オークキングとその仲間達が一杯居るんだけど、頑張るかもう帰るかどっちにする?」


「ここまで来たら、当然行きますけど……もしかして、ここも2人でなのですか? 流石に無理だと思うのですが……」


「雑魚は私が殲滅しますので、ボスに集中していいよ。シズクにもサポートさせるので倒すのは2人で頑張って下さいね」


「それなら、頑張るわ!」


「では、セリスは2人に支援魔法を掛けてあげてねー。それでは行きますよ」


 扉を開けると、お約束のようにオークの軍隊がいますが、これゴブリンと内容がほぼ変わってないよね?

 ただ、ゴブリンよりはパワーがあるので、まともに相手をしていると大変です。

 シズクは、喜んで滅多切りにしてましたが……忍者よりも暗殺者の方が合っている気がします。

 まあ、めんどいので、雑魚は一掃してしまいましょう。


『我 穿つは大気の意思 集約せし力よ我が敵を撃て エアリアル・ニードル!』


 ちょっと数が多いので詠唱を付けお置きましたが、無しでも複数の風の矢というより槍を放つ魔法ですね。

 この魔法は詠唱を付けると威力では無く、手数が増えるので、雑魚なんかには最適な魔法です。

 そこそこの貫通力もあるので、並んでいる相手には更に有効ですね。

 さて、残った雑魚は私とシズクで狩るとしましょうか。

 

「私とシズクで残りは処理しますので、セリスは2人の支援でお願いしますね。2人はボスとその取り巻きだけ頑張って下さいね」


「お姉様、私は普通に戦った方が良いですよね?」


「私は、今回は苦無しか使ってはいけませんと言いましたので、ちゃんと援護して下さいよー」


「はい! 頑張って援護します!」


 一度の失敗ぐらいは大目に見ないとね!

 シズクはちゃんと練習すれば、かなりの使い手になるはずです。

 最初は見当違いの方に投げていましたが、たった1日でかなり当てれるようになったのですから、素質はあるはずです。

 そのまま残りを殲滅するのと同じぐらいで、向こうも倒せたみたいですけど、なんか言いたそうですね?


「ねえ、シノア……最初から、セリスさんの強化の魔法をもらっていれば、とても楽になったのでは?」


「そうですね。矢の威力なんて、貫通してしまうし……こんな便利な魔法があるなんて知りませんでしたわ」


「常にこの魔法があるとは限りませんので、普段は使わないようにしているだけですね。後は、使っている人を見ないので、他の人に余り知られないようにしていますけど。大体、戦争とかしてるのに、この手の魔法が廃れているのか失われたのか知らないけど、使えない方が私は疑問なんだけど?」


 この国は、人材を育てているのだから、身体強化の魔法とか無い方がおかしいのですよ?

 他にも便利な魔法や強力な魔法もあるのに失われてしまった方が多すぎです。

 私が調べた限りでは、単体魔法が主流で、範囲魔法は高レベルの魔導士が使えるぐらいなので、私が使う魔法でも十分に通用してしまいます。

 何かエレーンさんに貢ぎ物をすれば教えてもらえそうなのですが、対価の条件が難しいからね。

 後は、ノアなら知っているのですが直接話が出来ないという最大の欠点がありますから。


「廃れてはいませんよ? ミリア様は使えるはずですが、一般には使える人が少ないので、セリスさんも使えるとは思っていなかったのですよ?」


「どうして使える人が少ないのか知っていますか?」


「特殊な物や有利に働く魔法は、自分たちの派閥にしか教えないそうですよ」


「特殊というと強力な範囲魔法などですか?」


「分からないけど多分そうじゃないのかな?」


「でしたら、使徒なら確実に使えそうですね」


「ミリア様に喋ってはいけないと言われてますが、シノア達は使ってるので言いますけど、大規模な攻撃の魔法も使えると聞いたことがあります」


 派閥ね……要するに自分達だけで、独占したいという訳ですね。

 いつか使徒と戦う時になったら、相手も強力な魔法を使ってくることを前提にしておいた方が良いですね。

 今日から、セリスには中級までの使える聖魔術は全て教えておいた方がもしもの為に良いですね。

 聖魔術は防御系の魔法が多いので、セリスの機転なら直ぐに対応してくれるはずです。

 セリスは、私と違って聖魔術なら大抵は覚えられるので、適性が高いのでしょうね。

 他の国の状況が分からないのでなんとも言えませんが、もう少し広めた方が人材が育つと思うのですが?

 ちょっとスクロールに片っ端から魔法を写して配布もしくは売り捌こうかな!

 そしたら、独占とか意味なくなるし、私の懐も更に潤いそうですね。

 でも、それやってしまうと私の優位性も無くなるので、今は駄目ですね。

 何にしても、今は、使徒になっている人と対等に戦えるようになるまでは、強くなることが目標ですね。


「シノアに聞きたいのですが、さっきの魔法は『エア・ニードル』ですよね? あんなに広範囲な魔法では無かったと思いますが……それと何か前置きのようなことを言ってましたが何なのですか?」


 あっ……カミラだけは、知らないことでしたよね。

 エルナは口止めしてあるので問題ありませんし、魔法はいまいちだからとか言って使わないからね。

 まあ、これからのことを思うのなら、教えておきますか。


「さっきの魔法は、『エア・ニードル』の上位の範囲版ですね。あと詠唱を付けているのはね……」


 取り敢えず、マナの消費は上がるけど威力は上がると説明しておきましたが、他の人は知らないので、秘密にするようにお願いしておきました。

 単純に口上を述べた方がイメージがはっきりするからだと私は思っています。

 何にしても、初見か開幕の時にしか使えませんけどね!

 今日は、この辺りで戻りますが、明日からはもっとビシバシと鍛えて、早くレベルを上げてしまいましょう!

 音を上げたらそこまでだし、頑張ってくれれば頼もしい戦力が増えますね。

 2人とも、お嬢様なのに根性がありますからね。

 普通なら、逆切れとかしそうですよね?

 まあ、しばらくは様子を見ましょうか。



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