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生まれ変わったのですよね?  作者: セリカ
22/378

21 初耳です

 お屋敷に戻るとエルナ達がまだ起きて迎えてくれたのですが……その服装は?

 エルナは軽装の鎧を思わせるドレス風の服を着ていますので、それはどうしたのと聞いたら。


「勿論、この日の為に作ってもらっていた私の防具ですよ? ちゃんと、シノアに作ってもらった大剣も背中に固定出来るのですよ!」


 ギムさんの方を見ると、知らない顔をして飲んだくれています。

 私がじぃーっと見つめていると「ちょっと、良い物をもらってしまって、作る事にしただけだぞ……」とか、言ってます。

 カミラも明日は学園がお休みなので、エルナに泊まって行くように言われたから居るのはわかるのですが、なんか胸当ての付いたエルナとお揃いの色の服を着ていますが……。

 ギムさんの方を向くと「まあ、ついでだな」とか言ってます。

 確か私の記憶が正しければ、気に入った人にしか武器とか防具は作らんとか豪語してましたよね?

 なんか見慣れない酒瓶がありますね。

 結局、酒で買収されているじゃーないですか。


「カミラは胸当て以外は身軽な感じでいいですねー」


「ええ、弓を弾くのに丁度いい感じになってますし、矢筒も作ってもらったので本当に感謝しています」


 なるほど……その胸当てが無いと弓を弾くのにカミラの大きい胸が邪魔なんですね?

 そんな物で押さえつけるぐらいなら、私に下さい……。


「ちょっと、シノア? 私には感想を言ってくれないの?」


「エルナに良く似合ってますよー。ドレス風とかお洒落ですねー」


「ありがとうね! お母様もこんな感じだったので、真似てみたのですよ!」


 それは良いのですが、みんな黒が基準の服装になっています……素材は理解出来ましたが。


「皆さん、黒が好きなのですね! まるで影の軍団みたいです!」


 シズクがなにか言ってますが……影の軍団とか私は嫌過ぎるのですが!


「シノア、そう言えばパーティー名はどうしているのですか?」


「何ですかそれは?」


「冒険者の人達はそれぞれパーティー名で名前を売っていますから、シノアがリーダーなのですから、どんな名前なのかと思ってね?」


「そんな物はありませんよ? めんどいし」


 そんな物は要りません!

 大体、私は目立ちたくないのですからね。


「提案があります! 黒衣の旅団とかどうでしょうか!」


 みんな着てる物が黒だから、シズクが何か言ってますが黒衣はともかく……旅団って……。


「良いわね! 私は賛成だけど、シノアはどう思う?」


「却下です! パーティー名とか不要です!」


「では、お姉様の親衛隊とかどうでしょうか!」


「シノアが良いなら、私は受け入れるわよ? そうなると……私もシノアのことをお姉様と呼べば良いのかしら? 」


 私は、要らないと言っているのに!

 しかも、みんなからお姉様呼ばわりされるとか、シズクだけで十分です!

 ちょっと、シズクは止めないと変な名前にされそうです。


「ちょっと、シズク! 一緒にこっちに来なさい! お仕置きです!」


「えっー! 意見を言っただけなのに何故ですか! ……分かりました……どうぞお仕置きをして下さい……」


 こっちに来なさいと言っているのにみんなの前でパンツを下ろして、壁に手を着いて待機してますよ!

 カミラが居るのに視線が痛いです……。


「シノア……もしかしてお仕置きって……こんな小さい子を……」


 ああ……カミラを口止めしておかないと、学園に知れ渡ったら私のイメージが!

 それにしても、この子は!


「シズク、私はこっちに来なさいと言ったのに、どうしてみんなの前でそんなことをしているのですか!」


「皆さんはお仲間ですし、この子の設定だと、おいたをした時は仲間の前でお仕置きを受けているのです! お姉様は気にしないで、どうぞお気の済むままに私にお仕置きをして下さい!」


「設定って何ですか?」


「仲間の連帯感を高める設定なのですね? 私もシノアに言われたら、そうすることにしますね!」


 ……間違った認識が刷り込まれて行くのですが……ああ、そうですか!

 分かりました!

 ちょっと、気分が晴れるまで叩いてあげますよ!

 シズクには高速回復があるので、この程度なら問題ありません!

 そのまま、みんなの前で、真っ赤になるまで叩いてあげましたが……この娘は何で喜んでいるのでしょうね?


「お姉様……ありがとうございます! 雫は嬉しいです……」


 この娘……目が潤んで表情が……うちの最強の前衛が残念過ぎる性癖持ちになってしまいました。

 エルナは期待している目をしてますが、絶対にしませんからね!

 カミラなんかは、「私も対象なのかしら? 絶対にミスとか出来ませんね……」とか言ってますがしないってば!

 セリスは黙って目を閉じていますが、手をお尻に回しているのは何故なんですか?


「取り敢えず、私は目立ちたく無いので、パーティー名は不要です。このお話はもうしないで下さい」


「えっー! お姉様、戦隊名は大事なのに……」


 シズクは、みんなの前で、あんなにお尻を叩かれたのにまったく懲りていませんね。

 次は違うお仕置きを考えておかないと無駄に喜ばせるだけですよね?


「エルナ、次にこのお話しをしたら、置いて行きますので、忘れないで下さいよ?」


「仕方ありませんね……でも、シノア達はもう結構な噂になっているの知らないのですか?」


 初耳です

 噂になるような事はしていないと思うのですが?


「どんな噂ですか?」


「若い女性の3人組がハイペースでダンジョンを攻略しているとの噂ですよ?」


 何故進行具合が知られているのですか!

 平日は深夜にこっそり行っているだけだし、休みの前の日ぐらいしか余り人に会わないはずなのに?

 ギムさんが何を今更と言った感じで話して来ました。


「お前さんは知らんかったのか? ギルドカードを持っていると、休憩所にあるクリスタルに階層を突破する度にパーティー名と名前が更新されていくんだぞ?」


「そんな物が有ったのですか!」


「こないだ、ちょっと立ち寄ったので見てみたら、お前ら3人の名前が有ったし、たまにしか見かけないのにすごい勢いで降りていくと話題になっていたな」


 こんな買い取り専用カードにそんな機能が有ったのですか!

 しかも、私達は休憩所なんて行かないので、まったく知りませんでした!

 シズクにも有った方が良いと思って、私と同じ最低のGランクで登録しておいたのですが失敗しました!


「しかも、ランクも表示されているので、それは噂にもなるだろう? わしが見た時は、Eランク1人とGランク2人の3人のパーティーが37階層に居るんだからな、普通ならあり得ないだろ?」


「ランクまで表示されているのですか!」


「だから、ギルドの奴らが何とか会ってカードの更新をしたいとお願いしているらしいが、絶対にカードを渡してくれないのでなんともならないと嘆いていたぞ?」


「私は言われた通りに買取の時に見せているだけですので、渡してはいません。最近は、行く度にお願いされて少々うっとおしいとは思っていました」


 なんということでしょうか!

 まさかそんな公開プレイをされているなんて、嫌なクリスタルですね……今度、夜中に破壊とかしたいぐらいです。


「そう言えば、40階層は攻略して来たのですか?」


 エルナには、40階層のボスだけ倒して来ると言って出かけましたから、当然の質問が来ましたね。


「一応、ボスは倒して、41階層から入れるようにはして来ましたが……」


「そうか……それは今頃はすごいことになっていると思うぞ?」


 ギムさんは面白そうに納得していますよ。


「ちなみに聞きたいのですが、普通はどのように40階層を攻略するのですか?」


「そうだな……パーティーのレベルとメンバーによるが、平均レベルは50以上で、6人なら装備は対ゴーレム用は当然として、盾役が二人いると安定で、高位の魔術師と支援が最低1人は欲しいかな」


 盾役とか、居ません!

 レベルも足りません!

 しかも3人です!


「シノア達は3人ですよね?」


「安全策で、行くなら2組のパーティーで行けば確実だろう。あくまでもレベル50以上の面子でな」


「シノア達のレベルっていくつなの?」


「……秘密です……」


「お前ら、ちょっと、ここに名前を書いてくれないか? 直接マナを流すか血判でもいいぞ」


「嫌です!」


「なんだ、知っていたのか」


 知っていますよ!

 本人が名前を書くとレベルとかが分かる鑑定紙じゃないですか!

 字が書けない人は直接マナを流すか自分の意思で血を付けると能力が表示されるのですよね。

 能力とかは知られたくないから、その辺はしっかりと調べましたからね。

 シズクにも内緒で、命令してあるので、徹底してますよ!


「ねえ、シノア。お願いだから、教えてよ?」


「シノアよ、お前はこれが飲みたかったよな?」


「それは……魔王殺しじゃないですか! 一体何本持っているんですか! エレーンさんは、かなり籠っていたのに1本も出なかったと聞いてますが?」


「まあ、実は、ある条件でドロップ率が6割になるんだよな。何もしないと滅多に出ない確率らしいぞ。だから在庫はあるんだが欲しくないのか? 前にノアが残した空瓶で何をしていたのか、わしは知っているんだぞ? それをここで話してもいいんだがな」


 なぜそのことを知っているのですか!

 止めて下さい!

 私の黒歴史とも言えることが知られたら、ますます哀れな子に見られてしまうじゃないですか!


「なになに? 何をしていたのですか? シノアのしていた事がすごく気になります!」


「私のレベルは45です! セリスは45で、シズクは40です! 絶対に話さないで下さい! 言いましたから、早くその瓶を下さい!」


 なんて、恐ろしい弱みを握られてしまったのでしょう!

 それ以前にどうやって知ったのか……いつも賄賂とか弱みで自分の主張を通してきたのですが、逆の立場になって初めて理解出来ました!

 空瓶を綺麗に真っ二つにして、舐めていたいたとか知られたら……。

 ギムさんは、勝ち誇ったようにニヤニヤしていますが……逆らえなくなってしまいましたよ!


「最初から素直に言えば良いのにな。しかし、レベル50以下で3人とか、恐ろしい奴らだな。実質レベル90ぐらいの実力というわけだな。そうなると技能などがかなり強力だから、それで補っていると見たが」


 酔っ払いの癖に何でそんなに的確に読んでくるんでしょうね?


「そう言えば、シノアの固有能力って、9つもあるのでしたよね」


「お前さん、そんなに有るのか? そんなにある奴は使徒にだって居ないぞ? そうなると二人も同じぐらい持っているということか、技能も知りたい所だな」


「私は、お姉様より少ないので、4つしかありません」


「普通の人は、持っていませんよ? 一つ有ったら、すごいくらいです」


 またシズクは、余計なことを……。

 カミラは、何を言っているのでしょう?

 収納を持っているから、十分にすごい部類と思うのですが。


「セリスも4つぐらいなのですか?」


「私は、シノア様の許可が無いと何もお答えは出来ません」


 素晴らしいです!

 セリスは出来る子です!

 それに引き換え……。


「まあ、そのぐらいで良いが。確か、ボスのタイラント・ゴーレムは雑魚より更に硬いし攻撃力も強いので、耐える奴がいまいちだと話にならんのだが、お前らが耐えるような事をするとは思えんが?」


 えっ……ボスは雑魚より柔らかくて、這いずって来たので、攻撃とかまったくされてません!

 まあ、私の魔法に巻き込まれて弱体化してしまったのですけどね。


「ギムさん。ボスは柔らかくて、雑魚より弱かったですよ!」


 また、シズクは余計なことを!


「そんなはずはないだろ? わしも昔は苦労して倒した記憶があるんだが?」


「お姉様の魔法で、雑魚はほぼ全滅して、ボスもすごく弱体化してしまったので、楽勝でしたよ?」


「すごいわ! シノアにはそんな超魔法があるのですね!」


「あのゴーレムは魔法の耐性がかなり高く設定がしてあるから、魔術師泣かせなんだが……どんな魔法が通用するんだ?」


 ちょっと!

 更に余分なことを話しています!

 後で、更にお仕置きを追加します!


「えっーと、どんな魔法だったかなー? 私は、忘れ……」


「砂嵐を起こして、敵を溶かして爆破する魔法です! さすがに私も怖くて近付けなかったのです! お姉様の魔法は最強です!」


 シズク!!!!


「シノア! 今度その魔法を見せて下さいね!」


「そんな魔法があるのですか? 恐ろしい魔法なんですね……」


「お前……それは現在は継承されていない失われた魔法じゃないのか? 現在では使い手も居ないから、誰も使えないはずだぞ?」


 えっ!

 あの魔法って、使える人が居ないのですか?

 まあ、確かに使える人が居たら恐ろしいですよね。

 それにしても、シズクを何とかしないといけません。

 注意をしないと、どんどん喋ってしまうので、どうしましょうね。


「わしの記憶が正しければ、五千年前の使徒が使っていたのが最後の記録だな」


「そんな昔の魔法なのですか?」


「昔、ラースの奴が調べていたんだ。確か、戦略級魔術指定だったと聞いた気がするが……何しろ、記録が古すぎるからな」


「シノアはどこで、その魔法を知ったの? そして、どうやって使えるようになったの? 教えて欲しいです」


 私の頭の中に有った知識とは、言えませんよね。

 それにしても、戦略級魔術とか大層な分類名が付いてますが……広範囲に町や都市に使ったら、怖いですね。


「知らない内に使えるようになっていたのですよ」


「ふむ、シノアは、レベルに比例して覚えていくということだな」


 相変わらずギムさんは良い所を突いて来ますね。

 ちょっと違いますが、結果的には同じようなことですからね。

 恐らくですが、特定の敵を倒すことによって技能が上がって、私のレベルに応じて解放されていくと考えた方が良いと、今の所はそう思っています。

 きっと、私が魔物から魔石を回収出来ないことが関係している気がします。

 シズクの収納に品質の良いのだけしまっていますが、残りは私とセリスで触れて消しています。

 私の固有能力の吸収が関係していると思っていたのですが、セリスは吸収を持っていないのに魔石に触れると消えてしまいます。

 ノアかエレーンさんなら知っていると思うのですが、多分教えてくれないですよね。


「まあ、この話はこのぐらいにして。エルナ達はギルドカードは持っているのですか?」


「勿論ですよ? シノアに合わせてGランクにしておきましたよ?」


「はっはははー、更にGランクが二人追加でダンジョンを攻略していくとなると、ギルドの奴らが慌てふためくだろうな」


「エルナとカミラは、ランクを上げたかったら上げても良いからね」


 2人は、後々に反映されるので、上げた方が有利になるでしょうからね。


「シノア、私は上げませんよ? シノアが更新しない限りは嫌です。私はシノアとはお揃いでいたいのですよ?」


「私も特に上げる必要はありませんが判断はお任せ致します」


 ふむふむ、二人がそう言うのでしたら、よいですか。

 そろそろお開きにして寝ないと、他の質問をされて、シズクが暴露しまくるからね。


「そろそろ寝ないと、二人とも起きられないよ?」


「そうね。明日は私達の初の挑戦ですから、しっかり睡眠は取らないといけませんね!」


「それで、私もエルナ様と一緒で宜しいのですか? 私は嬉しいのですが……」


「勿論ですよ! 今日は3人で寝ましょうね!」


 丁度良いので、カミラに抱き着いて眠って下さい。

 最近は暑いので、知らない内に脱がされているなんて、器用ですよね。

 そして予想通りに、朝になって起きたらやはりカミラは裸で寝ていますね。

 私は、眠った頃を見計らって、カミラをエルナにくっつけておいて、少し離れて避難してましたからね。

 それにしても……けしからん大きさですね……私と同じ歳とは思えません!

 ちょっと、いらつくのでいたずらを……おや?

 お風呂に入った時は気が付かなかったのですが、背中をよく見るといくつか傷があります?

 まだ新しい傷もありますが、中には治りかけの所に更に傷が追加されているのもあります。どう見ても誰かに鞭などで叩かれない限りは出来ない傷ですね。

 まだ起きないですよね?

 ちょっと内緒でカミラの背中に手を当てて、私が使える集中回復魔法『キュア・クリティカル』を使いました。

 うん、これで傷は全て無くなりました。

 私は、聖魔術は簡単な回復魔法しか使えないのですよね。

 いま使ったのは、古い傷でも深くなければ癒すことの出来る魔法なのですが……どうしてこんな傷が?

 あっ!

 カミラがこっちを見ているじゃないですか。


「おはようー」


「おはよう……私の背中の傷を見たよね?」


「うん……治しておいたけど、どうしたの?」


「シノア、ありがとうね……でも、見なかったことにしておいて欲しいの……お願い……」


「わかったけど、私で良ければいつでも力になるから、頼ってね?」


「申し出はとても嬉しいのですが、今は何も聞かないでくれると助かります」


 まあ、本人が望まないのであれば、私はその意思を尊重致しますが、場合によっては勝手に行動しますからね。

 しかし、シーツで包まれているのは、なんか良いですね。

 私にはそんな気は無いはずなのですが、頭で誰かが何か囁いているような。


「それにしても……エルナ様は、一緒に寝ると相手の服を脱がしてしまうのかしら?」


「最近は暑いからね。抱き癖は元々なんだけど、知らない間に抱いている人を脱がしてしまうから、カミラを生贄にして、私は退避してましたよ」


「生贄って……でも、私なんかと一緒に居てくれるなんて……ちょっと嬉しいかな」


「私は、カミラのプライベートを詮索するつもりはありませんが、自分を卑下することはあまり感心致しませんよ? ましてや、貴女は私の大事なお友達ですからね」


「ごめんなさい。私の事を大事に思ってくれているのは、とても嬉しいです。もう二度と言わないわ」


「わかってくれましたら、幸いです」


 詮索しないとは言いましたが、近いうちにちょっと調べておきましょう。

 周辺の聞き込みなんかはセリスに頼んでおけば良いのです。噂なんかは完璧に調べてきてくれます。

 怪しかったら、シズクを忍び込ませれば喜んで調べてくるはずです……暇な時は、学園に忍び込んで私の護衛をしているらしいのですが、まったく気配が掴めないのですよね。

 私には気配感知の技能があるのに、見られている事に気付けません!

 みんなで朝食を取ってからダンジョンに行くと、何か騒がしいですね?

 関わりたくないので、早く転移の魔法陣の所に行きましょう。


「ちょっと、待って下さい!」


 誰か呼ばれてますが、知らない人なので、私ではありませんね?

 無視して行こうとすると、前に立ち塞がるんですけど……うざいですね。


「済みませんが、私は早くその魔法陣に入りたいので、どいて下さい。どいてくれないと魔法で拘束してしまいますが?」


「止めて下さい! セリスさんは私を知ってますよね? 受付でよく会っているのですから、何か言って下さい!」


「シノア様、この娘はギルドの買い取りの受付嬢ですが、最近はランクを更新して下さいとうざい事を言ってくる娘です」


「セリスさん! うざい娘とか酷いです! 今日こそは更新してもらわないと私は減俸されてしまうんです!」


「減俸ですかー大変ですね。では、行きますのでどいて下さい」


「何で無視するんですか! お願いします! 最初に登録をしたのも私ですから、見る目が無い使えない奴とまで言われてしまっているんです!」


 それは、大変ですね。

 ラースさんも今頃は同じことを言われているのではないでしょうか?


「一つ聞きますが私の事も知っているんですよね?」


「知っています! シノアさんが登録を行った町のギルドマスターのラースさんは、無能の烙印を押されて既に減俸処分になってます!」


 まじですか!

 それは良いことを聞きましたので、帰ったらギムさんにお話ししましょう!


「あのたらしの人はどうでも良いんですが、私が減俸になったら生活に困ってしまうんです! お願いですから、私を助けて下さい!」


 ちょっと!

 泣きながら、土下座して頼み込んでますが……周りの目が痛すぎて、無実の私がまるで悪者では無いですか!

 しかし、たらしの人とか言われてますが王都で噂にでもなるぐらいの事をしたのですかね?

 ここまで、されては仕方ないですね。


「セリス、ちょっとカードの更新をしてきてあげて」


「ありがとうございます! それじゃ、3人とも……」


 おおっ、希望に満ちた笑顔になりましたよ。

 しかし、世の中はそんなに甘くはありませんよ?


「更新するのは、セリスだけです。それが嫌なら、無視して先を急ぎますのでお話はお終いです」


「そんな! ……じゃ、セリスさんだけでも受付に来てください……上司に報告してきます……」


 やっぱり、喜ばせてから、落とすのは楽しいですね。

 少しだけ譲歩して、迷っているのも乙です。

 何か、あの人をからかいたくなってきましたので、たまには私も受付に行くことにしましょう。


「宜しいのですか?」


「あのまま無視したら、私は悪人確定でしたからね。ちょっとだけ譲歩しました。休憩所で待っているので行ってきてください」


「畏まりました。それでは行って参ります」


 仕方ないので、ちょっと休憩所に行くとあれがクリスタルですか。

 確かに、昨日3人で40階層を突破した記録が残ってますね。

 他の人の記録は、Cランク6人が平均ですね。

 Dランクは18人のがあります。

 うん、これは笑えるというか悪目立ちしますね。

 周りの私達を見る視線がうざいです。

 無視して、セリスが来るまで、何か飲んでますか。

 テーブルに座ると給仕のお姉さんが来たので、適当に注文しますか。


「みんな好きなの頼んで良いからねー。私は、激甘のジュースとここで一番度数の高いお酒を下さい。両方とも大ジョッキでお願いします」


「私は、フルーツジュースで、お願いします」


「私もフルーツジュースで、お願いします」


「私は、お姉様と同じ物で、良いです」


「シズク! 済みません、この娘は普通に甘いジュースで。お願いします」


「お姉様は、好きな物で良いとおっしゃったでは無いですか!」


 そんな物が普通の人間に飲める訳が無いでしょう!

 大体、これからダンジョンに行くのに酒癖の悪いシズクに飲ませられる訳がありません!

 以前にカフェで、私のジュースを飲んでトイレに籠ったし、適度に強いワインで酔った挙句に不審な行動をしたり泣いたりするから、大変でしたよ!


「シズクは、私の許可無くアルコールの摂取を禁じます。これは命令です」


「うぅ……はい、分かりました。帰ったら、許可して下さい……」


 飲めないのにまったく懲りていませんね。


「あの……激甘とは、どのような物なのでしょう? 一応、度数40%の物でしたら有るのですが……お出ししても本当に大丈夫なのでしょうか?」


 店員さんは、私が小娘なので、無理と思っているのでしょうね。

 しかも、訳のわからない物まで頼むのですから、きっと私の事は頭のおかしい子とでも思っているに違いありません。

 そんなことを聞かれると追加したくなるではありませんかー。


「激甘というのは、考えられるぐらいの物でいいです。40%でしたら、2杯に追加でお願いします」


「考えられる物に更に追加ですか? 畏まりました……」


 うーん、カフェの店長さんは、何とか私に甘過ぎると言わせたくて、日々おかしな味になってます。

 私が帰りに買っていくお酒の店の店長さんは、普通に売れない物を買っていく私を上客と言って、歓迎してくれますけどね。

 エルナ達が居るから、しばらくはここに通いますか。

 しばらくして、私の前には胸焼けしそうなジュースと匂いだけで酔いそうなウォッカと呼ばれるアルコールを持ってきましたが、私がものの数分で飲み終わると周りの視線が痛いのですが?


「シノア……あのね、ここではもう少しペースを落として飲まないと注目を浴びてしまいますよ?」


「エルナ様、あんな物を頼んでる時点で、異常かと思うのですが……」


「私も飲みたかった……」


 えっー、こんなの水と変わらないんだけど……それにしてもセリスは遅いな。

 早く、ダンジョンに行ってしまえば、問題はありませんよ。


「お姉さんー、お代わりをお願いしますー」


「えっ!? まだ飲むのですか?」


「ペースが速いらしいので、ちょっとやり直してゆっくり飲もうかと」


「シノア……やり直す時点で、違うと思うわよ?」


 運ばれてきた物を飲もうとしたらカミラがちょっと待ってと言ってますが?


「シノア、ちょっとだけジュースの方を味見しても良いですか?」


「良いですが知りませんよ?」


「カミラ、私も辞めて置いた方が良いと思いますよ?」


 エルナは以前にカフェで味見して、トイレに籠ってしまいましたからね。

 カフェのに比べれば薄いので大丈夫かと思いますが、どうなるか面白そうなので、見て見ましょう!


「ちょっとだけ頂きますわね……ありがとう……ものすごく胸焼けして来ました……吐き気が……少しだけ席を外しますね……」


 顔が青くなって、今にも吐きそうになって、トイレの方に行ってしまいました。

 中々耐えましたね。

 私には、良い感じにマナが増えた気がするので、美味しいのですけどね。

 後で、セリスに状態回復の魔法をかけてもらいましょう。

 セリスが戻って来ましたね。


「おかえりー、遅かったねー」


「私だけでしたので、ランクをどうするかで、迷っていたようです」


「結局は、どうなったの? あっ、これ飲む?」


「全員をDランクにしたかったらしいのですが、私だけなのでCランクにとのことです。ありがとうございます、頂きますね」


 そう言って、私と一緒にウォッカの方を飲んで一息つくと、ケロッとしているセリスも注目されてますね。

 まあ、味覚というか私と同じ感覚になってしまったので、酔わせるとか不可能です。

 周りからは、「あの小さい娘もすごい酒豪だが美人の人も同じレベルかー」とか言ってますが、私が小さい娘というのは、シズクもいるのに地味にショックです……。

 カミラが戻って来たのですが、調子が悪そうですね。


「戻りました……少しお腹の調子が悪くなってしまって……」


「セリス、ちょっと治してあげて」


「畏まりました。『キュア・コンディショナ!』」


 うんうん、顔色とか元に戻って行きますねー。


「とても気分が良くなりました! セリスさん、ありがとうございます!」


「どう致しまして」


「やっぱり、シノアのジュースは飲めないよね?」


「エルナ様……知っておられたのですか?」


「一度、カフェでもっとすごいのを飲ませてもらって、大変な目に遭いましたよ?」


「教えて下されば……」


 これ以上の会話が続くと私がおかしいと思われてしまいます。

 どっちも私にとっては、マナ補給をしているだけなのですが。


「さあ、今日はエルナ達は初めてなので、16階層に行きますか。お姉さん、会計をお願いしますねー」


 さっさと支払いをして行きますよ。

 おや?

 シズクが居ませんがどこに?


「シズク、どこに居るの?」


「はい、いま行きます!」


「何をしていたの?」


「ちょっと……色々と見てました!」


 なんか隠している気がしますが……まあ良いですか。

 視線も痛いので、早く行きましょう。



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