3話 ファンベルツィア
リゼアイリア王国の西側にそびえる国、ファンベルツィア。
自然豊かな王国で、食料から鉱石まで、まさに自然に愛された国、と言っても過言ではない。
リゼアイリアとは親交があり、リゼアイリアの植民地ではない数少ない国で、同時に私の母、シェルリアの故郷でもある。
『花冠の儀を前にして、そなたには、外交のやり方を学んでもらう。』
『陛下は、外交下手くそですからね。』
『………とにかく、初めての外交先はファンベルツィア王国だ。頼んだぞ。』
王命を聞き終わったあと、取りあえずは『山積みの書類』と言う名の『化け物』を片付けるために、自身の執務室へと戻った。
部屋を出る前に見たものが、倍になっている気がしたのは気のせいだろうか………。
翌日。
バーーーーン!!
「ごきげんいかがかな!?赤薔薇!」
衛兵はどこだ?
この老いぼれジジイをつまみ出せ!!
ノックもなしに執務室へ飛び込んできたジジイ……
「あら、どなたですの?ちょっと?衛兵?ここの老いぼれをつまみ出してちょうだいな。」
これぞ、お父様直伝!絶対零度の笑み!!
「ハッ!?ティア様、何だか陛下に似てきてはおりませんかの!?」
まぁ、失礼な。
「はぁ、一体どうしてここに?………テオドール・フィアルトア大公。」
うねった空色髪、紺の瞳、そして厳格な雰囲気。
まさに、テルそっくり!!
「ふぅ。テオドール大公、わたくしは、あなたのせいでごきげんはよろしくございませんわ?」
ちゃっかり席に座る非常識な老いぼれジジイにさすがにイラつく。
「で?どうしてこちらに?」
ジジイの向かいに座る。
「いや。少し、昔話でもと思ってな。」
「昔話?」
「あぁ。陛下……いや、ライトとシェルリア妃のことだ。」
お父様とお母様の話………。
テオドール大公はお父様の宰相。
いや、言い方が悪いか。
前提として、我がリゼアイリア王国の王は、その御代が変わるとフィアルトア、クロイツ、マステルノの三公爵も代替わりを行う。
リゼアイリア王の側には三公爵が…。
どの時代もそれだけは変わらない。
そして今、私の目の前にいるテオドール大公は、お父様の御代に仕える、宰相。
なのだが……
テオドール大公は早くに結婚しており、お父様と歳の近い息子がいた。
更に、その息子は、新たに誕生した次代の王と歳の近い息子を持っていた。
その息子がテルノード・フィアルトアなのだ。
王との歳の差を合わせるため、テオドール大公は、次代の王……つまりは私が生まれてすぐにテルに家督を譲り、自身は隠居したのだ。
まぁ、このような三公爵と王との間に年齢差ができたのは、一重に先代国王があれであったから。
まぁ、その話は今は置いといて……
つまり!テオドール大公は、私が産まれる前のお父様をよーーーーーーく知ってるってことよ!!!
「それでは、赤薔薇よ、陛下と姫の話をしよう。」




