4話 うそでしょ
ロズマリン王城 王太子第1執務室
「あら、陛下。何かご用ですか?」
珍しく私の執務室に現れた父に少し驚きながらも声をかけた。
安定の無表情でございますね。
「実はな、この間送った招待状の中にセルフィジア王国への物があっただろう?」
なんだろう、やけに気温が低いような……。
そんなことは気にせず安定の微笑みで返す。
「えぇ。例え、彼の国で内乱が起きておろうとも、我が国と彼の国が同盟関係にあることはかわりありませんから。」
「知っておったか。さすがだな。」
一旦手を止め、立ち上がり父の前のソファーに移動する。
「お褒めいただき光栄ですわ。王太子たるもの、一を聞き百を予測して動くのはもう職業病の域ですわ。」
おぉ、このお茶美味しいわ。
お茶を出してくれたミオナにコクリと頷き、一旦部屋を出てもらう。
ミオナが出て行くのを確認すると父は私を見て口の端を少しだけ上げニヤリと笑った。
あー、この人ホントいい性格してるわーー。
というか、私って確実に父に似てるわね。あぁ、でも、母上の性格は知らないからなんとも言えないわね。
うんうん……。
ドン!!
「陛下!!王太子殿下!!大変で… !!」
「ティア。」
「…ご、ごめんなさい。確認できてなかったから。」
突然、部屋に入ってきた文官の喉元には私のレイピアがつきつけられていた。
文官だとわかり急いで引っ込めたが文官の顔は青い。
「本当にごめんなさいね。それでどうしたの?」
私の問いかけにはっ!と我にかえった文官は慌てて口を開いた。
「陛下!王太子殿下!大変なんです!!セルフィジアから……!!」
私も父も落ち着いた様子であるが、部屋の空気はピリリとしている。
文官から書簡を受け取り父に渡す。
「………。」
ピクリと父の眉が上がったのが見えた。
どうも悪い報せらしい。
「ティア。セルフィジアが誕生祭のパーティーに出席するそうだ。」
嘘でしょ……。
もしかして、と予想はしていたけれど、本当に来るとは。
というか、この状況、父的にはあまりおもしろくはないらしい。
「まぁ!そうでございますか。では、失礼の無いよう、しっかりとお出迎えせねばなりませんわね。」
文官を落ち着かせるためわざとゆっくりとおっとりと喋った。
「そうだな。そなたもこのようなことで騒ぐでない。王太子がこう言うておるのだ。そなたたちが心配するようなことはないと言うことだ。他のものたちにもそう伝えろ。」
文官は冷静さを取り戻しはっきりとした返事をして出ていった。
リゼアイリア王国では国王と王太子が全て。
リゼアイリアの民は生まれたときから国王と正妃そして王太子に仕え、この地と共にある。
それが成るだけの責任と義務、苦痛を私達、王となるものは考えなければならないのだ。




