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4話 銀髪犬耳ロリ、俺のものになる

「……よし、じゃあこの子を買ってくぞ。ほいお金」


結局俺は銀髪犬耳ロリの子を買っていくことにした。正直大丈夫かという気もするが、まあなんとかなるだろう。マッチョ野郎劇場を忘れるための癒しがほしいということもある。


「毎度ありがとうございます。契約書はこちらになります。奴隷の首輪にお客様の魔力波長を登録しますのでちょっとお手を拝借」


柴犬商人は俺の手を取ると冒険者カードとはまた違うデザインのスマホっぽいのにかざす。肉球の感覚がモニュモニュと心地良い。というかどうやって掴んでいるんだろうこれ。某猫型ロボット式だろうか。


「はい、これにて手続きは完了となります。これで年季が明けるまではお客さんの冒険者稼業をサポートすることになりますので……お客さん?」


無心で肉球を揉んでいた俺は柴犬商人に呼びかけられハッとなる。


「お、おう。了解だ。なにも問題はない」

「そうですか? それではまたのご利用をお待ちしております」

「よし、じゃあ行くか」


ロリっ子の手を引き立ち去ろうと……


「触らないでください」

「……」


汚いものでも触ったかのように少女に手を払われた。……この程度でダメージを受ける俺ではないぞ。


「あの、お客さん、こいつ魔法の腕は確かですし、根はいい子なので…なにとぞ……」

「ああ、大丈夫だ。なにも問題はない」

「マゾですか」


無言の手刀。ピンとたった銀色の三角耳の間に打ち下ろす。涙目になった少女は即座に反撃のローキックを放ってきた。見た目細っこい割に筋力があり、さらに体重を載せたいい蹴りだった。つまり痛い。


「なにしやがんだオラァ! お前奴隷じゃねーのかよ!?」

「フィリは年季奉公人です! 契約書読んでないんですか文盲ですかぁ!?」


ぐるると唸るロリっ子の頭を押さえつけつつさっきもらった紙を読み込む。要約すると、3年間の冒険者サポート契約。年季が開けたら後は自由。業務上の命令には基本的に従属。冒険で得た報酬は全て主人に属する。主人は奴隷の衣食住などを可能なかぎり確保すること。奴隷は生命身体に著しい危険がある場合は逆らってもいい。基本的に主人に危害を加えることは許されないが、主人に危害を加えられた場合は反撃可。


「ガバガバじゃねーかなんだこれ!」

「いえ、冒険者サポートの奴隷契約としては一般的な形でして……」

「フィリほどの魔法使いを仲間にできるんですから泣いて喜んだらどうなんです」


柴犬商人は元々小さい体をさらに縮こまらせ、ロリっ子は俺を嘲笑いながら無い胸を張っている。サイズ的にはロリっ子のほうが頭半分程度大きいのだが中身のサイズは逆のようである。


しかしまあ、冒険者の仲間をゲットして戦果を独り占めにできるというのがこの契約のミソなのだろう。奴隷の首輪による魔術的な契約を破ることは難しいらしいし。ロリっ子に付けられた奴隷の首輪はわりと細くてスタイリッシュなデザインをしているが、意外な高性能である。


ぐるぐる唸りながらこちらを睨む犬耳ロリを見つめる。ふわふわしたくせのある銀髪のショートカット。胸はないがスラリとした肢体。眺めて楽しむ分には何の問題もない。おっぱいがないのが惜しいところだがロリ巨乳というのは少し夢を見すぎていると思うので仕方ない。


「なんですか、発情してるんですか。変なことしたらチ○コ噛みちぎりますよ」

「うるせえ貧乳」


飛びかかろうとして首輪に強制停止させられたロリっ子の頭を掴んで押さえつける。言葉攻めに物理的反撃は許されないようだ。同様に相手の口撃も防げないだろうが。


「もうちょっとおしとやかで従順な子が欲しかったけど買っちまった以上は仕方ない。こいつで我慢する」

「何様ですか」

「ご主人様だオラ。言ってみろリピートアフターミー、ご主人様」

「粗チン野郎」


手刀を落す。反撃のロー。一発殴ったら一発やってOKとかいうシステムはどうなんだろうと思うが。アホの友人たちとの肩パンの応酬のようにだんだんヒートアップしてリアルファイトに突入しそうだ。というかヒートアップは現在進行形でしていた。


「ぶち犯すぞこのワン子ォ!」

「やれるもんならやってみなさいこの低能粗チン野郎……! それにフィリは犬じゃない……狼だっ!」


頭を掴んで押し付ける俺の手とその腕を掴んでぎりぎりと締めあげる二本の細い手が拮抗する。体格と出力がどう考えても釣り合っていないのは気のせいではないだろう。

異世界に来てパワーアップした俺と張り合えるのは、獣人っぽい感じの見た目からして種族特性的な不思議パワーか何かだろうか。


「犬バカにすんじゃねえよ柴犬くんが悲しんでるだろうが……っ!」

「知った事じゃないですそんなこと……!」

「あ、あの、やめて! 喧嘩しないで!」


しばらくもみあいへしあいしていたが、柴犬商人の必死の仲裁でなんとか距離を取る俺たち。肉球の感触に力が抜けてしまったのは俺もロリっ子も一緒のようだった。


「俺は川上優樹だ。まあ、問題発言その他は柴犬くんに免じてお互い水に流そうじゃねえか。よろしく頼むぞフィリ」

「あなたにフィリの名前を呼んでほしくなんてありませんけど、仕方ありませんね。私も商人さんの顔を立てて、少しは大人の態度をとることにします。これからよろしくお願いしますよ、ユウキ」


お互い荒い息を吐きながら言う。俺達が落ち着いたのを見て柴犬商人もほっと息をついている。この辺が落とし所なのだろう。

生意気なロリっ子に目に物を見せてやりたかったところだが思いの外身体能力が高く、下手をしたらケガをさせてしまう。曲がりなりにも歳上なのだからその辺は配慮しなければならないだろう。


「何もかもよく分からんし、色々と意味不明な所に来ちまったが、まあレベル上げてシナリオの流れに乗ればなんとかなるだろう。物理一本でいけるクソゲーもあるが魔法は大体強いのが基本。不本意だが頼りにするぞ」

「わけの分からない電波を垂れ流さないでください。フィリを頼りにするというのは、あなたにしては賢い判断ですけどね」


フフンと笑う。ちっと生意気だが可愛いことは可愛いのでよしとしよう。迷惑かけ通しだった柴犬商人に礼を言って奴隷商館を立ち去ることにする。


柴犬商人は恐縮しきりで何度も頭を下げていたが、背中に見える尻尾はブンブンと振られていた。不良在庫が無事はけて嬉しかったのだろう、たぶん。どうでもいいけどジャーキーとか骨っこ的なものを確保しておこうと心に決めた。

今時流行らない暴力系ヒロイン。わりとすぐデレます(ネタバレ)

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