「あちゃー。」
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『皆様、御入学、おめでとうご』
以下敬略。敬を付けると悪い気がしない。
僕はヒリヒリと痛む顔面をさすりながらぼんやりと司会の進行を聞き流していた。
しかし考えてみると殴るとか母親としてどうなんだ。
しかも顔面。
昔の優しかった母は何処に行ってしまったんだろう。
はっ、もしかして俺が中学の時に父が不慮の事故で死んでしまったからそれで母は壊れてDVを……。
いや、生きてるし。父さん。
「後で殺す。」
耳元で囁かれる殺人予告。
また声に出てましたかー。あちゃー。
いやその前に殺すとか言っちゃダメでしょ母親として。
作った後自由に壊していいのは砂の城だけですよ!
などと心の中でのたまわっていると式も中盤に差し掛かる。
『校歌斉唱、皆様、お手元の歌詞をピアノと共に後斉唱下さい。』
たったら〜たた〜たったら〜た〜
まさしく校歌っぽい演奏に合わせて歌が始まる。
僕は中学の頃から校歌は歌わない派である。
他の人に任せて口を開閉させるだけ。
歌に合わせて口を動かしていればバレることなどまずない。
パクパクパクパクパクパ「っ───!!?」
突然足に走る激痛にパイプイスをガタッと音を立てて動かしてしまう程には体を跳ねらせた。
足を見ると母の鋭く硬い長爪がズボンに食い込んでいた。
ヴェロキラプトルよろしくの食い込み具合だ。盛ったけど。
不審に思った前の人が横目でチラリと俺を見てすぐに前を向く。
くそっ、こっち見るなよ、不可抗力なんだって。
もしや後ろの席の人も……。
そんな考え方をして後ろを振り返る。
やはり「え、何こいつ。気持ち悪」と言いたげな目で僕を見た。
なんで……なんでそんな目で見るんだ!!
(後日思い返して赤面したのは言うまでもない。)
しかも可愛らしい女の子であった事がさらに精神ダメージを倍増させる。
それもこれも元ヤンババアのせいだ!
高校生活始まった初日でババア呼びに変更だ!!
恥ずかしさと怒りをふつふつと煮え滾らせつつ、前を向いていると気付けば入学式も終わりを告げていた。
『以上で⚪︎⚪︎高校入学式を終了します。』
ふう、やっと終わったか。ふと母を見る。
するとふつふつとしてた何かがすぅっと冷えていくのを感じた。
バ……母さんがニッコリと笑顔を貼り付けていた。
さっきまでの思考は言葉に出していない筈……。多分。
「か、母さん?どうした……の?」
母は笑顔を貼り付けたまま答える。
「何が?ふふ、おかしな物でも見たような顔して。男前が台無しよ。」
あぁ。
察した。
今日帰ったら死ぬかもしれない。
「ふふふ。」
今日は……帰りたくない。(小並感)
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普通に入学式で前の人が振り返ってこちらを見たら変な奴を見る目で見ますよね。
解説してしまう辺りが恥ずかしいですね。




