【1】テクニカルアナリスト、なぜかスポッターになる。〜監視中のチーフがマネキン過ぎる件〜
本作は、完結済み捜査小説『O.R.A.C.L.E.』オラクルの一話完結型コメディ外伝です。
本編を未読の方にもお楽しみいただけます。
最強捜査官と規格外の仲間たちに、今日も善意で追い詰められるチャーリーの日常を、どうぞお楽しみください!
ある日、イーサンは言った。
「ハーパーは俺と組め」
そして、「アイアイサー!」としか返事が許されないチャールズは、イーサンと二人一組の監視体制に組み込まれたのだ。
イーサンにとっては、ハーパーがいると、その場でパソコンを使えるという理論だけ。
だが、チャールズには恐怖の始まりだった。
なぜなら監視中のイーサンは――
微動だにせず監視カメラに向かっているが、チャールズにとっては、その姿こそ、人類側の脅威だったからだ。
チャールズは心の中で叫ぶ。
(人間ってあそこまで動かないものなの!?
……あれはマネキン!?
チーフがいつの間にかマネキンにすり替わった!?
……でも時々、低い声で指示出して来るし……。
俺はパソコンがあるから、デスクと椅子は必要だし……。
チーフ!
少しは休憩取って下さいよ!
俺の心が壊れます!)
そんな中、イーサンが突如として高性能ライフルを構えた。
そして、鋭い指示が飛ぶ。
「ハーパー!
敵が逃走する!
君はスポッターになれ!
風速と距離感を教えろ!
俺は君の指示で動く!」
チャールズが素早く「……ハイッ……!」と答える。
心の中で悲鳴を上げながら。
(スポッター……!?
スポッターなんて知らないよ……!!
まず、この双眼鏡みたいなのの、どこを見たら良いんですかチーフ!!
しかも……俺の指示でチーフが動く!?
無理無理無理……)
だが、イーサンは止まらない。
「風はどこから来ている!?
距離は!?」
チャールズは、自分でも何を言っているのか分からないまま、必死に答えた。
そして、それは大当たりしたのだった。
オラクル本部に戻ると、イーサンは静かに言った。
「ハーパー……君はテクニカルアナリストだけにしておくのは惜しいな。
報告書に君の活躍を書いておこう」
またも、心の中で叫ぶチャールズ。
(待って待って待って!
公式化しないで!!
チーフがそんなこと書いたら、どうなるか分かって言ってるんですか!?
チーフ!!)
イーサンは特別扱いをした訳ではない。
善意で部下を信頼し、「君は良いスポッターだったと記録しよう」と言っているだけだが、チャールズにとっては――
(止めて止めて止めて!!
公式化しないで!!
オラクルのイーサン・クロフォードがネ!
俺を良いスポッターって言っちゃったら、俺が終わるんですよ!!
チーフ!!)
という、真なる叫び。
そして、イーサンの報告書を読んだオラクルのメンバー達も――
元軍人のベックが無邪気に言った。
「お前ってスポッター出来んのか!
今度は俺も頼む!」
カリスタも美しい笑みを浮かべ、「チャーリーって、ここぞという時に強いのよね」と、いらない褒めを投げてくる。
そして、元FBIの捜査官のヴィヴィアンも好奇心丸出しで言ってくる。
「……チャーリーって、普段どんな銃使ってるの!?」
そして遂に、イーサンからあの一言が、出た――
「ハーパー。銃携帯の資格を取れ」
(だからーーー!!
俺はテクニカルアナリストとして昇進したいだけで!
銃とは無縁の世界で生きていたいんですよ!!
チーフ!!)
チャールズの悲鳴は誰にも届かない。
〜fin〜
こまでお読み下さり、ありがとうございます(^^)
次回も読んで下さると嬉しいです!
毎日17時更新☆
Xはこちら→ https://x.com/himari61290
自作のキービジュアルやキャラクターカード貼ってます♪
「【完結】最強捜査官イーサン
――完全犯罪を暴く行動分析チーム《オラクル》」はこちらから→ https://ncode.syosetu.com/n9827me/




