想い出噺・b
ん? よぉ、お嬢さん。また会えたな。
って……なんだよ、その不服そうな顔は。オレがなにかしたか?
嘘つきって……あー、お前、この前の話を誰かに話しただろ? わかるよ、それくらい。
それで、それは違うとでも言われたんだな。はいはい。
なぁ、お嬢さん。物事ってのは、それぞれどこから見るかで印象がガラッと変わっちまう。どこで誰に聞き、当事者なのかそうじゃないのか、そんな些細なことで、言葉の意味なんて大きく変わるんだ。
だから、その違うって言った相手も、お嬢さんも。別に間違っていないと思うぜ? お嬢さんはオレから、その相手はまた別の相手から、別の視点の話を聞く。すると、どんどん飛躍していってしまうこともある。
その時その瞬間を、直接見聞きした者同士でないと、本当かだなんでわからないんだよ。
だからな、お嬢さんが正しいと思った方を心に留めておいていいんだ。
おい、どうしてそんな悲しい顔をする。
オレは別に、信じてくれようとしている人が信じてくれていたら、それでいい。嘘つきなんて、言われ慣れているしな。
そっちこそ、こんなところまで抜け出してきて、後で誰かに怒られるぞ?
オレはなんでも知ってるからな、そんなことぐらいわかるよ。
別に責めているわけじゃない。そういう窮屈なのは、オレにも経験があるからな。
逃げたくても、逃げる場所がない。どうにかして自分の力で乗り越えるしかない時が。生きていたらたくさんある。割に合わないと、オレは思うけど。
それでも、生き延びて、会いたい奴らがいるんだ。
友達? そうだなぁ、悪友……かな。
あっちが覚えているかは知らねぇけどな。自己満足でいいんだよ。
はは、また話しすぎたな。余計なことを。
お嬢さんは? どうしてここまで来た?
……そうか。苦労してるよな、お互い。
次はいつなんだ? 明日か。
この調子だと、明日も晴れそうだ。お嬢さんは晴れを連れてくるな。
お、またこの前の奴が迎えに来てるぞ。
あまりオレと一緒のところ、見られたらまずいだろ。
また、会えるかって?
どうだろうな、約束は守れるものしかしないんだ。
ずっとここにいるかなんて、オレにもわからないしな。
ま、お嬢さんはわからなくなってもオレは覚えているから安心しな。
なんてな!
じゃ、またな。




