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「な、に……⁉︎」
ミゲルの攻撃を、サンティトルが後ろから覆いかぶさるように止めた。まだ朦朧としているのか、その様子は弱々しいが、声は確かにはっきりしている。
「小賢しいガキが! オレに指図するのか!」
「この国は……ボクの母が愛したこの国は、たった一人に壊されていい国ではないっ!」
――パァン!
サンティトルが発した刹那、レミィの胸元にある首飾りからまばゆい、それでいて温かい光が放たれる。リオはその様子を見つつ、再度レミィの元へと走り出す。
「レミィ!」
「……リオ?」
リオの呼びかけがレミィの頭でこだまし、レミィの意識は少しずつ今の場所へ戻ってくる。胸元で光る首飾りには、ハトレアのしずくがはめ込まれており、すべての意識が今のレミィの中で理解へと変わる。
「リオ! わたし、やりたいことがある!」
「えっ⁉︎」
「わたし、強く……強く願いを込めるから! お願い、わたしたちの魔力を切って!」
「……任せろ!」
レミィの言葉にリオは応える。リオは走り出した足を止めず、レミィとサンティトルの間になるよう滑り立った。ミゲルを食い止めているサンティトルは横目でリオを捉えると、ミゲルを止める手の力を強めた。
首飾りを強く握りしめ、レミィはリオに笑顔を向ける。その笑顔にリオも同調し、地面を蹴った。
「リオ! わたし、もっとリオと話したい!」
「ああ、俺もだ!」
リオは地面を蹴って宙を舞い、そのまま火柱の剣を振り下ろした。火柱の剣は空間を切り込み、それはそこで交わる闇と光の魔力を切り裂いた。
「やめろぉぉぉぉおお!」
ミゲルが絶叫し、サンティトルを払い除けるが、それより早く動いたのはコロンだった。コロンは払われて体制を崩すサンティトルを支え、自身の魔力を込めてミゲルにぶち当てる。
「よセ、ミゲル。もう変わったんダ。時代ガ」
「父上! それでも人の上に立つべき国王ですか! 恥を……恥を知れ!」
コロンとサンティトル、二人の魔力はそれぞれ交差する光となりミゲルを縛り上げた。
「いケ! リオ!」
「うぉぉぉお!」
コロンの叫びにリオが呼応する。リオが構え切り裂いた空間は固く、火柱の剣を食い込ませようとするもはじき返されそうになる。首飾りを握りしめていたレミィははっと閃き、手を空へと拡げる。
「そうだよ、わたしも力にならなきゃ! オープンザパレット! 炎の鳥よ、羽ばたいて!」
レミィは呪文と共に出現した布に広がる絵の具のようなものに、小型化されていた杖の大きさを戻し色をつけた。赤い色で炎の絵を描き、それは大きく羽ばたきリオの剣先に止まる。
「リオに、力を貸して」
そして、より一層首飾りを握りしめる。
リオの炎の威力にレミィの魔法が加わり、大きな火柱となり空間に入れ込んだ。ズッと切り込む感覚をリオは感じ、そのまま押し込む。
「いっっっけぇぇぇえ!」
振りかざした火柱の剣は、その場にいたすべての交わる魔力を切り裂ききり、その空間の魔力をあるべきままへと鎮めた。




