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焼けつくような痛みがリオを襲う。先程回復したとは思えないほどに体力の消耗を感じるリオだが、目の前にケラケラと笑うキルの姿を捉えて無性に腹が立ち足に力が入る。
「ほらほら、本気でやってんのか?」
「うるせぇなっ! だいたい、焼かれて平気な人間がいるわけないだろっ!」
「だけどほら、リオくん平気じゃん? 大丈夫大丈夫、まだいけるってー」
キルはそう言いながら、左腕の手袋を外し、思い切り魔力を込める。そして再び左手から炎を噴出させる。
「お前っ!」
「キルだって言ってんだろ」
キルが放つ炎は火力を増し、リオを包み込む。
──数分前、キルがリオにこの状況を打破したいのであれば、リオ自身が自分の力に気が付くしかないと言いこの状況が生み出された。
キルの放つ炎は不思議なことにリオを包み込むのみで、実際に焼け焦げることはなかった。少なからずのダメージはあるものの、大事に至るほどではない。
リオは街で買っておいた魔法具を握りしめる。剣の柄だけのようなそれは、偉大な魔術師が魔力を込めたと『ココリリ』の店主は言っていたことを思い出す。
疑心暗鬼になりつつも、キルからはその魔法具を握りしめろという指示だった。
「ほらほら、もっとさぁ……なんてーの? 精神的に力を蓄えてみな?」
「精神的⁉︎」
先ほどからキルの指示はぼんやりとしていて、リオは力の入れどころがよくわかならかった。
そもそもリオは魔法をよく理解しているわけでもない。ここまでで見せられてきたのはレミィのヘンテコな魔法が主だ。それも手伝って、うまく想像もできずにいた。
「本気でやってんのぉ? もう疲れてきたぞ」
「おま…っ、やれって言ったんだろ!」
リオが叫ぶと、うんともすんとも言わなかった魔法具の先から光が漏れた。
「ん……? いやぁ、リオくん本当はそんなにセンスない? 異世界から来たんだもんねぇ、そりゃレミィとか可愛いけど、それだけじゃ本気になれないかぁ?」
「……お前、ふざけてんのかっ!」
言うと同時、魔道具である柄から轟々と燃える火柱が立った。それの形はまさに、剣そのものだ。
「なん……だ、コレ」
「おー、やっと出た。なるほどねぇ、リオくん本当に精神的な……その耳も似合ってるよ」
「耳……? あぁっ⁉︎」
火柱の剣とともに飛び出してきたケモノ耳にリオはやっと気が付いた。
「なんでだ!」
「……それの発現条件、本当に気が付いてないの?」
「条件……?」
何を言われているかわからず、リオは首をかしげる。その様子にキルは呆れたように口を開いた。
「動悸だよ、もっと詳しく言えば感情の高ぶり。そしてそれはリオくんの魔力にも関係してる。精神的な高ぶりからくる魔力、そしてそれをこの世界ではマジカルスピリッツと言うんだ」
「マジカル、スピリッツ……」
「ここの世界はね、生まれ持って魔力がある人間と、そうではなく風土に合わせて魔力を得た人間がいる。キミはどっちだろうね?」
「俺は……」
キルの言葉に考え込み、リオのケモノ耳も火柱の剣も次第に消えていく。
リオはここに来るまでのことを思い返していた。森に迷い込んだ時から、レミィやルビー、コロンと出会い不可思議なケモノ耳が飛び出すようになった自分自身のことを。
「……どっちだろうと、今はどうでもいい。俺が今したいことは、レミィたち……世話になった人への礼だ」
「はーーーーー、かっこいいですねぇ」
「ふざけた返事すんじゃねぇ!」
「まぁいいんじゃない? どこまでその気持ちでいけるか興味もあるし。じゃあそろそろ行こうか」
「行くって」
「キミの大好きな彼女の元へさ」




