3-8
「ほら」
「え? いいの?」
店を出てローブを身に纏ったリオは、先程購入した中から首飾りを取り出しレミィに渡した。
キラキラした首飾りは今にも飛んでいってしまいそうな儚さがある。
「俺の金じゃないけど、ルビーに守るように言われてるしな。一応、やるよ。本当に効力があるのか知らないけど」
「ありがとう!」
リオからの贈り物に素直に喜ぶレミィ。その様子を見て、一人リオは鼓動を抑えようと必死だった。
その時、誰かに見られているような、そんな気配を感じたレミィは首飾りをつけながら振り向いた。
「行きなさい」
背後から小さく聞こえた声の先に目をやろうとした時にはもう遅かった。
「ぐっ!」
「リオ!」
何者かがリオを背後から殴りつけた。一瞬のことだったので、受身が取れずそのまま前へ倒れこむ。
レミィは持っていた杖を元の大きさに戻し、リオに駆け寄ろうと踏み出した。が、それはレミィの背後についていた者に静止される。
「動くな!」
「やっ」
「いってぇ……レミィ!」
レミィを捕らえたのは、入国の時にいた番兵と同じ兵服の者たち。自分が狙われると思っていたリオは理解が追いつかない。
「お前ら、なにして」
「申し訳ございません。坊ちゃんから、『黒髪より先に』と」
一人執事服を着た、髭を貯えた男が答える。
意味がわからないリオはただただ、状況を整理しようとする。
「どういうことだ、お前らの狙いは俺なんだろ……!」
「はい、ですが申し訳ございません」
「リオ逃げて!」
叫ぶレミィの前に、番兵の一人が立ちはだかり石の付いた振り子を目の前に突き出した。
「え?」
「眠れ」
言葉を認識した瞬間、がくんと首を前に倒すレミィ。
「は!? レミィ! おい!」
まさかの光景を目の当たりにしたリオは、さらに状況整理をするもまずはレミィを助けることが先決だと考え、体制を整えて短剣を構える。
「お前らレミィに何をした! 離せ!」
「レミィレミィうるさいぞ!」
「なっ」
目の前に気を取られていたリオは、ほかに近づく番兵に気づかなかった。そして、
――ガッ!
一度目より強く棍棒で殴られ、そのままリオは再び地面へ倒れこんだ。
朦朧とするリオは、レミィが連れ去らせて行くのを黙って見ているしか出来なかった。
そして、意識を完全に手放した。




