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 ◆狐坂移蔵



 狐坂移蔵は、九白真緒を攻撃する隙を探すため、監視を続けていた。


 もうすぐ学生は冬休みを迎える。


 そうなれば、今より警備が緩くなる状況も出てくる。


 あの女は、まだ子供。きっと休みになれば、羽目を外した行動もとるはず。


 その瞬間を狙って攻撃を仕掛ける。


 休みの間に、どこかに遊びに出掛けるはずだ。その時が狙い時。


 林間学校での襲撃は失敗したが、次こそは成功させてみせる。


 そう考えて、ひたすら監視を続ける。


 だが、十二月に入ると一切の動きが無くなってしまった。


 下校後、家から全く外に出ないのだ。


 それは、冬休みに入っても同じだった。


 このまま年明けを迎えるのかと危惧していたが、二回だけ外出した。


 しかも、警備の目を盗んでの脱出。


 人目を気にして、隠れるように動いている。


 これは好機だ。狐坂は喜び勇んで、追跡を開始した。


 しかし、途中で見失ってしまう。


 向こうの隠密行動能力が、こちらの索敵能力を上回ってしまったのだ。


 こちらが必死になって捜索している間に、九白真緒は誰にも見つからずに帰宅していた。


 向こうにその気はないが、完全にしてやられた。チャンスを逃してしまったのだ。


 もうこんな機会は二度と来ないかもしれない。狐坂は意気消沈した。


 が、年が明けた頃、動きがあった。


 情報をかき集めた結果、近々旅行に出ることが分かる。


 あの女に少しでも近づくと、あっさり気づかれてしまう。


 そのため、監視は慎重に慎重を重ねて行う必要がある。


 しかし、警備や使用人は別だ。そのため、情報収集に支障が出ることはない。


 準備をしている人間の会話から、飛行機に乗る予定だということが判明する。


 ――これは狙いどころだ。


 能力に目覚めた配下を投入する絶好の機会だった。


 それに加え、旅行時も襲撃の機会として申し分ない。


 旅先であれば、自宅より警備の数を減らさざるを得ない。


 観光地であれば、移動中に人気の少ない場所もあるだろう。


 そういったポイントであれば、襲撃場所として悪くない。


 つまり、飛行機と旅行先の二つの好機を得たことになる。


 このチャンスを逃すわけにはいかない。


 暗殺に適した能力に目覚めた個体は残り二体。


 ここでその二体を投入し、決着をつける。


 ――狐坂は、思い返す。


 ここまで時間を掛け過ぎた。


 学校行事を三年という間隔で見れば、襲撃の機会はまだまだ残されている。


 が、一学年に区切ると残り僅か。


 そのため、時間だけが経過して焦っていたが、ここで取り返す。


 王の復活がいつになるか分からない今、なるべく早期に決着を付けるべき。


 狐坂は、九白真緒の旅行に備え、準備を開始した。



 ◆九白真緒



 次に起きる危険なイベント。


 それはハイジャックと、雪山遭難である。


 しかし、この二つのイベントにおいて、困ったことがある。


 日高さんとナナちゃん、どちらを主軸として発生するかが分からないのだ。


 今まで大半のイベントは、日高さんが主役と判定されて発生した。


 だけど、一部の霊術師がらみのイベントは、ナナちゃんが主役と判定されている。


 そして今回発生すると思われるハイジャックと雪山遭難は、鷹羽家とゆかりある人物が関係するため、綾小路君では代替が効かない。


 と、思うんだけど、霊術が絡まないので何とも言えない。


 それっぽい人物が選抜されて、日高さんと綾小路君の間で起きる可能性もゼロとは言えないのだ。


 もしかすると、ハイジャックはナナちゃん、雪山遭難は日高さんと分割されることもあり得る。


 一応、マンガのストーリー展開としては、こうだ――。


 まず、北海道へスキー旅行に行くことが決まる。


 主要メンバーはヒーローの自家用機で移動するが、ヒロインだけは、ある人物の差し金で別の飛行機になってしまう。


 そこにハイジャック犯が現れ、巻き込まれる。


 無事解決し別荘で合流するも、今度は雪山で断崖から突き落とされて遭難してしまう。


 ――と言った感じで、かなり殺意の高いイベントなのである。


 そして、ハイジャック犯と関わりがあり、ヒロインを断崖から突き落とす人物こそ、前回アキラ君の誕生日会に現れた婚約者候補の海老名理沙なのだ。


 といったことを考慮すれば、ナナちゃんの周囲でイベントが起きそうなんだけど、日高さんの周りに海老名理沙みたいな人物がどこからともなく現れる可能性もある。


 そういった懸念が払拭できないのには理由があった。


 調査の結果、日高さんと綾小路君も同時期にスキー旅行に行くことが判明したためだ。


 なぜスキー旅行に行くことになったかといえば、北海道の治安が急速に回復したのが大きい。


 私たちが全力を出して北海道奪還を成功させたせいで、旅行ブームが到来。


 特に新しい物好きの富裕層は、こぞって北海道へ行っている。


 一部の層には、北海道旅行がステータスとなってしまっているのだ。


 今、日本は空前の北海道旅行ブームが到来しているのである。


 だから、綾小路君がスキー旅行を計画するのも、割と自然な流れだったりする。


 逆に、マンガの展開は不自然極まりない。


 なんせ、マンガの世界での北海道は超危険エリア。


 妖怪が跋扈している隣接地域でスキーをするわけだから、金をふんだんに使った命がけのバカンスである。


 きっと、ヒロインを酷い目に遭わせようと婚約者候補が何かを仕掛けた結果なのだろう。


 で、今回のスキー旅行の話に戻る。


 なんと今回の旅行はアキラ君が立案し、誘った。


 婚約者候補である海老名理沙は計画が決まった後に現れた。


 つまり、何も関わっていないのだ。


 それでも、誕生日会当日に現れるというマンガとは違う登場の仕方で、旅行への同行が決まった。


 アキラ君とナナちゃんの仲は深まっていたが、海老名理沙の強制参加は回避できなかったようだ。


 となると、油断できない。


 と、考えていたら問題発生。


 最悪なことに、こちらのスキー旅行と日高さんたちのスキー旅行の日程が丸被りとなっていたのだ。


 しかも、搭乗する飛行機は違うという嫌がらせ付き。


 同日に北海道へ向かうのだが、時間帯がズレているのだ。


 それに加えて、日高さんは綾小路君の自家用機ではなく、別の便で移動することも分かった。


 つまり、アキラ君たちが乗る自家用機とナナちゃんが乗る飛行機。


 綾小路君たちが乗る自家用機と日高さんが乗る飛行機。


 計四機に分散することになる。


 マンガの展開通りであれば、自家用機では何も起きない。


 手違いで自家用機に乗れず、別の飛行機に乗ったヒロインにだけイベントが発生する。


 これらは婚約者候補がヒーローと二人の時間を作るために行った工作である。


 婚約者候補がヒーローに、事情があって遅れるので先に行っておいてほしいとヒロインが言っていたと伝え、二人きりになろうとする。


 そしてヒロインには、ヒーローの父の客が同乗するので接待する必要があるから別の便で移動して欲しいと言っていた、とヒロインに伝え、搭乗券を渡す。


 といった感じで、色々な場面で二人きりの状態を作り、ヒーローに接近を図っていくのだ。


 実際にそういう説明がナナちゃんにあり、搭乗券を受け取ったと言う。


 私とレイちゃんは雲上院家の自家用機で移動予定と言っておいたので、特に接触はなかった。


 そして、日高さんの方は詳細が分からない。


 調べると、一人だけ別の便で移動することになっていた。


 自家用機に乗るメンバーを調べたが、婚約者候補のような人物はいなかった。


 残念だが、どういう経緯で、そういうことになったのかは分からない。


 やはり、プライベートも監視を強めておくべきだったか……。


 ひとまず、自家用機は安全だろう。スルーして問題ない。


 問題なのは、ナナちゃんが急遽搭乗することになった飛行機と、日高さんが乗る飛行機だ。


 現状、どちらにハイジャック犯が現れるか分からない。


 最悪、両方かもしれない。


 ここで融通が利くのは、ナナちゃんの方だろう。


 手っ取り早いのは、アキラ君に直接言えば自家用機に同乗できる。


 しかし、それをすると今度はイベント展開が予測できなくなってしまう。


 それはそれでまずい。


 他の移動手段を利用してもらうということも考えたが、その場に犯罪者が現れないという保証はない。


 色々思案した結果、日高さんの乗る便に変更してもらうのが一番良いと判断した。


 これなら分断を避け、一つにまとめられる。


 トラブルの発生を狙った場所に誘導できると考えた。


 ただ、そうすると日高さんに顔を見られてしまうかもしれない。


 かといって、いつもの様な変装をするわけにもいかない。


 搭乗時の検査でバレると、面倒なことになってしまうからだ。


 そこは細心の注意を払って行動するしかない。


 後は、どうやって説明し、ナナちゃんに日高さんが乗る飛行機に変更してもらうかである。


 私は悩んだ末、レイちゃんとナナちゃんに、そのまま話すことにした。




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