表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
209/268

209

 


 ◆九白真緒



 最近、ミカちゃんとお茶会をした際に、とある報告を受けた。


 以前、四柱当主と会談した時に話し合ったことについてだ。


 あの時に決めた事を十家に報告し、こちらの要望通りに意見が通ったらしい。


 確か、話し合って決めた事は、以下のようなものだった。


 結界の崩壊時期がある程度確定したため、妖王討伐の準備を進めていくこと。


 結界の崩壊が近づいた際は、わざと壊して迎え撃つこと。


 霊獣と契約した兎与田七海は玄宮家の当主とはならず、雲上院家が玄宮家の管理を行う事。


 ――と、そんな感じだったと思う。


 それらについて、十家から大きな反対はなく、全ての内容が素通りで採用されたらしい。


 この辺りについては四柱当主の力が強いため、反論を許さない空気を作れたからだそうだ。


 それに加え、ナナちゃんが鷹羽雷蔵と仲が良いのもプラスに働いたみたい。


 ただし、妖王の討伐の主要部隊は十家に連なる者で固めたいという、向こうからの強い要望があった。


 そのことについて反対する理由もなかったので承諾した、という事後報告も受けた。


 ミカちゃんの見立てでは、北海道奪還で一切活躍できなかったため、名誉挽回のチャンスが欲しかったのだろうという。


 私たちからすれば、その辺りについてはどうでもいい。


 誰が倒しても問題ないというスタンスだ。


 私たちは、妖王を倒すことで得られる名誉に興味がない。


 そんなところで揉め事を起こしたくないし、倒してもらえるなら楽が出来て良い、くらいの感覚だった。


 とにかく、一番重要なのは、妖王を倒すという目標に対し、全霊術師が一致団結することだ。


 現在、北海道に生息する妖怪は激減した。


 結果、国内全ての土地において、担当の霊術師で管理できるレベルに落ち着いたのだ。


 つまり、後は妖王だけ。


 妖王さえ倒せば、何十年と続いた問題に終止符が打てる。


 きっと、その未来を願っているのは、どの家も同じのはず。


 妖王を倒すことに集中できるなら、それが一番いいのだ。


 それに、私は妖王の強さを知らない。


 なぜなら、その妖怪は、きら☆スピには登場しないからだ。


 多分、きら☆スピ終了後に始まった新連載で登場したか、登場する予定の妖怪だったのだろう。


 だけど、私はそのマンガを読んでいないので、どういった存在なのか全く分からない。


 それに、もし読んでいたとしても、情報を得られたかどうかは怪しい。


 私が知っている前世の記憶からメタ読みすると、妖王は新連載のラスボス的存在だろうと予想できる。


 しかし、その連載は打ち切りだった。


 となると、ラスボス的存在である妖王は、作中に登場しなかった可能性が高い。


 登場前に、俺たちの戦いはこれからだエンドとなってしまったと見るべきだろう。


 つまり、私が原作者でもない限り、妖王の情報は知るすべが無かったというわけだ。


 現在、高位霊術師の中で妖王について一番詳しいのは鷹羽雷蔵だ。


 妖王と戦闘経験がある現役霊術師は十家一位の彼のみ。


 それなら、十家に任せるのは、案外理に適っているのかもしれない。


 私からすれば十家が前に出ようが、相手がどんな存在であろうが、やることはひとつ。


 現れたら倒すだけだ。


 今でも修業は欠かしていないし、それなりに備えもある。


 それに加え、今の妖王は完全孤立状態。


 復活した妖王がいくら呼び掛けようとも、増援が来ることはない。


 なぜなら、私たちが事前に北海道にいた妖怪を殲滅済みだから。


 妖王一体だけと戦うのであれば、かなり負担を軽減できるはず。


 相手がどの程度の強さなのかは分からない。


 だけど、迎え撃つ環境は最上のものを用意できる。


 後は、結界が崩壊するタイミングを見逃さなければ、それでいい。


 兆候を発見できれば、人を集め、ナナちゃんが意図的に破壊して迎え撃つ。


 その準備は全て整っている。


 つまり、これ以上事前にできることはない。


 やるべきことはやっているので、今は日高さんと綾小路君の仲が深まるのをアシストし、脱獄犯襲撃事件への道筋をクリアにしていくことを優先して問題ないだろう。


 結界の状況に変化があれば、すぐに報せが飛んでくる。


 後は、その時を待ちつつ、粛々と自分のやるべき事をこなしていくだけだ。


 …………


 ここ最近は、日高さんへの対応もうまくいっていると思う。


 ちょっと怪しかったのは、体操服関連だろうか。


 監視を続けていたある日、瀬荷城宝子たちが他の生徒の目を盗んで、日高さんの体操服を切り裂いた。


 こういう突発的なことをされると、どうしても対応が後手に回る。


 その時も、体操服を破かれたことに日高さんが気づいてしまう。


 だけど、そのまま放置しておくのが嫌だった私は、誰もいないタイミングを狙って日高さんのクラスに侵入。体操服を新品と交換した。


 瀬荷城宝子たちは新品を買ったのだと勘違いしていたが、日高さんには服を交換したことを気づかれてしまった。


 そりゃあ、切り刻まれた服がマジックみたいに元に戻れば、誰だって分かる。


 日高さんは、そのことについて雲上院派の子たちに尋ねたりしていたが、私が証拠を残すはずもない。


 結果、彼女にとっては意図の分からない消化不良の出来事が起きたことになってしまった。


 できれば時間経過とともに、そんなこともあった、と思えるようになってほしいけど……。


 ただ、不手際を起こしたのは、その程度。あとは上手くやれていると思う。


 というわけで、介入を予定している次の大型イベントがそろそろ起きそうだ。


 マンガでは、図書館での告白を受け、微妙に距離感が近くなった二人。


 それを察知した悪役令嬢たちが、次の手を打ってくる。


 それが恋人捏造騒動だ。


 流れとしては悪役令嬢が俳優を雇い、ヒロインを罠にかける。


 指示を受けた俳優がヒロインの前で、わざと財布を落とす。


 それにヒロインが気づいて拾う。俳優はお礼にと、強引に食事へ連れていく。


 その一部始終を悪役令嬢たちが盗撮する。


 そして、その画像をもとにヒロインを糾弾。


 その場にヒーローも呼び寄せ、大事に持っていこうとする。


 しかし、ヒーローの反応は真逆。


 自分の家の特殊性から、すり寄ってくる奴、嘘をつく奴はなんとなくわかる。


 そんな自分からすると、お前たちの方が怪しいと言う。


 そして、ヒーローがヒロインの言葉を信じると言い切り、信頼関係が深まる。


 後に、目撃証言が出て来て事実が明るみとなり、ヒロインの疑いが晴れる。


 更には、なぜ悪役令嬢が都合のいい画像を持っていたのか、という部分に注目が集まり不信感が高まる。


 ――といった展開だ。


 今回のイベントは怪我に繋がるわけでもないし、放置しておいて問題ないように見える。


 しかし、このイベントは発生を未然に防ぐ必要がある。


 それは、イベントが起きた後に周囲に及ぼす影響が分からないからだ。


 マンガでは、イベント終了後、全てがリセットされたかのような状態に戻っていた。


 しかし、実際にこのイベントが発生した場合は違う。


 騒動後、日高さんと綾小路君と距離が近い人であれば、疑いが晴れた事実を知るだろう。


 だが、距離が遠い人は違う。


 初期に出回った情報しか知らないままの人が、それなりの数で出てくる。


 そうなると、綾小路君と仲良くしつつも外では別の男とも密会している、という噂がくすぶった状態が続くことになってしまうのだ。


 それは非常によろしくない。


 いくら二人の仲が深まろうとも、日高さんの評判が悪化しては意味がない。


 双方の家が絡むイベントはスルー中だが、今回はガッツリ介入していく。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ