表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
139/147

139


 

 ◆雲上院礼香



 礼香は真っ暗な空間の中で横たわっていた。


 本当に何もない、闇がどこまでも続く空間だった。


 目を開けて周囲を確認しようとするも、まぶたが動かない。


 いや、動かないのはまぶただけではなく、全身。


 金縛りにあったかのように、指先一つ動かせない。


 だが、目を閉じているのに、ここが黒一色に包まれた空間だということは分かった。


 そのことから、きっとこれが夢だろうという予測が立つ。


 どうして自分がこんなところにいるのか、はっきりと覚えていない。


 夢の中なのだから、理由など存在しないのかもしれない。


 とにかく暗くて、寒い場所だった。


 強烈な寒さが全身を襲い、末端から順に感覚が薄れていく。


 暗闇は苦手。そのうえ、凍えるように寒い。


 とうとう、寒さが意識を奪いにかかってくる。


 朦朧として、思考がぼんやりとしてくる。


 気を張って抵抗しようとしたが、うまくいかない。


 少し前までは、気を引き締めることで何とかなったが、今はもう無理。


 眠気に似た感覚が増大していく。


 そんな時、手に温かさを感じた。


 何かが自分の両手をお腹の上に移動させ、温かく包み込んでくれるのを感じる。


 温かさが手から伝播し、冷たい全身にぬくもりが伝わっていく。


 とても不思議な感じだった。


 寒さが気にならなくなった時、体が動かせそうな気がした。


 試しにまぶたを開こうとしてみる。


 まるで重りを付けられているかのような抵抗を感じたが、それでも目が開く。


 するとレイカの傍らで、よく分からない何かが自分の両手を握っているのが目に留まった。


 それは大きな光の塊。


 正体不明の何か。


 夢の中だから、何か分からないのだろうか。


 その存在から敵意を感じることはない。


 むしろ、こちらを心配しているような気配が伝わってくる。


 その光を見ていると、初めて遭遇した気がしない。


 何か覚えがある。


 どこかで会ったことがあるのだろうか。


 そんな風に思考を巡らせている間に、光の塊の端がボロボロと崩れていく。


 こちらの視線に気づいた光の塊は、すっと礼香から離れた。


 次の瞬間、どこかに吸い込まれるようにして消えてしまう。


 ……あれは一体何だったのだろう。


 そんな疑問が浮かぶと同時に、強烈な寒さが復活する。


 光の塊が去ったことにより、心細さを覚える。


 体が固くなり、全身の感覚が薄れていく。


 凄まじい速度で体が冷えていく。


 今度こそ、駄目かもしれない。


 そう思った時、声が聞こえた。


 初めはおぼろげなものだったが、段々はっきりと聞こえるようになってくる。


 ――これは、呼びかけ。


 誰かが自分の名前を呼んでいるのだ。


 そう思った次の瞬間、ふっと目が覚めた。


 体の自然な反応に任せてまぶたを開けば、目に涙を浮かべた真緒の顔が見えた。


 こちらの覚醒に気づくと、胸に顔をうずめてくる。


 力が入らない中で、ゆっくりと周囲を見渡せば、沢山の顔がこちらを見ていることに気づく。


 皆、一様にどこかほっとしたような顔していた。


 その中には白衣を着た人物の姿もある。


 独特の匂いや、見慣れない部屋。きっとここは病室なのだ。


 そうか、自分は助かったのか。


 礼香は、現状を把握した。



 ◆九白真緒



 薬の素材調達が間に合い、なんとかレイちゃんは助かった。


 回復したレイちゃんを見届けた私は、少し休もうと病院内の休憩エリアへ向かった。


 薬の調合や投薬に時間を要したため、閉院の時間はとっくに過ぎている。


 人通りのない非常灯が照らす暗い通路を歩き、休憩エリアに着く。


「ごめん、急いで知らせに来たんだが、間に合わなかったみたいだ」


 飲み物を買おうと自販機に近づいた瞬間、そんな声が背後から聞こえた。


 振り向くと、一人の男性が苦い顔で舌打ちしていた。


 その顔には見覚えがある。


 確か、レイちゃんとレイちゃんのお父さんが誘拐された際に、手を貸してくれた刑事の人だ。


 名前は、川崎だった気がする。


 私が挨拶する前に、川崎さんは「すまない」と小さく呟いた。


 次の瞬間、大量のけたたましい足音がこちらへ近づいてくるのが分かった。


 音がした方を見れば、武装した大人たちが自分を取り囲むように接近してきていた。


 全員、見覚えのある顔だ。


 きっと、釣り大会の時と、学校に校長のサインを貰いに行った時に見たのだろう。


 皆、私の方を見ている。


 その中の一人が前に出て、私に書類を見せた。


「九白真緒だな。霊術を使った家宅侵入、および器物破損の容疑で拘束する」


 その言葉と同時に、二人の大人が私の両側から近づいて拘束。


 手錠をはめてきた。


 母にも忠告されていたし、いつかはこうなると思っていた。


 だけど、まさかこんなに早いなんて。


 そんなわけで、レイちゃんの解毒には成功したけど、私自身がお縄になることとなってしまったのである。





 本日の更新はここまでとなります


 お楽しみいただけたなら、幸いです


 何より、ここまでお読みいただき、ありがとうございました!


 そして、誤字、脱字報告ありがとうございます! 



 というわけで、二部終了です。次の三部で中学生編は終了となります


 どこまで書くべきか迷うところですが、高校生編のメイン舞台は北海道から東京へ戻り、


 前世の知識にあった高校周りとなります




 面白い、続きが読みたいと思っていただけたなら、


 ブックマークの登録、


 ポイント投入欄を☆☆☆☆から★★★★★にしていただけると、作者の励みになります!


 なにとぞ、ご協力お願いします!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ