表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
102/148

102 

 


 そして、ここまでで二十一位以下のチームは、終了となる。


 私たちは一位通過なので余裕の生存だ。


 次のホールからは、直線的なコースは減少し、大きく変形したコースが増える。


 普通に挑めば、打数を刻む必要が出てくる。


 ここからはショットの飛距離だけではなく、プレイの上手さで打数に開きが出てくることになる。


 第四ホールは、今までの勢いをそぐような、強烈なヘアピンカーブが中央にあった。


 ゲートの位置も直線状にはなく、絶妙にずらされている。


 普通に打てば、打数を刻むこと必至のコースとなっていた。


 だが、私は――。


「曲がれっ」


 ――強烈なスピンをかけ、ボールを曲げる。


 威力増し増しのボールは、強烈なスピードを保持したまま第一と第二ゲートを通過。


 減速しないまま、ヘアピンカーブへ突っ込んでいく。


「せっかくゲートを二つも通過したのに、あれじゃあ威力が強すぎる」


「OBだな」


 などというギャラリーの声が聞こえる。


 私が打ったボールは、減速せず威力そのままに突き進む。


 そして、ボールはコース外に生える大木に命中して跳ね返った。


 木に当たった時点で威力が落ちてしまい、それ以降は飛距離が伸びず、第三ゲート手前で落下。うん、狙い通りだ。なかなか良い感じに打てたと思う。


 指弾なら、もうちょっとコントロールが利くのだが、フォーゲートだとこの辺が限界だ。


 ……といった具合に、フィールドにある障害物の跳弾を狙って、曲がりくねったコースも好スコアをキープしたままクリア。


 次に打つレイちゃんも、待ち針サイズの霊装を優雅に振るいつつ、ゴリゴリに曲がるショットでコースを攻める。


「だからやり辛いって……」


「まったく困ったものじゃな」


 と、愚痴るナナちゃんとミカちゃんも無難にクリア。


 個人の成績でみれば、二人とも上位ベストテンに入っているスコアである。


 ここまで非常に順調だ。


 全員のスコアが安定しているため、二位との差をさらに広げることに成功する。


 私たちは一位をキープしたまま、第六ホールを終えた。


 ここで十一位以下のチームが敗退となり、残りのチームが第七ホールへ挑むこととなる。


 ここまでくると、参加人数がぐっと減ったため、何とも言えない緊張感が出てくる。


 私たちはスコアを引き離した状態で一位を守っているが、油断せずに気を引き締めていくべきだろう。


 ここから、残された十位以内のチームで、四ホールを戦うことになる。


 が、私たちのチーム以外はチーム内の雰囲気に異常が出ていた。


 俯いたままブツブツと独り言をいったり、取り乱して口論になったり、完全に集中力が途切れてしまっている。


 それに加えて、明らかなモチベーションの低下がみられた。


 現スコアでは、私たちが崩れない限り、二位以下が優勝することがほぼ不可能となったからだ。


 つまり、こちらは安全策を取って打数を刻む余裕すらある。


 スコア、精神面、ともに有利な状況を構築できていた。


 逆に言えば、他のチームは勝ち筋が見えない状況となってしまっていた。


 これは私たちが何かするまでもなく、自滅する未来もあり得る。


 そして、この第七ホールからは、私たちが十番。最後のグループとなる。


 つまり、三十三番以下のチームは全て敗退したことになる。


 私たちのショットを見た後では、プレイに支障をきたして本来の実力が発揮できなかったのだろう。


 ちなみに、私たちの一つ前にあたる九番目のグループが、峰霊中学第一フォーゲート部となった。


 順番が回ってくるのを待ちながら観戦していると、苦々しい顔をした第一部のレギュラーたちがこちらを見てくる。


 そんな中、炎泉部長がこちらへやって来て、レイちゃんに話しかけた。


「本当に優勝するつもりだったのね……」


「もちろんですわ。ここから先も全力で行かせていただきます」


「受けて立つわ。とても敵いそうにないけど。まさか、ここまでとはね」


 部長は自嘲気味に笑って見せると、続けた。


「今日の試合を見ていると、貴方たちが北海道で活躍する姿が容易に想像できてしまう。本当に羨ましいわ」


「お互い、最後まで頑張りましょう」


「そうね。勝負は最後まで何が起こるか分からないもの。諦めるのはまだ早いわね」


 レイちゃんの言葉を聞いた炎泉部長は笑顔で応え、元の待機位置へと戻っていった。


 部長はどこか清々しい顔をしていたが、合流先の他のレギュラーからは険悪な視線を感じる。


 まあ、私たちのせいで大会に参加できるレギュラーの数が減ったのだから仕方ない。


 こればっかりは、受け入れるしかないだろう。


 そうこうしている間に九番目のチームである第一部のショットが終わり、とうとう私たちの番がやってきた。


 だが、様子がおかしい。


 私たちが打つ前に、ギャラリーが移動し始めたのだ。


 私がティーグラウンドに立つ頃には、人っ子一人いなくなっていた。


 もう私たちのプレイに興味がなくなった、ということなのだろうか。


 今までと違った雰囲気だが、集中していかないと。


 私は気持ちを落ち着かせるため、軽く深呼吸する。


 ここまでを振り返ると、第四ホールからは曲線のコースが多かった。


 眼前にある第七ホールからは、それにプラスして高低差と池などの障害物が増える。


 といっても、ゴルフと違ってバンカーは存在しない。


 フォーゲートは二打目以降もティーに載せてショットを打つためだ。


 そのため、ゴルフのコースより池が多い。……気を付けないと。


 ここからは、更に精密なプレイが要求されることになる。


「それじゃあ、行きますか」


 私は、ゲートの位置とコースの高低差を考え、ショットを打った。


 第七ホールはゲートの位置がシビアなため、一打で最終ゲートまで狙うことはできない。


 ギリギリを攻めて第二ゲートまで潜らせ、第三ゲート手前で落とす狙いだ。


「え」


 しかし、私が打ったショットは、第二ゲートのゲートポストに接触してグラウンドに落ちた。


「今、動いたよね……」


 明らかにゲートが縮まった。そのせいでボールがゲートポストに接触したのだ。


 今の出来事を確認しようと、私はチームメンバーに視線を送る。


 すると、皆が一様に頷いた。やはり、おかしい。


「審判、第二ゲートが動いた気がしたんですが」


「今日は気温が高いからな。熱で景色が揺らいだんだろう。次の選手に代わりなさい」


 しかし審判は、夏場のアスファルトゆらゆら現象と同じだと片づけた。


 いや、そんな感じじゃなかった。もっと機械的かつ正確な動きで縮まったのだ。


 このコース、ゲートを連続で通過させようとすると、ゲートポストに近いギリギリの位置を狙って打つ必要がある。


 そして、コース設定がシビアなため、自然とボールのルートが絞られる。


 つまり、仕掛けがある場所へ打つように意図的に誘導されていたのだ。


 しかも、審判がとぼけていることから、私たちのチームだけに行われていることとみるべきだ。


「気を付けて、ギリギリを狙うと跳ね返るようになってる」


「ええ。見ていましたわ」


 すれ違いざまに、レイちゃんに報告する。


 次に打ったレイちゃんは、私よりボールに回転を加えた。


 それにより、ゲートが縮む幅より内側にボールを通すことに成功する。


 ナナちゃんと、ミカちゃんは難しいショットは控え、無難に打数を刻むことで対応した。


 私とレイちゃんも、二打目以降は慎重なプレイを心掛けた。


 結果、トラップに引っかかることはなかったが、二位のチームとのスコア差がほんの少し縮まった。


 次いで第八ホール。今回は上り坂のコースとなる。


 さっきはゲートの端ギリギリを攻めたので、今回は余裕を持ったコース取りをする。


 しかし――。


「はぁ!?」


 ――今度は、ゲートが地面に沈むように縮んだ。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ