スマイルマート従業員としての力
本日コミカライズ更新です!
創造神が造りし完璧な存在。それが私達天使だ。
あの方の変わりに、この世界の均等を維持するようにと造られた。
神聖魔法を操ることの出来る膨大な魔力と傷を負わない屈強な肉体。
そして、創造神への忠誠をより強固なものとする鉄の心。
天使とは真に選ばれた、唯一無二、高次の存在なのだ。
私は星詠みの巫女と出会った。
彼女はとても創造神に愛されていたが、自由だった。
目的も無く旅をしていると言い、その行く行く先で、建国を手伝い、戦争を止め、新たな種族の誕生に立ち会っていた。
「これが貴方が創造神より承った使命なのか」
と問うと、巫女は笑いながら言った。
「私はただ自由に旅をしているだけだよ。ちょっと困ってる人を放っておけないだけ。だから、使命なんてだいそれたものは不相応だわ」
違う。私からしたら、彼女はこの世界を誰よりも管理し、均等を維持している。
私は、巫女の生き様に理想とする天使の姿を見た。
さすれば私も、彼女のように強くなれるかもしれない。
巫女は時折、悲しい顔で遠くを見ていることがあった。
故郷に残してきた人が居て、元気でいるのか気になるのだと教えてくれた。
嬉しかった。巫女の特別になれた気がした。
その時、天使という私に個が生まれたような気持ちだった。
私の名前はヴァンペルト。
巫女の胸の内を唯一覗けた天使。星詠みの巫女の守護天使。
長い月日を経て、人間という下等な生物が繁殖を繰り返し、おぞましくも我が物顔で大地を支配し始めた頃、星詠みの巫女は姿を消した。
私はまた昔のように貴方が話しかけてくれるのを待った。
羽根が増えて、幾度私が転生を繰り返そうとも、貴方は居ない。
昔のように旅をしているのだろうと思ったから、私は人間を殺した。
そうすれば、お人好しの貴方が私の前に姿を表してくれると思ったからだ。
しかし、街を焼いても、教会を潰しても、災害を起こしても。
貴方は誰の悲鳴にも駆けつけない。
まるで、もうこの世界は自分の手を離れたと言わんばかりに。
そんな事があっていいのか。
私が理想の姿として見た星詠みの巫女は、私の元へ戻ってきてくれるはずだ。
何故このような事をするのかと、問い詰めてくる。
私は待った。
貴方が叱りに来てくれることを。
でも星詠みの巫女、貴方は……私という天使をこの世界と一緒に捨てたのだ。
星詠みの巫女が現れたと聞いて、私は急ぎマクスベルンに飛んだ。
やっとこの時が来たと、心が沸き立つ。
貴方はあの時となんら変わらない姿で私の前に存在していた。
私のことを覚えていないだと?
天使のように転生を繰り返して記憶が曖昧になったのだろう。
私だってそうだ。
もう、貴方の名前すら思い出せない。
でもこれだけは覚えているのだ、星詠みの巫女。
私は、貴方を求めている。
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「さぁ、行くぞ!!!」
ヴァンペルトさんからゴウッと勢い良く風が吹く。
わ、わわ…!!!もうこっちに向けられる勢いが凄い…!!
私に…いや、正確には先代の星詠みの巫女に向けている気迫?!
「シーナ、絶対に俺の傍を離れるなよ!」
私へ向けられた殺意から、リークさんが守るように前へ立ってくれる。
「邪魔だ。三下は下がれ」
「…悪いな。お前には三下でも巫女様にとっては一流なんでね!」
風を斬るようにしてリークさんがヴァンペルトに迫ってく!
一歩、一歩、それにはヴァンペルトも、ほう…と少し見直したみたい。
「オラッ!!」
風に押されながらも前に突き進んだリークさんが、そのまま斬り掛かった。
その瞬間風が真っ二つに切れて、左右に別れた風がリークさんの剣に宿った炎を纏って私の横を抜けていく。
だけど、
「たたきつけるだけだと思ったか?」
グルグルグル!!って剣に風が纏わり、炎が消えていく。
違う、そのまま風が剣に集まっている…!?
「まずいっ…!ウィル!!」
風に引っ張られるようにリークさんが剣で空間を真一文字に薙ぐ。
大きな衝撃波と共に突風が襲ってくる。
「シーナ!」
ウィルの声が耳に届くと同時に、私は一瞬にして吹き飛ばされた。
「っ……!」
壁に打ち付けられるのを覚悟した瞬間、背中を大きな手で支えられた気がした。
………あれ、
痛くない………?
「従業員を守るのも店長の役目。でも次は、ちゃんとレジに備え付けられた、スタッフ呼び出しボタンを押そうか」
そこにはバックヤードにいた、店長が居た。
「えっ!?店長!?えっ」
どういうこと~~~~!!!!???
何で店長、バックヤードから出て来ているの!?
勿論スマイルマートのジャンパーを着てキャップをかぶっている。
そしてこんな状況でも相変わらずキラキラオーラは変わらない。
「誰だお前は……いや、貴方様は……」
「おっ!こんな姿でも分かる?顔の広さは土地の雄大さ!いやぁ、いたる所で信仰されていて良かったなぁ。さぁて、天使よ。ワタシの大地で我が物顔はできないぞ!」
パチンッと軽快に指を鳴らす音。
その一瞬でで、勢いよく吹いていた風がすべて止まる。
「異世界人シーナ」
「は、はい!」
振り返ると、これ以上ないってくらいの笑顔で店長は口を開いた。
「スマイルマート従業員としての力を見せてあげなさい」
その言葉で異世界人の証の腕輪が、光る。
腕輪の光に導かれるように、私はレジを召喚した。
「お次のお客様、こちらのレジへどうぞ!」
あれ、ロレンスさんに魔力を流してもらった時みたいに、レジが淡い光を放っている。
そう、スーパーレジモードだ!
これなら、私のレベルでもヴァンペルトさんのレベルを半額に出来たりするかも!
「さっきの奴はいったい……」
驚くノアさん達を前に、私は零れ落ちそうになっていた涙を手の甲で拭って、ハンドスキャナーを握りしめる。
「絶っっ対、私はみんなと行くんです!」
本日は夜にもう一本UPします。




