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「黒い天使」短編集  作者: JOLちゃん
「黒い天使・日常短編シリーズ」
69/206

黒い天使日常編 『どっちが日本通?』2

黒い天使日常編 『どっちが日本通?』2


第一弾、日本語理解度採点結果公開!


ということでもりあがる少女たち。


結果は予想通りだが……まだまだテストは残っているゾ!



 思った以上にボリュームがあり、それぞれが終わるまで30分ほどかかった。



 一番早く終わったのはサクラ。次がエダ、その次が飛鳥、セシル、JOLJU、全問回答できなかったのがマリーである。もうこれがこのまま日本人らしさ順といえなくもないが、このテの頭脳系ゲームやアンケートはIQの高いサクラは得意だから公平な判定にはならない。それに判定アンケートの中には<実技>まである。


 採点はあっという間に出た。


 ということで、開示である。




【語学力編】

● 一般日本語(国語)総合力


サクラ 100点 エダ 90点 飛鳥 80点 セシル 75点 JOLJU65点 マリー 5点。



● 一般日本語ひらがな・カタカナ美文字点


エダ 95点 飛鳥 85点 サクラ 80点 セシル 65点 JOLJU50点 マリー 5点。



● 日本語の正しい使い方、日常生活編


エダ 90点 サクラ 80点 飛鳥 75点 セシル 70点 JOLJU60点 マリー 10点。



● 日本語漢字の使い方、日常生活編


エダ 85点 サクラ 85点 飛鳥 75点 セシル 65点 JOLJU65点 マリー 0点。



● 日本語難読漢字の使い方、上級者編


サクラ 100点 エダ 85点 飛鳥 75点 セシル 70点 JOLJU70点 マリー 0点。




【語学力編】結果



 サクラ 445点 エダ 445点 飛鳥 390点 セシル 340点 JOLJU 310点 マリー 20点。 <日本語ボーダーライン300点>



***


「…………」


 見事にサクラとエダが一位同点である。三位は飛鳥。当たり前だが日本語が喋れないマリーがドベである。



「まさか……ホンマに同点とは!! こりゃあ面白くなってきたな!」

「暢気な事言ってるけど、飛鳥よ……お前日本人なのに三位ってナンだ!? エダに完敗してンだゾお前。日本人として恥ずかしくないのか?」

 と呆れるサクラ。現役日本人なら本来400点は取れないとおかしい出題だった。飛鳥は僅かに届いていない。

「セシル、けっこう高いね。よく勉強したんだね」

 と楽しそうにセシルを褒めるエダ。

「はぁ……でもエダさんには遠く及びませんし」

「だってあたし、小学校はほとんど日本だし、中学校も日本だもの。日本人の高校生レベルくらいはあるよ」


 そう、エダは小学4年までは日本育ちで、その後2年を開けて中学三年間はまた日本。そして今の生活もほぼ半分が日本語。人生の3/4は日本で過ごし、かつ日本語を使う機会が多いからこれだけ日本語が達者なのだ。サクラやセシルは元々日本で育ったわけではない。


「日本語力は同着って事デスカ?」

 マリーはまるで喋れないから点数など気にしていない。


「点数でいえばそうやけど……ポイント的に見れば……サクラの負けやな。サクラのほうが字は汚いし、日本語の使い方で負けとるし」

「うーん……一般国語と難読漢字がサクラは100点ですけど、サクラのは知識ですしね。知力関係だと絶対サクラが有利なのは当たり前ですし」

「にゃんだとー!? 当たり前ジャン。サクラちゃんはオレゴン育ちのニューヨーカーだぞ! 日本語を日常で使うようになったのってユージのトコ来てからだ」


 クロベ家は、基本日常生活は日本語。拓、飛鳥以外の来客が加われば会話は英語に切り替わる事になってはいるが、英語&日本語のバイリンガルが多く、実際は日本語と英語が入り混じる日常だ。日本語を使う機会は多い。特にユージは自宅では日本語メインだ。拓のほうが英語で喋ることが多い。これは英語の熟練度の違いだろう。ユージのほうが完璧バイリンガルで英語は上手く、拓はやや劣るので拓は馴染むため英語を使うのだ。


「レイさんのトコでは日本語は使わなかったんだ? 日系米国人だよね?」

「パパも日本語はカタコトだったもん。幼稚園レベルに単語使っていたくらい」


 その割にはサクラの日本語は全く砕けていて使い込まれている。知識として覚えたのなら口調や単語などはもっと綺麗なはずだ。



「そういえば……サクラと会ったばっかの頃はもっと澄ました日本語喋っとったような……」

と記憶を遡り証言する飛鳥。セシルもこれに同意した。つまりサクラは日に日に言葉遣いなどが乱暴になっていったという事か。多分飛鳥やユージや日本のテレビなどで毒されたのであろう。


 つまり日本語の総合力については、雰囲気的にサクラは減点になってきたのに対し、エダは加点になっているという事のようだ。


「知識としては完璧なはずのJOLJUが低い。お前真面目にやったのか!?」


 そう、知識というなら全世界の言語を完璧に頭に入っている元神様のJOLJUの点数が低いのはありえない。しかし、普段からちょっとブロークンな日本語や英語で喋る生物である。こんなものかもしれない。いや、実際はもっと上だろうが、JOLJUはとかく凡ミスをするのでゲームにしたらこの点数くらいになるだろう。


「どっちにしても飛鳥はおかしい。せめて420点は超えないといかんだろ、現役日本人。エダは中学までで445点なんだから」

「エダさんとウチとは、そもそもの頭の出来が違うからええねん」

「国語力で米国人に負ける現役日本人高校生は少しみっともないですよ、飛鳥」

「なのデス」

「…………」

 皆のツッコミに言葉がない飛鳥。


 なんだか話題が肝心の二人ではなく自分に向いたことに面白くない飛鳥だった。


「ま! まだ検定結果の続きがある! 本番はそこからや!!」

 と誤魔化すように声を上げる飛鳥。


 そう、まだまだ出題は残っているのである。





黒い天使日常編 『どっちが日本通?』2でした。



ほのぼのしてます。


トップ成績はサクラとエダですが、本編でさらりといってますがサクラは別に日本で育ったわけではないので、この日本語や日本の知識はクロベ家に引取られてからと考えれば、いかに短期間で日本文化に染まっちゃったか分かるエピソードですね。


「日本語が喋れる外国人」の目安はセシルです。

この後もテスト結果開示がありますが、セシルと日本人の飛鳥を基準に考えると分かりやすいと思います。


今回のエピソードはストーリーというよりはホントキャラクター雑談編みたいなカンジなのでかるーい気分でよんでもらえればと思います。


ということでこのシリーズは大体全5話くらい続きます。


これからも「黒い天使日常編」を宜しくお願いします。

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