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「黒い天使」短編集  作者: JOLちゃん
「黒い天使・日常短編シリーズ」
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黒い天使日常編 『どっちが日本通?』1

黒い天使日常編 『どっちが日本通?』1



まったり和気藹々のクロベ家ホームパーティー。

今日の主役はエダだ。エダが腕を振るう和食メインのパーティー。

そこに参加していた飛鳥が、突然妙な事を言い出す。


「サクラとエダ、どちらが日本人ぽいのか?」


二人共米国人だ。だが生活はすっかり日本式……。


ということでなんか面白いイベントが始まった。



黒い天使日常編 『どっちが日本通?』1




***




 NYのクロベ家でちょっとした夕食パーティーがあった。


 エダが腕によりをかけて作った料理を楽しむホームバーティーだ。こういう夕食会は時々開催される。ホームパーティー大好きな米国家庭ではよくある光景だ。

ユージの仕事仲間中心だったり、エダの友人中心だったりと色々だが、本日はごくごく身内メインのクロベ・ファミリーの夕食会だった。


「食ったぁ~!! やっぱ本格的な家庭和食を食べたい時はエダさんの料理やな!」


 飛鳥は満足そうにポンポンと脹れたお腹を叩く。


「あははっ。わざわざ東京から来てくれてアリガト、飛鳥ちゃん」とエダも嬉しそうだ。

「いつでも呼んでクダサイ! スグ来ます!」


 転送機を使えば片道1時間である。そりゃあすぐに来れる。


「あたし和食作るの好きだから♪」

「すごく口に合いました。欧米にいる和食レストランよりよほど美味しいです、エダさん」

 と言ったのはセシルだった。今回、セシルも運よく都合がついたので参加したのだ。

「飛鳥の料理は和食というよりただの家庭料理だしね~」

 サクラが無遠慮に呟く。飛鳥は「お前いつも家に来て満足そうに食うとるやんけ!」と文句を言うが「ま、エダさんより劣るのは認める」とそれ以上は怒らない。純日本人の飛鳥もそれだけエダの和食の腕を認めている。そりゃあ出汁を取るにもエダはインスタントや粉末出汁など使わず鰹節と昆布でちゃんととるし和食用調味料は飛鳥の家より遙かに多い。エダは料理をすることが好きなだけあって欲しい調味料は転送機を使って日本まで直接買いに行くぐらいだからそのあたりは贅沢だ。



 今夜の参加者はクロベ・ファミリー(ユージ、エダ、サクラ、JOLJU)以外の未成年組は飛鳥、セシル、マリー。成人組は拓、神崎修一郎、ロザミア。この面子が広い定義で<クロベ・ファミリー>である。


  本日のメインディッシュは石狩鍋とてんぷら盛り合わせ10人前、ちらし寿司で、他にローストビーフ3キロ、肉じゃが、唐揚げにポテトフライ、温野菜サラダ、茶碗蒸し、和野菜の煮物、魚の甘露煮等々……本当に日本の居酒屋のようだ。米国でこのメニューは何よりの御馳走だろう。これをエダは一人で作ってしまう。……さすがに4時間ほどかかったが。


 こうして料理を食べ終わった後は団欒の時間だ。



 ユージや拓たち成人組は丁度4人ということで、全自動麻雀卓を持ち出し軽食をつまみながら麻雀を始めた。むろんお酒を飲むし金も賭けている。



 ということで、未成年組はソファーのほうに集まり、様々なアイスクリームやフルーツ、飲み物を自由に取りながら談笑していた。神崎修一郎以外は全員クロベ家泊まり予定だからいくらでもダラダラしていい。クロベ家には客間が4室あり、ベッドは6つあるから困ることはない。転送機でやってきた飛鳥、セシル、マリーは帰りたくても帰れないから泊るしかない。


 成人組に軽食を届けたエダがようやく仕事を終え、ソファーのほうに合流してきた。


 皆それぞれエダを慰労し席を空ける。皆は仲良く雑談をしていた。ちなみにここはNYだがこの場での会話は日本語である。日本語しか出来ない飛鳥がいるのと、クロベ家の第二言語は日本語だから当然日本語メイン。マリーだけは万能翻訳機を付けて参加。



 面白い話が出たのは、エダが一息ついてからの事だった。



 言い出したのは、飛鳥だった。



「ちょっと疑問なんやけど。なんていうか今更な疑問なんやけどな?」


 そういうと飛鳥は横に座ってアメリカン・キングサイズのバニラアイスを食べているサクラを見てから、今度はエダを見た。自然周りにいたセシルやマリーやJOLJUも二人を見る。


「サクラもエダさんも、100%米国人やんな?」

「何当たり前のことを。パスポート見せたろか」とぶっきらぼうに答えるサクラ。しかし飛鳥はそんな事は気にせずズケズケと続ける。



「どっちが日本人らしいンやろ? 色々総合的にみて」



「?」



 ……何を言ってるんだ……? という顔を全員がした。二人とも完全に米国人である。


 サクラは紅髪赤瞳の白人系、エダは金髪碧眼の英国系白人。日本とは全く無縁だ。


 どういう意味か、と全員が飛鳥の顔を見つめる。



「そやから……サクラとエダさん、どっちが日本人かって事や!」

「二人とも米国人なのデス」とマリー。


 その時、エダが「あっ」と声をあげポンと手を叩いた。


「あたしとサクラ、どっちが日本らしいか……って事だね?」

「成程……確かにサクラもエダさんも日本語ペラペラですし、料理だって生活だって日本式が多いですね」

「そういう事や、セシルっち! 今日のパーティーかて和食パーティーなワケやし、エダさんの日本力はかなりのものやと思うんや。そしてこのクソガキも日本人ぽいし、名前は日系やん。で、ここで疑問なワケや。どっちがより日本人に近いンだろーかってな!」


「また阿呆な事に気付くというか、閃くというか……あたしもエダも米国産まれの純米国人で日本なんて所詮外国なんだが」


 サクラは呆れ毒吐きながらアイスを掬って食べる。


 しかしこの時サクラ以外の全員が飛鳥の意外に面白そうな事に気付いた。確かにサクラは戸籍こそ米国人だが、名前は日系の名前だし喋る日本語も外国人ぼさはなくナチュラルで、ギャグもいえばボケたりもするし嫌味や悪態まで見事に使う。一方、エダもまた何の疑問も抱かないくらい普通に日本語で喋る。この二人は声だけ聞いていれば日本人にしか思えない。同じ日本語が使えるといってもセシルの場合はここまで滑らかにはいかないし、イントネーシュンも違ってどこか『外国人の日本語』感がある。


 生活はどうだろう?

 エダは日本の物が好きだし正座もできるし和食も得意だし好きだ。日本の文学本だって読むし邦画や時代劇でも英字字幕はいらない。挨拶の丁寧さは日本人よりしっかりしているし敬語も丁寧語も喋れる。一方サクラは漫画を読み散らかしアニメをだらだら観てコタツで丸くなる。バリバリの日本語で悪口もいうしボケもツッコミもするし愚痴も零す。成程、非常に日本的だ。



「という事で!! パーティーの余興に皆で『誰が一番日本人ぽいか検定』やるで!!」

「趣旨は分かりました。しかし皆で? 私たちも?」

「ボクは全く日本人らしくないデス」


 セシルとマリーは顔を見合わせる。しかしこれもパーティーの一つだと思えばそれほど嫌でもない。確かにサクラとエダ、どっちが日本人ぽいか気になってきてもいる。


「ウチとJOLJUの二人で作った『日本人ぽい度診断データー』を用意した! さぁ皆、携帯スマホにメールで送ったから、そのクイズやアンケートに答えて日本人っぽさを競うンやぁー!!」


 飛鳥は高らかに宣言した。丁度その時、それぞれの携帯スマホにJOLJUがたった今作った飛鳥監修・発案の『日本人ぽい度診断』アプリが送られてきた。


 結局、皆でそれをやる事になった。勿論、飛鳥やJOLJUもやる。



 妙な余興が始まった。





黒い天使日常編 『どっちが日本通?』1でした。


ということで飛鳥が言いだしっぺの「誰が日本人ぽいか検定」です。


今回はほぼほぼ物語というよりキャラ設定話と裏設定話みたいなかんじで、さしてすごいオチや山場があるわけではないですが、こんなカンジで何話か書いていこうと思います。


ちなみにエダは人生の半分以上が日本育ち。

サクラは生粋の米国人ですが日系家庭で育ち、今も日系。そして飛鳥の家で居候……と、結構日本に関係してるので今回の企画になったわけですね。サクラは飛鳥たちからみれば、外国人感覚はなく日本人感覚ですしね。飛鳥は間違いなくサクラは日本人扱いしています。まぁここがそもそも誤解ですけど。


で、マリーはともかくセシルも日本によく行く日本語が喋れる外国人。


ということで、「黒い天使」のレギュラー・キャラたちの日本人レベルがこのシリーズで明らかになります。尚、元日本人であるユージと拓ちんは今回検定に参加していません。


「黒い天使」のキャラクターたちのほのぼの話をお楽しみ下さい。


これからも「黒い天使日常編」を宜しくお願いします。



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