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貧乏貴族令嬢ですが男装して入学します  作者: 仲田野 寿
学園編
31/31

ジル&シリル

----ジル視点


彼女に会ったその日、彼女に襲い掛かりそうになったその日。


あれからすぐに、侯爵家の侍女長がシリルにつくことになった。


なぜか俺がシリルにしたことを知っていて、思いっきり怒られた。

だから俺も近寄らせてもらえないのだ。


一年間、これはこれで辛かった。

授業では彼女と一緒だ。

でも、授業が終わるとすぐに、侍女長が彼女に張り付く。


母の命令だそうだ。


俺の下半身は母に信用されていないらしい。うん、俺も自分で信用できないから仕方がない。



女性と分かった後のみんなはすごかった。文官も武官もどちらもだ!

シリルに対しては、ものすごく丁寧に対応する。

恐ろしく優しいし、笑顔がすごい。

みんなのアピールが酷い。


これを見ていると、やはり女性と発表するまでは気がつかなかったのだな。

鈍感な奴らが多いな!

まあ、俺が彼女に近づけさせていなかったんだがな!!


今は俺も近づけないけど!!


なんて思いながら悶々と日々を過ごした。



今日は卒業式だ。

クレティアンのおじさんも来ている。



俺は卒業と同時に彼女に求婚した。

そう、同時だ。

本当に同時だった。


もうこれ以上、彼女の側に誰も近づけさせたくない。

というか、約束をして誰かにとられないようにしたい。


彼女は、うれしいけれど、と顔を曇らせる。

やはり領地がどうこう言っている。俺はクレティアンのおじさんを呼んで、説明をした。


彼女は頷いてくれた。

それどころか、

「うふふ。じゃあ、ジル、いっぱい子供つくりましょうね。」

と言ったのだ!


俺の下半身を破裂させる気なのか!!?


落ち着け、まだだめだ。結婚式を挙げるまでは、ダメだ。


そう、実は俺は侯爵家に泣きついてすぐに結婚式をできるように手配をしていた。

これはニーナもクレティアンのおじさんも手伝ってくれている。


あとはシリルの同意だけなのだ。

頭がおかしいと感じるならそれでもいい。俺も少しそう思う。


が、母は、シリルを狙っている子が多すぎるから、早めに諦めさせたほうがいい。という計算だったようだ。

薄幸な母が、黒くなっていく!




結婚式での彼女は、それはそれは美しかった。


華奢でしなやかなその彼女に視線を奪われているのは俺だけではなかった。

エルネストもアロイス殿下も、セレスタン殿下も、ガスパールもアレクサンドルも、セルジュも。

呆然と彼女を見ている。


……あまり見るな。減ってしまう!


彼女は俺を見ると、恥らうように慎ましくまつ毛を伏せ、 頬を染めた。


俺はあまりの可憐さに叫びだしそうになった。


あらわになった白く細い首。しっとりとして弱々しい可憐な腕。幼さと美しさを掛け持つ彼女は、今までに見たどの彼女よりも魅力的だった。

まばゆいほど白い柔肌に 折れそうな細い体を見ていると、無理やりに抱きしめたくなる。


いや、抱きしめただけでは この気持ちはおさまらない。俺はこの場にふさわしくない感情を抱いていた。

感情だけではない。正直に言おう。


俺は結婚式の緊張の最中に、彼女の姿を見た瞬間に昂ぶった。自分でもおかしいと思う。


結婚式中はもう、夜のことしか頭になかった。


誓い合うときだけは、彼女の美しさと側にいてくれるうれしさに、泣きそうになった。

嫁ではなく旦那が泣くのはさすがにおかしいだろうと思って必死に耐えた。


誓いの口付けをしようとすると、俺が泣くのを我慢しているのが彼女に分かってしまったのか、優しく頬を撫でてくれた。


愛している。



エルネストやアロイス殿下、セレスタン殿下、ガスパールもアレクサンドルも、セルジュも、俺を酔い潰そうと酒を注ぎまくりに来る。

そうはいくか!


今夜は彼女との初夜だ!

潰れて起たないなんて絶対に嫌だ!!



しかもセルジュは今結婚したというばかりなのに、さっそく彼女を口説いているのだ。冗談めかして言ってはいるが、どこからどう見ても本気だ。そんな熱っぽい目で彼女を見るな!

「シリル、もしジルベールと離縁したら、俺が君をもらうからね。予約だよ?」


予約じゃねえよ!! なんで離縁確定になってるんだよ!?


もういい、みんなあっちに行け!

彼女は俺のものだ!

他の女なんかもう抱けない、というか彼女でないと起たない!



そう、俺は一年間の侯爵勉強の間、女性の経験をもさせてもらっていた。

最初は拒んだが、練習しないと本番で暴発して泣かせるぞ? と、俺の護衛になってくれているフェルディナンに言われ、渋々練習した。


しかし、俺は起たなかったのだ。

当然みんな焦っていた。俺は不能なのだろうかという絶望感がみんなを覆っていたことは知っている。だが、俺は自分が不能でないことを知っている。

彼女にしか反応しないのだ。

当然、彼女を想像すると反応する。うん、大丈夫だろう?


それでも練習は必要だと言われ、シリルに似てる人やシリルのような髪を持っている人を探してきてくれた。

唯一大丈夫だったのが、シリルのような髪を持つ女性--当然後ろからしかしたことはない--以外には役に立たないようだった。なんとか想像の彼女と重ならせて練習したが、違和感があってダメだった。




ベッドに座って怯えた顔をして夜着のままこちらを見る彼女。


緊張のあまり起たないかと思ったが、とんでもない!


さっききちんと準備として二発出してきたのに!

暴発すると悪いから自分で少し処理をしていきなさい。というじいとフェルディナンの教え通りにしているのに、俺の身体はどうなっているんだ。



その夜は、彼女が痛がらないように、何度も何度もほぐした。

そして彼女は俺の指で舌で何度も達した。


シリルが背中を反らし、涙を零しながら高い声で喘ぐ。その姿が愛おしい。


もう限界だ。そろそろいいだろうか……。


恐る恐るそろそろと、彼女の中に入っていく。

彼女はあまり痛がらないでくれた。何度もほぐしたのがよかったのだろう。我慢した甲斐があった。


……でもここからは止まれない。


もう彼女を思いやる余裕がない。



やがて身体を震わせて、彼女が高い高い声で鳴く。

強くそこを締め付けられて、俺は狂おしいほどの愛を注いだ。


ぐったりする彼女を抱きしめて、俺はもう一度欲を放った。



そうして夜着も着ないまま、彼女を腕に抱きしめて寝た。



愛してるよ。シリル。

俺の、女神。


今までも、これから先も、俺の全てはシリルのものだ。




----シリル視点



ニーナさんと日々を過ごしながら、貴族の女性としてのマナーなどもすべて教えていただきました。

わたしがおもらしだと思ったあれは、自然なことなのだそうです。


好きな人に触られると、そうなるのだそうです。

わたしはやっぱりジルのことが好きなのですね。

好きではいたのですが、いつも近くにいたので、幼馴染の好きなのか男性としての好きなのかが、分からなかったのです。

でも、わたしは女性として感じてしまっていたので、やはりジルのことを男性として好きなのでしょうね。


本当にニーナさんに聞いてよかった。

ありがとうございます。



そうして、一年が何事もなく過ぎていきました。

今日は卒業式です。


父も今日は来てくれました!



と、わたしは卒業と同時に、ジルに求婚されました。


声もでないくらいにうれしかったのです。


でも、ジルが侯爵を継ぎます。そしてわたしと結婚すると、うちの領地には継ぐ人が誰もいなくなってしまいます。


……どうしましょう。


「ジル、あの、とてもうれしいです。わたしも、ジルと一緒にいたい。でも、ジルと一緒になったらうちの、クレティアンの領地はどうなるの?

父が今のところは頑張っているけれど、名がなくなってしまうのは、わたしは嫌……。ジル、どうしたらいいの?」


するとジルは父を呼んでからこういいました。


「シリルの家はもともと侯爵家の副官をしてたクレティアンが、褒美でもらった領地なんだって。だから、名前を残したまま直轄地にしてもいいと王様に言われている。

それに、子供が生まれたら継がせられるように、養子にするという話もクレティアンのおじさんから言われているんだ。シリルは安心していっぱい産んでくれていいんだ。……げっ! いや違う。俺はシリルが心配しないように、おじさんにも聞いていたというか、あー、その、あの、シリルに求婚する前からこんな話をおじさんに通していて、本当にごめん。」


わたしは笑ってしまいました。驚いたけれど、ジルは本当に色々考えてくれていたんだな。と分かったからです。

父も頷いて笑っています。

わたしはジルのお嫁さんになってもいいのですね?


「うふふ。じゃあ、ジル、いっぱい子供つくりましょうね。」


ジルは真っ赤になって口をパクパクとしておりました。



結婚式では、本当に緊張しました。

わたしはまだ、女性としてのマナーが完璧ではないのです。おずおずと言われた通りに過ごすようにします。


誓いの口付けをしようとすると、ジルが泣きそうになっておりました。ジルでも緊張するのですね。

この頃のジルは、とても自信に満ちていて、緊張するようには見えないのです。わたしは大丈夫だよ? というように、優しく頬を撫でました。



みんなが祝福してくださって注ぎに来てくださるお酒も、そんなに多くはないと思いますが、飲んでしまいました。

セルジュさんが面白い冗談を言うのですもの。


「シリル、もしジルベールと離縁したら、俺が君をもらうからね。予約だよ?」


あまり飲みすぎてはいけませんよ。とニーナに言われていたのですが、わたしは笑いながら勧められるままに飲んでしまいました。




初夜の準備のために、わたしはたくさんの侍女さんたちから色々洗われてしまいました。薄化粧も施され、薄い夜着も着せられます。


こんなに薄いと身体が隠せませんがいいのでしょうか?


わたしはニーナに言われていたことを思い出します。ジル様にお任せしていたら大丈夫でしょうが、もし、ジル様がシリル様のことも考えずに致そうとしましたら逃げていらっしゃい。いいですね?


ジル様がきちんとシリル様を気持ちよくさせてくださったら、身を任せても大丈夫です。ただ、もしお痛かったりしたらきちんと言うのですよ? そのときはゆっくりしてくれるように言うんです。


それでは、緊張して身体を硬くしないようになさってくださいね。



ジルが部屋に入ってきたようです。

わたしを見て息を呑んだのがわかりました。


あの時のように、わたしを触ってくれるのでしょうか?

わたしはドキドキしてしまいます。


ジルはやっぱり、あのときのように口付けをしてくれました。

わたしもやっぱりもやもやして身体に力が入らなくなってしまうようです……。


段々ジルがわたしの身体の色々な場所を触り始めました。ひぅっ


わたしはいやらしい声がたくさん出てしまいます。


あっ……ごめんなさい、なんかもう余裕がないようです。


まって、ジル……そっんな…とこはぁっ……ああっ




……気が付くと、握られていた手に暖かい感触がありました。


「シリル、大丈夫? 気が付いた? ごめんね。止まらなかった……。」

ジルが謝ってきます。

でも、謝っているのにとても嬉しそうなジルの顔。そしてわたしはなぜか身体が重くて動けないようです。


ぼんやり開いた瞳に見えるのは、裸のままのジル。

少し焦って動こうとするものの、やはり動けません。

下腹部と腰に鈍痛があり、身体全体がだるいです。


一体何がどうなったのでしょう?



「シリル本当に大丈夫?」

答えようとすると、掠れた声しか出ないようです。


喉が渇いたと掠れた声で言いますと、ジルに身体を抱え込むようにして起こされ、口移しで水を飲ませてもらいました。

ついでのように舌が絡まってきます。

「シリル可愛い。大好き。愛してる。」


何度もわたしに言いながら、まるで力の入らない身体を支えられ、そして抱きしめられています。

こっそりわたしの胸も揉んでいるジルはいたずら好きです。


「何か欲しいものはいる?」


わたしは少し考えて、少し掠れた声だったけれど、それを口にしました。


「ずっと、ずっと、一緒にいて欲しい。いつかおじいちゃんとおばあちゃんになるまで。ずっと、ジルと一緒にいたい。」


うれしそうな表情でこちらを見ていたジルが、真剣な表情になってしっかり私の両手を握ります。


「誓うよ。ずっとずっと一緒にいよう。むしろそれをお願いしたいのは、俺のほうだ。俺から離れないで。一緒に生きて行こう。」


ジルの声がわたしの胸に沁みわたり、わたしは力の入らない身体でしたが、ジルに抱きつきます。

「うん、ジル! 二人で長生きしようね。」


両手を絡めあい握り合ったまま、二人で額をこつんと合わせ口付けをして、少し照れながら微笑みあいました。


「おばあちゃんになってもよろしく、俺の愛しいシリル。」

「おじいちゃんになっても、よろしくお願いします。私の、大好きなジル。」



いつまでたっても出てこないわたしたちに業を煮やしたらしく、食事を持ってきてくれたニーナに、わたしの状態を知られたジルは、

「立てなくなるくらい攻め立てるとはどういうことですか!? シリル様は初めてなのですよ!!?」

などと、酷く怒られておりました。



それでもわたしは無事に、次期侯爵夫人になったようです。


これからは、お母様について領地のことを覚えたり、貴族の方々とのお茶会に出たりしないといけないようです。


もうすでに、エルネスト様のお茶会と、アロイス殿下たち王族の方とのお茶会の予定があるそうです。


ジルが、あの野郎共!! などと呟いていたので、注意しておきます。


覚えることはたくさんあります。


……子供もたくさん産まないといけませんし!


わたしは大好きなジルと生きていきます。

立派な侯爵夫人になれるように、頑張っていきましょう!



読んでいただき、ありがとうございました。


これからも二人には色々ありますが、まずは完結とさせていただきます。

ありがとうございました。


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