第8話 「魔王」
家につくと昼間とは違って荒らされた状態だった。
「なんだこれ。どうして荒らされてんだ⁈」
「人……ではなさそうです。壁がところどころ崩れている。…魔物かもしれません」
「魔物⁉︎そんなの一度も聞いたことないぞ」
「普通知りません。"世界"に影響をもたらす魔物は皆軍が排除していましたから。それが崩壊し、軍も全滅した今、魔物がでてもおかしくありません」
「ーーその通りだ」
突然サクヤとシンの後ろから声が聞こえた。
振り向くとそこには全身を黒のマントで覆い、黒のブーツに青の短髪、蒼い瞳の男が立っていた。
「⁈誰だお前⁉︎」
「…魔王…ですね?」
「魔王⁈」
「さすが未娘、というべきか?」
「なぜ貴方がここにいるのです」
「交渉しに来たのさ。この家をやったのは魔狼達だ」
「この瞳…でしょうか」
「ああ、そいつを渡してもらいたい」
「…そちらが出すものは?」
「人間の子供達だ」
「⁉︎子供達は生きているのですか‼︎」
「ああ、今はな。だが、お前の選択次第では子供達の運命も変わるだろう」
「……」
サクヤの心は揺れた。
自分の瞳を差し出すだけで子供達が助かるのだ。
しかし、これを渡してはいけない理由もあった。
未娘の瞳には2つの力がある。
1つは未来を写す力、そしてもう一つは万物を自由に使役する力。
だが、それを使うには代償が必要なのだ。
その代償が他者の魂。
もしこれが魔王の手に渡ればおそらく今度こそ人類は絶滅するだろう。
待ち疲れたのか魔王はある提案をしてきた。
「1週間猶予をやる。それまでにせいぜい考えるがいい」
そういい魔王は煙とともに消えた。
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