第30話 「残酷な現実」
お待たせしました!第30話です
数分後、読み終わったのかマルフェは顔を上げる。
その顔はどこか悲しそうだ。
「……デーティス、今から君に大事な事を伝える」
いい話ではない。
それだけは幼い彼にも理解できた。
「君の師、ルクエはもう君と会えない」
「……え?」
頭を思いっきり何かで殴られた気分だった。
ルクエさんにもう会えない?
出かける前はあんなに元気だったじゃないか。
「どう、して?」
自然と声が震える。
「それは彼女が時の番人だったからだ」
ー”時の番人”
聞いたことがない言葉だ。
黙ったままのデーティスにマルフェは言葉を続ける。
「この手紙には自分にはもう時間がないこととデーティス、君のことを私に頼むという内容だ。…まだ子供の君には酷だとは思うが」
それからこれを、と一枚の紙を渡される。
「これは…?」
「彼女から君への手紙だ」
手紙を開くとこう書かれていた。
ーデーティスへ
いきなりこんなことになってしまって申し訳ない。
一度も話したことはなかったけど私は時の番人という役目を授かっていたの。
時の番人は普通の人とは別の時間軸に生きる存在。
こんな姿でももう何百年も生きてた。
時の番人は滅多に継承されない。
けど君という適合者が現れた。
私の時はこれを読んでいる頃にはもう止まっていると思う。
でも決して自分を責めないで。
私は君に、デーティスに出会えてよかった。
この2年間、私は幸せだった。
ただ過ぎていく時の中、その2年間だけは鮮やかだったよ。
だから後悔なんかしていない。
デーティス、君の事を最後まで見守れなくてごめんね。
血は繋がってなくても君を息子のように思っていたよ。
いつまでもデーティスを愛しているよ。
君の人生が幸せであるように祈っています。
ルクエ
膝から崩れ落ちどれくらい泣いたかもわからない程声をあげて泣き続けた。
ルクエさん、僕もあなたを母のように思っていました。
大好き、でした。
愛されていた嬉しさと失った悲しさの渦に飲み込まていく。
そんな僕を嘲笑うかのように時計の針が動きだした。
ありがとうございました!もう少し過去編が続きます。




