↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
5/5

第5話 予定表にない予定

続き遅れてごめんなさい!できるだけ早く投稿できるようにします!それでは気を取り直して第5話お楽しみください!!

翌朝。

「……拓海ー」

「……ん」

「起きてー」

「……あと五分」

「昨日もそれ言ってたよ?」

「昨日の五分と今日の五分は違う」

「どう違うの?」

「気持ち」

「意味分かんない」

聞き慣れた声が、眠気の残る頭に響く。

俺は布団の中で寝返りを打った。

「……帰ってくれ」

「もう起こしに来ちゃったから無理」

「何でだよ」

「約束したでしょ?」

「……したな」

「じゃあ起きて」

「……」

仕方なく目を開ける。

そこには、いつものように琴葉が立っていた。

「おはよう、拓海」

「……おはよう」

「今日は素直だね」

「眠いだけ」

「朝ご飯できてるよ」

「……」

その一言で、俺は布団から出た。

「現金すぎない?」

「腹が減ってたからな」

「昨日も同じこと言ってたよ」

「知らん」

俺は制服に着替えながら、ふと机を見る。

昨日もらった鍵。

その隣に、一枚の紙が置かれていた。

「……何だこれ」

「ん?」

琴葉が覗き込む。

「……あ」

「お前が置いたのか?」

「うん」

「予定表?」

「そう」

紙には今日の予定が書かれている。

朝――登校。

一限――授業。

二限――授業。

三限――授業。

昼――昼食。

四限――授業。

五限――授業。

放課後――秘密基地。

「……なあ」

「なに?」

「一個増えてないか?」

「どれ?」

「秘密基地」

「昨日、拓海が行きたいって言ったから」

「……まあ、それはいい」

俺は紙を裏返した。

何もない。

「じゃあ、これは?」

俺は紙を戻す。

「『来週』って書いてある」

「……」

琴葉が一瞬だけ黙った。

「何?」

「何でもないよ」

「いや、明らかに何でもなくないだろ」

「ちょっとした予定」

「何の?」

「秘密」

「また秘密かよ」

琴葉は笑った。

「楽しみにしてて」

「……嫌な予感しかしない」

そう言いながら、俺は紙を机に戻した。

その時だった。

紙の端に、小さく赤い文字が見えた。

――『準備完了』

「……?」

俺がもう一度見ようとした瞬間。

琴葉が紙を素早く回収した。

「はい、おしまい」

「今、何か書いてなかったか?」

「気のせい」

「絶対見えたぞ」

「朝ご飯冷めるよ?」

「話を逸らすな」

「ほら、早く」

琴葉は笑っている。

けれど。

ほんの一瞬だけ。

その笑顔が不自然に見えた。

俺はそれ以上追及しなかった。

――この時は。


学校へ向かう道。

「そういえばさ」

「ん?」

「昨日の秘密基地」

「うん」

「どうやって見つけたんだ?」

「……」

琴葉が黙る。

「琴葉?」

「昔から知ってた場所」

「昔?」

「うん」

「俺も知ってた?」

「……知らないと思う」

「何で?」

「拓海、昔はあんまりこっち来なかったから」

「そうだったっけ?」

「そうだよ」

琴葉は前を向いたまま歩いている。

「昔ね」

「うん」

「この辺りに、よく来てたんだ」

「一人で?」

「……うん」

「何で?」

「秘密」

「またか」

「ふふ」

琴葉は笑う。

けれど、その笑顔の奥に何かある。

俺はそう感じていた。

「……琴葉」

「なに?」

「昨日の予定表」

「うん」

「『空白――あと少し』って書いてあっただろ」

「……」

「何のことなんだ?」

琴葉は答えなかった。

しばらく歩いた後。

「拓海」

「ん?」

「もしさ」

「うん」

「私が、拓海に何か隠してたら」

「……?」

「どうする?」

「内容によるだろ」

「例えば?」

「悪いことなら怒る」

「悪いことじゃなかったら?」

「……聞く」

「それだけ?」

「それ以上何があるんだよ」

琴葉は少し考えて。

「そっか」

とだけ言った。

「何だよ」

「ううん」

そして。

「じゃあ、いつか話すね」

その言葉が妙に引っかかった。


昼休み。

「拓海」

「ん?」

「今日、放課後すぐ帰らないでね」

「秘密基地だろ?」

「うん」

「分かってる」

「絶対だよ?」

「分かったって」

そこへ佐藤がやって来た。

「お前ら、また一緒かよ」

「悪いか」

「いや別に」

佐藤は俺の机を見る。

「……ん?」

「何だ?」

「それ」

「?」

佐藤が指差したのは、俺の鞄についた鍵だった。

「それ、何の鍵?」

「秘密基地」

「……は?」

「昨日、琴葉が作った場所」

「お前ら秘密基地まで作ったの?」

「俺も昨日知った」

「何それ」

佐藤が呆れたように笑う。

「で、今日は何するんだ?」

「知らない」

「お前、本当に何も知らされてないな」

「俺もそう思う」

「まあ、気をつけろよ」

「何に?」

「琴葉に」

「……」

俺は琴葉を見る。

琴葉は弁当を食べながら、こちらを見ていた。

「何で?」

「いや」

佐藤は少しだけ声を落とした。

「昨日、俺が水城から連絡もらったって話しただろ?」

「ああ」

「その後、もう一通来てた」

「何て?」

「『拓海にはまだ言わないで』」

「……」

俺は琴葉を見る。

「何のことだ?」

「さあ?」

琴葉は笑っている。

「俺にも分からない」

佐藤は肩をすくめた。

「まあ、俺は関係ないからな」

「逃げるなよ」

「巻き込まれる前に逃げるのが正解なんだよ」

佐藤は自分の席へ戻っていった。

「……琴葉」

「なに?」

「何か隠してるだろ」

「どうかな?」

「その返しは絶対隠してる」

「ふふ」

琴葉は楽しそうに笑った。

「放課後になったら分かるよ」

「……」

俺はため息をついた。

どうやら今日も。

普通の一日にはならないらしい。


放課後。

「行こう」

「うん」

昨日と同じ道を歩く。

けれど。

今日は琴葉の様子が少し違った。

「なあ」

「なに?」

「緊張してる?」

「……してないよ」

「してるだろ」

「してない」

「歩くの速くなってるぞ」

「……」

琴葉が少しだけ歩く速度を落とした。

「……分かった?」

「分かるわ」

「拓海、意外とよく見てるね」

「幼馴染だからな」

「……」

琴葉が一瞬だけ黙る。

「どうした?」

「ううん」

小さく笑って。

「嬉しいなって」

そう言った。

やがて。

昨日の秘密基地が見えてくる。

琴葉が鍵を取り出した。

俺も自分の鍵を取り出す。

「……」

「どうした?」

「拓海が鍵を出すの、なんか変な感じ」

「何で?」

「昨日まで私しか持ってなかったから」

「今日から俺も持ってる」

「うん」

扉を開ける。

昨日と同じ部屋。

机。

ソファ。

本棚。

二つのマグカップ。

そして。

「……ん?」

俺は壁を見た。

「写真、増えてないか?」

「……」

「琴葉?」

「気のせいじゃない?」

「いや、昨日なかっただろ」

壁には新しい写真が何枚か貼られていた。

学校。

帰り道。

秘密基地。

そして、その中に。

一枚だけ。

見覚えのない写真があった。

「……これ」

「……」

琴葉が黙る。

「いつ撮った?」

「昨日より前」

「いつ?」

「……ずっと前」

俺は写真を手に取った。

そこには。

小学生の頃の俺が写っていた。

ただし。

俺は一人だった。

「……これ、どこ?」

「公園」

「こんな写真、持ってたのか?」

「うん」

「誰が撮った?」

琴葉は答えない。

「琴葉?」

やがて。

「私」

「……」

「昔、撮ったの」

「何で?」

「拓海が一人でいたから」

「……」

俺は写真を裏返した。

裏には日付が書かれている。

十年前。

「……十年前?」

「うん」

「俺たち、何歳だ?」

「小学生」

「じゃあ……」

俺は写真を見つめる。

「何で俺、ここにいるんだ?」

琴葉は静かに答えた。

「拓海が、ここに来てたから」

「……」

「昔から」

その言葉に。

何かが引っかかった。

俺は壁を見る。

写真。

予定表。

秘密基地。

鍵。

そして。

琴葉が昔からこの場所を知っていたこと。

「……琴葉」

「なに?」

「お前、俺が忘れてること……知ってるのか?」

琴葉の表情が止まった。

「……」

「昔のこと」

「……少しだけ」

「何を?」

「それは……」

琴葉が目を伏せる。

「まだ言えない」

「また秘密かよ」

「ごめん」

その声は。

いつもの明るいものではなかった。

「でも」

琴葉は顔を上げる。

「いつか全部話す」

「……いつ?」

「拓海が、自分で思い出すまで」

「俺が?」

「うん」

「何を?」

琴葉は答えなかった。

代わりに。

机の引き出しから、一冊の古いノートを取り出した。

「これ」

「……?」

「拓海に見せるのは、まだ早いと思ってた」

「じゃあ何で出した?」

「今日なら……」

琴葉は少しだけ迷って。

「大丈夫な気がしたから」

「……」

俺はノートを見る。

表紙には。

俺の名前が書かれていた。

――『柊拓海』

「……これ、何だ?」

「拓海の昔のこと」

「……」

俺は手を伸ばした。

その瞬間。

琴葉がノートを閉じた。

「今日は、ここまで」

「おい」

「明日」

「明日?」

「一ページだけ見せる」

「一ページだけ?」

「うん」

「何でそんな制限するんだよ」

「その方がいいから」

「……」

琴葉はノートを大事そうにしまった。

そして。

「拓海」

「ん?」

「明日も来てくれる?」

「……」

俺は少し考えた。

「行くよ」

「本当?」

「ああ」

「約束?」

「約束」

琴葉は嬉しそうに笑った。

けれど。

俺はまだ知らなかった。

あのノートの一ページ目に。

俺自身が知らない、

十年前の「ある出来事」が記録されていることを。

そして。

その出来事こそが。

琴葉がこの秘密基地を作った本当の理由に繋がっていることを。

――翌日の予定表。

その一番上には。

いつものように学校の予定が並んでいた。

そして、一番下。

琴葉が誰にも見せていない欄に。

新しい予定が一つだけ書かれていた。

『拓海に、一ページ目を見せる』

その下には。

まだ誰にも明かされていない文字があった。

――『思い出したら、全部話す』

ちょこちょこ謎の文が出てきてますがこれは何なのでしょうか、そして拓海は琴葉の予定表にどう向き合うのか

。第6話お楽しみに!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。