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無属性魔剣士の聖戦記  作者: バナナ―ド
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自らの玉座

婚約者に会うこともできなくなったエルセフィア。身体的、精神的にも追い込まれている状態になっていた。その状態を知る魔剣士達がエルシードに最悪の状態を報告する。状況を理解したエルシードは、ついに行動に出るのであった。

ゼロ曰く、今回のエルシードの行動は、状況を甘く見た馬鹿な判断ではあったが、結果的には、悪くなかったという評価だ。


 まずは、2柱の大天使を葬ったことについては評価していた。


 そこにおまけがついて、ベルガリエルを仲間に引き込むことができたことが大きかった。


 その分、エルシード自体の不可逆的なダメージが大きいようだが、それでも大天使1柱分の仕事はするだろう。


 戦力的には、天界の軍勢を迎え撃てるだけの計算ができるようになったのだ。




 リカーム城は気まずい雰囲気の中運営されている。それでも、少しずつエルシードの体調も改善してきており、ようやく玉座に戻ることが許された。


 玉座を下より眺めると、玉座にはエルシード。そのすぐ左横にはエリアリーゼが傍に立つ。


 玉座に向かって左には侍女達が並ぶ。本来はエルセフィアが側室として左側の先頭になるはずなのだがそこにはいない。


 玉座の右側には魔剣士達が並び、主席はジルベール。ランディア・スレイン・アーバイン・レシール・ティルレインそして、ようやくエルセフィアが並ぶのである。


 これはエリアリーゼの指示で決まっていた。アスファはドアルネス配下であるため、玉座の右側貴賓席である。


 エルセフィアは痩せて少し青ざめた表情で玉座を垣間見ていた。事実上降格である。


 「おい、エルセおまえ何かやったのか?」

 ランディアが問いかけるが、返事をしない。下を向いて俯くのみである。


 「お前、もう少し気を遣ったらどうだ。」

 レシールが怒って、エルセフィアの弁護に回る。


 みんな修行から戻ってきているのだ。


 エルセフィアも業績・実力とも負けてはいないのだが、今回エルシードを単独侵攻に送り出した件で責任を取らされているのだ。


 非常に空気が悪い。


 「どうでしょう、もうそろそろ業務にも差し障りますし、エルセフィア殿をお許しになったらよろしいのでは?」アスファは口添えをする。


 「いえ、彼女が引き留めていれば、エルが左上肢を失うことはなかったんです。もう少し反省していただきます。」エリアリーゼは強い口調である。


 「エリア、それは僕が悪かったんだから、もう許してくれよ。」

 エルシードも頭を下げる。


 「エルは黙っててください!」弁護すればするほど怒るのだ。


 「おお、こわっ」《ぽかっ》ランディアが、スレインに頭を殴られる。


 実際、エルセフィアの落ち込み方はひどかった、この件があって以来、剣や魔法の訓練は一切していない。


 エルシードの書類代行のみ行っているが、時折提出が遅れる始末だ。


 「私、もういない方がいいかな・・・」エルセフィアがつぶやく。


 「なっ何言ってるの?アレだけ憧れたアルカテイルの王子と一緒になりたくないの?」ティルレインが聞き返す。


 「だって、確かに主様は、もう回復しない傷を負って帰られた。これは私のせい・・・せめて、私が一緒に行って、代わりに死ねばよかったんだ・・・」


 完全に鬱に入っている。すべて自分のせいなのだ。




 玉座に出るようになってからも、エリアリーゼの監視は厳しいままだった。


 エルセフィアは、なぜか毎週10分間だけの面会にも現れなくなった。正確には、その10分すら、面会しないように水面下で告げられたのだ。


 エルシードも口数が少なくなり、考え込む事が多くなったある日、訓練場から出てくると、レシールがエルシードに接触して来た。


 「これ、伝言石です。中庭の噴水近くに、投げて置いて下さい。エルセが待ってます。」石を6個渡された。


 石に話しかけて、次に拾った人が内容を聞けるアイテムだ。


 バレると困るので、エリアリーゼの長い入浴中に、石を投げる事にした。


 翌日には、エルセフィアの手に石は渡された。


 「旅に出ようと思う。ついてくるかい?」それだけ伝えたのだ。


 詳細は不明、エルセフィアは考えた。


 もしも、旅に出るのだとしたら、一大決心である。  

 

 これから永遠にエルシードは痛みと苦痛を我慢しながら生きていかなくてはならないという事。


 エルセフィアを同伴すれば、エリアリーゼとの結婚は無くなる可能性が高い。


 そんなことできる筈はないのだ。


 旅に出るかは、今度こそ止めるしかない。


 そして、少しでいいからエルシードと話がしたい。


 ただそれだけで、会いに行くことを決めたエルセフィアであった。



いつもご閲覧ありがとうございます。

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