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無属性魔剣士の聖戦記  作者: バナナ―ド
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正室と側室

最近エルシードの周りには、逆らいようのない上下関係ができつつあった。エルシードと急接近しているエルセフィアにやきもちを焼いたエリアリーゼは、エルセフィアがエルシードと面会できないようにしてしまう。憔悴した側室エルセフィア。エルシードも慰めの言葉も出ないのであった。

最近エルシードの周りには、逆らいようのない上下関係ができつつあった。それはエルシードが勝手に天界に攻め入ったことによって、信頼関係の崩壊とそれぞれの思惑の違いがよりはっきりしてきた事が原因である。


 中でも、これから結婚して正室となるエリアリーゼと側室のエルセフィアの関係が大きく拗れてきたのだ。エリアリーゼとしては、エルシードのためを思って許可した側室である。今回の一時的な処罰として行った接触制限も、むしろ二人の関係を進展させる形で、裏目に出てしまったのだ。わずか一日30分の接触しか許されない関係が、二人の気持ちを予想以上に急接近させてしまったのだ。


 エリアリーゼとしては、この制限は一時的な約束事にするつもりであったが、エルセフィアの急接近に焦りを感じており、気持ちの整理がつかなくなってしまった。とはいえ、接触条件が厳しいだけに、エルセフィアには何の悪気もなかったのだ。




 ついにエリアリーゼが、行動を起こしてしまう。


 「今日からは、エルとの面会もなしにするから貴方は持ち場に戻っていいわ。」


 エルセフィアは、あまりの仕打ちに驚愕する。

 「ま、待ってください。それは、あんまりです。この時間が無くなったら、主様とお会いすることが全くできなくなります。」


 エルセフィアは涙目で、エリアリーゼに懇願する。

 「なぜですか?わたし、そんなに悪い亊しましたか?お願いです。取り下げてください。」


 「エルセさぁ・・・私の居ないところで、エルを誘惑してるでしょ。少し行き過ぎなんじゃない?」


 「でもエリア様、私にはたった30分しかないんですよ。頑張ったって仕方ないじゃないですか!エリア様はずるいです。いつも主様を独り占めじゃないですか。」


 「わかりました。週に一回10分の面会を許可します。」

 エルセフィアは、泣き崩れた。




 「あれ、今日はエルセは来ないの?」

 隣にはいつも席を外すはずのエリアリーゼが代わりに清拭の準備をしている。


 「最近エルセの態度が、私に挑戦的なので、面会時間を週に1回に減らします。」


 「あぁ、そうなんだ・・・。でもそれじゃあまりにも疎遠になっちゃうよ。」


 「知りません。エルも悪いんだからね!」それ以上はしゃべらない。


 もちろん、この行動が自分のやきもちではあるのは理解している。薬を盛られてまで置いて行かれたエリアリーゼとしてみれば、怒っている事を周囲を含めてアピールしなければならない雰囲気もあった。


 素直にエルシードに甘えられずにいた状況があったのだ。


 そこにエルセフィアの急接近は、制限した時間にましても、エルシードにとって、積極的で魅力的であったのだ。


 状況に気づいたエリアリーゼとしては、邪魔せずにはいられなかったのである。もちろんエルシードは反論するが、めっぽうエリアリーゼに弱かったのだ。しかも、睡眠薬を飲ませたのはやり過ぎだった。完全に立場は無かったのだ。とはいえ、この亊を契機として、エリアリーゼとの関係も悪くなって行くのだった。




 「やっと、お顔を拝見できました。お変わりありませんでしたか?」 

 エルセフィアは、さも愛おしそうにエルシードを見つめる。


 今日の服装は、身体の線こそ見せているものの、今までとは違い、白に若草色のサッシュの入ったエルセフィアがよく着用しているデザインで、チャイナ服に似たドレスであるが、露出はほとんど見当たらない。


 顔はおそらくは泣いていただろうと思われる腫れぼったい瞼に、潤んだ翠色の瞳が状況を語っていた。


 エルシードも無理に明るく話しかける。


 「傍においで。」

 エルセフィアは、速足でエルシードの横にちょこんと座る。


 「会いたかったよ。」一言告げると、にっこり笑う。


 「うっぅぅぅっ」

 突然我慢できなくなったエルセフィアが表情を崩して、ボロボロと泣き出す。


 エルシードもエルセフィアの肩を引き寄せて、片腕で抱きしめる。


 「ごめんね、僕が情けないばっかりに。でも、確かにエリアには迷惑かけてるし僕もどうにもならないんだ。」


 現状ではエリアリーゼとも仲良くしたいのだが、エリアリーゼ自体が怒こっているようなので、あまりなれなれしくもできない状況があった。平等に愛でられたらこんな事にはならなかったかもしれない。そう考えているのだ。


 「ごめんね、エリアも僕を思って厳しく振舞っているのに、そこに配慮が足りなかった僕も悪いんだよ。エルセには本当に迷惑をかけているね。」


 「わかっています。私もエリア様に対する配慮が足りなかったのかもしれません。・・・でも週に10分はひどいです。」


 「僕も、そろそろ体調も少し回復してきているんだけど・・・だめなんだよな・・・」


 現状、苦痛解除のためにエリアリーゼが、何重にも重ねて鎮痛、対苦痛の魔法を3時間ごとにかけている状況にあるのだ。実際には、解毒解除が不十分であり、まったくの補助魔法なしで、通常の生活は不可能なのだ。


 正攻法としては、何とかエリアリーゼに誠意を理解してもらい、機嫌を直してもらうしかないのだが、少々拗れてしまい、話が進まない感じであった。



いつもご閲覧ありがとうございました。

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