拝領
魔力だけあって何もできない少年が、無属性魔法に目覚め、多くの能力を獲得して強くなっていく物語。徐々に物語はスケールを増して、神や天使との戦いに発展していく。良かったらご閲覧お願いします。
城の復旧作業は遅々として進まない。
今回のルカルドエルの襲撃から、主要になる人物たちの負傷が酷かったこともあり、指揮をとれる者が、ほとんどいなかったのだ。最初にルカルドエルと戦闘した3人の魔剣士は反省しきりである。
エルシードから魔力譲渡を受けたエリアリーゼの治療によって彼らの傷は癒えているのだが、大天使に全く歯が立たない現実に、自らの存在すら顧みる有様なのである。
「まいったな、アレだけ相手にならないと、気持ちもすっきりだな。」
いまだ魔力渦巻く、怪しげな空を見上げてつぶやく。
「ランディアは諦めんの?いろいろやらないといけない事多いのに」
アーバインとスレインは今後の反省と努力指標について試行錯誤しているようだった。
会話の焦点にになってくるのは、人間を相手をするのとは、あまりに違うという事である。
「う~ん、攻撃魔法の強化、空間移動の習得、剣技も剣聖クラスにはなってないと、相手にならないよな。」
「まず、魔法はエリアリーゼ様かルフェリア様に教えていただくとして、剣技については剣の聖地ジラード公国にでも、武者修行しに行くか?」
2人は、前向きに強さを追求すべき方向性を定めていく。
女性の魔剣士陣もまた、自らを役立てるために足りないものを考えていた。
エルセフィアは提案する。
「まずは、私たちは回復魔法は使えた方がいいよね。あと空間移動も必須、、、要は最低限の剣技と、魔法技術の強化が課題になるんじゃない?」
「いっそエルシアに留学するとか?エリア様の故郷で、魔法研究が盛んなんでしょう?」
「近いし、いいかもしれないね。アスファ様に交渉していただくことにしましょうか。」
その後の協議によって、ランディア・アーバインは、聖騎士の聖地ジラード公国に武者修行に出ることとなり、ティルレインとレシールはエルシア王国の魔道研究所に研究者として留学することになった。
城の守りが手薄になることから、ジルベール・スレイン・エルセフィアはドラウネスに残ることとなり、エルシードとエリアリーゼと訓練を共にする事になった。
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少しづつ、周囲の人間の傷が癒える中、エルシードは、十分に動けないでいた。
十分な回復魔法と輸血によってほぼ改善していなければならないのだが、やはり『アルテミスの矢』による傷だけはどうにも改善しなかったのだ。
この傷には『神の嘆き』に準じた呪いがかけられており、解呪は困難なのだ。
体を急激に動かす際などには激痛が走り蹲る。
時には普通に歩いていても、振動で胸に刺すような痛みが走るのだ。
実際のところ、呪いを掛けた本人以外には解呪は不可能という事らしかった。
「治らないものは仕方ないよ、エリアに『除痛』の魔法を常にかけてもらうしかないかな。」
仕方なさげに、頭を掻く。さすがにそろそろ自分だけ休んでもいられない。
「私はいいんだけど、大丈夫?」
エリアは、心配そうにエルシードの顔をのぞき込む。
とはいえ少しうれしそうでもある。
「鎮痛は3時間程度で効果が切れるから、エルから離れられないね。」
柔らかにふわっと笑うと、エルの左腕に絡みつく。
暖かで柔らかな身体の感触がエルの左腕に伝わってくる。少し照れてしまう。
「ごめん、我慢できる時は使ってくれなくても大丈夫だから、必要な時はお願い。」
「だめぇ、エルには痛い思いはさせないよ!」
頬をプクッと膨らませて、すねて見せる。
「いつも一緒に居るんですから、エリア様に甘えたら良いじゃないですか?」
少し意地悪そうな表情でアスファがニヤリと笑う。
「そうそう、ドアルネス王が顔を出すようにと、仰ってますよ。」
「これからですか?分かりました。」
玉座に向かう。エリアも当たり前のように憑いて来る。
「良く来たな。城もひどい有様だが、それも良い。今、ドアルネスは、他国からの信用も改善し、非常に周囲との関係も良い。残念ではあるが、そなたの働きであろう。過去にこのような気持ちで王をやったことも無かったと言うのが感想じゃ。」
ダメ王は、まじめな顔でエルシードに語り掛ける。
「そこで、おそらくはささやかであろうが、其方に城を一つ任せようと思うのじゃ。もらってくれんかな。アスファよ説明せよ。」
「はい。この度新たな城を建設中なのは、ミリスとルーセリアの国境に近い、オルメテアという比較的大きな町に接した場所に建設中です。過去のアルカテイルの前線の砦の名前に模して『リカーム城』となずける予定です。いかがですか?」
少し驚いた表情をしたが、直ぐに応える。
「光栄です。ありがとうございます。」
王は付け加える。
「一見国境に近い城で危険そうだが、其方が常駐するという事であれば、むしろ他国からの協力も得られやすかろう。それから、アルカテイル自治領は、そのまま使っておいてよい。そちらも任せよう。」
大盤振る舞いである。王なりにエルシードの働きを評価したのだ。
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