舞台裏のコメント
テラスに出て夜風を浴びる。
雲一つない星空を見つめる。手を伸ばせば届きそうだ。
「戻ってたの」
室内から聞こえた女の声。
振り返ると、円形のベッドから抜け出す人影が一つ。
青い瞳の女が、裸体にシーツを巻いてテラスに出てくる。
「……起きていいのか」
「まだ少し辛い。けど、前より楽になったよ。見ず知らずの女を心配してくれて、ありがと」
見ず知らずはないだろう。まぁ、半分くらいは当たっているが。
「様子、見てきたんでしょ? どうだった?」
「悪ガキの仕業だった」
「そう。でも、貴方の『刻印』が増えた。これは今までに無いことよ。今回はきっと……」
そこで、女は言葉を切った。
「……きっと、なんだ?」
「ううん。なんでもない」
女は屈んで、手摺に寄りかかった。
「おい、大丈夫か」
「あ……ごめんね。ちょっと力が……」
「あれだけ無理するなと言っただろ」
女の体を抱き上げる。
「……」
軽い。よくこれで生きていられるものだ。
「どうしてお前はいつも俺の言うことを聞いてくれないんだ」
女をベッドに運ぶ。
「ごめんね。私……ダメだな。君を困らせることしかしてない」
「何を今さら」
微笑を浮かべて言い返す。
「ふふ……変な人」
女の笑顔を見て、顔から微笑を消す。
すると、女が頬に触れてきた。
「君の笑顔、好きだからやめないで」
「……すまない」
「どうして謝るのよ」
「……」
「そんな悲しそうな顔しないで。いつか、私達を解放してくれる人が現れるよ」
何も言わず、彼女をベッドに寝かせてシーツをかけてやる。
それからあっという間に、女は眠ってしまった。
「……今回はきっと、俺達を殺せる奴が出てくる、お前はそう言いたかったんだろ」
ベッドに腰掛けて、眠ってしまった女に話しかける。
「今回は、確かに期待できそうだ」
精々、寄り道はしないことだ。
無駄なモノが絡まって、生き方が鈍ってしまうからな。
殺人鬼がそうでなくなるように。
善人がそうでなくなるように。
賢い者がそうでなくなるように。
運命というのは、予測できない。
さて、今回はハッピーエンドかデッドエンドか、見極めさせてもらおう。
第二章 完




